登録日:2025/09/02 Tue 23:25:00
更新日:2025/09/03 Wed 06:53:41NEW!
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GPUとはGraphics Processing Unit(画像処理装置)の略語。コンピューター機器において画像・並列処理を担う部品である。
歴史
GPUの歴史は1970年代、
CPUの負担を軽減するためにグラフィック処理機能を分離する構想から誕生。
当初は業務向けのグラフィックワークステーションに専用の部品を導入することから始まった。
しかし個人向けには普及が進まず、当時はCPUの性能向上でグラフィック向上を目指す動きが普通だった。
1980年代当時としては高い描画性能を持った
ファミリーコンピュータはPicture Processing Unit(PPU)と呼ばれるグラフィック専用の装置こそ搭載していたものの、
スプライトや背景の描画、予め指定された範囲内の色を指定する機能しか存在せず、あくまで補助的役割に徹していた。
1990年代に入ると3DCGの普及に伴い専用のグラフィックチップの需要はますます高まっていった。
そのため
ゲーム機メーカーは開発の段階でグラフィックチップを手がけるメーカーと協業するようになり、個人向けにも高性能なグラフィックチップを大量生産する体制が整い始める。
1999年には
パソコン向けに、米NVIDIAから幾何学(ジオメトリ)エンジン(3DCGをディスプレイに映せるよう2Dとして変換する機能)をハードウェア上で処理をするグラフィックボード『GeForce 256』が登場。
ソフトウェア面でもワークステーションの
グラフィックAPI(詳細は後述)統一を目的に『
OpenGL』『
Direct3D』と言ったAPIが開発。
環境整備が進められ一般消費者にも普及するようになった。
1990年代終盤からは高い並列処理性能をグラフィック分野以外に活用するGeneral Purpose Computing on Graphics Processing Units(GPGPU、GPU上での汎用計算)という動きも出始める。
NVIDIAはこの分野にも目を向けており自社設計のGPU向けにCompute Unified Device Architecture(CUDA)と呼ばれる機能を実装。
それとは別に米Appleの提案でNVIDIA以外のGPUでも扱えるOpen Computing Language(OpenCL)も次いで登場した。
これらの技術を活用したのが機械学習や仮想通貨の採掘(マイニング)、生成AIであり、産業部品として広く使われるようになっている。
グラフィックAPI
APIとはアプリケーションプログラミングインタフェースの略で、大まかに言うとハードウェアからソフトウェアに命令を送る装置の様な物。
その内グラフィックを担当する物がグラフィックAPIである。
工学的には必須ではないが、2025年現在ではGPUを快適に使用するためにもグラフィックAPIの整備は必要不可欠となっている。
現在の意味で広く使われるグラフィックAPIは前述したOpenGLが最初。
米シリコングラフィックスが開発したAPI『IRIS GL』を元に公開標準規格として開発された。
組み込み機器向けにも『OpenGL for Embedded Systems(
OpenGL ES)』として提供されており、
携帯電話や車載システム等で使用されている。
只(1990年代の)OpenGLはワークステーション向けのAPIでありゲーム向けには適さない面もあった。
そのため(
Windows向けのPCゲームを増やす目的も兼ねて)米Microsoftが開発したのがDirect3Dである。Direct3Dはゲーム向けに特化した分、軽量化が行われたのが特徴。
Windowsを始めとして
ドリームキャストや
Xboxシリーズにも採用され、ゲーム(特にPCゲーム)向けのグラフィックAPIとして今日でも広く用いられている。
OpenGLについては電子機器の性能向上に伴い規格が陳腐化したため後継規格の『Vulkan』が登場し、そちらに置き換わりつつある。
Apple製品ではVulkanではなく自社設計の『Metal』を後継規格として採用している。
各種機器におけるGPU
専用の物はグラフィックボードやビデオカードと呼ばれることが多い。
APU(CPUとGPUを一体化した物)を使えば専用GPUがなくても映像出力は可能なので必ずしも必要という訳ではないが、高度なことをする場合は装着することが推奨される。
Windows/
Linuxパソコン向けの専用の独立GPUとしてはNVIDIAの
GeForce(DirectX向け)・『
Quadro(OpenGL向け)』と米AMDの『
Radeon』が長年使われている。
2022年には新たに米intelが『
Arc』を提げて参入した。
CPUと違いこれらの企業は基本的に設計のみを行なっており、実際の製品としてはハードウェアを提供しているメーカーから販売されている。
Macも同様だったが、2020年代に入ってからスマートデバイスと同じSoC(APUやメモリ、通信機能などを一体化した物)路線に移行した。
パソコン以上に映像が大事なので早期から研究が進められている。
そもそも汎用機器のパソコンからゲームに関係のない部分を省くことで、比較的低価格で優れたグラフィック体験を実現させたのが専用機としてのゲーム機の出発点。
同一規格で長期間生産し数が出やすいことからGPUメーカー各社も全面的に開発協力している。
時には平均的なPCを上回るグラフィック性能を実現した上で、更に野心的・先進的な機能を設けていることも多い。
2010年代以降は省電力目的にAPU化が進んでおり、PlayStationとXboxはRadeon+x64(AMD Ryzen) CPU、Nintendo SwitchシリーズにはNVIDIA+ARM CPUの方式で実装している。
小さな端末に収める都合上、SoCの一部として実装されている。
Android機には米Qualcomm『Adreno』、英ARM『Mail』が主に採用されている。
Adrenoは同じQualcomm設計のCPUであるSnapdragonと一緒に提供されるので、Snapdragon以外のCPUを使う場合はMailが用いられることが多い(台MediaTek Dimensityや韓SAMSUNG Exynosなど)。
Apple製品はドリームキャストにも採用された英Imagination Technologies『PowerVR』を長らく使用してきたが、2017年以降は自社設計の『Apple GPU』に移行している。
GPUのベンチマーク測定中に追記・修正お願いします。
最終更新:2025年09月03日 06:53