アットウィキロゴ

UTAU

登録日:2026/02/07 Sat 18:17:05
更新日:2026/05/17 Sun 16:59:46
所要時間:約 23 分で読めます




UTAUとは、飴屋/菖蒲氏によって開発されたフリーの歌声合成ソフトである。
正式名称は「歌声合成ツールUTAU」。

概要

基本的にはVOCALOIDと同じく、任意の歌詞や音程を入力することで歌わせることが出来るソフトである。

しかしVOCALOIDと大きく異なる点は、音源のデータセットをユーザーが自作することで好きな声で歌わせることが出来るということ
最も単純な場合では「あ」「い」「う」「え」「お」……というように50音を録音したものをUTAUに取り込むことで、その声で任意の歌を歌わせられる。

また、ネット上にはUTAUで使用されることを前提に作成された音源データが無数に公開・配布されているため、
それらをダウンロードして使用することも可能。
なおAquesTalk*1から作成されたものがデフォルト音源として同梱されており、
UTAUのみをダウンロードした段階でも試しに歌わせてみることが出来る親切設計。

要は無料でVOCALOIDと同じことが出来るソフト…ではあるのだが、当然というかなんというか使いこなすのはより難易度が高いという欠点もある。
VOCALOIDはYAMAHAの特許技術により歌唱の音節接続をエンジンで行うが、UTAUの場合は全て手動で接続し調整する必要がある。
言わばVOCALOIDはオートマ車でUTAUはマニュアル車といったところか。
しかし調声次第ではVOCALOIDと全く遜色ない歌唱を見せてくれるため、ユーザーの手腕がより大きく反映されるソフトと言えるだろう。

VOCALOIDと同じく工夫次第でおしゃべりさせることも可能だが(HANASUと呼ばれる)、
歌唱を前提に作られたソフトなので滑らかに話させるのは難易度が高い。
それでもHANASU動画を量産しまくる投稿者もいるあたり「職人」の熱意とは本当に恐ろしいものである……。

また、使用する音源はUTAUで読み込める形式のデータでさえあれば良いので別に人間の声でなくとも構わない。
ピアノやギターなどの楽器の音に始まり、水や風による環境音、身の回りの家電や道具が立てる音、ホワイトノイズや正弦波を元に作成した音、果ては人間の声と動物の鳴き声を合体させたものなど、UTAU音源の世界はまさに奇々怪々である*2

開発経緯

2007年8月の初音ミクの発売以降、ネット上でVOCALOIDブームが巻き起こったことは余りにも有名である。
次第に動画投稿者たちは「自分の好きな声で歌わせることは出来ないものか?」と考え始めた。
そこで編み出された手法は、旧来の音声MAD動画のノウハウを応用して

既存の歌や話し声などの素材から音を切り出して集める

歌わせたい歌の通りに音を一つ一つ繋ぎ合わせ、音程を調節する

という「人力VOCALOID」と呼ばれたものであった。
しかし容易に想像がつく通りに、この方法はとてつもなく手間と時間が掛かるものでもあった。

それでも「職人」と呼ばれる動画投稿者たちによる人力VOCALOID動画が次々と作成されていたが、とある時に「ミリしら動画*3」の開祖として知られるLOLI.COM氏により「無料(タダ)で初音ミクを手に入れる方法」なる動画がUPされる(現在は削除済み)。
それは「自分の声50音×8音階分を録音してデータを配布するので、繋ぎ合わせれば自由自在に歌わせられるよ(笑)」という要はネタ動画だった。そもそも男声だし

しかし音声パーツ収集の手間が省けるだけでも有難かったということかあるいはただの悪ノリか、次第にこの音声データを使用した動画が作成されるようになり初音ミクになぞらえて「炉利音コム」と呼ばれるようになった。
飴屋/菖蒲氏も炉利音コム動画を作成していた1人であったが、その音源データ接続に途轍もなく手間が掛かる現状を打破するために「人力VOCALOID支援ツール」の開発をスタートした。
炉利音コムだけでなく任意で作成した音源も利用できるように作られたそのソフトは2008年3月6日に公開され、後にUTAUと名付けられた。

なお「人力VOCALOID支援ツール」を目指して開発されたUTAUであったが、「ソフトを利用して手軽に音を繋ぐ行為を『人力』と称して良いものか?」というジレンマから現在では「歌声合成ツール」の名を冠している*4

音源の形式や種類

UTAU音源の形式には大まかに以下のような種類がある。
表現の幅を広げるため、同一の音源キャラクターであっても複数種類の音源が用意されていることが珍しくない。

単独音

50音をそれぞれ録音した最もシンプルなもの。
これだけでも歌わせることは十分に可能ではあるが、音同士の接続にやや不自然さが出やすく、いわゆる「機械音声っぽい」声になりがち。

これは人間の発声というものは単に音を並べたものではなく、接続パターンによって音素間の移行部分に微妙な差異があるためである。
例えば「あか(aka)」と「いか(ika)」という言葉にはどちらも「か(ka)」が含まれるが、「あ(a)」から移行する「か(ka)」と「い(i)」から移行する「か(ka)」では微妙に発音が異なる。
これを解決するために考案されたのが後述の「連続音」である。

しかし扱いが最も簡便であるうえ、連続音が利用出来る音源でも敢えて「機械っぽい」声にしたい場合に利用されることもある。

連続音

単独音の弱点を解決するため、「前の音の母音+次の音」の単位で録音したもの。
例えば「たこやき」という言葉を組む場合、「た(ta)+あこ(ako)+おや(oya)+あき(aki)」といった具合。

音素間の移行で生じていた不自然さがかなり解消されており、単独音よりもナチュラルな歌唱を実現することが出来る。
しかし50音それぞれに頭に5種類の母音が付いたデータが必要となることから、総データ量が膨れ上がりやすいという問題点がある。

CVVC収録音源

単独音(子音+母音; CV)に「母音+子音」で構成されるVC音源を追加したもの。
「たこやき」の場合、単独音のみでは「た(ta)+こ(ko)+や(ya)+き(ki)」となるところを、
「た(ta)+ak+こ(ko)+oy+や(ya)+ak+き(ki)」というようにVC音源を間に挟むことによって音素間の移行を円滑化する。
CVVC音源は連続音と比較するとデータ量を抑えることが出来る一方、音同士の接続部が増えるために合成の手間が掛かるという難点もある。

拡張音源

表現に合わせて使い分けるために収録方法を工夫した複数種類の音源が用意されていることもある。
例えば重音テトの場合、「囁き音源」「力み音源」「叫び音源」「弱音源」「エッジ音源」「滑らか音源」などが存在する。
これらは表現技法による命名であり、形式は単独音だったり連続音だったりする。

UTAU音源キャラクターたち

UTAU音源は相応の設備さえあれば誰でも作ることが出来るため、その数は非常に多い。
2015年3月の時点で6000以上の音源が存在するとされていたが、さらに時間が経過した現在ではもはや誰にも把握しきれない程の総数になっていると考えられる。
全てを紹介するなどまず不可能なため、それなりの知名度がある音源に絞って紹介する。

なおVOCALOIDと同じくパラメータを操作することで声を幼くしたり性別を変えたり出来る機能がUTAUにも存在するが、
そうして作られる音源(g変キャラ音源と呼ばれる)はダウンロードしたユーザー側で調整して作成する必要がある場合と個別の音源として配布されている場合の両方が存在する。


以下、音源提供者については敬称略。

唄音(うたね)ウタ(デフォ子)

公開日は2008年3月6日。音源提供者はAquesTalkの女声1。
UTAUに最初から同梱されている音源であり、音源としての名称は「UTAUデフォルト」。
なので最初の試運転に使用された後は他の音源に役目を譲るつなぎ役……かと思われたが、「ゆっくり声」に酷似した機械チックな歌声がコアな人気を獲得し自然発生的にキャラデザが創作され唄音ウタというキャラ名が付けられた*5
一方でデフォルト音源であることに由来するデフォ子という呼び名も広く浸透しており、この2つの名前は基本的に同じキャラを指す。

デザイン細部は創作者によって違いが出ることも多いが、紫をメインカラーとしたクールな性格のロボ娘という設定は大体共通している。
最古のUTAUオリジナル曲の持ち主でもある。
同じくAquesTalkからサンプリングし作成されたデフォ妹(唄音オト)デフォ助デフォ太などの家族(?)が存在する。

重音(かさね)テト

公開日は2008年4月6日。音源提供者は小山乃舞世。
やや中性的な、少年のようにも聞こえる女声音源という独特な声質。
匿名掲示板のエイプリルフール企画で創作された偽VOCALOIDに端を発しUTAU音源が制作されたという数奇な誕生経緯を持つ。
ユーザーにより制作されたものとしては最古のUTAU音源であり、その高い知名度からUTAUへの注目と発展をもたらした原点にして頂点と言える存在。
後に15年という長き時を経てSynthesizer V音源に抜擢された彼女は合成音源界の勢力図を一変させるほどの存在にまで昇りつめることとなる。
詳細は該当項目を参照のこと。
g変して作られる男声バージョンは重音テッドと呼ばれる。

桃音(ももね)モモ

公開日は2008年5月25日。音源提供者は藤本萌々子。
柔らかい印象の女声音源であり、100%機械音声のデフォ子や肉声に機械加工を施している重音テトと比較してより人間の声に近いクリアな声で歌わせられる。
積極的な音源の開発がなされており、非常に多くの種類の音源ライブラリーが利用できる。
特に桃音モモで初めて導入された連続音はその発声の滑らかさからUTAUに革命をもたらした。

キャラ設定としては家事手伝い&子守り用ロボットとされている。色々な動画に登場しているうちに「脚にジェットエンジンが付いていて飛行できる」だの「頭が外せる」だの家事用ロボに不要としか思えない二次設定が付け足されていった
デフォ子、重音テト、桃音モモはUTAU創設期を支えた音源であり、「UTAU3人娘」というユニット名で呼ばれることもある。
兄(ロボなので先行機?)の桃音モモタロウという男声音源も配布されているほか、専用音源こそ無いが姉の桃音モモエ、妹の桃音スモモなどのキャラクターも設定されている。

(とどろき)栄一(えいいち)

公開日は2008年7月19日。音源提供者はdk。
落ち着いた印象のバリトン~バス担当の男声音源。
UTAU黎明期では希少だった男声音源であり、テノール担当の穂歌ソラとともにUTAUの表現力の拡張に大きく貢献した。

実は名前と声以外に公式設定は無く、よく使用されるスーツを着込んだ黒髪の青年キャラはあくまで「代表デザイン」という扱い。
「お汁粉が好物」という設定も創作の過程で付加されたものである。
g変して少年風に調整したものは弟栄二(えいじ)と呼ばれる。

和音(なごね)マコ

公開日は2008年8月20日。音源提供者はまこなか。
名前の通りに和やかな印象の高音を特徴とする女声音源で和風のメロディーに合う。
好相性な天音ルナとのコンビは「天和」と呼ばれた。

キャラクターとしては忍者の家系に生まれたくノ一。
g変して作られる男声バージョンは和音マコトと呼ばれる。

穂歌(すいが)ソラ

公開日は2008年8月27日。音源提供者はyuu。
爽やかで優しげな声質であり、轟栄一と並んでUTAU黎明期の代表的な男声音源であった。
特に桃音モモに影響を受けて導入された連続音は、調声次第で人の歌唱とほぼ区別がつかない程のクオリティに仕上がることからユーザーを驚愕させた。

当初は名前も決まっていなかったが、公募により決定されたという珍しい経緯を持つ。
女声音源であり姉の穂歌サラも配布されている。

鉛音(なまりね)ピネ

公開日は2008年10月4日。音源提供者は宇宙電波受信P。
何て歌ってるか分からねえネタ系UTAU音源の元祖。
サンプリング元は普通の男声なのだが、機械加工を施しまくった末に宇宙人が喋っているかのような不可思議にも程がある音源として完成した。

その歌詞を聞き取ることは非常に難易度が高い……が、慣れるとある程度理解できるようになるようでその領域に到達した人の耳を「ピネ耳」と呼ぶらしい。
癖が強いというレベルではない超上級者向け音源(聞き手に対しても)だが、その前衛的過ぎる歌唱を見込まれて一部の動画に採用されている。

天音(あまね)ルナ

公開日は2008年10月10日。音源提供者は三日月。
ハッキリとした発声が印象的な女声音源であり、癖が無く汎用性が高い。
UTAU初の拡張音源である「強音源」は天音ルナにて初めて採用された。

キャラクター設定は人間に化けたウサギの妖怪。
UTAU獣人音源グループには入れられたり入れられなかったりするらしい。
g変して作られる男声バージョンは天音モノと呼ばれる。

揺歌(ゆりか)サユ

公開日は2008年11月11日。音源提供者はりく。
染み入るような美しいウィスパーボイスが特徴の女声音源であり、囁き声を活かした歌唱を得意とする。
パンダ型の耳当てがトレードマークのチャイナ娘。
男声バージョンである揺歌サイも配布されている。

白鐘(しろかね)ヒヨリ

公開日は2008年12月26日。音源提供者は白瀧。
やや舌足らずでクール系なロリボイスが持ち味。
拡張音源が豊富に用意されているため、表現の幅が広い。
公式サイトでは同じ音源提供者による白鐘ヒナタ白鐘ヒカリ白鐘ヒメカ白鐘ヒスイ白鐘ヒサギの白鐘家音源がまとめて配布されている。

欲音(よくね)ルコ

女声音源公開日は2008年12月28日。音源提供者は日勝ゆう。
男声音源公開日は2010年6月5日。音源提供者は雷地ゆう。
重音テトと同じ匿名掲示板にて創作された釣り用偽VOCALOID(通称VIPPALOID)の第2弾。
安価により設定が決定された結果、「身長197cm」「12歳」「両性具有」「オッドアイ」「衣装はマイクロビキニ」「好物はコーヒー納豆*6」とテトをも上回るカオスな設定のキャラクターに仕上がった。

性別を反映して男声音源と女声音源の両方が制作され、同一キャラで2種類を使用可能。
女声音源は落ち着いた印象のお姉さん風で、しっとりした気だるげな声質。
男声音源は打って変わって激しく力強い声で、ロック系の歌に適性が高い。

波音(なみね)リツ

公開日は2009年1月31日。音源提供者はカノン。
愛称は「りっちゃん」。
VIPPALOID第3弾で、「6歳」「男の娘」「体重25トン」とこれまたカオスに過ぎる設定の持ち主。

当初はどちらかというと穏やかな印象の声であったが、後に発表された「強音源」が力強い歌唱に適していたことからパワー系の女性ボーカルという立ち位置に変化していった。男の娘だけどな!
特に2012年に発表された「キレ音源*7」は突き抜けるような力強い高音ボイスを滑らかに歌わせることが出来、連続音と並んでUTAUの革命と称された。
現在ではVOICEVOXなど計8種類ものエンジンに実装されている人気キャラ。

春歌(はるか)ナナ

公開日は2009年1月31日。音源提供者はななひら。
元気いっぱいの女の子といった印象の声。
「妹系ボイス」に定評のある歌い手である中の人の声質が見事に反映されており、ロリボイス系UTAU音源の中でも特に有名なものの1つ。
後にVOICEVOXにも実装された。

鈍歌(どんか)フィヨードッ

公開日は2009年4月1日。音源提供者はmx。
何て歌ってるか分からねえUTAU音源界の不動のトップ。
海外で制作された音源の1つなのだが、エイプリルフールのジョークとして音源ライブラリーに呻き声や叫び声、機械音、騒音、その他諸々良く分からない音を無造作に詰め込まれて作成された。

鉛音ピネは聞き取る難易度が高いとはいえ歌わせること自体は可能だが、鈍歌フィヨードッはそもそもまともな歌に組み上げること自体が至難の業。
それでも使えそうな音の箇所を見出して何とか歌わせようと試みる猛者が続出した。

雪歌(せっか)ユフ

公開日は2009年7月31日。音源提供者は浮揚六花。
独特な色気のあるウィスパーボイスが持ち味の女声音源であり、UTAUの囁き声系キャラではトップの有名さ。
同じくウィスパーボイスを特徴とする揺歌サユとのコンビ「雪パンダ」は鉄板。

戯歌(ぎが)ラカン

公開日は2009年8月23日。音源提供者は巽。
渋く重々しさのあるダンディーな低音が魅力の男声音源。
キャラクターは恰幅の良い体形のライオンの獣人であり、その溢れ出る貫禄から数多いUTAU獣人音源たちのリーダーのように扱われることもある。

ルーク

公開日は2009年11月17日。音源提供者はゆうじ。
この音源は本来ならば欲音ルコ男声音源となる予定だったものに別のキャラクターを与えたことで生まれた。
欲音ルコはその設定から男女両方の音源を作ることとなったが、男声音源の中の人として内定していた人物が完成前に行方不明となってしまい、長らく男声音源は未実装のままとなっていた。
そこで欲音ルコ制作スレ主を代理として立てて音源収録まで行い後は配布するだけ……というところで本来の男声音源の中の人が帰還し、予定通りの欲音ルコ男声音源を制作しそちらが実装された。
代理の音源は宙に浮く形となってしまったが、折角なので「ルーク」と名を付け派生キャラとして配布することとなった。

声質としては優しめで穏やかな感じで、ルコ男声音源よりも高めの音域を得意とする。
キャラクターとしては犬の姿に変身する能力を持った細身の青年。
ルコ(身長197cm)より少し背が低いことに悩んでシークレットシューズなどで誤魔化しているという謎のこだわりを持っている。

根音(ねね)ネネ

公開日は2009年12月22日。音源提供者は娘細胞P。
「歌う植物」という前代未聞のUTAU音源キャラ。
体と顔はセーラー服を着たおかっぱ頭の女の子だが右手は巨大な花、下半身は植物の根そのままとなっており這いずりながら動くという異形娘。
しかし歌声は幼い印象の愛らしい声質であり、強烈なキャラデザとのギャップからかコアな人気を誇る。

櫻歌(おうか)ミコ

公開日は2009年12月24日。音源提供者は赤乃みずき。
元は波音リツの中の人候補であったうち、採用されなかった方を別キャラとして独立させたもの。

舌足らずで愛らしい「第一形態」とハッキリと大人びた印象の「第二形態」の大きく分けて2種類の音源があり、それぞれに拡張音源も存在する。
ニホンオオカミ獣人の女の子でどこかに仲間が生き残っていると信じているらしい。
ルークと並んでVIPPALOIDに含められる場合もある。
後にVOICEVOXにも実装された。

キツネツキ氏により制作されたMMDモデルがVRChatアバターとして大流行したため知名度が向上。
クラウドファンディング企画によりVOCALOID6として製品化されることが決定した。

松田(まつだ)っぽいよ

公開日は2010年3月20日。音源提供者は松田トキ。
低音では気だるげでアンニュイな印象、高音では爽やかなスカッとした印象と様々な表情を見せ、声質のカッコ良さから非常に人気が高い男性音源の1つ。
拡張音源も豊富に用意されておりあらゆる曲に合わせられる汎用性も魅力である。
過去に惜しまれながらも配布終了したが数年後に配布再開された珍しい経歴の持ち主。
なお「松田爽汰」というキャラ名も設定されているが、松田っぽいよという音源名で呼ばれることの方が圧倒的に多い。

女声バージョンであり妹の松田っぽいね(キャラ名は松田甘露)も配布されている。
いずれも中の人は女性なのでどちらかというと松田っぽいよの方が松田っぽいねの男声版と考えるべきか。松田っぽいねの方が身長が高いらしい

獣音(けものね)ロウ(式狼縁(しきろうえん))

公開日は2010年3月25日。音源提供者はゲッダンマスターP。
変声期の少年のような真っすぐで元気の良い爽やかな声質の男声音源。
キャラクターは水色の毛並みを持つ狼の獣人。

企業のPRキャラとして抜擢されたり、山形県応援キャラに任命されたりと大変精力的に活動しており、商業活動する際は「式狼縁」という本名で呼ばれる*8
2024年には獣人キャラとしては初のVOCALOIDデビューを果たし、全国の獣人音源キャラマニアたちを歓喜させた。

健音(すこね)テイ

公開日は2010年6月21日。音源提供者は加古二葉。
愛称は「すこってい」。
VIPPALOID第4弾であり、重音テト、欲音ルコ、波音リツと合わせた計4人が狭義のVIPPALOIDとされる*9
先輩の3人と異なり銀髪ロングがチャームポイントの理系女子大生という無難な設定に落ち着いた……と思ったら性格面で「病的に鏡音レンを偏愛するヤンデレ」という強烈な設定が付けられてしまった。

声質はややウィスパー系の甘く響く美しい正統派女声音源なのだが、前述のヤンデレ設定の影響で物騒な歌詞の曲に採用される頻度が高い。
彼女のために書き下ろされた「手首を骨ごとジョッキリ」という曲はインパクト抜群のタイトルと衝撃的な内容の歌詞から代名詞的な存在である。
g変にて作られる男声音源バージョンは健音テイルと呼ばれる。

(ひびき)震路(しんじ)

公開日は2010年8月12日。音源提供者は大野。
ヴィジュアル系バンドでボーカルとして活動しているという設定の男声音源。
設定どおりにV系歌手をイメージして録音されており、独特の芝居がかったような仰々しい歌い方をする個性派。
そのカッコつけたような特異な歌唱スタイルから出演動画では「うぜえw」と愛に満ちたコメントが贈られることがお決まりとなっている。コーレスのようなもので本当にウザがられているわけではないので注意

滲音(にじみね)かこい

公開日は2012年1月22日。音源提供者は灯下はこ、。
独特のふんわりした印象の女声音源で、人間の声のようなリアルさと機械チックな無機質さの狭間に位置する名状しがたい不思議な声質。
キャラクターも頭にアンテナが生えて口にチャックがあり、4本腕をポンチョで隠しているというアーティスティックなデザインの異形娘であり、声質も相まって独特な世界観を構築している。
その唯一無二の声を活かし、不思議な世界を表現したオリジナル曲への採用が多い。

著名なUTAU異形娘同士ということで根音ネネとのコンビがしばしば見られる。
しかし滲音かこいのキャラはをイメージしており*10、植物なら何でも食料と見なす面が公式設定にて仄めかされていることから
隙を見て根音ネネをかじろうとしてビビられる」といった仲が良いのか悪いのか分からない関係性が描かれることも。

歌幡(がはた)メイジ

公開日は2012年8月8日。音源提供者はサキュ。
のびやかで落ち着いた印象のお姉さん風の女声音源。
複数種類の拡張音源があり、スウィートな声やパワフルな声などどれも感情が籠った歌声でクオリティが高い。
その素晴らしい完成度からクリプトン社のVOCALOID音声収録の参考にされたほど。

キャラとしては「ヒロインに憧れるちょっぴり夢想家な魔女」とのこと。
フリル服の店「リフルシャッフル」のコラボキャラクターでもある。

2019年に配布終了し人気の高い音源ながら長らく入手方法が無かったが、
2025年にDiffSingerモデルとして復活を遂げた。

ネウマフ

公開日は2012年9月30日。音源提供者はmak。
なんと人間の子音とネコの鳴き声の母音を合成して作成されたキメラ音源。
元になったネコの性別は明らかにされていないので男声なのか女声なのかは不明。

その甲高く可愛らしい特徴的な声質にはファンも多く、様々な曲に使用されている。
上手く歌わせるにはテクニックを要する上級者向け音源だが、ネコ愛があれば使いこなせるようになることだろう。

闇音(やみね)レンリ

公開日は2014年9月28日。音源提供者はゆずり。
楚々とした可憐で美しい声質が特徴の女声音源で、調声次第で肉声と全く遜色ないほどの歌声となる。
キャラはピンク色のロングヘアが特徴の女の子。

後に申請すれば追加購入無しで使用出来るSynthesizer V用音源として実装された。
「闇」という名前の割に正統派過ぎるキャラデザと声質で他のUTAU音源にインパクトで負けがち

カゼヒキゲキヤク

カゼヒキ公開日は2015年11月6日。ゲキヤク公開日は2016年6月21日。
いずれも音源提供者はくるくる数字。
カゼヒキは掠れたような声質が特徴の少年声*11
ゲキヤクはパワーがありはきはきした印象の少女声。
汎用的なものから癖強めのものまで多様な拡張音源が配布されている。
音源提供者本人によりデザインされた独特なタッチのキャラクターも人気。

両者とも2023年にVX-βの実証実験用ボイスバンクに選出され、翌2024年にはVOCALOID6として正式に製品化され発売された。

足立(あだち)レイ

公開日は2018年6月18日。
正弦波(sin波、ピー音とも)を人間の声っぽく聞こえるよう合成した完全人工音声であるため、提供者はなし。
二次元の世界に飛び込めないならば向こうを三次元に引きずり出してやれば良いじゃないか!」というそうはならんやろな発想に至ったエンジニア「みさいる」氏が量産化を意識したテストベッドとして制作した美少女ロボット「足立レイ」の声として開発されたもの。
「ちょっとロボ感があるアニメキャラの少女みたいな声」を目指して作られており、
デフォ子とはまた方向性の異なる機械っぽさがありながらも無生物音源の中でもかなり聞き取りやすい部類の音源である。
声部分だけがUTAU音源として提供されている傍ら、本体機である「足立レイ」自体は現在もみさいる氏の研究室にて開発中である。

エンジンとしてA.I.VOICEを使用した読み上げソフトも一般販売されている。
2025年11月にはクラウドファンディングによるVOCALOID化企画が発表され、スタートから24時間足らずで当初設定されていた第三目標1000万円まであっさりと達成。
第6目標3500万円まで追加されるも全て達成しさらに1200万円以上オーバーするという大成功企画となった。

詳しくは個別項目を参照。

ナースロボ_タイプT

公開日は2018年12月2日。音源提供者は松尾粥(捨て犬A)。
愛称は「TTちゃん」。デザイン及び音源提供者は中国の方である。
静かで優しい印象の少女声で、あらゆるジャンルの曲に合う。
Coefont、COEIROINK、VOICEVOXなどにも実装されていたが、2025年にはVOCALOID6として製品化された。

名前は表記ゆれが激しいが、「ナースロボ」の後は全角アンダーバー、「T」は全角が公式とのこと。
なお音源配布サイトである「倉成町私立病院」は何故か微妙にホラーテイストである。


日本国外におけるUTAU

実はUTAU音源キャラは海外において非常に知名度・人気が高いものが多い。
例えば多言語対応ボカロ曲データベースサイト「VocaDB」では年末にその年の音源ごとの採用曲リリース数がランキング形式で発表されているが、
2025年では唄音ウタことデフォ子が1990曲で総合7位となっているほか、Top100にも商業音源に混ざってUTAU音源がちらほらランクインしている。

これは日本においてボカロブームが巻き起こった際に海外では初音ミクなどの「キャラクター・ボーカル・シリーズ」のVOCALOIDを入手することが出来ず、代わりとしてフリーソフトであるUTAUが進出したためである。
後に初音ミクたちも海外で発売されたが、ファーストインパクトであったUTAU音源たちの築いた人気の地盤は非常に強く、今も影響を及ぼし続けているのである。
UTAU音源キャラの動画やファンアートなどに外国語のコメントがしばしば見られるのもこのため。
重音テトが製品化され大ブレイクを果たした際には、海外において培われた人気も大きく後押ししたとされている。

またリアルな歌唱で一躍脚光を浴びたSynthesizer Vは開発者が以前制作したUTAU支援ツールMoresamplerを叩き台として作られているほか、
発展性に限界の来た本家UTAUに代わり、既存のUTAU音源のみならずENUNUやDiffSinger、VOICEVOXの音源モデルも使用出来る全く新しいソフト「OpenUtau」が海外ユーザー主導で開発されるなど、UTAUが合成音源文化のグローバル化・発展において果たした貢献は非常に大きいと言えるだろう。


要注意点

当然ながら、UTAU音源は提供者の同意を得ることなく公開・配布してはいけない。
アニメや音楽からサンプリングして作った音源も著作権などの問題から私的使用までに留めるべきだろう。

また、UTAU音源とそのキャラクターには必ず利用規約が存在する。
使用する場合には必ず熟読した上で規約に違反しない範疇で行うこと。

追記・修正は世の全てのUTAU音源を集めきった方にお願いします。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

最終更新:2026年05月17日 16:59

*1 いわゆる「ゆっくり声」の元となったソフトで、中の人がいない100%機械から作られた声。

*2 人間の声以外のものをベースに作成された音源は「無生物音源」と総称される。

*3 投稿者が内容を全く知らないアニメなどに対して、当てずっぽうで無茶苦茶なアフレコを付けた動画

*4 UTAUを用いて人力VOCALOIDと同様の作業を行うことは「UTAU式人力」などと呼ばれて区別されている模様。

*5 そのためUTAUキャラとしては珍しく明確な誕生日が不明。現在では音源が動画でお披露目された2月5日~UTAUリリース日の3月6日を誕生祭として祝い続ける向きがある模様。

*6 余談だが、コーヒーに漬けた大豆を発酵させ匂いを抑えたコーヒー納豆と呼ばれる食品は後に現実世界に登場している。

*7 高音は力強く、低音は弱めに録音されたもの。なおキレ音源という名称は安価で適当に決められたもので特に深い意味は無い。

*8 UTAU音源としての獣音ロウという名は「芸名」という設定らしい。

*9 広義では派生キャラの重音テッド、ルーク、櫻歌ミコなどを含むこともある。

*10 最大の特徴である4本腕は、昆虫をイメージして手足合計6本になるようにしたとのこと。

*11 提供者が鼻風邪をひいた時に録音したとのこと。