登録日:2023/06/05 (月) 16:41:28
更新日:2024/07/27 Sat 12:57:09
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巨大な組織を
若い新しいゴッドファーザーが
受け継いだー
ゴッドファーザー PART II(原題:The Godfather Part II )は、1974年公開のアメリカ映画。パラマウント映画が配給でPG12指定。
1972年に公開された
ゴッドファーザーの続編で、監督は引き続きフランシス・フォード・コッポラ。脚本も前作と同様にコッポラと原作者であるマリオ・プーゾが共同で執筆している。
概要
マフィア映画の代名詞となった前作の続編としてよりスケールの大きい壮大なアプローチで制作され、前作に及ばないながらも大ヒットを記録。
アカデミー賞では9部門のノミネートの内、作品賞・監督賞・助演男優賞・脚色賞・作曲賞・美術賞を受賞。アカデミー作品賞受賞作品の続編が再び作品賞を受賞するという現在に至るまでアカデミー賞史上唯一の快挙を成し遂げた。
1993年には、前作に続きアメリカ国立フィルム登録簿の保管作品となっている。
本作では二つのストーリーが同時進行的に交錯しながら描写されている。
一方は前作の後日談に当たるマイケル・コルレオーネを主人公とする1958年~59年(一部に41年の回想)の物語で、もう一方は前日談に当たるヴィト・コルレオーネの若き日の姿が描かれる。
あらすじ
マイケル編
1958年、マイケルはコルレオーネ・ファミリーの本拠地をニューヨークからネバダ州に移し、ラスベガスに近いタホー湖畔に邸宅を構えて息子・アンソニーの初聖体式を祝う盛大なパーティーが開くなど順風満帆な日々を送っていた。
しかし、ニューヨークの縄張りを巡って幹部のフランク・ペンタンジェリと対立していたロサト兄弟らに邸宅を襲撃され、血で血を洗う攻防の毎日に引き戻されてしまう。
事態を打開しようと奔走するマイケルだったが.....
ヴィト編
シチリア島コルレオーネ村に生まれたヴィトは9歳の頃に家族を地元マフィアのボスであるドン・チッチオに殺され、自身は他の住民達の助けを借りてアメリカへ向かう移民船に逃れる。
その後、ニューヨークで成長したヴィトは職を追われて裏稼業の道に入り、地元の嫌われ者だった恐喝屋を始末して周囲の信頼を獲得し、仲間達を従えてマフィアのボスにのし上がっていく。
登場人物
マイケル編
コルレオーネ・ファミリー
●マイケル・コルレオーネ
演:(アル・パチーノ)
前作に引き続きコルレオーネ・ファミリーのボス。
子宝にも恵まれて順風満帆な日々を過ごしていたが、父の盟友だったハイマン・ロスとの暗闘や裏切り者の排除で前作にも増して冷酷非情に染まっていく。
●フレデリコ・コルレオーネ
演:(ジョン・カザール)
マイケルの兄でファミリーのアンダーボス。通称フレド。
形式上ではファミリーのNo.2であるが、任されるのは使い走りのような仕事ばかりで実際の立場は低く、弟でありながらボスとなったマイケルに劣等感と嫉妬を募らせていた。
敵の一派であるジョニー・オーラの口車に乗せられて無意識に弟とファミリーを裏切ってしまう。
●トム・ヘイゲン
演:(ロバート・デュヴァル)
ファミリーの相談役にして弁護士。
本作でも持ち前の忠義と頭脳でファミリーに尽くしている。
マイケルからの信頼も厚いが、彼の冷酷な変貌ぶりに少し戸惑う一幕もある。
初期案では、トムがソニーの未亡人と関係を持ち、ファミリーに摩擦を生じさせるという案もあった。この部分はすぐに廃案になったが、コッポラ監督は似たエピソードを、続編である『
ゴッドファーザー PART III』に採用した。
●フランク・ペンタンジェリ
演:(マイケル・V・ガッツォ)
死亡したピーター・クレメンザからニューヨークの縄張りを引き継いだ幹部。
縄張りを巡って対立していたロサト兄弟に和解の席を設けると偽られて殺されそうになり、これをマイケルの差し金と思い込んでファミリーの実態を連邦上院の公聴会に暴露しようとするが……
●ウィリー・チッチ
演:(ジョー・スピネル)
フランクのボディガード。
元々はクレメンザの部下で、前作の五大ファミリー粛清に携わった殺し屋の1人。
ロサト兄弟との抗争で負傷後、ファミリーの実態の一部を上院の公聴会で暴露する。
●ロッコ・ランポーネ
演:(トム・ロスキー)
マイケルのボディガード兼殺し屋で元々はクレメンザの部下。
●ミオ
演:(アメリゴ・トッド)
マイケルが雇った黒づくめの殺し屋。
敵一派の1人であるジョニー・オーラを絞殺するが……
因みに演じたアメリゴ・トッド氏はハンガリー出身の彫刻家である。
●サルバトーレ・"サル"・テシオ
演:(エイブ・ヴィゴダ)
マイケルの回想に登場。
ヴィトに用意された誕生日ケーキを持ってくる。
●サンティーノ・コルレオーネ
演:(ジェームズ・カーン)
前作で死亡したマイケルの兄。通称ソニー
マイケル編の登場し、海兵隊を志願したマイケルを非難した。
演じたジェームズ・カーン氏は、前作と同額のギャラを受け取ることを条件に、
回想シーンのみの出演に同意したという。
●カルロ・リッツィ
演:(ジャンニ・ルッソ)
マイケルの回想に登場。
ソニーが友人としてコニーに紹介する部分が描かれる。
コルレオーネ一族の女性と子供
●ケイ・アダムス・コルレオーネ
演:(ダイアン・キートン)
マイケルの妻。
夫との間に1男1女を設けるが、マイケルのあまりにも冷酷な変貌ぶりについて行けなくなり、身籠っていた次男を中絶したことを告げて家から去っていった。
●コニー・コルレオーネ
演:(タリア・シャイア)
ヴィトの長女でマイケルの妹。
夫のカルロを殺したマイケルを恨んでおり、当てつけのように育児を放棄して結婚を繰り返すだらしない生活を送る。
マイケルとは後に和解し、裏切ったフレドも許すように願い出る。
●カルメラ・コルレオーネ
演:(モーガナ・キング)
マイケル達の母。
終盤に亡くなる。
因みに、カルメラが亡くなり棺桶に入っているシーンでは、それまで演じていたモーガナ・キング氏ではなく、コッポラ及びタリア・シャイアの母親が演じた。
●アンソニー・コルレオーネ
演:(ジェームス・ゴナリス)
マイケルとケイの長男。
フレドとは釣り仲間。
●メアリー・コルレオーネ
演:(ソフィア・コッポラ)
マイケルとケイの長女。
演じたソフィア氏はコッポラ監督の娘であり、前作では洗礼を受ける男児として出演している。
●ディアナ・コルレオーネ
演:(マリアンナ・ヒル)
フレドの妻で元女優。
奔放な性格で夫を困らせている。
ハイマン・ロス一派
●ハイマン・ロス
演:(リー・ストラスバーグ)
マイアミを根城にしているユダヤ系ギャングの大物で、本名はハイマン・スチャウスキー。
禁酒法時代に糖蜜をカナダへ輸送して財を築いており、ヴィトや前作のモー・グリーンとはかつて仕事仲間だった。
キューバに巨大な権益を持っていたことからマイケルに協力を求められるが、実は目をかけていたグリーンを殺したマイケルを恨んでおり、あらゆる手段で彼とコルレオーネ・ファミリーを陥れようとする。
モデルは実在のギャングであるマイヤー・ランスキー。
●ジョニー・オーラ
演:(ミニク・キアネーゼ)
ロスの部下でシチリア出身。
フレドを甘言で唆してマイケルの居所を特定し、邸宅の襲撃を敢行。
後にマイケル配下のミオに絞殺される。
モデルはロス同様に実在のマフィアであるヴィンセント・アロ。
●ロサト兄弟
演:(ダニー・アイエロ)(カーマイン・カリディ)
ロスに仕えるトニーとカーマインの二人兄弟。
ニューヨークの縄張りを巡ってコルレオーネ・ファミリーのフランクと対立し、暗殺未遂を引き起こす。
その他
●パット・ギアリー
演:(G・D・スプラドリン)
ネバダ州の上院議員。
マフィアのことを軽蔑しており、コルレオーネ・ファミリーにカジノの許可料として法外な賄賂を要求する。
が、フレドが管理する売春宿で女と遊んでいた際に弱味を作られ、ファミリーの傀儡と化す。
●マール・ジョンソン
演:(トロイ・ドナヒュー)
コニーの三番目の夫だが、稼ぎも礼節もないのでマイケルやカルメラには全く信用されていない。
ヴィト編
ヴィト・コルレオーネと仲間達
●ヴィト・コルレオーネ
演:(ロバート・デ・ニーロ)
マイケルの父にしてコルレオーネ・ファミリーの創始者。
家族を殺した地元マフィアから逃れるためにアメリカへ移民するが、手続きの際に元々の名字である「アンドリーニ」をミドルネームと勘違いした職員が出身地の「コルレオーネ」を名字と取り違えてしまい、本名が「ヴィト・コルレオーネ」に置き換わることになる。
本作では周囲の信頼を獲得し、裏社会でのし上がっていく過程が描かれる。
演じたロバート・デ・ニーロ氏は前作でソニー役のオーディションを受けていた。
結果的には落選となったが、コッポラ監督は別の映画での演技を見て、ヴィトの青年期を演じるのに相応しいと確信したとのことである。
結果としてデ・ニーロ氏の演技は絶賛され、ヴィト・コルレオーネはオスカーを2度獲得した史上初のキャラクターとなった。
●ピーター・クレメンザ
演:(ブルーノ・カービー)
ファミリーの創設メンバーの一人。
本作ではヴィト編に登場し、こそ泥稼業からヴィトの仲間になる様子が描かれる。
マイケル編にも当初は登場予定であったが、前作で演じたリチャード・カステラーノ氏はクレメンザが裏切るというシナリオに納得できず役を降板したため、死んだ設定となった。
●サルバトーレ・"サル"・テシオ
演:(ジョン・アプレア)
ファミリーの創設メンバーの一人。
若い頃はクレメンザと共にこそ泥稼業をしていた。
●ジェンコ・アッバンダンド
演 :(フランク・シベロ)
ヴィトーが務めていた食料品店の同僚であり親友。ヴィトーがファミリーのボスとなった際には相談役(コンシリエーリ)に就任する。
●カルメラ・コルレオーネ
演:(フランチェスカ・デ・サピオ)
ヴィトの妻。
夫の裏稼業には口を出さないが、内助の功を発揮することもある。
リトル・イタリーの住人たち
●ドン・ファヌッチ
演: (ガストーネ・モスキン)
ニューヨークのリトル・イタリーを根城にする恐喝屋。
自身の甥のためにヴィトの就職口を横槍で奪い取り、彼が犯罪稼業に手を染めるきっかけを作る。
その後もヴィト達が窃盗で得た金をゆすり取ろうとしたため、自室でヴィトに殺害される。
地元の鼻つまみ者であるファヌッチを殺したことは、ヴィトが住民達から信頼される一つのきっかけとなった。
●コロンボ夫人
演:(サベリア・マゾーラ)
ヴィトの妻であるカルメラの友人。
カルメラを通じて、自身が住んでいるアパートのトラブルをヴィトに解決するよう依頼する。
●ロベルト
演:(レオポルド・トリエステ)
コロンボ夫人が住んでいるアパートの大家で、夫人をアパートから追い払おうとしいた。
夫人の意で解決に訪れたヴィトの言葉にも当初耳を貸さなかったが、何者かを知ってからは平身低頭で謝罪した。
シチリア島のマフィア
●ドン・チッチオ
(演:ジュゼッペ・シラート)
コルレオーネ村を牛耳る地元マフィアのボス。
自分に敬意を払わなかったとしてヴィトの父と兄を殺害、さらに幼いヴィトに対しても大きくなれば必ず復讐に来るとして殺そうとするも逃がしてしまう。
その後、20年越しにシチリアへ凱旋したヴィトによって報復され、自分の危惧通りの末路を迎えることになった。
●リオネーレ・トマシーノ
(演:コラード・ガイパ)
コルレオーネ村の顔役。
ヴィトのチッチオにに対する報復に協力し、その際にチッチオの配下に脚を撃たれてしまう。
ソフト化
日本テレビ版:初回放送1980年11月5日、12日『水曜ロードショー』21:02-22:54
『ゴッドファーザー トリロジー 50thアニバーサリー4KUltraHD+ブルーレイセット』に同梱のBlu-rayディスクに収録。
DVD版:2001年の『ゴッドファーザーDVDコレクション』以降全てのソフトに収録。
リストア版:2008年発売のコッポラ・リストレーションDVD-BOXおよび全てのブルーレイ・4KUltraHDに収録。
- デ・ニーロはシチリアに住んで役作りをしたんだよな -- 名無しさん (2023-06-05 20:09:08)
- マイケルのフレドへの死の抱擁のシーンは鳥肌物。 幹部が戸惑う演出も見ていて辛い。 -- 名無しさん (2023-06-05 21:42:26)
- デ・ニーロは前作ヴィト役のマーロン・ブランドに顔は全く似てないのに、頬を撫でる仕草や声のしゃがれ具合を完璧にコピーして演技してるんで若い頃のヴィトーだと納得できる -- 名無しさん (2023-06-05 23:23:56)
- 裏社会ものは大抵そうだけどこの映画は特に情報量多すぎて話についてくのが大変だった… -- 名無しさん (2023-06-06 04:39:08)
- 終盤のマイケルの回想シーンが観てて(感情的な意味で)本当につらい。口下手で手が先に出るけど兵役を辞めさせようとするソニー、そんなマイケルの意思を尊重して応援するフレド、ヴィトから堅気としての将来を期待されていたと打ち明けるトム。そしてマイケルの周囲からは誰もいなくなり、父ヴィトの周囲には多くの人が集まるという・・・。 -- 名無しさん (2023-06-07 02:01:44)
- ラストの回想シーン コッポラはあの場面だけでもマーロン・ブランドに出演してほしくて交渉してたけど結局撮影には現れなくてヴィトの姿を映さない演出にした。そうしたらかえってヴィトの偉大さを強調する思いがけない良いシーンになった -- 名無しさん (2023-06-07 11:19:34)
- 兄弟殺しはシチリア人最大のタブー。それだけに原作者のプーゾは流石に反対したが、映画としてはマイケルが畜生道に堕ちたこれ以上ない顛末だったと思う。 -- 名無しさん (2023-10-28 19:49:01)
最終更新:2024年07月27日 12:57