テリファー(映画)

登録日:2024/10/21 Mon 11:59:49
更新日:2025/01/02 Thu 21:49:34
所要時間:約 10 分で読めます





全米が吐いた!?

ギコギコしちゃうぞ♡

『テリファー(原題:Terrifier)』は、2016年制作・2018年3月公開の米国のスプラッターホラー・スラッシャー映画。

題名の“Terrifier”とは“怖がらせてくる人”という意味。*1


【概要】

元々、同シリーズの監督であるダミアン・レオーネが2008年に発表した『The 9th Circle』を発端として、2011年の『Terrifier』、その2作を纏めたアンソロジーとして初の長編作品とした2013年の『All Hallows' Eve』(邦題『テリファー0』)*2……と、実績と知名度を重ねる中で、遂に本格的な長編作品として製作された。

レオーネは、上記の短編シリーズでは過去のスラッシャー映画へのリスペクトとして様々な殺人鬼を登場させたシチュエーションホラーとして製作していた訳だが、それらのキャラクターの中でも視聴者層から特に人気を集めたアート・ザ・クラウンを主人公に据えて改めて再構成・長編化されたのが本作である。

ストーリーは“有って無いようなもの”であり、出てくる登場人物達が次々と殺人ピエロの標的になり容赦無く殺害されていく様を淡々と積み重ねていく。

そういう意味では、前述の通りで過去のスラッシャー映画へのリスペクト・オマージュとして四の五の言わずに殺人シーンだけ見たいんだ!という、ある種のブラックジョークというかファンの本音をそのまま映画にしてしまったような作品と言える。

米国公開時からの話題作ではあったが、日本ではビデオスルーとなりDVDソフトのみの販売や配信のみの視聴形態となっていた。
……が、余りに過激な内容からか口コミで話題が広がり、我が国でも本作に登場する殺人ピエロ“アート・ザ・クラウン”は、知る人ぞ知る新世代の代表的なスラッシャー(連続殺人鬼)の一人として記憶されることになった。
その後、2023年6月に続編『テリファー 終わらない惨劇』がTOHOシネマズ系で日本でも劇場公開されることとなり、
無事(?)に殺人ピエロが日本でも銀幕デビューを果たすことが決定。
そして、前作に当たる本作も予習編として2023年5月よりTOHOシネマズ六本木ヒルズ・TOHOシネマズ梅田での2週間限定上映されたのであった。
2024年には『テリファー 聖夜の悪夢』が公開され大好評を博してしまっている。すっかり知名度を挙げた野郎は、今回の日本のプロモーションでは、とにかく明るい安村と「吐(履)いた」繋がりで絡んだり、八幡神社にて大ヒット祈願をするなど、堂々と宣伝活動を繰り広げやがった。
そして、4作目も製作予定である等、すっかりと2020年代の新たなる定番ホラーシリーズとして定着してしまった感すらある。(いいぞ、もっとギコギコしてやれ♡)


【物語】

━━ある年のハロウィンの夜。
それは、あの狂気的で無差別な連続殺人事件……「マイルズ大虐殺」が起きた夜。

その日、パーティーに出かけたタラとドーンの女子大生二人組はすっかりと酔っぱらった後に帰路に着こうとしていたが、ドーンがベロベロの状態にもかかわらず当然のように車に乗ろうとするのをタラが制す。
……そんな二人を遠巻きに無言で見つめる白黒のピエロの仮装の男。

タラはピエロに言いようのない不安を感じるも、ドーンは気にしていない。
気づけば、ピエロは消えていた。

安心して酔い覚ましのためにピザ屋に入った二人だったが……そこに、あのピエロが。
ピエロは、タラにのみ見えるようにリアクションを取り、その様子に更に不安を募らせるタラ。

ドーンによるからかいや注文を促す店主の声にも無反応を貫いていたピエロは━━トイレへ。
早く出ていくためにも注文をテイクアウトにしようと提案していたタラだったが、その前にピエロが店主に怒号と共に追い出される。

再びピエロの姿が見えなくなったことに安心しかけたタラだったが……今度はドーンの車のタイヤがパンクしていた。
ダメ元で姉のビクトリアに助けを求めるタラ。
仕方ないと言いつつ、迎えに来てくれると聞いて安心する二人だったがタラの不安は再び大きくなっていく。

「ピエロの仕業かもしれない」と語るタラだったが、相変わらずドーンは気にしていない。
そんな中で尿意を催してしまったタラは、近くの古倉庫から作業員風の男が出てきたのを目撃。
人が居るなら……と声をかける事に。
冗談めかして「さっきのピエロより目の前の(作業員風の)男の方がアブない」等と語っていたドーンだったが、カーラジオから聞こえてきたのはさっきまで自分達が居たピザ屋で店主と店員が惨殺され、犯人はあのピエロの扮装をした男らしいというニュースだった。

ドアが開く音。
タラが戻ってきたと思い、顔を上げながら「衝撃的なことがあった」と告げるドーンだったが、そこに居たのは満面の笑みを浮かべるピエロ━━殺人鬼“アート・ザ・クラウン”の姿だった。


【主な登場人物】

※核心部分は折り畳みにてネタバレあり。

  • 生き残った女性
冒頭のTVショーにてゲストとして呼ばれた、ちょうど一年前に発生した「マイルズ大虐殺」の生き残り。
黒髪で、顔面が無残に抉り潰されている。
何かを感じ取っていたのか、最初から殺人が目的だったのかは不明だが収録後に控室に潜んでおり、自分の容姿を侮辱したホストの女性司会者に襲いかかり彼女の眼球を潰して哄笑を挙げた。
物語のラストまで名前が伏せられており(クライマックス前に絞れるが)、登場人物達の内の“誰なのか”というのが視聴者にとっての謎かけになっている。


  • ホストの女(モニカ)
冒頭のTVショーにて生き残りの女を迎えた司会者役の女。
内心では顔面を破壊された生存者の女をバカにしており、今回の衝撃的な番組内容を自分の出世に利用してやると恋人に放言していた所を生き残りの女に襲われて顔面を潰された。


  • タラ
演:ジェナ・カネル/吹替:大川香織
友人のドーンと共に、ハロウィンの夜を楽しんで帰宅途中だった若い女。恐らくは大学生。
黒髪で生き残り候補
何故か“アート・ザ・クラウン”に気に入られて執拗に命を狙われることに。


  • ドーン
演:キャサリン・コーコラン/吹替:長弘翔子
タラの友人で長身のブロンド美人。
中々に女優のレベルが高い映画なのだが、その中でも飛び抜けてスタイルが良い。
元からの性格もあるのだろうが、酒のせいか妙にテンションが高く、自分からピエロに絡みに行くなどタラを困らせていた。


  • ビクトリア
演:サマンサ・スカフィディ/吹替:河野茉莉
タラの姉で、ハロウィンの夜も試験勉強に勤しんでいた真面目女子。
黒髪で生き残り候補
タラから「帰れなくなった」とのSOSを受け、最初は渋っていたもののルームメイトが男と帰ってきた上に自分にお構いなしでおっ始めたのを見て飽きれつつも迎えに行くのを了承する。
マイルズに向かう途中で連続殺人事件が起きていることを知り、不安を感じつつも町に到着。
妹達を探すが……。


  • マイク
演:マット・マカリスター/吹替:板垣優稀
タラがトイレを借りに行った古倉庫でネズミの駆除作業を行っていた男。
強面で、何故だかドーンには異常に印象が悪かった(ハゲがいかんのか?)が普通にいいお兄さん。
ホームレスの女に助けを求められたが、直後にアートに襲われて倒されてしまう。


  • ホームレスの女(キャット・レディ*3
演:プーヤ・モーセニ/吹替:安芸けい子
古倉庫に勝手に住み着いていたらしい(普通に美人な)中年女。
タラを新たな住人と思い込んで声をかけてくる。
人形を娘(エミリー)と名付けて可愛がる狂女。
何気に黒髪で生き残り候補
狂っているかと思いきや娘のこと以外はまともな所もあり、アートの凶行を目撃した時には自分の立場が危うくなるかもしれないのにマイクに助けを求めて警察を呼ぶように進言した。


  • スティーヴ
演:ジーノ・カファレリ/吹替:佐東充
ピザ屋の店主。
店に入ってきたアートを警戒しており、注意した後でトイレを汚された時には怒って追い出した……が、その後で戻ってきたアートに殺害されてしまったようで、次の登場の時には生首になった上にジャック・オー・ランタンの様な細工までされた姿となっていた。


  • ラモン
演:エリック・ザモラ/吹替:金森だいすけ
ピザ屋の店員。
調理担当なのにもかかわらず、深夜にアートに糞まみれにされたトイレを清掃させられたことに文句を言っていたが、店主(スティーヴ)の生首を見て絶句……慌てている内に自分も嬲り殺しにされた。


  • ウィル
演:マイケル・リーヴィ/吹替:藤野裕規
遅れてやって来たマイクの同僚。
事前に喧嘩でもしていたのか上手く連携が取れておらず、古倉庫の出入口の全てが塞がれているのを見た時にはマイクが自分を閉め出したのかと思い還ろうとしていたが、何とか合鍵を見つけて入り込んだ所で人形(エミリー)を囮にしたアートに殺害されてしまう。


  • アート・ザ・クラウン
演:デヴィッド・ハワード・ソーントン
本作の殺人鬼にして真の主役
モノクロに統一した衣装に身を包んだ長身で痩せ型の男で、何が目的なのかは解らないがハロウィンの夜にマイルズの町で目についた者たちを次々とKILLしていく。
因みに、劇中にて“アート・ザ・クラウン”と呼ばれることはないものの、ビザ屋のトイレに糞を撒き散らした時には、壁に“ART”と署名している。
映画のスラッシャー(連続殺人鬼)の癖に拳銃まで使いこなすルール無用のリアリスト
最後は、警察に追い詰められたことで拳銃を自分の口中に押し込み頭部を吹き飛ばして自殺した。




追記修正は“アート・ザ・クラウン”から逃げ切ってからお願い致します。

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最終更新:2025年01月02日 21:49

*1 映画の発想自体がネットミームやドッキリ動画でもお馴染みの殺意満々のピエロからである。

*2 ビデオスルーどころか10年以上和訳が無かったが、『テリファー 聖夜の悪夢』の公開に合わせて2024年に和訳版がこの邦題でリリースされた。

*3 米国で未亡人や独り身の中年女を意味するスラング。=大量の野良猫を世話していそうな寂しい女━━という意味。