ZIPANG(1990年の映画)

登録日:2024/06/17 Mon 10:30:01
更新日:2024/06/30 Sun 23:12:31
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ZIPANG(ジパング)は、1990年に公開された日本のSF映画。
東宝株式会社配給。
高嶋政宏が主役の地獄極楽丸を演じた。
他の共演者は安田成美。ベンガル。佐野史郎。平幹二朗。鰐淵晴子……等。

製作は、これ以前に『帝都物語』を送り出した株式会社エグゼと東京放送。

『帝都物語』でも脚本を担当した林海象が原作・脚本・監督を務めた。
また、林と共に脚本として名を連ねる栗田教行とは小説家の天童荒太の本名である。

主題歌はX(X JAPAN)の『ENDLESS RAIN』


【概要】

いわゆる時代劇テイストのSF作品であり、前回の『帝都物語』程ではないものの、日本のオリジナルのSF映画としてはふんだんに予算を掛けて製作された。肝心の監督が小規模での映画作りに慣れててストレスを溜めてしまった結果、少し投げやりになってしまったのが残念な所。
美術面での凝りようは一見の価値あり。

歴史上の人物も登場してはくるが、当然のように史実には全く基づかない滅茶苦茶なものである。
タイトルからも解る通り『東方見聞録』に記された黄金の国“ジパング”伝説をモチーフとするが、本作に於いては日本とは別の位相に存在する異世界として設定されているようである。
また、明言されている訳ではないが“ジパング”は神代の日本としてイメージされているらしく、ジパング王はスサノオノミコトを、その姉の女王はアマテラスを思わせる姿と設定をしている。


【物語】

神代の黄金の国ジパング……。
国の繁栄を維持する為に神に身を捧げなければならない女王は、而してある若者に恋をしてしまった。
若者もまた女王に恋をして永遠の愛を告げるも、女王は己の恋を身勝手な行いなのではと畏れ、自ら岩戸に隠れてしまう。

そして、それを見ていた女王の弟で“愛”の意味が理解出来ないジパング王は罪人として若者を追い奈落へと突き落とす。
全ては、ジパングの永遠の繁栄の為に……。

それから、どれ程の時を経たのか……。
天下を統一した徳川家康は、林羅山より聞かされた伝説の黄金の国ジパングに渡る手がかりを求めていた。

一方、徳川の治世となっても尚も腕に覚えのある荒くれ者共の跋扈する日の本に天下に名を轟かせる大賞金首が居た。
その名も、七つの剣を使いこなす天下無双の地獄極楽丸。
仲間からの情報で一味と共に古墳に忍び込んだ極楽丸は、大仕掛けを抜けた先で黄金の七枝刀を手に入れて意気揚々と出てくるが、その極楽丸を狙う腕利きの賞金稼ぎ鉄砲お百合と子分の菊丸。
自分の命を狙った相手だったが、お百合の美貌に参った極楽丸はいきなりお百合を口説きはじめ、何故かお百合もまた満更ではない様子を見せ始め……。

しかし、そんな極楽丸達に襲いかかる家康の命を受けた服部半蔵と不気味な忍者軍団。

……実は、極楽丸の手に入れた黄金の七支刀こそがジパング王の手にしていた神代の剣にして位相を異にするジパングへ渡る鍵だったのだ。
図らずも極楽丸が七支刀を入手する=ジパングへの道の封印を解いたことから女王への恋の気持ちから不死身となってしまった刺青の男=女王に恋い焦がれる若者までもが蘇り事態は混迷を極めていく。

そして、運の悪いタイミングで七支刀を手にしていたことでお百合はジパングに拐われてしまい、それを追う極楽丸は事情を知っていそうな刺青の男に協力してジパングへの扉を開く。

果たして、女王と若者。極楽丸とお百合。
二組の恋の行方は?(……えっそういう話?)


【主な登場人物】


  • 地獄極楽丸
演:高嶋政宏
本作の主人公。
豪傑なのか盗賊なのか、とにかく天下に名を轟かせる大賞金首。
七つの剣を使いこなし、それ自体が代名詞となっている模様。
意外にも風流な所があり、笛や舞を嗜む。
美人に弱く、余り女は切りたがらない紳士な陽キャ。
続編に当たる『7 BLADES』では、自分の命を狙ってきた賞金稼ぎ達を打ちのめしながら団子を奢ってやるから食えと言うなど、底なしの優しさを見せる。

+ 地獄の旦那の地獄みてぇな七本の刀
  • 七番
劇中で一番最初に使用。
オーソドックスな日本刀だと思われる。

  • 六番
柄を二つ繋げたような形状で、両端から小型の小太刀を抜いて使用。(本体?は置いていく。)
得物の小ささから投擲武器としても使用される。

  • 五番
一見すると普通の太刀だが、柄の方を抜いて小型の槍として使用される。
実は、鞘の端の方も抜くことが可能で、鞘の方を抜くと柄の方の刃を飛ばすことが出来る。
二丁拳銃使いの鞍馬天狗もどきを倒すのに使用された。

  • 四番
これも普通の太刀に見えるが、柄の部分に鞘を嵌め込むことで薙刀としても使用可能。
勿論、普通の太刀としても使用可能で、地味なギミックだが周囲の広さに応じて使い分けられるために何気に活躍していた。
座頭市もどきと丹下左膳もどきを倒した。(市は逃げただけだが。)

  • 三番
此方も一見すると普通の太刀だが、刃の部分が異様に柔らかく撓るのが特徴。
フェンシングスタイルのダルタニャンもどきを倒すのに使用されたが、南蛮剣術ってそういうじゃないと思いますぜ地獄の旦那。

  • 二番
これのみ、最初の刺客達との戦いでは使用されず、ジパングに渡ってから使用された。
ゴツい形状の蒲鉾型の刃で、ブーメランのように投擲武器としても使用可能。


  • 一番
普通の日本刀を大きく越えるサイズの大太刀で、地獄の旦那の一番の愛刀。
携帯する場合は背中に背負われてるが、大柄な地獄の旦那でもどうやって抜いてるのかは考えないように。
切れ味、破壊力ともに他の刀とは比べ物にならない。

※非常に厨二的でチープな見た目とギミックは『無限の住人』にも影響を与えまくったとのこと。

番外

  • 黄金の七支刀
古墳から見つけた本作のキーアイテム。
圧倒的な硬度を誇り、石の壁をも刃こぼれ一つなく破壊可能。
本来はジパング王の持ち物で、一番の刀さえ砕かれてしまった。


  • 入れ墨の男の剣
入れ墨の男のが手にしていたジパング由来の奇妙な形状の剣。
無骨な形状だがジパング由来とあってか黄金の七支刀とも互角の硬度を誇り、最終決戦にて極楽丸が使用してジパング王を倒した。






  • 鉄砲お百合
演:安田成美
本作のヒロイン。
太腿にホルダーした短筒を武器とする凄腕にして、美貌の賞金稼ぎ。
その名のように、禿にした頭に大きな百合の花を飾っている。
当然のように極楽丸の首を狙っていたが、その腕前から口説いてくる男もおらず耐性が無かったのか、自分より強い極楽丸に口説かれてなんだかんだと言いつつも気になるようになり、ジパングに拐われる辺りからはもう恋する乙女状態。
続編に当たる『7 BLADES』では一味の姉御として迎え入れられている模様。


  • 刀番・研造
演:ベンガル
地獄一味の一人。
極楽丸の刀を預かり、キャディさん宜しく番号に応じて刀を渡す。


  • 人形・文七
演:佐野史郎
地獄一味の一人。
何を以て“人形”なのかは説明されず。
様々な古文書や古地図を探るのが仕事らしく、ハズレも多いが今回は古墳にて黄金の七支刀を見つけるきっかけとなった。


  • 花火師・鍵玉
演:十貫寺梅軒
地獄一味の一人。
その名のように火薬使いで、景気づけから戦闘まで幅広い花火の使い手。
名前は「鍵屋」と「玉屋」からか。
鼻先が黒い。


  • 凧や・鳥助
演:浦上照彦
地獄一味の一人で、その名のように凧作りの名人。
小人症で、南蛮由来の象の“カステラ”の世話係でもある。
鍵玉とはコンビ的存在。


  • 菊丸
演:長崎真純
鉄砲お百合の舎弟。
お百合が行方不明になってからは、殆ど地獄一味の一員として帯同していた。


  • 服部半蔵
演:ユキオ・ヤマト
徳川家康に仕える公儀隠密。
伊賀忍者の総大将で、自身が数々のハイテク装備を使いこなす最強の忍者でもある。おい、忍べよ。
……が、ジパングでの戦いでは相手の防御力を考えずに突破しようとしたために良いところなしで捕らえられてしまった。後、よくよく見ると目立ってはいるが“活躍”はしていない。
完全に機械化された左手の他、全身に武器が仕込まれており、ヅラはともかく肋骨の一部も人工に置き換えられ、中に刃が仕込まれている。


  • 林羅山
演:成田三樹夫
天下人となった家康に仕える国学者。
家康にジパングの伝説を伝え聞かせていた。


  • 徳川家康
演:東千代之介
日の本を統一し幕府を開いた天下人。
次なる支配地としてジパングへの道を探す。
演じるのは往年の時代劇スターの東千代之介で、演者の都合か恰幅がよくない上品な老人である。
一方、喋り言葉が過剰なまでの名古屋弁になっている。


  • 刺青の男(女王に恋する若者)
演:修健
本作のもう一人の主人公。
元はジパングの普通の住人であったが、よりにもよって女王と恋に落ちたことで大罪人の烙印を押されてしまった悲劇の男。
しかし、自らの恋を叶えるべく前に進み続ける不屈の闘志の持ち主であり、女王への想いから不死身となっていることからジパング王ですら殺せずに、別の位相にある日の本の古墳へと黄金の七支刀と共に封印されていた。
殆ど喋らずに呻き声や叫び声ばかりで、後半からは喋ってくれるがリアルな片言となっているのは、演者が中国人で本当に日本語が解らず撮影中に覚えてもらったという、リアリティを追求したのか単に無計画だったのかアレな方法を取られたため。


  • トバツ
演:沢田謙也
ジパング王に仕える四天王の一人。
他の四天王のように甲冑を纏わずに肉体美を晒して素手で戦う。
声が猛獣のようになっている。
演者は後のキャプテン・サワダ。本作がデビュー作だったらしい。

  • アシュラ
演:和田卓也
ジパング王に仕える四天王の一人。
ラゴラと共に半蔵を捕えた。


  • ラゴラ
演:中山正幻
ジパング王に仕える四天王の一人。
アシュラと共に半蔵を捕えた。


  • マワラメ
演:秋吉満ちる(現:Monday満ちる)
ジパング王に仕える四天王の一人で紅一点。
勇猛な女戦士だが、女としての立場から心情的には女王に加担していたり、命を見逃された恩義か恋心からか最終決戦では相対すると見せかけて極楽丸達に道を譲り、武器まで貸し与えている。
非常に迫力ある演技を見せているが、中の人の本業は実は歌手。本wikiに関係ありそうなところだと『銀河英雄伝説』ビデオ版の主題歌を作詞作曲・歌唱している。
劇中でも美声でハミングを聞かせてくれる場面がある。


  • ジパングの王
演:平幹二朗
ジパングを恐怖と魔力で支配する冷酷な支配者だが、それ故に愛を理解できない。
姉である女王に恋慕している節もあるが……?
黄金の七支刀の本来の持ち主らしく、七支刀の強さもあってか極楽丸の一ノ刀をも砕いて一度は勝利した。
戦闘時には七支刀の他、土偶を思わせる黄金のパワードスーツを纏うか、素顔の時には強固な盾を構える。
前述のように、恐らくのモチーフは素戔嗚尊


  • ジパングの女王
演:鰐淵晴子
ジパングの本来の支配者にして神に仕える巫女。
本来は神に身を捧げてジパングの輝きを維持しなければいけない(らしい)のだが、若者と恋に落ちてしまった挙げ句に、恋に溺れる恐ろしさから自ら岩戸に引き籠もってしまったコマッタチャン。
ぶっちゃけ、本作の真のヒロインにして全ての元凶である。
この人がもう少しちゃんとしてたら兄弟である王も暴走しなかったし若者も無駄に死ななくて済んだことだろう。(なのに、後半からは自分が迷っていた、怖がっていたという話は無かったかのようになって若者を待ちわびていると言い出す……最初からそうしててくださいよ。)
恐らくのモチーフは天照大御神


この他、三上博史や片桐はいりといった名を知られた俳優が豪華なチョイ役として出演している。
また、序盤の見せ場となる極楽丸の大立ち回りでは鞍馬天狗に丹下左膳、座頭市、ダルタニャン、宮本武蔵を思わせる刺客が登場してくる。


【ノベライズ・コミカライズ】


ノベライズ版は映画公開前の1989年に角川書店より上下巻で発売。
著者は映画の原作・脚本を手掛けた栗田教行・林海象の共著とされている。
また、永井豪によるコミカライズ版も存在する。
集英社の『ヤングジャンプ ベアーズクラブ』に1990年2月新春特大号に掲載。


【ゲーム作品(?)】


地獄極楽丸

映画公開当時の1990年にHAL研究所が開発してヒューマンから発売されたファミリーコンピュータ用アクションゲーム。
何故か、未来世界にて連獅子ギミックの主人公が戦う謎の世界観の良質アクション。
……実は、タイトルからもうかがえる通り一応は『ZIPANG』のメディアミックス作品なのだが、全く設定が違いすぎてそうとは知られていない罠。(ぶっちゃけ映画もマイナーに終わったらしいし。)


■ZIPANG

映画公開当時の1990年に発売されたPCエンジン用アクションパズルゲーム。
開発はアークシステムワークスで発売はテクモ。
こちらはメディアミックス作品だとわかりやすいが、なぜか内容は『ソロモンの鍵』を元にしたパズルゲームとなっている。原作の何処に頭を使う要素があったのかと。


■7 BLADES

映画公開から10年も経った2000年に発売されたPS2用のアクションゲーム。
敵が無限湧きしてくるので、ちょっと無双系の要素も入っている。
開発・発売はコナミで、何と原作者にして映画の監督であった林海象が自らシナリオを書き下ろした正式な続編である。
……それにしてもあまりにも年月が経ちすぎて旬はとっくに過ぎていたし、そもそも元の映画の知名度も低いので殆ど知られていないが。
極楽丸とお百合ルートに分かれており、両方をプレイしないと物語の全容が掴めないなど中々のボリュームだが、周回ややり込みには向かないのが少し残念か。






追記修正は恋に怯えずにお願い致します。


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最終更新:2024年06月30日 23:12