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SCP-1422-JP

登録日:2026/05/30 Sat 00:05:52
更新日:2026/05/31 Sun 22:06:20
所要時間:約 8 分で読めます




SCP-1422-JPとは、創作コミュニティサイト『SCP Foundation』に登場するオブジェクトの一つである。
メタタイトルは「ぜったいに ころばない by dado」。オブジェクトクラスEuclid

前提: dadoって誰?

「ぜったいに ころばない by dado」とあるように、このオブジェクトは要注意人物であるdadoによって作られた。
dadoとは、一言で表せば超常的な薬を作る人物。依頼を受けて薬を作ることも多い。
この薬は異常かつ強力な効果を持っており、SCPオブジェクトに指定されうるものである。

……が、dadoは、似た字面の言葉を勘違いしたり、比喩的表現を理解できなかったり、コミュニケーションに問題があったりする。
結果として、薬の効果が、注文した人の意図通りにならないことが多いのだ。
同じくdadoが作ったSCP-3802を例に挙げると、本来依頼されたのは、「癌の治療で髪が抜けてしまった12歳の娘のために、髪を生やす薬が欲しい」というものだった。
しかしdadoが髪の毛(hair)」と「ウサギ(hare)」を混同したことで、「禿げた子供の頭皮に塗布すると、急速に巨大化して幼いウサギに変化・分離する腫瘍を生じさせる薬」になった。
しかも大人が使うことを想定していないため、子供が使っても苦痛は皆無なものの、大人が使用すると全身に腫瘍が生じて激しい苦痛を伴う欠陥つき。

このように、dadoは、超常的な薬を作る能力があるのに、意図通りのものを作ってくれないのである。
「知力が最大なのに判断力が0」と喩えられることも。
その結果、使用者に大きな被害をもたらすことが多々ある。

ちなみに、dadoは主にオンライン上でコミュニケーションをとるが、キーボードが壊れているので小文字しか打てない(日本語においては、ひらがなしか打てない)
また、話している言葉も文法的に怪しい。
dado ときどき ひとが ことば いう とき なにが いみか こんらん」だそうだ。
やはり会話が不得意なようである。

概要

さて、SCP-1422-JPとは、dadoによって作られた乳白色のクリームである。
プラスチック容器に入れられており、これには「ぜったいに ころばない by dado」と書かれたラベルが貼られている。
また、容器には、クリームを塗る用と思われる木片も入っている。

加えて、文章が書かれた紙も同封されている。
この文章は以下の通り。

dado うわさきいた

ころんですりむいた こどもないた

dado ころんでいたくない おくすり つくった

それ “まぶしい” “うるさい” ふひょう

だから ころばないおくすり つくった

これ あしのうらにぬるだけ たちまち ころばない

て につけないよう きをつける

こまった わるい あれば ここ でんわする 1-800-iam-dado

ちなみに、文中の「ころんでいたくない おくすり」は収容済みオブジェクトであり、転んだ後の痛みを一時的に麻痺させるというもの。
そしてその麻痺の効果が切れた後には、痛みから気を逸らさせるために、全身から強い光とBTSの『Dynamite』(大音量)が放たれるようになるという
やはりdadoは、技術はあるが解決法がズレているといえそうだ。

そして、その反省を生かして作ったのがSCP-1442-JPだというが……

SCP-1422-JPの異常性は、人間に塗った状態で、その人(対象)が転びそうになった時に発現する。
対象が転びそうになった時、SCP-1422-JPを塗った部分は地面に吸い寄せられるように吸着し、転倒することが不可能になる
ちなみに、足に塗った後に靴を履いた状態で転んだ場合は、靴と地面が吸い寄せられる。
この効果は、対象者が再び直立するまで続くという。

SCP-1422-JPの効果はかなり強いようで、対象が直立するまでその部位を地面から引き剥がすことはできない。
加えて、何回転んでも効果は続くようだ。

実際に、SCP-1422-JPを使用した事例では、
  • 映画撮影の際に用いたところ、後に行われた別の撮影の際に転ぶ演技に失敗した(何回転んでも効果が続くため)
  • アイススケートの大会でスピンをした際に体が傾いたのが転んだと判定され、動けなくなった
  • 側転を成功させようとした体育教師が、足のみでなく手にも塗ったせいで、強制的なブリッジ状態になり背骨を折った
などの被害が出ている。
結局意図しない結果をもたらしてる気がするが……最後の人は注意書きを読まなかったのが悪いのでは?
あと体育教師が体育で薬に頼っちゃダメでは?

発見経緯

SCP-1422-JPは、このオブジェクトの異常性が発現している光景を写した監視カメラの映像により発見された。
写っていたのは、ジョー・ローガンくんと、その父親であるヨセフ・ローガンさんであった。

ヨセフさんは以前、dadoのweb広告を見て電話をかけていた。
その電話の内容は以下の通りである。
なお、dadoは書き言葉も怪しいが、話し言葉も崩壊しかけているようである。

不明な人物: ハロー、dado。あなた広告見た。dadoのおくすり買う?

「不明な人物」とあるが、多分dado本人であろう。

ヨセフ: ハロー。ヨセフ・ローガンだ。よろしく。ああ、おたくの“ぜったいに ころばない”って商品が気になってね。

不明な人物: あー、ころばないおくすり。あなたお目が高いすばらしい。

ヨセフ: そうかい。だがちょっとどういう効果なのか想像が出来なくてな。どんな効果なのか教えてくれないか?

不明な人物: dado答えられること答える。企業秘密聞くだめ。すぐ電話切って着信拒否ぶちこむ。

dadoには、企業秘密に厳しい、ドライなところもあるようだ。

ヨセフ: オーケイ、分かった。まずそれはどうやって使うんだ?

不明な人物: おくすりつかう、簡単。あなた足の裏におくすり塗るだけ。たちまちあなた転ばない!ずっと転ばない。転ぶ痛いから転ばないがいい。でも、指に付けて塗るダメ。予想外起きる。

ちゃんと危険性を注意する、製造者の鑑である。

ヨセフ: 塗り薬なのか。使うのは簡単そうだな。どういう原理で転ばないんだ?

不明な人物: それ企業秘密!それ以上言ったら電話切る!dado、あなた信じる。あなた、dado信じる!

やっぱり企業秘密には厳しいようだ。

ヨセフ: あー、分かった。信じるよ。すまない。買う、買うさ。それで?値段は?

不明な人物: 5.7ドル。dadoはAmazon prime持つ。すぐころばない送料無料。

ヨセフ: オーケイ、ありがとう。

不明な人物: はい。今口座から引き落とした。おくすりすぐ送る。じゃあ。

ヨセフ: え?は?引き落とした?お、おい!

[電話が切られる。]

……まあ、dadoなら、電話相手の口座から代金を引き落とすくらいできそうである。


さて、このように、ヨセフさんはSCP-1422-JPを入手した。
このSCP-1422-JPだが、息子のジョーくんが使っていたようだ。
その際の監視カメラ映像を以下に記す。

[カメラは住宅街を映している。ジョーが自転車にまたがっている。その後ろでヨセフが自転車を押さえつけている。]

ヨセフ: いいか?ゆっくり離すからな?

ジョー: うん。

ヨセフ: 焦らずに漕ぐんだぞ。転ばない薬も塗ったからな。安心しろよ。

ジョー: 魔法のお薬ね。

ヨセフ: そうだ。まさか本当に効果があるとは思ってなかったけど。よし、いくぞ?

ジョー: うん。

なるほど、ジョーくんは自転車の練習をしており、その際にSCP-1422-JPを使っていたのだ。

[ヨセフが自転車から手を離す。ジョーが自転車のペダルを漕ぎ、進み始める。]

ヨセフ: おお、すごいぞジョー。

ジョー: うわ、うわあっ。

[ジョーがバランスを崩す。SCP-1422-JPの異常性が発現したように見える。]

おっと、ジョーくんは転びそうになってしまった。
だが、SCP-1422-JPのおかげで転ばな……

ちょっと待て、自転車に乗って転んだ場合ってどうなるんだ?

[ジョーの両足裏がペダルと癒着し、自転車が横転する。]

自転車に乗っている場合、足と接着しているのは地面ではなく、ペダルである!

ヨセフ: ジョー!

[自転車の下にジョーの頭部が挟まれ、髪の毛がチェーンに巻き込まれる。]

[ジョーの両足はペダルを漕ぎ続けている。]

ジョーは、自転車の下から抜け出すためにもがく。
しかし、ペダルと両足は接着されている。
したがって、もがけばもがくほどペダルを漕いでしまう。

[髪の毛が引っ張られたことにより、最終的にジョーの首が折れ曲がる。]

ヨセフ: [悲鳴。]

[ジョーがペダルを漕ぐことを止める。この時ジョーは死亡したと推測されている。]

[ヨセフがジョーの元に駆け寄り、ジョーを車体から起こし、持ち上げる。ジョーの両足とペダルが接着されているため、同時に自転車も持ち上げられ、ガチャガチャと金属音を立てる。]

……確かに、足裏に接している部分が固定されれば、歩行時には転ばないだろう。
しかし、自転車においてはそうではない。
dado側も予期しておらず、ジョーくん・ヨセフさん側も想像できなかった事故であったといえよう。

ジョーくんの死は、交通事故死に偽装され処理されたとのこと。


補遺

この事故の後、ヨセフさんの銀行口座に、不明な人物からの5.7ドルの入金があった。
5.7ドルとは、SCP-1422-JPの金額と同じである。
また、入金と同時に、同氏のパソコンにdadoと名乗る人物からの1件のEメールが送信された。

dado じこ きいた
そうていがい の ようほうによる みす
でもdado ちゅういがき わすれてた
だから へんきんした

へんしんふよう くれーむなし ごひいきに
dado

一応、商品の代金こそ返金しているが、あまりにも冷淡すぎないか……
普段通りの口調であるのは、人が死んでも平常運転ということか。
あるいは、dadoにとっては十分深刻な追悼のつもりなのかもしれない。
どのように考えているかも分からないという、ちょっとした不気味さも感じられるかもしれない……



余談


この記事は、第4回新人コンテストである「わかばコンテスト2022」の参加作品である。
当記事は、このコンテストの「グリーン免許ブロック SCP-JP部門」にて、栄えある金賞を獲得した。




ついき しゅうせい ごひいきに

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最終更新:2026年05月31日 22:06