登録日:2025/04/20 Sun 09:47:48
更新日:2025/04/22 Tue 22:00:53
所要時間:約 23 分で読めます
わしはやめんぞ、ムシを使ってお前たちと戦うのをな!
CV:佐藤正治
【概要】
『甲虫王者ムシキング』及び続編『甲虫王者ムシキング アダー完結編』において、主人公のポポとムシキングと敵対するシリーズのメインヴィラン。
何なら本編に限って言えば、ポポ以外のネームドキャラの妖精がアダーしか登場していない(スピンオフ作品などにはアダー以外の妖精も登場している)。
黒いローブをまとって白髪が特徴的な高齢男性のような姿をした妖精。
復活の森編以降は顔に傷が付いており、アダー完結編のOPではまだ白髪になる前の姿も描かれている。
本編前に森を追放されたことから森の妖精達を逆恨みし、森の支配と住民への復讐を果たすことを目的としている。
そのために人間が日本で逃がした外国甲虫を洗脳し、身を隠しながら森を荒らし回る活動に励んでいる。
心優しい穏やかな子供のポポと対照的に冷酷無慈悲な老人として描かれるキャラであり、彼が送り込んだ外国甲虫をポポの仲間の甲虫が追い払うのが作中の基本的な流れとなっている。
【人物】
率直に言って狂人。残虐なことに加えて他者に対する情も一切ない。
他の妖精と違って自身に従う甲虫を使い捨ての駒や化け物程度にしか考えておらず、ムシの身体を弄り回すことに対する抵抗感や罪悪感などは持っていない。
同族の妖精に対しても追放されたことに対する恨みを募らせており、同族に対して思い知らせるということを目標にしている。
追い込まれると「覚えておれ~!」という捨て台詞と共に真っ先に逃亡するなど、小物としての要素も持っている。
こんな人物だが、ポポとは森の追放前から交流があって互いに仲良くしていたらしい。
その関係や子供ということもあってなのか、アダー登場編で小型甲虫を倒された時点ではまだポポに帰宅するように促すなど情とも考えられなくもない様子は見せていた。
ところが一度大型甲虫を退けられてからはポポの実力を認め始めるが、それに応じてなのか本気で殺そうとしてくるようになる。
やがてポポに計画を邪魔され続けたことに対応して計画も凶悪化していき、凶行が以下のように加速していく。
- 作戦が失敗すると自暴自棄的なノリで森林に火を放って大規模な山火事を起こす
- ポポに加勢した手下の甲虫を無理矢理復活させて再洗脳を行い、火の中にいるポポに追い打ちのように仕向ける
- 復活の森編以降は蛹に改造手術を施して日本国内で外国甲虫の飼育を行うようになる
- 蛹を攻撃してストレスを与えて苦しめることで無理矢理羽化を早める
- 羽化したばかりの甲虫を無理やり戦わせ、彼らの訴えも「黙れ!ポポを倒すのじゃ!」で切り捨てる
- 洗脳した改造甲虫が日本どころかパプアニューギニアの森にまで進出する
- 人間が連れてきた外国甲虫を使役しているという態度だが、公式サイトでは外国の森から自分で輸入しているという設定もある
- アダー完結編の頃になるとムシキングの周囲の関係を壊そうと考え、在来種の日本甲虫も洗脳して支配下に取り込む
- 森の歴史自体を軽視して自分の望む歴史に塗り替えようとする
自身の凶行をポポに責められると、人間の所業として責任転嫁をすることも多い。
だが、その言い分に関しては少なからず事実でもあり、本人も言っているがアダーの作戦は基本的に森を荒らした人間の痕跡を再利用している。
ポポと比べると環境破壊や人間の文化に対する知識もあるらしく、ポポのいる森が人間の開発が迫っていることも風の音から察するなど観察眼も鋭い。
ポポが知らないプラスチックなどの性質もある程度理解しており、森に捨てられて立った状態になっているプラスチックのペットボトルを
「永遠に朽ちることの無い木」と解釈していた。
このへんは当時の児童向け作品で環境問題をテーマとするのが流行っていたというメタ的な話もあるにはあるが(例えば『
炎神戦隊ゴーオンジャー』など)、ポポのほうはお世辞にも初歩的な知識すらあるようには見えない会話パートが結構あったことを考える(そのせいかアダーはポポに説明する際に比較的ファンタジックな語彙をあえて選んでいる様子もある)と科学面の知識だけではなく推測・洞察にも長けていると思われる。
完全に狂った悪人である一方、狂気の中に妙に冷静な一面もあるところがアダーという人物の恐ろしさを示していると言える。
狂人の真実
アダーは本来は森で随一の腕前を持つ心優しい医者だった。
ムシや妖精を治していくにつれ「ムシが強ければ傷つかずに済む」という考えを抱き、甲虫を改造して強化する研究に勤しむようになる。
その過程で改造甲虫第1号として通常の日本産カブトムシより戦闘力が強い「ムシキング」を生み出した。
ところが人間による事故によって息子を亡くしたことから精神が歪み始めたのか、改造甲虫の研究を激化させていくことになる。
息子を失った後も甲虫の改造を続けたが、アダーの生み出した改造甲虫の異常な強さは他の妖精達の恐怖の対象として問題視され、森を追放される。
追放されたアダーはその後「ごみの森」に流れ着くと、ヘルクレスエクアトリアヌスブルーを始めとする人間に捨てられた外国甲虫と出会う。
外国甲虫は自分達を国外の森に捨てた人間に憎悪を抱いており、同様に人間に恨みがあったアダーは同じ目的を持つ者同士として手を組み、外国甲虫の洗脳改造によって森への復讐を開始した。
アダーが森への支配欲を出していたのは単純な逆恨みが大きいだろうが、自分が支配者として人間から森を防衛するという意図もあったと思われる。
アダー完結編において一部の甲虫からアダーの森への愛着を示唆する発言もあり、異常な強さを誇る外国甲虫を手下として人間と戦うことも想定していたと推測される。
だが、アダーの人間への怒りから始まった復讐劇は、作中の行動を見る限りでは本末転倒な事態になっているとしか言いようがない。
森を意図的に焼き尽くして更なる縮小を招き、おそらく人間が捨てたものと思われる(繁殖させた様子はないが)外国甲虫の蛹を日本国内の森で積極的に飼育するなど、皮肉にも憎む人間と同じような生態系の破壊にアダーは次々と手を染めていた。
ストーリーが進むにつれて言動も行動も過激化していった辺りから察するに、迫る人間への焦りと相次ぐポポ達への敗北から最早行動が支離滅裂になっていたのかもしれない。
或いは、自分の計画の頓挫した時点でどちらにせよ人間によって森は壊されるならいっそ自分で葬ってしまうという考えだったのだろうか?
アダーには息子がいたことが語られているが、この息子は妙にポポによく似ている。
それどころかアダー完結編のOPでは息子を亡くしたと思われる本編前のアダーの姿が描かれるが、その息子の遺体はポポと全く同じ姿である。
明らかにポポとアダーの息子の間に単なる他人の空似では済まない関係性があるようにも見えるが、現状では明確にされていない。
アダー完結編においては、アダーの手下の甲虫がアダーの息子とポポの関連性を暴露をする会話パターンがあるという報告も出ている。
ところがアダー完結編自体が、現在まで収録された全会話やストーリーの記録が現状では完全に発掘されておらず、公式側でも開示されていないので真相は不明。
【能力】
妖精のアダーは非科学的な力である魔法を使えるらしく、様々な能力を見せている。
一方でアダーの魔法的な力は自身の所持する赤い光を宿した杖などの道具が必要らしく、杖を奪われると抵抗できなくなる。
また、所詮は老人だからなのか、単純に肉体的な力は子供のポポに組み伏せられると抵抗できなくなって気を失う程度には弱い。
しかし、ムシキングの突撃を食らって炎の海に投げ込まれても生きているくらいの生命力を見せる時もある。
逃走
アダーが使う中で、おそらく全ユーザーが一番見たであろう魔法。
基本的に全ての手下が戦闘不能になると「覚えておれ~!」の捨て台詞と共に、周囲に竜巻のような風を発生させてからその場から姿を消す瞬間移動のような能力を持つ。
一方でこの竜巻の発生から自分が消えるまではある程度の隙が生まれてしまうため、一度はポポにそのタイミングで体当たりをされて発動を妨害されてしまっている。
アダー登場編の第2話では逃走に失敗したが、それ以降は妨害されずに逃げきれているので、全体的な逃走の成功率は高い魔法だと思われる。
また、熱帯の森編などでは自身の身体を光に包んで空中に浮かぶことができる。
この力は高速移動も可能であり、ポポがムシキング以外のムシでは追跡を諦める程度には早い。
光線
アダーは自分が所持する先端が赤く光る杖から紅い雷のような光線を放つことができる。
この光線を浴びた甲虫に対して激痛を与えると共に無理矢理再洗脳したり、体力がなくなった甲虫を再起させたりする。ただし、これを浴びたムシキングは激痛こそ感じても洗脳はされなかった。
他にも森林に放って発火を起こしたり、上空から雷のようにサナギに光線を落として早く羽化するように責め立てることもあった。もちろんこの場合は通常時より弱体化する。
改造手術
自分のアジトや工場で赤い液の流れる管にムシを接続して改造を行う。
この管などはどのような素材でどこから調達しているのかは不明だが、作中の施設を見る限りでは機械的なレバー操作で手術を行っていたりするので妖精の割には科学的である。これも人間が捨てたプラスチックや金属片を利用したのだろうか?
虫笛
アダー登場編の第3話のみに登場した甲虫の洗脳用の道具。
原理は不明だがこの虫笛の音色を聞いた甲虫は頭痛と共に頭がおかしくなり、洗脳されてアダーに従ってしまう。
遠くにいても音色が聞こえれば洗脳できる性能を持ち、アダーはこの性質を利用して自身の牢獄を破壊する外国甲虫を手配した。
この虫笛は誰も見たことが無いらしく、第3話以外で再利用されていない。デザインもされていないと思われる。
ちなみにこの道具、洗脳手段として優秀なことから「改造しなくてもこれを使えば良くないか?」という疑問を持たれることもある。
アダー登場編の第3話以降は登場しなかったのも、実際に作劇的にアダーにとって便利すぎるアイテムであったからとも考えられる。
しかし、実際にはこの虫笛を聞いた外国甲虫は何度か洗脳を解除されていることや肉体の強化は出来ないと思われるため、通常は肉体改造による洗脳の方が性能が良いのかもしれない。実際、この時はハンデとしてアダーの虫にダメージが事前に入っている。
「誰も見たことが無い」という設定などから、アダーにとっても万が一の事態を考えて他者に存在を隠していた緊急用の道具だったと見られる。
【アダーの手下】
アダーは甲虫を自ら改造して手先にしており、通常の甲虫とは違って赤く光る目が特徴となっている。「赤い目のムシ」や「赤目甲虫」や「アダー甲虫」とも呼ばれる。
手先になる虫はカブトムシやクワガタムシだが、実際にはスズメバチなども洗脳しており、基本的に全ての虫の改造可能だと思われる。
洗脳手段は上述したように「身体改造」「光線」「虫笛を聞かせる」の3パターンが確認されている。
洗脳下に置かれた甲虫はアダーの命令に忠実になり、どんな無茶な命令にも忠実になる。
一方で、徹底的に下僕として忠実な者やポポを倒すことしか考えられないと言い出す者もいれば、洗脳下の割には自己意識が残っていそうな者やアダーの作戦に疑問や不満を訴える者もいるなど洗脳の度合いには個体差が見られる。
言動も普通に喋る者もいれば露骨に片言の喋り方になる者もいる。
一応改造甲虫は設定上はスペックも上がっているはずなのだが、実際にゲーム上の数値も向上している例は一部の改造甲虫しか見られない。アダーコレクションも能力値は通常版と同じ。
ゲームにはこの辺りの設定は深く反映されていない可能性が高いが、アダー登場編で「やはり小さいムシはダメじゃな…」や「わしの言うことを聞くようにほんの少し手術をしただけ」と煽るようにポポに説明していたが、実際にこの言動が本当に文字通りでストーリー序盤のムシは洗脳程度の手術だった可能性も考えられる。
洗脳状態のムシは基本的に体力が尽きることで洗脳から開放される描写が見られる。
しかし、アダーの洗脳手段が多彩かつ手軽なので、アダーがそのムシを完全に見放さない限りは何度も再洗脳される。
アダー完結編ではムシキング達に倒されて洗脳から開放された一部の外国甲虫が『革命軍』という徒党を組み、ポポの仲間としてアダーの改造甲虫と戦いを繰り広げた。
だが、アダーの手下の扱いが雑なこともあり、倒した時点で絶命してしまうと思われるムシも見当たる。
ちなみに余談だが、最初期はアダーの手先とされている外国甲虫は赤目になっておらず、改造甲虫の外見に関する設定は2004以降のシリーズの後付け設定だったりする。
そのため、アダー登場編ではポポが「ムシに何をしたの!?」とアダーに聞くシーンがあるが、当初の設定では本当に何があったのかポポから分かる要素はなかったのである。
この辺りの設定変更の名残は、初期のOPやあらすじの外国甲虫の説明が「力が強く乱暴」という説明で済まされている辺りに残っている。
アダーの代表的な改造甲虫
ストーリー上において重要な役割を持つ甲虫について記述する。
アダー登場編第2話の門番
アダーの屋敷の入り口を防衛していた小型甲虫と中型甲虫の2匹。ゲーム的には前者が「さいしょのてき」で後者が「2ばんめのてき」。
ポポがやってくると帰るように強気に警告してきた後に襲ってくるが、倒すとどこか晴れ晴れとした様子で力尽きる。
これ以降3番目の敵~最後の敵においてポポが敗北しかけると一度だけ再登場する展開が発生し、ポポのムシの身代わりに攻撃を受けて彼らへのエールと共に力尽きる。
アダー登場編第3話のさいしょのてき
アダー登場編第2話で牢獄に投獄されたアダーが、檻を破壊する為に虫笛で洗脳して脱出を手伝わせた大型甲虫。
どの大型甲虫が選ばれるかはランダムだが、
ニンテンドーDSへの移植版『スーパーコレクション』ではオウゴンオニクワガタに固定されている。
わざカードがカスタマイズされていないことや最終決戦では自らがプレイヤーにヒントを与えるため、第3話においては意図的に難易度が低い敵となっている。
牢獄をかなり無理矢理破壊したようで負傷した状態で洗脳から開放されていたが、アダーの虫笛が遠くから聞こえたことで再度洗脳されてポポ達に襲い掛かる。
トドメを刺さずにアゲハチョウで回復してくれたポポに恩義を感じ、彼をアダーの隠れ家まで連れて行った後に他のムシ達を説得するが、拒絶されてまたもや負傷させられる。
最終的にアダーに再洗脳されてポポに襲い掛かるが、洗脳に抵抗しながら何とかわざと負けるようにポポのムシと戦い、敗北後は燃える隠れ家のドアを無理矢理破壊してポポの脱出と彼に森の住民に避難を指示するように促して力尽きた。
ドアに潰された後はポポの叫びに応じることはなく絶命が示唆され、第4話では亡骸と化した足のみがうっすらと見えているがそのまま燃え尽きたと思われる。
改造コーカサスオオカブト
復活の森編においてアダーが最終兵器として成虫前から育てていた特別なコーカサスオオカブト。
通常のコーカサスよりも体格が大きく、出身地設定もゲーム上のスマトラ島ではない「アダー工場」となっており、アダー工場の場所を考えれば事実上日本出身のコーカサスということになる。
アダー完結編における言動から察するに、性格もアダーが育ての親と言うこともあって彼に忠実である。
アダーが化け物と評するだけあって羽が固まった際は通常のムシキングのゲームシステムを超えた強さ設定になり、当時のプレイヤーを唖然とさせた。
ただし、復活の森編をリメイクしたオムニバス「かいぞう甲虫」ではベースのコーカサスの性格設定の違いや数値の上昇の弱体化で元ネタ程の強さは持っていない。
ヘルクレスエクアトリアヌスブルー
アダーが「ごみの森」で一番最初に出会った人間に捨てられた外国甲虫であり、アダー完結編及びアダー登場編から続いたムシキングシリーズのラスボス。
ある意味アダーにとってはポポにとってのムシキングのような相棒のはずなのだが、粗雑に扱った結果としてアダーは命を奪われるという重すぎるしっぺ返しを受けた。
暴走状態をポポ達に止められて力尽きた後の詳細は不明だが、アダーから解放されたので故郷に帰る意思を見せていた。
最終決戦におけるエクアトリアヌスブルーの設定はゲームスペック的にもムシキングシリーズの最強クラスの敵として知られている。
とあるカブトムシ
実はアダーが甲虫の強化改造を研究した結果として生み出された最初の改造甲虫となったカブトムシがいるが、その名前は「ムシキング」。
ムシキングが体長88mmで通常のカブトムシよりも大きかった理由も改造甲虫だからであり、アダーの光線を受けても激痛こそ感じても洗脳までは至らなかった結果も既に改造済みだったことが影響したとも推測されている。
まだアダーに野心がなかった時期の強化改造であるためか思想の改造までは行われておらず、その後はポポの森に住み着いていた。
ちなみにこの設定はムシキングの異様なスペックに説明が付いている一方、作中では因縁の相手なのに互いにそれを示すような描写がないことから、後付け設定ではないかという邪推もある。
ただ、アダー登場編においてアダーが意味深にムシキングの力を見せるように煽るような台詞などもあるので、それが因縁の伏線だったと考えられなくもない。
アダーコレクション
これらの改造甲虫は、ゲームにおいては「アダーコレクション」としてカード化している。
使用するとアダーの手下として出現する特別な演出が見られる…が、ストーリーにおいて使うとポポの仲間として戦うので色々と矛盾が出てしまう。これは最初の敵が出てきた後にカードをスキャンするシステム上の都合であるが……。
また、アダー完結編で使用するとアダー側の専用ストーリーが見れるほか、『ムシキングバトル 合虫ガッツ!!』で互換性のあるアダーコレクションはアダー完結編カードと同レベルの強さになっている。
【劇中の活躍】
最初期~アダー登場編
本編前にポポとも仲良く過ごしていたが、悪いことをしていたので森の妖精たちから追放される。
アダーが森から姿を消した後、ポポがいる昔の日本のとある森で、人間が連れてきた見慣れない外国甲虫が暴れていた。
ポポに協力する甲虫がこれらを打ち破るが、ある大型甲虫が倒れる際にアダーに許しを請うかのような独り言を呟いて力尽きた。
それから一時的に森に平和が戻った思いきや、再び森に現れた小型の外国甲虫がポポ達に倒されると出現。
ポポに外国甲虫を従えて森を荒らしていたことを気付かせるが、大型甲虫が倒されたところで人間による森の環境破壊や生態系破壊を訴えながら荒らし行為を止めないことを宣言して魔法で逃亡。
その後も森を外国産の大型甲虫で荒らしまわるが、ポポに隠れ家の屋敷を突き止められると手下のムシをポポの仲間の甲虫に撃破され、魔法での逃走もポポの必死の体当たりで失敗。
ポポに取り押さえられたアダーは杖も叩き折られると気力を失ったのか気絶し、森の平和が戻ってきた。
ポポに気絶させられた後のアダーは森の木の中の牢獄に収容されていたが、隠し持っていた虫笛から檻の外の外国の大型甲虫を洗脳して無理矢理檻を破壊させて逃走。
砦の秘密の部屋を拠点にしていたが、檻を破壊させた大型甲虫がポポの味方になったことで居場所を突き止められる。
秘密の部屋においてアダーは大型甲虫をポポに次々と送り込むが、ポポの仲間達に撃破されると「本当の力を見せてやる」と言い始めながら屋敷に放火を開始。
更にポポを連れてきた大型甲虫を光線で再洗脳して叩き起こしてポポの敵として仕向け、燃える部屋の扉を閉じてポポを焼き殺そうとして立ち去った。
ポポを閉じ込めたアダーは大木の上で光線を振り撒きながら山火事を拡大させていたが、大型甲虫やムシキングの助力で脱出に成功したポポが向かってきたことで3匹の大型甲虫で対抗する。
3匹の手下の大型甲虫すらも山火事を起こすアダーの作戦に疑問を抱きながらムシキングの前に力尽きると、悪あがきとしてムシキングに洗脳光線を浴びせる。
ところが光線はムシキングに激痛こそ与えるが洗脳は出来ず、激痛を振りほどいて突進してきたムシキングと共に火の海の中に消えるのだった。
復活の森編
火の海に投げ込まれて流石に死んでもおかしくないと思われたアダーだったが、山火事後の森でもアダーの手下の外国甲虫が活動を続ける。
アダーは顔に傷を負いながらも何故か生き延びており、山火事の焼け跡地である「くろいもり」の地下で基地を築いてそこで洗脳下の甲虫がポポに対する勝利を確信するような恐ろしい研究を行っていた。
情報を掴んで基地に突撃してきたポポに対し、アダーは「最終兵器」と称して蛹からコーカサスオオカブトの改造と育成をしていた。
コーカサスを羽化させるアダーだが羽化したばかりで動きがままならない様子を見ると時間稼ぎにポポの仲間の甲虫に次々と捨て駒のように手下の甲虫を送り込む。
一度は不完全なままコーカサスを出撃させて体力を削ってしまうこともあったが、太陽の光を利用して体力の回復と羽の硬化を行いながらついに改造コーカサスオオカブトを完成させる。
あまりにも滅茶苦茶なコーカサスの力を増す姿に有頂天になるアダーだったが、ポポの仲間の甲虫の必死の戦いで改造コーカサスオオカブト完全体が撃破される。
ポポが改造コーカサスを倒した歓喜に震える中、計画が崩壊したアダーは捨て台詞を吐きながら魔法で逃走するのだった。
アダーの計画編
改造コーカサスの撃破後にしばらく身を潜めていて手下も送らなかったらしく、ポポの森も山火事から長い年月を費やして元の豊かさを復興。
ところが復活した森は日本では咲かないような花が見え始めるなど異常な生態が確認され始めており、アダーは「熱帯の森」と呼ばれる地域で力を蓄えていた。
熱帯の森を訪れたポポと再会したアダーは森の暑さによる環境で手下の甲虫が増えていることを明かし、そこで大量の外国甲虫の蛹を確保してかつての改造コーカサスのような育成をするための工場を建設していた。
工場から羽化したムシを送り込むも退けられたアダーはポポを「ごみの森」に案内し、「永遠に朽ち果てないプラスチックという木」を持ち込んだ人間による不法投棄の悲惨な実態を見せつけながらそこをポポの墓場にしようとする。
更にポポを壊れたブラウン管テレビの内部に誘導し、テレビ内部の有害な液体や壊れて落ちてくる部品によってポポとムシキングを陥れようとする。
ポポがテレビから脱出すると再度工場に戻って戦うが、手下がポポに苦戦していたことから羽化しない蛹に苛立ちを覚え始め、光線を降らせて蛹の虐待を初めて羽化を早めようとする。
虐待を続けた蛹の2匹は苦しみながらも羽化に成功するが、明らかに通常よりも羽化が早すぎたので羽化直後の戦闘力は低く、身体もぐったりとしていた。
それでも戦闘を強いられるので1匹は苦しさから許しを請うが、アダーはそれを冷淡に切り捨てて戦闘を続行させるも最終的に敗れ去ったため、工場と残りの蛹を放棄して魔法で逃走した。
アダーは撤退したが、パプアニューギニア(と思われる)の森にもアダーが残した改造甲虫が進出しており、異常気象で砂漠のように荒廃した森の環境と合わさってとんでもない事態になっていた…。
オムニバスオリジナルストーリー
アダーの計画編以降にストーリーが一時的に打ち切りになり、過去ストーリーのリメイクのようなオムニバス形式のゲームプレイに変わる中、追加されたオリジナルストーリー2本でもアダーの動向が描かれる。
これらは他のオムニバスのステージと異なってオリジナルストーリーとはなっているが、内容は簡素で過去のストーリーの素材を流用して繋ぎ合わせた形に近い。
時系列をあえて考えるのであれば、蛹に焦点が当たっていることからアダーの計画編とアダー完結編の間の一幕と推測される。
しろいはね
アダーとの戦いに備えて羽化したばかりのムシを育てるポポと甲虫を発見するが、完全体に向けて羽を固めていく生まれたての甲虫に手下を退けられてしまった。
さなぎきゅうしゅつ
工場で蛹の改造をしていたがポポに発見されてしまい、その中の2匹が解放されて羽化した末にポポ側のムシとして完全体になった事で工場を放棄しての撤退を強いられた。
ポポの冒険編
派生作品『甲虫王者ムシキング ポポの冒険編』においては、「アダーの計画編」時期のスピンオフと思われる第2話「ピピとアゲハチョウ」では、洗脳したスズメバチを使役してアゲハチョウなども誘拐している。
アダー完結編
ポポの仲間とアダーの軍勢の激突が続く中、アダーは日本甲虫も唆して改造を施してポポに仕向けるなど、陰湿さを増していた。
アダーの謎や森の危機がアダーの刺客から示唆され続ける最中、遺跡で自分自身と戦って鍛え上げたポポをアダーは最後の戦いとしてヘルクレスエクアトリアヌスブルーで迎え撃つ。
このエクアトリヌスブルーで にどと じゃまさせぬよう たおしてやるわ!
ところがエクアトリヌスブルーが一度ダウンさせられると、定番の洗脳光線を浴びせて再度復活するように促す。
しかし、苦痛に苦しむエクアトリヌスブルーがアダーの命令への拒絶の意志を示し、錯乱して岩に角を叩きつける。
するとポポの元に大量の岩のつぶてが飛んでくる光景を目にしたアダーは、何故か殺そうとしていたポポを咄嗟に庇って大量の岩を身代わりに受けて倒れた。
発狂したエクアトリヌスブルーとポポの仲間の戦いが繰り広げられる中、アダーの唐突な行動にポポは困惑しながらも駆け寄って質問を投げかける。
アダーの身体が光の粒子になる中、アダーは自分に息子がいたことやその息子が人間の仕業で命を落としたことなどを告白。
何故かアダーが敵のポポを咄嗟に庇ったのは、その姿がかつて亡くなった息子と重なって見えたからだった。
アダーは己の最期が近付く最中、自身の凶行を悔やんでポポに謝罪すると同時に激励の言葉やもっと世界を知って強くなるようにと遺言を残し、完全に光の粒子となって月の浮かぶ夜空に向かって消えていったのだった。
アダーの死後に外国甲虫は生まれた故郷の森に帰っていくことになったが、アダーの経歴と末路は彼らにアダーのような妖精が二度と出てこないように決意させることになる。
新甲虫王者ムシキング
基本的に『新甲虫王者ムシキング』は旧シリーズと世界観が異なるため、アダーは直接は出てこない。
しかし、本作に出てくる赤い目の甲虫はアダーの改造甲虫と酷似した容姿を持つが、この甲虫の正体は「遠い昔にある男によって生み出された」「森を守るために生み出された」と関連性が示唆されている。
また、古代の民とされるポポに似た姿をしたカナトは、かつて「ブラック甲虫を作った男の悪意」を身に取り込んで封印されていたらしいが、真相は明かされていない。
【他媒体】
各アニメ版にもアダーは登場しているが、それぞれゲーム版とは設定が異なる。
森の民の伝説
担当声優は同じで容姿もゲーム版をベースにしているが、設定に関しては完全な別人と化している。
赤い目をした改造甲虫を使役して森やその住民の命を奪っている点は原作をベースにしているが、原作と違って3人の手下を抱えている。
その正体はポポ達の住む星とは別の星からやってきた異星人及び宇宙人。要は森の関係者でもない。
居住する星を探していた際に不時着を起こしたことで意図していなかった星(『森の民の伝説』の世界)に留まることになってしまう。
そこで船に乗せていた生命を予定変更で不時着した星において解放、後に集団として強く繫栄出来たタイミングで彼らを襲って生命エネルギーを回収し、居住地探しを再開するという計画を企てていた。
しかし、ポポの抵抗や情報収集用の端末として生み出したパムの反発で目的は潰されることになり、結局はこの星に定住することとなる結末となった。
スーパーバトルムービー~闇の改造甲虫~
『森の民の伝説』版とは異なり、こちらは原作の設定や目的に近寄っている。
スズメバチを使役する描写など、原作のスピンオフの『ポポの冒険編』で描かれた設定なども採用されている。
しかし、アダーと人間の因縁の示唆という設定がオミットされて外国甲虫を直接攫って森を襲っているため、原作以上に純粋悪な敵と化している。
ただし、ゲーム版の公式説明でも一時期アダーが直接外国甲虫を連行しているような説明もあったため、そちらの設定を採用したのかもしれない。
改造コーカサスオオカブトを作り出すが、ムシキングと洗脳から開放されて反逆したヘルクレスリッキーブルーによって撃破され、失敗に終わった。
【余談】
- シリーズのキャラであるブラック博士と衣装が似ていることについて、ブラック博士を演じた植村比呂志はそのことをTwitter(現X)で指摘された際に同じ人間が考えたので似たことや発想がワンパターンと振り返っている。
デザインに関してはアダーの方が先に考案されたとのこと。
- 上述したようにアダーが「覚えておれ~!」と捨て台詞を叫びながら逃亡する結末は、シリーズの定番のオチとしてファンの間ではよくネタにされている。
しかし、一方で2006セカンドシリーズ以降はメインストーリーが一時的に進行が止まってしまい、代わりに用意された過去のストーリーをリメイク(というか流用)したオムニバス形式のストーリーの結末の全てがこの結末で固定されることになった。
また、このアダーの定番の逃亡オチはストーリーの停滞・よくない意味での長期化の原因としてシリーズの衰退に繋がったのではないかと見る批判的な意見もある。
- 人間を憎んでいるアダーだが、アダーコレクションやアダー完結編の改造コーカサスに関するアドバイスなど、人間のプレイヤーには割と説明は丁寧だったりもする。
- 名前を見た時に同社のゴールデンアックスのラスボスを思い出した 恐らく関係性は無さそうだが -- 名無しさん (2025-04-20 16:33:44)
- YouTubeか何かの動画でアダーの過去を初めて知りました -- 名無しさん (2025-04-22 00:33:42)
- 生きてこそ -- 名無しさん (2025-04-22 22:00:53)
最終更新:2025年04月22日 22:00