昔はよかった(ドラえもん)

登録日:2021/12/06 Mon 19:11:27
更新日:2021/12/28 Tue 22:43:09
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「昔はよかった」は、漫画ドラえもんのエピソードの1つ。
てんとう虫コミックス30巻に収録。

●目次

【あらすじ】

散歩をしているのび太とパパの何気ない会話から物語は始まる。

パパが子どものころは、手づかみでとれるほど魚がいっぱいいたんだよ。

へ~え、こんなドブ川に?

それからパパは自分が子供の頃の町の風景を淡々と語り始める。
小川の横には桜並木があったこと、春には一面のレンゲ畑が咲いていたこと、車なんて滅多に通らないから安心して道路で遊べたこと等々。
しかし、時が経って町は大きく変わってしまった。
小川はゴミが浮いているドブ川に変貌し、レンゲ畑の上にはマンションが建ち、交通量は言わずもがな光化学スモッグまである。

昔はのんびりしててよかった。

受験戦争なんてものもなくて…

パパの話を聞いたのび太は、家に帰ると「学校がないから」という理由で「昔はよかった……。」とパパみたいな事を言う。
のび太にとって、忌々しい学校の宿題が無い時代は羨ましいようだ。
すると何を思ったか、タイムマシンで昔の世界に行ってしばらく暮らそうとする。
勿論ドラえもん「きみが昔の世界でくらせるわけがない。」と反対したが、のび太は意に介さずタイムマシンを走らせる。
そして、学校どころか電気すら無い時代に到着した。

やっぱり昔はいいや。

空気の味までがちがっているみたい。

自分の時代と比べながら辺りを探索し、川で魚捕りに挑戦するが失敗。
ページ数にして僅か2ページ未満で帰る決心がついてしまった。あきらめのいいところがぼくの長所なんだ。
だが、のび太の頭にある光景がよぎる。

そらみろ。

きみに昔の世界はむかないといっただろ。アハハハアハハハ。

ドラえもんの嘲笑はのび太にとって最大の屈辱。
再び意地を見せて近くの村で下宿しようとする。
のび太が訪れた民家は畳が無く壁や障子は所々傷んでいる。
その時代では割りと普通の暮らしなのだが、のび太は自分の時代と比べて「よっぽどびんぼうなんだね。」と言っていた。
夕方、その家の住人である百姓の父娘が帰宅し勝手に上がり込んだのに昼寝をしているのび太を見つける。
父娘は、「遠いとこから来たので帰れない」と言うのび太を泊めてくれた。

昔の人は親切だ。

しかし、のび太にとって辛いのはここからだった。
まず、夕食はアワのおかゆに、ナッパのおつゆとつけもの。
この時代のお米はほとんど年貢で、祭りにしか食べないぜいたくな物だった。
のび太は(カレーライスか、ハンバーグがたべたいな。)と思うも、そんなものはない。
次に、家にはテレビや漫画なんて娯楽も無い。
あったとしても、明かりが電気ではなく油(多分ひょうそく)なので録に読めやしない。

もっと金持ちの家をさがせばよかった。

不本意にも早く寝ることになったのび太だが、蚊やノミのせいで中々寝付けない。
当然、蚊帳なんてあるわけなかった。

翌日、のび太はうっかり寝過ごしてしまったが、学校に行かなくていい事を思い出し安心する。
父娘は朝早くから畑仕事をしているようで、のび太の分の食事を用意して家を空けていた。

たべた気がしないよ。

あれでよく働けるね。

食事を済ませたのび太は畑に行っておじさんの仕事を手伝おうとする。
が、非力なのび太に鍬なんて使いこなせるわけもなく、早々にマメだらけになってしまった。
そこで、娘と一緒に水汲みをすることに。
どうやらこの一帯は掘っても水が出ないらしく、わざわざ川に行って調達しなければならない。
のび太は汲んだ水を運ぼうとするが、あまりの重さにバランスを崩して転倒。娘は楽々と運んでいたのになあ…。((もちろん娘が毎日のように運んでいるため慣れているのかもしれないが))
見かねたおじさんに「しばらく休んでな」と言われてしまった。

のんきに野球なんかして…。

あのころはよかったなあ…。

昔の生活を体験したのび太は、出発前と真逆の考えになっていた。
その後お腹が鳴るが、飯は1日に2度しか食べられない事を知って、やむを得ずタイムマシンで出発してから1時間後に戻る。
嬉しそうにラーメンを食べるが、いつの間にか傍にニヤニヤ笑う青狸さんがいらっしゃった。

帰ってきたんじゃないぞ。

おやつをたべにきただけだい。

再び昔の世界に戻っても、のび太にとって楽しい時間がやってくるわけではない。
娘は水汲みを終えるとせっせと薪割りをしたり大根を干したりと、かなり忙しそう。
これは彼女に限った話ではなく、幼い子にも赤ちゃんの面倒を見る等の仕事もある。
この時代の子ども達は、学校に行かない代わりにこうして家の仕事を手伝っていたのだ。
のび太のように、空き地で野球をするような自由時間なんぞほとんど無かった。

夕方、何やら浮かない顔でおじさんが帰ってきた。
どうも、ここ数日の日照りのせいで稲が不作らしい。
のび太は「川から田んぼへ水をひけばいいのに。」と提案するが、あれは同じく水不足のとなり村の川であり、おじさんは「こっちへひいたりなんかしたら血を見るようなあらそいになる。」と反対する。
このままでは年貢を納められず、おじさんが牢屋に入れられてしまう。

さらに悪いことに、夜におじさんが酷い熱を出して倒れてしまう。
のび太は三里離れた村のお医者さんを呼ぼうとするが、三里といえば12キロ。
只でさえ運動音痴なのに、バスやタクシーも使えないからたまったものではない。
おまけに街灯も無く、明かりとなる物は手元の提灯だけ。
その提灯も転倒した拍子に離してしまい、燃えて使い物にならなくなってしまった。

元々のび太は、父娘とは縁もゆかりもない未来人なのでここで見捨てて帰る選択肢もあった。
しかし、おじさんは貧乏な暮らしをしているのにのび太を泊めて、食事の用意までしてくれた。
そんな善人を死なせるなんて…のび太には耐えられなかった。
自分の無力さを痛感しながらも、遂にドラえもんにバカにされることを覚悟して現代に戻る。


そのかわりおじさんを助けて!!

最初はヘラヘラしていたドラえもんも、泣きじゃくるのび太を見てすぐに事情を理解し、おじさんを助けに過去に行った。

早速家に入ると、人工太陽で明かりを灯す。

あら、いやだ。お医者さんかと思ったらタヌキじゃない。

ドラえもんは娘の言葉に憤慨しつつも、お医者さんカバンでおじさんを診察する。
診断結果は「結核」、1980年代では最早薬で治療可能となった病気だが、この時代では手の施しようがない不治の病だった。
おじさんにはカバンに提示されたよく効く薬を飲ませて、魚や肉の缶詰めをあげた。
目が覚めたおじさんは、缶詰めの旨さに仰天する。
その後、お天気ボックスで雨を降らせて水問題も無事解決。
さらにさらに、どこでもじゃ口、もぐら手ぶくろ、おこのみボックスも出して水汲みや畑仕事も楽にさせる。こんなに与えて大丈夫かな…

するとおじさんは、ドラのびを「稲荷大明神のおつかい」と崇める。

でも、父さん。おいなりさんのおつかいなら、キツネさんでしょ?

なにかのつごうでタヌキさんをつかわされたのだ。

やっぱりドラえもんは狸呼ばわりされてしまったが、何だかんだでおじさん達は助かった。

どんな時代でも、みんなそれぞれせいいっぱい生きてきたんだよ。

そうか。ぼくらはぼくらの時代を少しでもよくするようにがんばらなくちゃいけないんだね!!


こうしてのび太は、立派な決心をするのだった。

………宿題が残っている現実に直面するまでは。


やっぱり昔のほうがよかった!!

【アニメ版】


○大山版「昔はよかった!?」
1981年10月30日に放送。

声の出演/百姓(おじさん):千葉順二、娘:平野文

○わさドラ版「昔はよかった」
2005年10月21日に特番として放送。おじさんに渡す手ぶくろがもぐら手ぶくろからスーパー手ぶくろに変更。

声の出演/百姓(おじさん):秋本羊介、娘:桑島法子

DVD「NEW TV版 ドラえもんvol.9」に収録。

【余談】

今回おじさんが罹っていた結核であるが、実は作者の藤子・F・不二雄先生も上京したばかりの頃に結核に罹ったことがあった。気合いで何とか完治したものの、その時の無茶が祟ってか、晩年は胃癌や肝臓癌を患うようになってしまった。



そらみろ。

きみに記事の追記と修正はむかないといっただろ。アハハハアハハハ。

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最終更新:2021年12月28日 22:43