登録日:2025/02/09 Sun 05:27:43
更新日:2025/02/12 Wed 15:38:18
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劉豪軍とは『
鬼哭街』に登場する人物であり、同作の
ラスボス。
CV:鈴置洋孝(ドラマCD版)。
速水奨(全年齢版)
【概要】
上海を支配し、アジアの黒社会に名を轟かせる秘密結社である青雲幇のナンバーツーである副寨主。
組織の頂点の寨主は老衰も時間の問題であり、寝た切り状態なので、今では劉豪軍が組織を運営しており実質的なボスに相当している。
艶やかな布地に龍の刺繡をあしらった華美な長杉がよく似あう、端正な風貌と気品を持つ男性。
「内家拳」戴天流の免許皆伝である武の才能に加えて、類稀なる将器をも併せ持つ天才。
脳と脊髄以外の全身を改造したサイボーグであるが、内功を駆使できないサイボーグになったせいで、武術の腕は封じられたと思われているが……?
好漢と言われたのも今は昔で、本編においては冷酷な面を見せており、青雲幇を好き勝手に運用している。
サイボーグを毛嫌いしている寨主からは、義侠の精神を根絶やしにし、先代が尊び培ってきた全てを貶めたと、痛罵され。
古参かつ良識あるサイボーグ武芸者からは、専横ぶりが目に余るとして疎まれており、
新参のチンピラでも義を知る若者にすら、最近は戦闘サイボーグばかりがのさばって、外道働きの連続と表情を硬くされている。
青雲幇
上海の覇権のみならず、アジア黒社会の雄として異名を轟かせる犯罪組織。
第四次産業革命とも謳われるサイバネティクス技術の実用化がもたらした社会的脅威である、サイバーウェポン、電脳ドラッグ、ガイノイドによるポルノ産業。
欧州は規制に成功したが、法整備の出遅れた東欧とアジア圏では裏サイバネティクス市場が猖獗を極める結果となった。
最先端サイバーウェアである上海電脳義肢公司が劉豪軍の手により、M&Aによって青雲幇に買収される。
その結果により、かつて何人たりとも想像しえなかったサイバネティクス・マフィアを誕生させ、劉豪軍の偉業とも評されている。
その若さで、副寨主に上り詰めている理由である。
かつてメコン・デルタが麻薬の産地として隆盛を誇ったかのように、今では東南アジアでは非合法サイバーウェアの一大拠点として、全世界の暗黒街における需要を賄っている。
欠点として、劉豪軍の政策により収益の基盤を裏サイバネティクス市場にほぼ完全に移行させており、
上海電脳義肢公司が潰れると青雲幇の息の根が止まるぐらいに、完全に依存している状態である。
【人物】
その昔においては、語らう相手の心をいなしてしまう包容力が、昔からこの男にはあったと主人公である孔濤羅から全幅の信頼を寄せられていた。
見るものによってその眼光は、ある時は涼やかな秋風に、またある時は氷結した刃に変わるとされ、敵に回せばこれ程に脅威となる男もいないと言われている。
彼を畏れる手合いはその目付きを鬼眼麗人と渾名しており、それが二つ名の由来となっている。
そんな傑物である劉豪軍に、孔濤羅は彼が友である事に、妹である孔瑞麗が彼に嫁ぐ事に幸福を抱いていた。
しかし現在では冷酷非情の人物として見なされており、1年前にマカオで孔濤羅を斬った後、
妻である孔瑞麗を部下達に輪姦させた挙句、魂魄転写の際に脱魂燃焼により死亡させている。
本編において仇討ちをしている孔濤羅は、何故自分と妹にこんな仕打ちをしたのか劉豪軍の真意が見当もつかず、
妹の孔瑞麗の末路を聞き出した後には、事の次第を問う事を止めていた。
「今になって、何を言いだす!」
「貴様こそが瑞麗の伴侶、あの子と将来を誓い合った男だろうが!」
「彼女がそれを望んだか?貴様の前で俺の事を語ったか?」
「婚儀の話題に笑顔を見せたか?」
孔瑞麗が愛していたのは、実の兄である孔濤羅であった。
権威や武を極めて、その全てを孔瑞麗に捧げようとした劉豪軍に、当の孔瑞麗は何も愛さなかった。
妹が幸せであると思い込んでいる孔濤羅に対し、掛け値なしの絶望を求めていた孔瑞麗。
ただ劉豪軍は彼女が思うままに全てを破壊しようとしただけだった。
【戦闘能力】
正真正銘の天才であり戴天流の免許皆伝。
刀一本でサイボーグ武芸者と渡り歩く、孔濤羅をして自分では及びもつかない、真の功夫と思わせるぐらいの達人。
しかし今は全身を改造したサイボーグであり、内勁を使えず「内家拳」が使えなくなっていると周りからは思われている。
それでもサイボーグ武芸者としての腕はあると目されていたが……
「そこに、あんたのボディの仕様書もあったよ」
「笑わせる。貴様の義体スペックは生身より幾分マシというだけの」
「クズ同然の性能しかない」
パーツの一点に至るまでオーダーメイドの特注品でありながら、剛性や耐久度が軍用品とほど遠く、医療用パーツのそれと大差ない代物であった。
強化セラミックの骨格に、バイオマテリアルの筋肉繊維、あとは申し分程度の耐ショック構造を備えた内臓器官。
運動神経の鋼化もなく、機械駆動の関節もないのでお世辞にも戦闘用サイボーグとは言えないと言われている。
「なら、疑問に感じなかったのか?」
「このボディの開発費も知っているはずだ」
「鋼化神経も機械化も無し」
「そんな義体の一体どこに、あれだけの費用がかったのか」
その実態は、内臓も循環系も経絡も、人体にある器官全てを詰め込み、サイボーグの身で内勁を行使できるようになった存在。
史上初の内勁駆動型サイボーグと嘯き、戦闘用サイボーグには及ばないにしてもそれでも生身を超えた人造物の強度のおかげで超人的な動きを行える。
一刀如意
相手の意を察知する事により、重量22.3kgで最終拳速260m/sの対戦車兵器に匹敵する拳を軽く受け流したり、
ダイヤモンド粒子刃の音速を超える鞭の猛打をも捌き切るという、孔濤羅を超える武術家。
また、刀をして既に我が意であるからこそ、その運剣を見切るのは至難である。
枯れ枝の一本を音も無く切り落とした後に、続く剣戟で文字通り霧散させる入神の域にある功は序の口。
氣を込めた一閃は戦車の前面装甲をも断ち切る。
軽功術
瞬発のタイミングと重心の移動だけで根底から違う、
腿と膝と腰を稼働する、健と筋と血流のリズム、それら全てを把握し同調させるだけの集中力によって、人体の運動能力の常識を覆す。
足掛かりさえあれば重力は何の束縛にもならず、壁だろうが天井だろうが移動のための足場にできる。
しかも彼の場合は義体の強度を活かして、フルスペックを発揮したらその移動は、音速を突破する。
電磁発勁
横隔膜を中心に辺り一面に電磁パルスの衝撃波を発生させ、あらゆる電子機器を破壊する轟雷功。
更に特殊な錬気によって掌勢に電磁パルスを孕ませて触れると同時に放射し、EMPシールドを施した機器をも破壊できる紫電掌。
人間の限界から外れた気功術のせいで、使うと必ず内傷が発生し、一夜で5回も使えば回復不能の傷となるのだが、
これもサイボーグの強度のおかげで完全にノーリスクで使用できる。
なお、徹底して電子部品を省いた体のおかげで唯一首筋に埋め込まれた接続端子以外には、電磁発勁を撃ちこまれても効かないという状態でもある。
【動向】
本人の計画のために舐めプの嵐。逆に言えば本気で始末する気なら孔濤羅はあっという間に追い詰められていたとも言える行動をする。
孔濤羅が樟賈寳を殺害する頃に寨主を殺害し、腹心の呉榮成に監視カメラのデータを改竄して孔濤羅に罪を擦り付ける。
サイボーグ武芸者の筆頭である朱笑嫣が殺害される上に、孔濤羅の捜査が進展しない状況に回りは苛立つが、
電磁発勁による肉体の消耗を知るために、青雲幇の兵隊を動かさずにまだ賞金稼ぎを追わせるという策を取ったため周りから不審がられる。
呉榮成が籠る上海電脳義肢公司を落とすために、孔濤羅が廃屋を留守にしている頃に孔瑞麗のデータが2/5詰まったガイノイドに会いに行ったり、
上海電脳義肢公司が完全に潰れた後には、斌偉信が独断で青雲幇の兵隊を動かし、孔濤羅と激闘させていた時にはドローンで覗いていたりした。
これまでの行動のせいで、青雲幇の配下からは不審の声が上がり始め、劉豪軍を担いでいる場合でないと判断した斌偉信。
孔瑞麗のデータが入ったガイノイドを武装させた上に、対人地雷も積ませて孔濤羅に襲わせるという策を斌偉信が持ってきたが断ると即答する。
しかも斌偉信に渡したガイノイドを返せと要求。
あたふたと躊躇する醜態を隠し撮りして、青雲幇のトップの座から追い落とすつもりだったが、青雲幇の事を何も考えてない発言に怒りを通り越して眩暈すら感じ始めた斌偉信。
殺されたくなかったら人形を渡せと最後通牒をするのだが、劉豪軍が寨主を殺害したのは自分だと告白する。
青雲幇を蔑ろにした上に、寨主殺しまでした肝賊に対し斌偉信は襲い掛かったのだが、
数々の暗器攻撃を完全に封じ、この立ち合いを百度繰り返しても、百度とも同じ結果になると確信させる圧倒的な実力で殺害する。
まだ隠し撮りをされていたのだが、ここまでの実力を見せられてなお文句を言える青雲幇の兵隊はおらず、
劉豪軍は青雲幇の終焉を確信したのだった。
最期の戦いになるのは孔濤羅の自宅。
最後の復讐相手となる劉豪軍との戦いにおいて、孔濤羅の執念は剣に鬼神の冴えを見せ、往年の劉豪軍に勝るとも劣らない練度に至っているが、
何の消耗も無いサイボーグの体と酷使に酷使を重ねて擦り切れた生身の体では勝負の真似事にしかならず、
劉豪軍は賞賛の呟きが言えるというのに、孔濤羅は肺腑に広がった内傷から、血が気道を遡ってこみ上げ、噛み締める口の端から血泡が滲むという有様。
しかも本気を少し出して音速突破の移動から、四手が四手とも致命傷にならない程度の傷を与えて、ギリギリ立っていられる程度の怪我を与えられる。
それでもなお諦めない孔濤羅だが、孔瑞麗が本当に愛していたのは誰かの真実を明かされて、復讐の念すらも揺るがせられる状態になる。
そして徹底的に急所を外して嬲り殺しにされ、肉体的にも精神的にもボロボロになった所で、
「最後に何が残るかと思えば、よりによってその一刀か」
「つくづく天晴な剣客ぶりだ。やはり貴様は性根から剣鬼」
「人を愛するのも、誰かの合いに応えることも、なるほど出来ぬ相談だろうな」
濤羅はもう応えない。反駁の余地などない
そう。我は剣鬼。ただ一振りの剣としてここに在る
ならば何を問うまでもない。この死闘の意味も、傷つき血を流す意義も
何一つ思い悩むことはない
「貴様のその剣をへし折って仕上げ、というわけか」
「いいだろう。次の一撃で完膚なく叩きのめしてやる」
剣を縁に苦衷から脱却、そしてこれまでの激闘で開眼した戴天流秘奥義の六塵散魂無縫剣を行使する。
全身をサイボーグにして音速を超える事も可能とした外法異形の功夫を凌駕し、劉豪軍は剣を叩き折られ、人工心臓と脊椎を貫かれる事となった。
しかし超音速の突進は止まらず、孔濤羅もまた背骨と腰椎を粉砕される致命傷を負う。
お互い覆いかぶさる形になり、決着をつけたがむせび泣く孔濤羅にまだ呪詛を送る劉豪軍だったが、今生最後の紫電掌を首筋に打ち込まれて完全に死亡した。
【関係】
孔瑞麗
劉豪軍は掛け値なしの愛情を抱いており、他はどうでもいい存在になっている。
魂魄データを五等分にしてガイノイドに移し配下に配った際には、自分が有するガイノイドは孔瑞麗そっくりにしている。
その偏愛は狂的なもので、不注意から肌に5mmの傷をつけたメイドは打擲されて文字通り四散して即死となった。なお、劉豪軍はそちらを見向きもしなかった。
なお最終戦において、孔瑞麗の2/5のデータが詰まったガイノイドと3/5のデータが詰まったガイノイド二人が見物していたのだが、
切り刻まれる孔濤羅しか見ていなかった。
見ての通り、この項目には過剰な追記・修正なんてない
- 記事制作乙。なんか、こう、兄様の項目も更新しろっていう誰かの視線を感じる…… -- 名無しさん (2025-02-09 10:35:34)
- 殺害を自白した時には「老いた寨主は死の淵にあるから、何もしなくてもトップの座が転がってきたのにリスキーすぎる暗殺をしたとか正気かこいつ」。と斌偉信に思われていたり。まあ実際に狂気に染まっていたんだが -- 名無しさん (2025-02-09 12:32:36)
- ↑2 きっと兄様の項目しか見てないよ… -- 名無しさん (2025-02-09 12:49:39)
- すべての事情を兄様に話して、兄様を瑞麗専属のボディガードに配置換えするとかできんかったんかねぇ… -- 名無しさん (2025-02-09 13:08:15)
- 作者にすらオーストラリア軍とネタにされる哀れな男 -- 名無しさん (2025-02-09 13:12:36)
- ↑2豪軍自身もルイリーから愛されたかったって嫉妬の化身状態だから、タオローと穏便にすます方法を選べなかったので無理無理の無理、ゆえに本編があんな惨劇になった -- 名無しさん (2025-02-09 14:01:50)
- 恋人のために全てを犠牲にしたが何一つ報われなかったとも言える男・・・ -- 名無しさん (2025-02-09 19:55:51)
- 令和のこの時代に劉副塞主の項目が見られるとは……作中で間違いなく最強だったんだが「だから?」という、どれだけ強かろうが虚しい位置にいるんだよな…… -- 名無しさん (2025-02-10 15:59:38)
最終更新:2025年02月12日 15:38