登録日:2021/05/08 Sat 17:53:31
更新日:2025/03/12 Wed 19:08:02
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一人は万民のため。万民は一人のため。これ天下大吉なり。
冷酷非情で打算的な人物として語られる近江の戦国武将・石田三成。
石田三成が戦国の世の中で掲げた旗印は『大一大万大吉』。
概要
当項目では、「石田三成×
滋賀県」ポータルサイトにて見ることができる、石田三成の動画CMについて取り扱う。
CMは2016年3月に第一弾が公開され、同月中に第二弾(総集編)も公開された。
動画はyoutubeにアップロードされているので、ポータルサイトの他に、youtubeや
Googleなどから直接検索して視聴できる。
なお、映像制作は藤井亮氏が担当。
……そう、
後に『TAROMAN』で一躍時の人となったあの人である。
嫌な予感がした方は何も間違ってないのでごあんしんください
実は三成役の俳優も、同作の風来坊役や『ガチャの歴史』のガチャファイター廻役など藤井監督作品常連の川端英司氏だったりする。
背景
動画の内容に触れる前に、昨今の背景事情について軽くおさらいしておきたい。
石田三成の再評価
石田三成という武将は、当wikiの
石田三成(戦国武将)の項目やポータルサイトの序文でも言及されている通り、とかく評判が悪かった。
しかしながら、これらの悪評は、本人の死後、江戸時代以降に成立したものが多い。
関ヶ原の戦いで三成が
徳川家康に敗れ、その家康が幕府を開いて全国を統治するに至ったことが三成評にも影響している。
このため、後世の創作による評価があることを考慮して、信頼性のある史料をもとに三成の功績や人物像をより正確に探ろうとする動きが出てきた。
インターネットによるアプローチ
現代は歴史を題材にしたマンガやアニメや
ゲームが多数あり、それらの作品をきっかけに書籍や史料でより深く学んだり、博物館や史跡に足を運んだりする人も数多くいる。
そして、関連する情報の広まりにインターネットが大きな役割を果たしている。
石田三成に関して言えば、
戦国無双シリーズや
戦国BASARAシリーズといったゲーム作品への出演があったり、
ひこにゃん人気にあやかってゆるキャラ化されたりするなど、比較的早期からサブカルチャー界隈においてキャラクター性を確立していた。
これによりインターネット上での知名度も得られていたため、新規にネットでのPR活動を行うのに有利な条件が揃っていた。
自治体の事業としての意義
文化教育事業
歴史上のできごとを整理してまとめ、現在や未来の人々が学べるようにすることは価値ある営みである。
しかし「学ぶ」といっても、誰もが書店や図書館に赴いて本格的な書籍を紐解くわけではない。
堅苦しさを廃し、ネット環境さえあれば簡単に閲覧できる動画は、学習の入口として興味を持ってもらうにはうってつけの方法である。
経済振興
博物館や史跡は学習の場であると同時に、観光資源としての側面もある。
そういったスポットに多くの人が集まれば、周辺の産業の活性化にもつながる。
ポータルサイトでも三成ゆかりの地や
滋賀県の観光案内などがリンクされており、実際に現地を訪れたときに役立つ情報を手に入れることができる。
上記のような気運の中で「石田三成×
滋賀県」ポータルサイト、そして石田三成CMは誕生した。
それでは、動画CMを紹介していこう。
世界初!?の武将CM 石田三成CM、第一弾!
2016年3月5日に公開。
CM2本を収録しているが、うち1本は時間が短く実質おまけである。
公式いわく「おそらく世界初の武将本人を広告する動画」とのこと。
本編
…という町の人々の悩み(?)を石田三成が解決(?)するCM。
「配下に~」のセリフを言う女性はいかにも主婦代表と言わんばかりのなりをしているのだが、寝首を搔かれる心配をしているとか普段どんな人間関係をしているのだろうか。
滋賀観音寺 三献の茶
ペットボトルの緑茶飲料風のCM。
元ネタのエピソードと同じく、温度設定がぬるい・あつい・超あついの三種類ある。
お茶が注がれるシーンが5秒くらい流れた後、なぜか画面が砂嵐になって見えなくなってしまう。
もしかして湯加減を間違えてて千利休と同じ運命を辿ったってこと?
話題沸騰の最新CM! 石田三成CM、総集編!
2016年3月27日に公開。
CM6本と短いおまけ映像2本を収録。
「総集編」と銘打っているが、第一弾の映像は含まれない。
公式いわく「いわば石田三成のグレイテストヒッツ」とのこと。
シャンプー風CM
髪ならぬ民、つまり領民を三成が大切にしていたことをアピールするCM。
爽涼な風景と中毒性の高いコーラスをバックに「民にうるおい」「民にやさしい」等のメッセージを謳い上げる。
お茶の間で知名度が高かった「ティモテ」のテレビCMを思い出した視聴者もいるかもしれない。
モチーフにふさわしくサラサラヘアーの女性も登場するのだが、白ワンピースに乱髪天衝脇立兜という、とてつもなくインパクトのある恰好をしている。
メガネチェーン風CM
関ヶ原以降に作られた逸話で石田三成に悪役のイメージがついてしまったことに反論するCM。
一面的なものの見方に警鐘を鳴らす啓蒙精神にあふれた動画だが、メガネのビジュアルや登場人物の三成観が一瞬で180度転換する展開など全体的にシュール。
啓蒙後の三成びいきぶりを見るに、東軍メガネが西軍メガネに置き換わっただけのような気がしないでもない。
過払い金請求風CM
石田三成の領地で、凶作の年に年貢を免除したことをアピールするCM。
愛されて19万4,000石!…なのだが、※すべての年貢の免除を保証するものではありません。という註がある。
そりゃまあそうなんだろうけど、なんかケチくさく感じる。
テーマパーク風CM
石田三成の本拠地である佐和山城のCM。ふたつ前のCMで登場し西軍メガネが肉体と同化した親子が再登場する。
ゆるキャラの「みつなりくん」が登場してレイクビュー佐和山城(跡)のスポットを紹介する。
とはいえ佐和山城は有名どころの城とは違って整備された城門や天守なんてものはなく、ほとんど山の中の雑木林にしか見えない。
ちなみに「みつなりくん」の他に「しまくん」「おおたにくん」というキャラもいるが、どれもこれも低予算感がひしひしと漂う。
会計ソフト風CM
豊臣政権下の内政を支えた石田三成の能吏ぶりをアピールするCM。
キーワードを矢継ぎ早に繰り出すテンポのよい作風が魅力。
ただ他のCMがハードパンチャー揃いなので、慣れると物足りなく感じてくるかも。
リフォーム風CM
I SHI DA Ishida... Ishida...
合戦における石田三成の能力をディスコ風に誇示するCM。
大兵力を動員したり、短期間で堤防を築いたりするのは確かにすごい。
すごいのだが、動画をよく見ると小さな文字で「戦果を保証するものではありません。」と注意書きがつけられている。
そこは保証しろよ。
おまけその1(アイキャッチ)
アイキャッチ風の短い動画。セリフも上述のものだけ。
カブトムシが樹液に群がっているところに乱髪天衝脇立兜をかぶった三成が3人あらわれるという、短時間ながら腹筋に悪い内容。
三成のことだから、好感度が上がるならクワガタムシ扱いされても本望かもしれないが。
おまけその2(天気予報)
総集編の最後を飾る、天気予報風の短い動画。セリフも上述のものだけ。
ごく普通の天気予報と見せかけて、琵琶湖の中から巨大な三成らしき人物が登場する。
お天気は天晴れになるということだが、動画を全部見てきた視聴者としても天晴れ…というか、もはやなんでもいい気分になれるかもしれない。
結びに代えて
いかがだっただろうか。石田三成
CMのマジキチぶりのよさを発見していただければ幸いである。
上述した通り「石田三成×
滋賀県」ポータルサイトではCMの他にも観光案内、石田三成のエピソード紹介などさまざまなコンテンツがあるのでぜひ訪れてほしい。
そして、この項目を書くために石田三成CMをエンドレスで見る羽目になった筆者と同じ目に遭ってほしい。
興味を引くことがあれば、他にも本などで事績を調べたり、現地を訪問したりしてほしい。
そうしていただければ、ポータルサイト
と、あまりにもクレイジーな動画CMを作った滋賀県のみなさまや、泉下の石田三成にとっても喜ばしいだろう。
追記・修正は、乱髪天衝脇立兜を装備してからお願いします。
- 秋葉原のしょくひんかんで、このCMが延々流れてて何事かと思った -- 名無しさん (2021-05-08 18:31:33)
- 秀吉が出てくるCMの※故人の感想ですで爆笑した覚え -- 名無しさん (2021-05-08 19:21:41)
- 画質がクッソ荒いのはそういう作りなのかマジで低予算だったのか -- 名無しさん (2021-05-08 21:34:34)
- あのCMは金鳥や関西電気保安協会に匹敵するシュールなネタのセンスが凄かった。滋賀県のPRにはなったしまたやってくれんかな? -- 名無しさん (2021-05-08 21:48:56)
最終更新:2025年03月12日 19:08