トーマス(きかんしゃトーマス)

登録日:2025/09/03 Wed 17:17:24
更新日:2025/09/20 Sat 18:20:08
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起きろよ怠け者!
僕みたいにちゃんと働けよ!


トーマスとは、絵本シリーズ『汽車のえほん』及びテレビ人形劇/アニメシリーズ『きかんしゃトーマス』の登場車両である。

プロフィール

所属鉄道 ロンドン・ブライトン・アンド・サウス・コースト鉄道→ノース・ウェスタン鉄道(ソドー鉄道)
性別
カラー 緑色水色
番号 70→1
車軸配置 0-6-0
製造・来島年 1915年(長編第10作では1924年頃)
CV(日本語版) 戸田恵子(第1〜8シリーズ)
比嘉久美子(第9〜24シリーズ)
田中美海(第25シリーズ〜・2Dアニメ)
モデル機 ロンドン・ブライトン・アンド・サウス・コースト鉄道(LB&SCR)クラスE2

概要

シリーズ全体の主人公にあたるタンク式蒸気機関車
元々の『汽車のえほん』は決まった主役を定めておらず、トーマス自身も途中追加のキャラだったが、テレビ化に伴い明確に主役を作る方針になり、番号1のトーマスが主人公とされた。
日本語版では過去3人の女性声優が担当しているが、原語版では一貫して男性声優が担当している。一部楽曲では原語版ナレーターでもお馴染みのビートルズのリンゴ・スターが担当したこともある。

誕生の経緯

1942年のクリスマス、原作者のウィルバート・オードリーは手先が器用なことから息子のクリストファーに木材から手作りしたエドワードの玩具を贈る。
クリストファーはゴードンも欲しいとせがんだが大型機であるゴードンの制作は難しく、代わりにグレート・ノーザン鉄道J23型を模して車体番号1の機関車を作りプレゼントした。
これをクリストファーが「トーマス」と名付けたことが誕生のきっかけである。

この玩具には「NW」と書かれているが、「NW」はNo Where(無所属)の意。車体番号の1には深い意味があったわけでもなく、単に書きやすかったから。
そしてクリストファーの頼みでトーマスの絵本への登場が決まり、改めて正式なデザインをE2型をモデルとしたものに決定した。
2015年には原作70周年を記念して、ゴールドのトーマスとセットでこの玩具を再現し、トーマスの顔を付けたものが木製レールで発売されていた。

実車は10両しか製造されておらず、内5両は前期型、残り5両は後年増備された改良型で、トーマスのモデルは後者。
BRクラス07ディーゼル機関車*1の導入により1963年までに全廃され、保存機も皆無なマイナー形式。
シリンダーが無いように見えるのは内側に設置されているため。

性格

とにかくやんちゃでいたずら好き。調子に乗ったり好奇心のままに行動したり、慢心してすぐトラブルを起こす問題児。他の機関車やその他車両へのからかい・侮辱も当たり前。
中の人的に口の悪いアンパンマンとも。

項目冒頭の台詞こそテレビシリーズ初回の初台詞であり、その言葉を向けられたゴードンも重労働明けで休んでいただけで決して意味無くサボっていたわけではない。
他にも
  • 好奇心に駆られて進入禁止の箇所に突入し穴に転落
  • 自己アピールのために機関士がいないまま走り出して止まれず、民家に突っ込んで大破させる
  • 他の機関車の事故や失態をおちょくる
  • 特にケンカを売ってきたわけでもないテレンスのキャタピラを見て、いきなり「かっこ悪い」と侮辱する
  • スクラップ置き場に向かうエドワードに対し、「まだ屑鉄になるほど古くないだろ」と揶揄う
など問題行動のレパートリーには事欠かない。

それでも「役に立つ機関車になりたい」という思いは強く、(一部の)問題行動・発言はその思いが行き過ぎた結果でもあり、何かを成し遂げようとする際の行動力や責任感は本物。

『汽車のえほん』から離れ始める第3シリーズ頃となると経験を積んだためかトラブルメーカーとしての性質は鳴りを潜め始め、責任感が強く、実直で友好的な面が目立つようになり、主人公らしい性格となった。
新しい機関車への指導を任されたり特異な外見から周りと馴染めずにいたハーヴィーに寄り添ったりと、頼れる先輩のような立場に。
ただいくら経験を積んでも根本の性格は少年程度であるため、調子に乗ることが完全に無くなったわけではなく、相変わらずトラブルを起こす場面も見られる。
特に3Dアニメ時代の「トーマスの世界旅行編*2」では文化の違いや鉄道における慣習の差異、果てはたまたま現地の機関車がゴードンに雰囲気が似ていた*3ことにより失敗or失言する、果ては黎明期シリーズのように好奇心から代走運用に手を挙げて、案の定慣れない仕事にやらかしまくり、本来運用を務めるはずの機関車にたしなめられるオチ*4なんてこともあり、畜生キャラ「悪い子」的な側面が部分的にでも復活していると言える。

嫌いなものは魚と雪かき。前者は一度川の水からタンクに混入したせいで死にかけたことから、後者は重くて邪魔だから。
また暴言のお礼としてゴードンに猛スピードで引き回された時は悲鳴を上げていたが、克服したのかジェットエンジンの誤作動によりゴードンよりも速いスピードで暴走した時は逆にはしゃいでいた。
お化けや怪物などに怯える相手をからかうこともあるが、トーマス自身も怖がりで、実際お化けの類に出くわすと一目散に逃げ出す。

交友関係

専用客車のアニーとクララベルとの仲は基本的に良好。より年長で良識のある彼女らはトーマスの暴走や慢心を止めようとするが、素直に聞いてもらえることは少ない。

パーシーとは一番の親友とも言える関係にあるが、『トーマスとパーシーとせきたん』などでは深刻な状態に陥ったことも。
またトビーとは気難しい警察官とのトラブルを解決してもらった縁で仲良くなり、3台で行動することも多い。

上司であるトップハム・ハット卿にはトラブルを起こす度叱られているが、同時に根の善良さを高く評価されており、重大な仕事や新しい機関車の指導を任されることも少なくない。
特に機関車のキャラ数が大きく増えた3Dアニメシーズンでは、トーマスの方も「僕が先輩なのだからしっかりしないと」といった自覚を身に着けているのか、後輩となる機関車の困りごとには真面目・親身に対応しようとしているエピソードも増えている。

シリーズが進むと積極的に他の機関車達と交流し、交友関係を築くことが多いが、例外的に出会いたてであっても無断でアニーとクララベルを牽いたエミリーには怒りを露わにしていた。

経歴

本編開始前

ロンドン・ブライトン・アンド・サウス・コースト鉄道の機関車であったが1915年に戦時中の混乱による手違いでソドー島へ送られ、やがてトーマスの機関士と機関助士はソドー島民と結婚する。
更にハット卿は、トーマスは混乱の中戦災で喪失したものとされていたことを知る。このままロンドン・ブライトン・アンド・サウス・コースト鉄道に戻そうにも、すでに喪失したものとされている以上書類上の扱いに困ることからソドー鉄道に安値で売却される運びとなった。

テレビ版では特にこの設定は語られず、『きかんしゃトーマス はじめて物語』*5では来島年の設定が変更されたため、現在もこの設定が生きているかは不明。

『はじめて物語』ではロンドン・ブライトン・アンド・サウス・コースト鉄道時代は緑色の塗装だったという設定が追加され、ロンドン・ブライトン・アンド・サウス・コースト鉄道の略である「LBSC」の表記*6、コールバンカ部分に「70」の車体番号*7が書かれている。ソドー島来島後もしばらくはこの塗装だった。

本編開始後

当初『汽車のえほん』には車体番号の概念が無く、車体番号の追加は6巻目以降、トーマスの登場に関連する後付設定なのだが、これについては「車両運用の兼ね合いなどから番号の設定を後から行った」と理由付けされている。

ナップフォード駅やヴィカーズタウン駅での客車・貨車の入換に従事していたが*8、狭い範囲での運用に不満を抱き、いろいろとトラブルを起こしていた。
やがて脱線したジェームスの救出に貢献した功績により、専用の支線「ファークァー線」と客車のアニー・クララベルを貰い、その他路線含め旅客・貨物運用に就くようになる。
当初はファークァー駅のさらに奥にある採石場からの貨物輸送にも従事していたが、
路面区間用の装備がないことを理由に定期運用からは外れている*9
そしてより多くの機関車たちと出会い、時には大健闘を見せ、時にはくだらない失敗を起こすのであった。

原作ではトーマスが登場しないエピソードも多いが、テレビ版では話の本筋に絡まないモブだったり元いたキャラクターを置き換える形で話に絡んだり、変わったところではナローゲージ線でありトーマスが関わらないミッド・ソドー鉄道やデュークの話は「トーマスが以前機関士から聞いた話を皆に聞かせる」という形に変更され、多くの回に登場している*10

映画『Go!Go!地球まるごとアドベンチャー』ではラリーカーのエースと出会ったことから世界中を旅することに決め、実際に世界各地の鉄道を巡る。先述したようにその後の通常回でも後日談として世界各地の話が描かれた。
第22シーズンからは教育番組やSDGs番組の側面がついたことでストーリーテラー…というか前説・シメの解説役として話を進行するようになり、教訓として似通っている過去のエピソードを振り返るようになった*11
「環境の変化に適応する方法」や「生物・環境の保護」といったいかにもなテーマから「クリスマスを祝うことの重要性」といったイギリスならではのものまで、トーマスが子供たちに教える内容はさまざまである。「難民問題」という難しいテーマを扱ったこともある。
そしてたまに「撮りたい内容を先に決めて、教訓面は後付け」と思われるエピソードが当然のように放映される。

2Dアニメ期

設定や世界観が大幅にリニューアルされた2Dアニメ期では明確に子供の機関車として扱われるようになった。役立つ存在を目指しているが従来より明確に子供っぽくなっている。

現実での再現

近年は『Day out with Thomas』と称して保存鉄道でトーマスを再現する企画が行われている。イギリスでは既存機(勿論実車は現存していないので他形式)の改装やレプリカとなっている。
日本でも2014年から大井川鐵道にて従来からイベント仕様への改装実績があり*12、トーマス同様の3軸タンク機関車のC11 227を改装して実施されている。塗装の変更や顔の追加(目も動く)は勿論タイヤハウスの追加やランプの移設といった細かな点も再現。
近年は227号機の検査の都合上190号機が担当している。
京都鉄道博物館でも同様のイベントが行われており、一部からは大井川鐵道から持ってきたものと思われているが実際は元々京都鉄道博物館で保存されている64号機。こちらは静態保存機で、トーマス化した際の細部もよく見ると大井川鐵道のものとは異なる。

再現ではなく「そのもの」だが、鉄道模型期に実際に使用されたプロップ(撮影用車両)は横浜の原鉄道模型博物館に収蔵されている。原則的にちゃんと動くままの保存となっており、定期的にソドー島DAY…つまりレイアウト内を走行する列車すべてがソドー島のみんなになる日も設けられている。

迷言

  • 起きろよ、怠け者!僕みたいにちゃんと働けよ!
  • 起きろよ、怠け者!気分転換に走って僕を捕まえてみろよ!ハハハハハwwww
  • 忌々しい信号め!早くしろ!
  • 自分が悪いんだ。ざまぁみろ!
  • 靴紐は持ったかい?頑張れよ!
  • 何をやってたんだ?この怠け者!
  • 馬鹿馬鹿しい。モタモタしすぎるんだよ。少し運動でもしたらどうだ?
  • それにしても君の車輪、かっこ悪いね!
  • 変なカビ臭いような臭いがするなぁ。ゴードン、君が来るまでは臭わなかったよ。きっと君の臭いだなぁ?
  • ねぇ、アニー、クララベル!あの臭いが何か分かる?実はドブの溜まり水なのさ!
  • 呆れたトリオじゃないか!ペチャンコに、エンコに、ドンブラコだ!


やぁ、トーマス!ここで何してるんだ?

見りゃ分かるだろ!項目を追記・修正しているんだよ!

項目?どこにあるんだ?

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最終更新:2025年09月20日 18:20

*1 ソルティーのモデル機。

*2 映画『世界のなかまたち』・『地球まるごとアドベンチャー』と連動したエピソード群。『アドベンチャー』のあらすじの事情から、本シリーズではトーマスはソドー島鉄道ではなくイギリス以外の国の鉄道路線で「旅の途中で一次所属する」という形で働いている

*3 当該機である実際のグスタボはむしろトーマスに優しくしてくれる聖人君子的な機関車であり、それを知った際にはトーマスもきちんと改めている

*4 観光列車の代走に入る→土地勘が無いので観光ガイドが出来ずに失敗する、など

*5 人形劇時代の初期エピソードのCGリメイク映画。

*6 現在車体番号が書かれているタンク部分。

*7 公開年が原作70周年。

*8 ちなみに実車も同様に入換メインの運用である。

*9 もっともそれ自体は四角四面な警官のイチャモンに近い。事実それまでトーマスはその区間で事故を起こしたことはなかった。ちなみにその後も臨時運用ではファークァー採石場に入っている描写もある。

*10 とはいえ原作絵本のエピソードが多かった第1〜第4シーズンではセリフがない完全なモブ扱いだったり、一切登場しない話が各シーズン10話前後と約半分もあった。

*11 該当するお話が鉄道模型時代の場合は新規に3Dアニメーションを起こしなおしている

*12それいけ!アンパンマン』のSLマン、大井川鐵道イメージキャラクターのSLくん。