ボッカ・ジャルダック

登録日:2025/09/03 Wed 09:27:30
更新日:2025/09/17 Wed 18:04:01
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力無き者は大人しく、私の肥やしになればいいのだ。

寧ろ感謝してほしい位だよ。無意味な存在だった君達に、僅かながら、生まれた価値を与えてあげたのだから…。

…幸せに思いたまえ。


ボッカ・ジャルダックとは、特撮テレビドラマ『仮面ライダーガヴ』に登場するキャラクターである。


【データ】

身長:211.8cm
体重:148.1kg
特色/力:知略/振動操作/強靭な肉体/エネルギー波
CV:安元洋貴
人間体:舟木健(NORD)
スーツアクター:高田将司


【概要】

本作の異種族であるグラニュートであり、グラニュート界現大統領。
娘にリゼル・ジャルダックがおり、彼女に婿入りしたジープにとっては義父に当たる。
白い外骨格と紫色の肌に蛸と羊が混ざったような姿のグラニュートで、金の刺繍が施されたド派手な純白のスーツを着こなす。
またそのスーツの上からでも分かる程の屈強な体格の持ち主。
人間体は金髪でハーフ風の顔立ちをした整った身なりの若い紳士。

グラニュート界における最高権力者故に、ランゴを含めたストマック家の誰もが歯向かうことのできない絶大な存在。一方でその強引な政治手腕は庶民から少なからぬ反発を招いている様子*1
婿になったジープを通して闇菓子技術と人間界の存在を知り、大っぴらな人間の資源化を目論むように。そして29話以降ストマック社の後ろ盾……という建前でランゴ達を支配。
その後は闇菓子の政治利用を目論むようになった。
なお、費用は出してはいるが諸準備はストマック社に全て押し付けている。


【人物像】

一人称は「私」
紳士的な振る舞いに反して性格は冷酷であり慇懃かつ高圧的。
グラニュート界に蔓延る弱肉強食思想の悪い意味での象徴とも言うべき人物で、弱者や庶民を等しく見下すばかりか「力無きものは大人しく私の肥やしになればいい」と言ってのけ、自分が使い潰すための道具として生きる事が弱者の幸せと強要する生粋の独裁者。
ちなみにこの手の異種族の敵キャラには珍しく、人間を頭から見下さず人間界のビル街を見て「知性・文明ともに自分達グラニュートと比較して遜色の無い種族」であると素直に認めるなど、実力主義ながらフラットな目線で人や物を評価できる視点を持つ。
……逆に言えば、知性を持つ種族だと分かっていながら資源扱いすることに躊躇が無いというところに彼の冷酷さが際立つのだが。
そして数多の政敵を暗殺したりニエルブの策謀や叛意すら見抜いて逆にニエルブを謀殺する知恵も併せ持つ。

後述の戦闘能力と合わせて文武両道の体現とも言える男だが、グラニュートの庶民どころか人間さえも対等な存在だとは思わず、「人間界の牧場化」という事実上の人間界侵略すら目論見出した支配欲の強さも合わせて、同族のラキアからは「グラニュートの恥」と直球で罵倒されていた。

反面、娘のリゼルには駄々甘で、リゼルのお願いは二つ返事でOKを出すほど。
ただし、娘の奔放な性格には辟易している面も見られ、人間界の土産を渡された時は表向きは礼を言いつつも、裏では「捨てておけ。どうせ飽きるのだから」と部下に命令していた。
冷酷な弱肉強食思想の持ち主だが、リゼルが攫われたと知った途端彼女を見捨てず罠を承知で単身交渉の場に赴く辺り娘へ向ける親としての愛情は掛け値なしに本物であった。


【戦闘能力】


私を倒そうとは、随分見くびられたものだな…。


手からは強力な威力を持つ青いビームを放つが、本気を出すときには上着を脱ぎ棄て、腕と胸部が金色に輝く頑強な戦闘形態へと姿を変える。
この状態では、「グラニュートの中でも突出して強靭な肉体」とHPで解説されるほどの超フィジカルを駆使したステゴロという非常にシンプルで暴力的な戦闘スタイルに変化。
  • ランゴ怪人態やガヴマスターモードの超スピードを見切って的確に迎撃とカウンターを決める超反応速度
  • ガヴオーバーモード、ヴァレンフラッペカスタム、ヴラムアラモードモード、ランゴ怪人態の一斉攻撃を受けてもまともにダメージが入った様子が無いばかりか「所詮は小物の集まり」と溜息をつく余裕まである超タフネス
  • 拳を地面に叩きつけて発した衝撃波だけで上記4人を悉くぶっ飛ばし、ガヴ・ヴァレン・ヴラムの3人を纏めて片手で振り回して捻じ伏せる異常な剛力
など理屈や理由抜きに肉体性能が強過ぎるから強いという作中最も理不尽なグラニュート。
加えて眷属であるバトラーも実力が高く、これを量産し数の暴力で圧倒することもある。

総括すると間違いなく劇中最強の人物。
振動操作に対する特攻を有するアメイジングミ相手にフィジカルのゴリ押しで無理矢理有利を取っていた描写もある辺り、正面からのぶつかり合いではアメイジングミにすら普通に勝ちかねなかったほどの強者である。
アメイジングミというイレギュラーが起こらなければショウマ達の勝利は有り得なかった辺り、彼の比類なき身体能力の高さが垣間見える。
一応肉体の強さに穴が無いわけでもなく、彼の防御力を支えていたのは相手の攻撃を見切って的確に迎撃できるだけの反応速度によるところ*2も大きく、意識外からの攻撃に対しては流石に無傷ではいられない。


振動操作

ボッカのグラニュートとしての特殊能力。
大気を利用した振動によって周囲の相手の動きを制御する能力。
周囲の相手を自身が発する「言葉」で意のままに服従させる事が可能で、劇中では「ひれ伏せ」という言葉で周囲の者を超重力で圧し潰されるかのように地面に叩き潰して見せた。

欠点は大気を介した振動で相手の動きを制御する関係上、対する相手が大気に何らかの干渉を行える場合能力が上手く作用しない点にある。
また精神攻撃の類ではないので、度を超えた気合と根性があれば超重圧の中でも無理矢理動くことは可能。
この弱点を幸運にも掴めたのがガヴが得た新フォーム・アメイジングミであり、逆を言えばこの振動操作能力に対する明確な対処法がなければボッカとの戦いの土俵に上がることすらできなかったとも言える。


装備(?)

  • 手甲、足甲(仮称)
スーツを脱ぎ捨て戦闘形態になったボッカの四肢に備わっている装備。
肘から先、膝から先を覆うようにつけられた黄金に輝く大型の具足で、あちこちに宝石のような意匠があるデザイン。
戦闘では拳から青い高出力のエネルギー波を発することができる。

なお何かしらギミックがあるのか、手甲の宝石にエネルギーを集まると「カチッ」というギミック音が鳴り、その後衝撃波などのエネルギー攻撃が発動する。


バトラー


身長:不特定
体重:不特定
特色/力:秀でた教養/卓越した戦闘術/忠誠心
CV:下和田ヒロキ

ボッカ・ジャルダックに生み出された、ジャルダック家に仕える眷属。
「butler(執事)」の名に相応しく、如何わしさ丸出しなビジュアルのストマック家の眷属・エージェントと対照的に、上等な紺色のスーツと白のスカーフを着用している。
頭部は金色の兜のような形状。マスクを被ってスーツを着ればこいつと言い張れるので、大変ヒーローショー向きの戦闘員。

普段はジャルダック親子の身辺警護や身の回りの世話、秘書役を務めており、教養・戦闘能力・判断力・忠誠心どれを取ってもエージェントよりも上。
銃や剣を武器とし、第43話ではケーキングフォームとフラッペカスタム相手にそれぞれ一対一で善戦していた。
だが眷属であるが故に存在そのものがボッカの生命と連動しているという致命的弱点があり、ボッカの死とともにすべて消滅してしまった。

CVの下和田氏はフラッぺいずゴチゾウと兼役。
頭部の魚のヒレのような意匠を見るに、デザインモチーフはクトゥルフの眷属である神話生物「深きものども」であろうか。


【来歴】

事実上ストマック社を傘下にした後は、闇菓子を富裕層に流通させて自分の権力を盤石化しようと企む。
手始めに自分のスポンサーだった貴族マーゲンを闇菓子中毒にし、その効果の実験も兼ねて彼を自身の手駒・仮面ライダービターガヴに変えて人間に送り込む。その後もランゴに対し「私は警察とも仲が良いんだ」などと脅しつつ、材料たる人間の拉致と闇菓子製造を続けさせる。
しかしショウマ達の予想以上の奮闘によって、ランゴ、グロッタとストマック家の主戦力たる長子が二人も立て続けに敗れた事には流石の彼も焦りを覚えたのか、ついに「人間界全体を闇菓子製造のための牧場にする」という恐ろしい計画を発表した。

第43話で、「どうせ支配するならすべて有効活用したほうが良い」と視察として人間界を訪問。
人間の文明の予想以上の発展ぶりに舌を巻きつつ、ビル街を下級市民の食糧とする事を発案。サンプル採集のためビルを一棟瓦礫に変える暴挙を起こす。
さらにテストとして差し向けたバトラーたちを撃破したガヴとヴラムを軽く退ける戦闘能力を見せた。

第46話で彼の失脚とストマック家の再興を目指すニエルブの策略により、ニエルブに変装したショウマから暗殺を試みられるも、当時の最強フォームであるマスターガヴ/オーバーガヴの力をもってしても歯が立たないほどの圧倒的な戦闘力を見せつけ、ショウマを返り討ちにした。

【人間の力を侮った絶大なる権力者の末路】

第47話で再び暗殺を企てたニエルブを謀略に嵌めて自爆させ、ガヴとヴァレンを退ける。

その後、ニエルブによるダミーゴチゾウの効果で大量のヒトプレスをグラニュート界に持ち帰ることに無事成功する。
しかし、生きていたランゴがリゼルを人質に取ったため、彼女を奪回すべく人間界へと向かい、ランゴと協定を結んだショウマたちと交戦。
金色の戦闘形態へと姿を変え、なおも彼らを圧倒するが、ショウマが諦めない気持ちで石ごと食したグミから生まれたゴチゾウで変身したアメイジングミフォームの前に持ち味だった大気を利用した振動操作を無力化されてしまう。

しかし、それでもなお精神的には余裕を崩さず、フィジカルによるゴリ押しで形勢を立て直しかけるが、背後からランゴに剣で貫かれて重傷を負ってしまう。


まさか、そのつもりでッ……ランゴ、貴様ァァァッ!!!


そして、その隙にガヴ、ヴァレン、ヴラムの3人によるトリプルライダーキックを浴びて爆散。


バカな……この私がァァァァ!!!!


最後まで自分の負けを認められないまま、大ボスらしからぬ月並みな断末魔と共に滅び去ったのだった。

ボッカの死亡により、大統領邸にいたバトラーも根こそぎ消滅してしまったため、ジャルダック家は完全に没落。
後ろ盾を失ったリゼルは社長の座を追われるのだった。


【余談】

デザインモチーフは太古の地球の支配者たる邪神「クトゥルフ」。仮面ライダーシリーズでクトゥルフ神話がモチーフの出典となるのは本作が初となる。

安元氏は『ライドカメンズ』にて力の仮面 マイタス/大怪人マイタシャールの声を演じていたが、TVシリーズの出演は今回が初。また、『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』のナレーションや『ヒーリングっど♥プリキュア』のグアイワルの声を担当しており、香村氏が脚本を担当した作品への出演は3回目となる。
これに伴い、安元氏はニチアサ出演コンプリートを達成した。
ついでにスーツアクターの高田氏は長年スーパー戦隊を支えた人物であり、ライダーでのレギュラー出演はガメルアンク(ロスト)以来となる。

ストマック家の面々と違い過去や心理描写が全く描かれず、ショウマたち人類サイドからすれば最初から最後まで「純粋な悪」として描写されていた。
一方で娘のリゼルに対しては、上述するように彼女の奔放さに呆れる事こそあれど深く愛しており、命を案じて彼女を守ろうとしたことが敗北に繋がってしまったことから、特撮全体における悪役サイドの父親キャラとしては珍しく子供への慈愛に満ちた人物でもあった。
(この点では家族全員に疎まれながらこの世を去った上死後もさらに株が下がるブーシュや、娘たちを物としか思っておらず愛情など全くなかった前作品のラスボスとは対象的になっている。)

リゼルと共に人間に擬態して人間界の視察に来ていた際、市街地の建物や橋を見て良質で美味そうな石だと褒め称えており、娘に止められなかったら下手したらつまみ食いしていた可能性もありそうな茶目っ気も見せている。



全く…荒らしの小賢しさには手を焼くよ。おかげで私の部下に追記・修正を頼まなければならなかった。

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最終更新:2025年09月17日 18:04

*1 ラキア曰く「まあまあ評判の悪いオッサン」

*2 3ライダーからの同時攻撃に対しては空手のサンチン立ちのような防御の構えで受け止めて見せ、以後の4人がかりの連続攻撃に対してはボクシングのパーリングの様な防御手段で悉く防いでいた。