クレバテスー魔獣の王と赤子と屍の勇者ー

登録日:2025/09/04 Thu 00:34:59
更新日:2025/09/04 Thu 01:23:42NEW!
所要時間:約 5 分で読めます




明して見せよ

人属の価値を!

クレバテスー魔獣の王と赤子と屍の勇者―』は、岩原裕二による漫画作品である。
LINEマンガにおいて2020年より配信されている。
単行本はMFコミックス アライブ+シリーズより刊行。既刊10巻(2025年7月現在)。


【概要】

人属を脅威と認識した魔獣王。
そんな彼が、とある王国を攻め滅ぼした際に見つけた赤子。
赤子を託された魔獣王は、彼女を育てることによって、人類が価値ある存在か見出だしていくというのが本作の大まかな流れである。

なお、原作者はドラクエⅢ世代であり、そうした要素も漫画に反映させているという。
一方で戦闘シーンには妥協がなく、戦いで人々の四肢が欠損するなどのグロテスクな描写も存在している。
このため、本作はダークファンタジー要素を散りばめつつ、シビアな世界で抗う人々と、それを見極める魔獣たちという構図を描きだしているとも言える。
そしてその行く先には人と魔獣が共存できるのかという問いかけに帰結している。

メディアミックスとしては、2025年7月にテレビアニメ版が放送されている。
こちらも上記のような描写が顕在している。

【あらすじ】


勇者を殺し、王を殺し、魔獣は「運命の赤子」を手に入れた…。

人智を超えた知能と破壊力を併せ持つ、魔獣王クレバテス。
討伐の命を受けた13人の勇者たちに激昂し、人類を滅ぼすと決めた彼の手元に、
思いがけない厄介な荷物が託されてしまう。
それは、生まれて間もない人間の赤子だった——。
(カドコミHPより引用)

【キャラクター】

・アリシア
CV:白石晴香
本作の主人公。
漫画第1話で魔獣王クレバテスに挑んだ13人の勇者でなおかつ唯一の女性。
エスリン領南西にあるソーゴという村の出身。
「剣聖」と呼ばれたマルゴ(CV:田中美央)の娘であり、父親からエドセアの古い伝説や魔獣王のことや勇者のことを聞き、父親の影響もあり勇者を志す。
そして念願の勇者になり、魔獣王に挑んだが敗北。
死んだと思われたが、ルナのお守り役として魔血により蘇生されたおかげで蘇生直後に「乳を出せ」と命令された事で胸をさらけ出される辱めを受けた*1
以降はクレン(クレバテス)の下僕として仕える。
なお、クレバテスの戦いで片目を失っており、これは魔血でも再生できなかった。よって隻眼の剣使いという形に収まった。
魔血の影響でよほどのことがない限り死ぬことが出来ない不死の身体をもっている。
しかしクレンの扱いはぞんざいである。
毎回、継母の如くルナの育児にダメだしされており、もはや勇者としての威厳も尊厳もない有様である。

・クレン
CV:田村睦心
魔獣王クレバテスが人間に変身した姿。
本体は影の中に隠しているという。一本の角は残している*2
性格は本体同様(当たり前だが)、傍若無人。
ルナを抱えて、アリシアをこき使うことが多い。
強大な力をもっているクレバテスであるが、クレンの容姿だと、その体の耐久性の影響もあってか、山賊の殴打一発で気を失うレベルである(いや、リアルな人なら大怪我になってもおかしくないレベルではあるが)。
基本的には人の前には本体をさらすことはできないということで、普段はクレンの姿でいることが多い。

・クレバテス
CV:中村悠一
クレンの本来の姿。
四大魔獣の一角。「月光のクレバテス」の異名を持つ。
額には大きな角をもっているが、アリシアとの戦闘で傷を負ってしまった*3
勇者との戦闘の後、人属を滅ぼす存在と認識してハイデン王国の首都を襲撃し、ハイデン王を殺害した。
その際、城のがれきの中にいた赤ん坊(ルナ)を庇って瀕死状態になっていた少年から託される。ルナの成長を通じて、人属がどういった存在なのか見極めることになった。
その後、託されたルナやアリシアと共に世界を旅することになる。

・ルナ
CV:会沢紗弥
クレバテスが首都を襲撃、王を殺害し王城を破壊の限りを尽くした際に発見した赤子。
王位継承権をもっていることから、クレバテスはルナの成長を楽しみにしつつ、人属の在り方を見極める指標にしている。
なお、アリシアは当初、ルナが王位継承権を有していることに気づいていなかったが、ルナが纏っていた布の紋章を見て、王位継承権を有していることを察した。

・ネルル
CV:悠木碧
山賊「鴉」にで生まれ育った少女。
母親は奴隷であり、その存在は母親によって守られていたが、母親の死後は山賊たちのストレス発散のはけ口にされてしまい、壮絶なレベルの虐待を受けていた。
後に数回妊娠しているが、流産している*4
上述の経緯から母乳が出るので*5、クレンから、ルナの乳母にならないかと持ち掛けられるも、断った。
後に、ボスのブロコの企みによって、魔獣トロールのエサにされ、四肢をかみ砕かれ、見るも無残な瀕死の重傷を負う。しかし、クレンの魔血とトロールの身体を組み合わせる事により、蘇生する。*6
以降はルナの乳母としてクレンやアリシアに付き従う。

・ドレル
CV:安元洋貴
二大国家の1つであるボーレートの将軍。
「竜殺し」の異名をもっている。
アリシアにとっては師といえる存在であったが、マルゴを殺害したことからアリシアとしては倒すべき仇となってしまった。アリシアにとっては因縁深い相手である。
しかし、剣術・魔術ともにけた違いの力を有していることから、強大な存在でいることに間違いない。実際その実力はアリシアを凌駕する。
まあ雰囲気からしてラスボスっぽいオーラ出しているし。
中の人曰く「重く、暗く、強く、冷たい」。そういう要素の多い男であるという。

・メイナード
CV:重松知晴
ボーレート軍の魔導士である。
強大な力を持つ「虫」を操り、敵に絶望を与える残忍な性格の持ち主。

・ナイエ
CV:黒澤ともよ
ボーレート軍の上位魔導士である。
鉄を引き寄せるという、ジケルドみたいな魔術を行使する。
生き残ることを最優先としているのだが、どうも不憫・な扱いが目立つ。

・ロッド
CV:関智一
エスリン国の師団長である。
氷結の力を持つ至宝「雪華」の使い手である。
見るからに誠実そうな見た目をしている勇者の末裔である。

・ハイデン王
CV:橋爪淳
ハイデンの王。
残念ながら序盤でクレバテスに首をはねられてしまう。
しかし、王家の中で「至宝」を作ることの出来る唯一の存在であったことから、彼を失う代償は大きいと言えるだろう。

・ブロコ
CV:千葉繁
山賊の「鴉」の頭目である。
至宝を収集している。奴隷に非人道的なことを平気でやってのける残忍な性格である。

【用語】

〇エドせア
本作の舞台となっている大陸である。
5つの種族で構成される人属が存在している。
なお、エドせアの外には魔物がひしめいており、人属が立ち入るのは困難である。

〇人属
上述のように5つの種族に分類される。
  • ドーン:最も数が多く、建築と兵法に長ける。
  • オーグ:勇敢な森の民。狩りと薬学に長ける。
  • スラーダ:水の民で泳ぎに長ける。
  • ベント:野蛮な種族。荒地に住んでいるがまとまりに欠ける。
  • ハイデン:最も古い種族。精錬術と加工技術に長ける。

〇ハイデンの能力
「魔鉱石」から武器を作ることが出来るのは彼らのみである。
そしてハイデン王は勇者がもつとされる「至宝」という武具を生み出すことが可能とされる。

〇勇者
魔獣に立ち向かっている存在。
彼らは身体に刻まれる”紋”を通じて魔術を扱うのだが、代償として身体や精神に大きな負担を強いることになる。

〇月の山
クレバテスが住んでいた山である。

【テレビアニメ版】

2025年7月よりテレビアニメが放映されている。
監督にはウルトラシリーズや戦隊シリーズで活躍している田口清隆氏である。
アニメ監督を担当した経緯としては、戦争ものかつ“怪獣”と呼べる存在が多数出てくることから、田口氏の好みの要素が満載だったからだという。*7

1話の建物の破壊シーンではミニチュア特撮のシーンも盛り込んでいる。
これを見た原作者も自然な仕上がりで作られており、驚いたという。

アニメーション制作はLay-duce。

OP:「Ruler」
前島真由によるオープニングテーマ。

ED:「Destiny」
Ellie Gouldingによるエンディングテーマ。

追記・修正は人属と魔獣たちが共存できたらお願いします。

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最終更新:2025年09月04日 01:23

*1 なお、当初蘇生させられたのはルナに乳を飲ませるためであったが、アリシアは処女なので当たり前だが出ない

*2 この角だけ隠しきれなかったとか

*3 クレバテス曰く自分の懐まで迫り傷をつけた人間は初めてだったらしい

*4 というのは建前で、実際はカルメたちが処分していたのが真相である

*5 それまでルナに対いしては体力回復の魔術を施していたが、根本的な解決にはならない

*6 欠損が激しかったことから、殺したトロールの身体を組み合わせて、新しい肉体を精製して生まれ変わったと考えた方が良いだろう

*7 アンデッドの少女=アリシアも面白そうだと思ったとのこと