登録日:2025/02/06 Thu 03:31:05
更新日:2025/02/06 Thu 11:42:12
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『スター・トレック』(英: Star Trek: The Motion Picture)は、1979年のアメリカ映画。
概要
『宇宙大作戦』のレギュラーを中心とした『
スタートレック』の映画第1作。サブタイトルの頭文字をとって「TMP」という略称で呼ばれることが多い。
Motion Pictureとは文字通り活動写真のことで、原題を意訳すれば『スター・トレック劇場版』となる。
監督は『サウンド・オブ・ミュージック』のロバート・ワイズ。
特殊撮影担当は当初ロバート・エイブルだった。エイブルは当時発明されたばかりのCGなどを多用した革新的な撮影システムを考案し採用するが1からシステムを開発したがために時間を取られろくに撮影もできないうちに時間も予算も超過したがために解雇、『
2001年宇宙の旅』・『未知との遭遇』のダグラス・トランブルと『
スターウォーズ』・『宇宙空母ギャラクティカ』のジョン・ダイクストラらが代わりに採用され一からミニチュア特撮を撮影した。また脚本の執筆も進まず、撮影と同時進行で脚本を書き直して渡している状態であり、脚本が完成したのはクランクアップ直前だったという(そのため前半に冗長なシーンが多い)。
元々は『スタートレック:フェイズII』というTVシリーズが予定されており製作が開始されていたが諸々の事情で映画版となり、第一話に使用されるはずだったプロットが流用された。なおデッカーとアイリーアは『フェイズⅡ』のレギュラーキャラの予定だった。
映画そのものは好評で興行収入も良かったが前述の製作の混乱により巨額の製作費がかかり(『スター・ウォーズ』第一作の三倍)、費用対効果は悪かったという。
あらすじ
人類が深宇宙に進出し、友好的な他の異星種族と惑星連邦を結成していた23世紀のある日、宇宙の彼方から星系ほどの大きさがある巨大な雲状の何かが地球めがけて一直線に進んでくる。
それはクリンゴン帝国の領域を突っ切り、迎撃してきたクリンゴン艦を消滅させ、さらに連邦の領域に突入し針路上にあった連邦の宇宙ステーションを消滅させながら地球に近づく。
迎撃可能な連邦艦は地球周回軌道上のドッグで改修工事を終えたばかりの宇宙船
エンタープライズ号しかなかった…
登場人物
TVシリーズにおける三馬鹿その1エンタープライズ号の船長で、現在は宇宙艦隊司令部本部勤務の提督。謎の物体の接近に対処するため、急遽エンタープライズ号の船長として陣頭指揮を取ることになる。
バルカン人と地球人のハーフ。
TVシリーズにおける三馬鹿その2エンタープライズ号の副長兼科学主任。現在は艦隊を離れ、バルカンで感情を完全に捨て去る「コリナールの修行」をしていたが途中で何かが宇宙の果てから接近することを第六感で察知し、修行を放棄してエンタープライズ号のもとに駆け付ける。
TVシリーズにおける三馬鹿その3エンタープライズ号の船医。引退していたがエンタープライズ号の船医が転送事故で死亡したため代理として呼び出される。
昇進し本部勤務になったカーク提督に代わって改修工事を終えたエンタープライズ号の船長に内定されていた、が謎の物体の接近によりカーク提督が陣頭指揮を取ることになり副長に降格される。
劇中で言及されないがTV版に登場するマット・デッカー准将の息子という設定。
ラストで機械と合体する。
エンタープライズ号の航法士。デルタIV号星出身のデルタ人。デッカーとはかつて同じ現場で働いていた。
エンタープライズ号の機関主任。TVシリーズとは違いえらく恰幅のよい体型。
ヴィジャー(ビジャー)
宇宙のかなたから地球目指してやってきたものの自称。自分を作った創造主を探しているという。
数天文単位もあるエネルギーの雲を周りに纏わせており、中心には同じく巨大な宇宙船の本体がある。
中に入るとエンタープライズ号が自由に動き回れる程の巨大な空間があり、奥に進むと立体映像によるヴィジャーの記録の閲覧所?があり、さらに奥に進むと本体がある。
その正体は意識を持った宇宙船であり、感情を知らないがそのために満たされず、求め続けているという。
強力なプラズマエネルギーを発射できるがこれはスキャナーも兼ねており、これを受けた物体は単に破壊されるだけではなく情報として読みとられ、複製として再構築することができる。
また、どういうわけかエンタープライズを同類扱いして人間を「寄生する炭素ユニット」とみなし創造主の星(地球)から「排除」しようとした。
スポックの精神融合とアイリーア複製体から得た情報を基にカークらが中心部に踏み込んだところ、そこに鎮座していたのはなんと20世紀の地球の惑星探査機…「ヴォイジャー6号」であった。
ヴィジャー(V'ger)、という名前も「VOYAGER 6」と書かれた銘板が掠れていたからである。
地球を離れてしばらく後に行方不明になっていたが、ブラックホールか何かに取り込まれていたらしくその先で何らかの機械生命体に発見され、同類と見做されたのか彼らの手で意志ある存在へと改造された。
この時、ヴォイジャーの「観測したものをそのまま発信して地球へ送る」というプログラムを文字通りに解釈して再プログラムされた結果、ヴィジャーは「創造主」の居場所…つまり地球を目指し、観測・学習したものの共有を目的とするようになった。
エンタープライズを同類と見做し人間を排除しようとしたのは、ヴィジャーを改造した者たちが炭素ベースの生命体の存在を知らなかったからだろう。
強化された能力による「観測」の結果、ヴィジャーは多くのものを吸収していった。そうして取り込んだ膨大な情報を元手にして意識を獲得したが、感情を持たず冷徹な論理的思考しかできなかったため、知覚力を得たことによって生まれた「自分はいったい何者で何のために存在するのか」という問いに答えが出せなかった。
「創造主」との一体化を繰り返し求めたのは、まさにその答えを得るためであった。
「創造主」が自分達地球人であることを知ったカークがヴィジャーの説得を試みる中、デッカーが「ヴィジャーに人間性を与えればよい」ことに気づく。アイリーアを事実上失ってこの世に未練もなくなっていたのか、デッカーは自らを「人間性」の土台としてヴィジャーと融合。
ヴィジャーの巨体は閃光とともに消滅し、より高次元の新たな生命体へと生まれ変わった。
その後の去就は誰も知らない。
デッカーとアイリーアは、カークによって「作戦行動中行方不明」として記録された。
また、バルカン人が求めるものの極致にありながら感情を求めていたヴィジャーの姿を見たスポックは、修行を再開せず自身の持つ地球人的な感情をある程度受け入れる決断をした。
なお、ヴィジャーの正体についてはTOSのエピソード「超小型宇宙船ノーマッドの謎」の探査機ノーマッド、ヴィジャーを改造した何者かは
ボーグとの共通性が指摘されるが映像作品では一切言及されていない。
デザインは後に『
ブレード・ランナー』などで有名になるシド・ミードで、これが映画作品への初参加だったが外観を写したシーンは殆どカットされたため確認できない。が、後のDC版で外観を確認できるようになった。
余談
それまでTVシリーズで使われていたテーマ曲(『アメリカ横断ウルトラクイズ』で使用された曲)に代わり、本作ではジェリー・ゴールドスミスが作曲したメインテーマが新たに使用された。この曲は続く映画シリーズでは使用されなかったが、さらに後のTVシリーズの『新スタートレック』ではメインテーマとして採用された結果シリーズを代表する曲となった(特に日本では宇宙大作戦のテーマの方は『アメリカ横断ウルトラクイズ』のテーマとして有名になってしまったため)。
原語版では不評だった「ドッグ内のエンタープライズ号を延々と写すシーン」は吹き替え版ではナレーションが入れられている。
本作、特にオチについては後の作品に多大な影響を与えた(例としては『
人類は衰退しました』など)。
今こそ 人類の追記修正が始まる
- 名作だがあまりにも2001年宇宙の旅の影響受けすぎだし長尺シーンが過剰すぎる。カーンの逆襲以降TV版に近いノリに代わったのは英断だった -- 名無しさん (2025-02-06 04:36:10)
最終更新:2025年02月06日 11:42