ニンテンドーDS

登録日:2016/03/09 Wed 00:06:44
更新日:2025/02/07 Fri 16:13:22
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Touch!




ニンテンドーDSとは、任天堂が発売した携帯型ゲーム機。


【解説】


2004年12月2日に発売された、任天堂の第六世代携帯型ゲーム機。

名称の『DS』とは『Dual Screen』という意味合いが込められている。20年くらい前には同じようにDSと縮められる『Disc System』があったことに触れてはならない
メーカー希望小売価格は14,286円(発売当時は総額表示につき税込15,000円となっている。)。

携帯機としてお手本中のお手本だったゲームボーイシリーズとは異なるコンセプトを持ったハードとして生まれた。
実際当初の任天堂もDSシリーズを『GBシリーズとは異なるハード』として戦略を練っていたという。
任天堂的には『据置機』『GBシリーズ』『DSシリーズ』という三本体制を表明していた。
GBシリーズはGBシリーズで正統派的な進化を試みていたのかもしれない。
要は、当時の任天堂としてもDSは「ある程度変化球としてのハード」として認識していたのだ。
なお、そのDSシリーズの開発が始まる前に、ゲームボーイアドバンスの次世代機の一案としてコードネーム「アイリス」というものがあった。
この「アイリス」が後に「NITRO」というコードネームとなり、DSとして結実することとなる。*1
DS本体や周辺機器の型番についている「NTR」はこのコードネームから取られている。

このような携帯機が生まれた背景には、第六世代当時のゲーム機市場の停滞感がある。

当時のゲーム市場は、徐々に衰退していくことを予感させる雰囲気があった。
単純なグラフィック競争の結果、中身が薄いムービーだけを垂れ流すようなソフトが散乱。
ゲーム人口は減少しており、ミリオンの売り上げを叩きだすソフトはPS2ですら前世代の5割程度
GBAも普及こそしていたが、ソフト売上は目立つキラーソフトもポケモン以外生まれず停滞していた。

さらに『ゲーム=オタク』という風潮が強くなり、ゲーム脳(笑)という科学的根拠を簡単に示せない考え方が、マスゴミマスメディアの働きによってゲームをしない層へ簡単に定着してしまう冬の時代だった。
スマートフォンやSwitch、もしくは実況動画などで「ゲーム」が身近にある今の世代にはイメージしにくいかもしれないが、当時は本当にこんな閉塞的な空気が蔓延していたのだ。

任天堂は、ゲーム人口の増加とグラフィック競争の打倒の思想を持つようになる。
そしてそれは、DS自体と「Touch! Generations」というDSの特徴を生かしたソフトシリーズによって示されることになった。

だが、発売前のゲーマー層からのDSの評価は大きく賛否分かれた。
折しも第六世代携帯ゲーム機の市場には、当時据置市場の絶対王者であるSCEが参入を表明
携帯機市場のハードシェア争いが厳しい戦いになるであろうことが予想されていた。
当初GBシリーズの正当進化を求めていた一部の任天堂ファンも、DSには否定的な立場の人が結構いた。

しかし、いざ世に発売されたDSシリーズは世界中を虜にしてしまった。

タッチ操作やマイクを生かしたポテンシャルを活かした、新しく独特なソフトたちは発売当初から多くの人々を虜にした。
普段ゲームをしない非ゲーマー層の人々にDSを購入させていき、発売当時は各所で品切れが発生。
そして脳トレブームに関連する『大人のDSトレーニング』シリーズや実用ソフト・学習用の非ゲームソフトもDSには導入されていった。
それこそ、非ゲーマーの人がゲーム機を指す際に使う『ファミコン』『プレステ』という単語に『DS』が仲間入りしてくるほどに。

爆発的なスピードで普及を進めたDSは、GBA時代より携帯機市場を拡大。
日本での販売台数は3299万台、全世界での販売台数は1億5401万台
もはや「異常」としか言えない売れ方で、最大クラスの普及台数を持つゲーム機の称号を手に入れる
これにより、携帯機市場に参入したSCEに対し、携帯機市場王者の座を見事守り通した。

恒例の発売前における情報競争戦……というかこのDSの電撃発表により直後のSCEの発表会に影響が出たと言われる、俗に『空白の17分』と呼ばれる事件を発生させているが……この事件の結末とその後は各自で調べてほしい。

上述した任天堂の三本柱戦略も良い意味で崩れさり、GBシリーズの流れをくんだ第二の携帯機は生まれなかった。
もっとも、DS自体が既にGBAとの互換性を保っていたのでユーザー側もそこまで気にしなかった。
(実際にGBA互換の搭載は、DSシリーズがGBAの流れを吸収することを想定していたらしい)

このDSにおける路線の成功は、据え置き機でもWiiが台頭するように、後の任天堂のハードに目覚ましい影響を与えることとなる。
DSの後継機ニンテンドー3DSは、大幅な機能拡張を施した後継機ニンテンドーDSiの流れを汲んでいる。

最終的にニンテンドーDSシリーズは、後のゲーム業界に大きな影響を与えた名機の一つと評価されることになった。


【ニンテンドーDSの特徴】


本体外観/メニュー画面

本体サイズはこれまでのGBAシリーズハードよりも巨大化

GBASPから引き続き折り畳む仕様となっており、持ち運びにも支障はない。
開くと、ゲーム&ウオッチを思い出すように画面が上下に一つずつ搭載されている。
タッチペンを収納するための穴も用意されており、タッチペンの出し入れが可能である。

カセット挿入部分は二つのスロットが用意されている(初代&Liteのみ)。
上のスロットにはDSシリーズのカセットを挿入し、下のスロットにGBAカセットを挿入可能。
GBAスロットに挿入して使用するDS専用の周辺機器も販売された(i&iLLは使用不可)。
DSスロットは次世代機の3DS用カセットは挿入不可能。

任天堂の携帯ゲーム機で初めてシステムメニューを導入し、また据え置き機含めてもデフォルトで電源投入即ゲーム起動ではなくメニュー画面が表示されるようになった。(設定で即ゲーム起動にもできる)
メニュー画面では上画面に内蔵時計やカレンダーが表示。
下画面では遊ぶソフト(DS・GBA・ピクトチャット)やダウンロードプレイ選択、本体設定などを行える。

タッチスクリーン/二画面

これまでのゲームハードの常識を崩壊させた、革新的な特徴。

これまでの携帯機の一画面から、上画面と下画面という風に二つの画面を搭載。
下画面は抵抗膜方式のタッチパネルとなっており、触りながらの直感的なプレイが可能となっている。
下画面にタッチするための専用タッチペンを搭載しているが、それ以外でのタッチも問題なく反応する。ただし同時タッチはない。

これによって、画面を触る形でゲームに干渉しながらのプレイが楽しめる。
名前入力などの、ボタン操作では面倒だった入力方法も簡単になった。
『ピクトチャット』などのように絵を書いたり『ファンタシースターZERO』のようなタッチチャットをゲーム中で行えるソフトも発売された。

発売前はコアゲーマーに評判の悪かった二画面も、使ってみると評価が一変した。
下画面でパネル操作をしたり、ステータス表示に使うなどの幅広い活用方法が出来た。
これで、場合によって邪魔になるステータス表示をプレイ画面から消せたり、
ボタン操作で戦いながら、操作パネルを使うなどの効率のよいプレイが可能となった。

このように携帯端末とタッチ操作の相性の良さを提示したDSは、後の携帯端末機器の操作をほとんど静電容量式タッチパネルに集約する=物理ボタンをほとんど排除するぐらいのブームを起こした
(一応DS以前もタッチ操作を投入した端末は存在するが、ここまで普及した端末はDSが初めてだった)

本体性能/機能

グラフィック性能は同世代のPSPには見劣りするが、前世代機より大きくパワーアップしている。

GBAでは扱うことが難しかった3Dポリゴンの描写が可能。
据置の第五世代ハードに近いレベルの3Dゲームを手のひらに収めることができるようになり、
特にNINTENDO64を代表するソフトの『スーパーマリオ64』の再現に成功している。
しかも3Dデータ等は流用せずに一からDS向けに作り直されており、オリジナルでは板ポリゴンであったコインやガサゴソなどが立体化されるなどポリゴン数も全体的に増加している。
一方で画面解像度の低さや、テクスチャのアンチエイリアス機能が無いためドット感が強いなど、劣化している部分もあって完全再現とは言い難い。

2次元描画に関してはGBAとほぼ同等の描画ユニットを2機持つ。
3Dユニットは1機なので、普通の使い方は「一方に3D描画・もう一方に2D描画」または「両画面に2D表示」。しかしフレームレートが半減して良ければ「両画面3D表示」も一応可能。

通信機能面はGBAシリーズから大幅に強化。
無線LANを内蔵し、Wi-Fiに繋いでニンテンドーWi-Fiコネクションによるネット対戦などが可能。
前世代までは周辺機器やワイヤレスアタプタに頼っていたが、それらも不必要で多人数プレイも出来る。
DSダウンロードプレイを使って体験版などで遊ぶことが出来た。

マイク機能も内在し、これを用いたDSソフトも存在する。
抜群なマイク感度という訳でもないので、変な認識をしても怒らない。

また、折り畳むとソフトを休止状態にするスリープ機能も搭載。
GBAでも一部のソフトに休止機能が搭載されていたが、DSでは本体の標準機能として搭載されあらゆるソフトが中断可能。
ゲームで遊んでいる時に邪魔が入って、一時的にDSを閉じるのはもはやお馴染みの光景。
実はこの機能ですらゲームの要素として活用しているソフトも存在する。
DSソフトから生まれたすれ違い通信は、スリープ状態で持ち運んでいると機能して、
ゲーム機で人と人との繋がりを実感させる要素として大ブームを起こした。

内蔵ソフトとして「ピクトチャット」がある。ゲームというよりは、タッチ機能を活かした通信チャットであるが、
これでパラパラ漫画を描いたり、鬼ごっこの新しい要素として導入する子供が出現。

さらに本体内蔵の時計機能など、GBAシリーズでは無かった新たな要素を次々と導入した。

ソフトメディア/パッケージ

GBAシリーズから引き続き、カセット型のソフトメディアを採用。

DSカードと呼ばれる、かなり小さいカセットとなる。
GBAシリーズのカセットからさらに小型化しており、思わず無くしてしまいそうである。
マスクROMとプレイヤーデータを記録するためのフラッシュメモリで構成。
DSソフト最大の容量は256MBほどとされる。

一方、ゲームソフトの小型化に対してパッケージは巨大化。

しかし、紙のパッケージでは無くなったので傷が目立つことは少なくなった。
その大きいパッケージを活かして、DSソフト以外にもGBAソフトも収納できる。

GBシリーズとの互換性

初代及びLiteはGBAシリーズとの互換性を保っている。

GBAソフトで遊ぶ場合はもちろん一画面表示だが、どちらの画面に表示するかは設定可能。
第四世代のポケットモンスターシリーズなど、GBAソフトと連動する(ダブルスロット)DS用ソフトも存在する。

ゲームボーイアドバンスSP用のACアダプタとも互換性を保ち、初代DSはそのまま流用できる。
ただし、GBA用の通信ケーブルなどは周辺機器は使用できず、通信プレイは無理。
カードeリーダーなども対応しているが、カードeリーダー+は物理的にLiteにのみ接続可能(通信機能は不可)。

GBAソフトで遊べんならGBソフトも遊べんじゃない?』と思うがそれは不可能。

DSシリーズはGB・GBC専用ソフトとの互換性は消滅している。
それは歴代GBシリーズで搭載していたプロセッサ(Z80系)を搭載していないとかいう技術的な問題であり、
さらに実際にスロットの内部にゲームボーイ専用ソフトを挿入させないための突起を設置している。
仮に無理矢理挿入したような状態にしても反応はしないから諦めろ。

もっとも、本家GBシリーズもゲームボーイミクロからはGB互換を物理的に諦めているしね。

ソフト展開

多数のソフトが世の中に販売され、名作からクソゲーまで幅広く生まれた。

キラータイトルのポケモンやドラクエ9の他に、ローンチタイトルの『スーパーマリオ64DS』をはじめとする過去に発売された名作のリメイク版も多数発売された。
ゲーマー向け以外にもタッチ操作を生かしたソフトや、ライト層向けの料理ソフトや頭脳ソフトが販売された。
一方、タッチ操作を無理矢理詰め込んだかのようなクソゲーも多数輩出された。

売上方面も活発であり、35本以上のミリオンソフトを輩出した。
国内売上で堂々の一位は『Newスーパーマリオブラザーズ』の649万本
任天堂以外にもスクエニ・レベルファイブ・バンナム・セガ などが奮闘した。

日本におけるDS最後の専用ソフトは『特命戦隊ゴーバスターズ』。まさかの特撮ヒーロー。
ゴーバスターズの発売日は2012年9月27日であり、初代販売日から7年9ヶ月。
普及台数の割には寿命はそこまで長くないが、後継機へのバトンタッチが容易に行われたからだろう。
ゴーバスターズも互換機能で3DSでも遊べるため、ハード最終作というイメージは薄い。
ちなみに一般販売された任天堂製タイトルに限ると『ポケットモンスター ブラック2・ホワイト2』(2012年6月23日発売)が最後。

DSにおける一部のソフトはWii Uのバーチャルコンソールでも配信された(現在はダウンロード不可)。
独特な操作系統を持つDSシリーズが据置機で配信されるようになったと考えると、なかなか凄い。
一部のソフトは実況動画の収録が容易になった。

主なソフトラインナップ


☆任天堂製タイトル

☆サードパーティ製タイトル


【DSのバリエーションハード】


ニンテンドーDS Lite

2006年3月2日に任天堂から発売された、DS最初の上位モデル。

Liteの名前の通り、初代からサイズを小型化させて本体重量も軽量化。
GBポケット・カラー・GBAと近いサイズになった。
本体を小型化させたのに対して、タッチペンは大きさをアップさせて持ちやすくしている。
しかし、小型化した弊害で初代よりも耐久性は低下した。
ボタン配置にも変更を行い、全体的に使いやすくなっている。

画面の液晶には、透過型カラーTFT液晶を採用。
大きさはそのままに、画面をより鮮明に明るく表示するようにレベルアップした。

バッテリー能力もパワーアップに成功。
従来のDSよりも充電時間を減らしただけではなく、稼働時間も向上して遊びやすくなった。

GBAとの互換性は保っているが、スロット部分が浅くなってしまいソフトがはみ出る。
上手く刺さなかったり、膝などではみ出たカセット部分に衝撃を与えると不具合の可能性もあるので注意。
そのことから、埃防止のための専用カバーを付属しているので、遊ばない時はこれを挿入しよう。
よくみると専用カバーにも基板はあるが、別に何らかの機能はない。
後のDSiではGBA互換機能を保てていないので、ポケモンDP〜BWユーザーの必需品とされている。

現在でもニンテンドーDS初期シリーズの一つの完成形として評価する声は多い。

ニンテンドーDSi/LL

DSシリーズの最終モデル兼後継機種。通常サイズと大型サイズのLLが販売された。

カメラ機能を搭載し、写真撮影を可能に。
音楽再生機能も標準搭載し、それに伴ってかスピーカーの性能も向上した。
SDHCメモリーカードにも対応した、SDカードスロットも搭載。これはカメラの写真保存などで使える。
インターネット接続で本体のアップデートも行える。

ニンテンドーDSi専用で遊べるダウンロード専売ソフト『ニンテンドーDSiウェア』が最大の新要素。
DSi専用のツールやダウンロードソフトを購入して遊ぶことができる。
このDSiウェアの搭載の結果、それを保存するためのフラッシュメモリが内蔵。

一概に上位機種とは呼べない部分もあり、GBAとの互換機能が削除。
その結果、GBAとの連動要素やスロットを用いたDSソフトでは遊べなくなる。
電池持続時間も短くなり、言語設定もなくなった。

DSiにおける新要素は、さらなる後継機である3DSに受け継がれた。





追記・修正は、ニンテンドーDSシリーズを購入してからお願いします。

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最終更新:2025年02月07日 16:13

*1 社長が訊く『メイドイン俺』 より