登録日:2025/11/15 Sat 04:12:01
更新日:2025/11/15 Sat 05:13:46NEW!
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※日本語未翻訳の作品のため、解説に意訳を含みます。
『
Noir-Lathotep』(ノワール=ラトホテプ)はリンダ・L・ドナヒュー(Linda L. Donahue)の
クトゥルフ神話小説。
米国の出版社Permuted Pressが2009年に出版した小説アンソロジー『Cthulhu Unbound』1巻に収録されている。
■概要
本作では、従来のナイアーラトホテプに相当する存在は「混沌」(Chaos)という名称で、「混沌」の1000ある様相の最初の一人に対する人間からの通称が「ナイアーラトホテプ」という設定。
「混沌」は様相の体に分散して存在しており、様相はそれぞれ個別の存在であると同時に、「混沌」という総体の一部としても機能している。
様相同士はお互いに番号で呼び合っている。基本的には他人であるため互いの存在は認識していながらも、細かい行動までは把握していない。
ただし、どれかが死ぬと他の様相も魂を引き裂かれるような痛みを受ける。
■あらすじ
アザトースを包み込む黄昏のエーテル内で微睡んていた「混沌」No.1 ナイアーラトホテプは、突如激しい痛みに起こされ、痛みの元に駆けつける。
そこはアーカムの探偵事務所で所長のジョナ・パリア、混沌No.71 茶色の男が死体となって横たわっていた。
ナイアーラトホテプが呆然としている間に、アーカム警察が駆け付け、ナイアーラトホテプは第一容疑者となるが、
偉大なる種族の宿った女性刑事ハリスが、彼が人間ではないことを見抜き他の警官を取り成して追い払う。
ハリスはナイアーラトホテプを疑いながらも説明を受け入れ、共に茶色の男を殺害した犯人を探す。
■登場人物
「混沌」の最初の様相。禿げた頭の初老の男性。人間そっくりの姿だが足は蹄となっている。
男性には強く出れるが、美女には弱く会話もしどろもどろになる。ハリスの美貌に惹かれ中身を知った上で好意を寄せる。
茶色の男の死体を発見以降、世界が白黒に見えるようになり当初は精神的ショックによるものと認識していたが、
宇宙からの色の活動を疑い、事件を追いながら色による地球滅亡の可能性も気に掛ける。
ジョナ・パリアの偽名でアーカムで探偵事務所を開いていた様相。
数世紀近く地球で過ごしており、ナイアーラトホテプからはほとんど人間と変わらないと認識されていたが、12の異次元で通用する魔術のシンボルを創り出した卓越した魔術の才能は認められており死を惜しまれた。
時間移動者の偉大なる種族が肉体として利用している女性刑事。偉大なる種族としての性自認も女性。茶色の男とは深い関係にあった様子。
ナイアーラトホテプからは大いなる種族は地球を捨てて去ったと認識されていたが、彼女個人は人間社会を好み、数世紀近く体を移し替えながら地球で過ごしている。本来のハリスは致命傷を受け死の寸前の状況で、同意の上で肉体を交換している。
機械はあまり好まず、肉体感覚を利用した調査を得意とする。
輝くトラペゾヘドロンに封じられた「混沌」のペット。「混沌」のどの様相にも従う。
トラペゾヘドロンは茶色の男が管理していたが、事件後には保管場所から紛失しており、闇をさまようものも野放しとなっていた。
茶色の男が下僕としていた人工生命体。
「混沌」No.30 黒い男に仕えていた魔女。
既に滅び去り、館も取り壊されたはずなのだが、彼女の使い魔ブラウン・ジェンキンの復活が確認され、後を追ったナイアーラトホテプは魔女の館に辿り着く。
茶色の男を殺害した犯人。見た目は成人男性。
人々に囁きかけ連続殺人犯や狂人や独裁者を生み出す活動を行なっており、真面目で善良な彼が犯人と知ったナイアーラトホテプは強いショックを受けた。
動機が下記の元凶への対処だったこともあり、ナイアーラトホテプはアーカムに残り茶色の男の探偵業を引き継ぐように処分を下したが、結果として彼とハリスがバティとして活動することになり強い嫉妬心を抱くことになる。
事件の真の元凶。
時空移動者を宿主として、存在する世界に住む全ての生物の知性→生命を貪り喰らい世界を滅ぼし渡り歩く不死身の寄生生物。
一度寄生されれば「混沌」でさえも抵抗は不可能で、茶色の男は寄生虫に敗北することを悟り狂気の声に介錯を任せていた。
茶色の男が死ぬ前に寄生虫はその能力を悪用して過去や未来、異次元に繋がるゲートをアーカム全域に発生させており、死んだはずのキザイアの出現はその影響。
ナイアーラトホテプは、想像以上の茶色の男の能力を知りその死をより惜しむこととなった。
追記・修正お願いします。
最終更新:2025年11月15日 05:13