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WBSC世界野球プレミア12

登録日:2026/07/19 Sun 22:49:45
更新日:2026/07/21 Tue 18:25:56
所要時間:約 10 分で読めます




プレミア12とは、世界野球ソフトボール連盟(WBSC)が主催する野球の国際大会。

大会名の「12」は世界ランキング上位12か国のみが出場できることに由来しており、読み方は「プレミアじゅうに」「プレミアトゥエルブ」の両方が使用されているが、国際的には「プレミアトゥエルブ(Premier12)」と呼ばれることが一般的である。

 概要


世界野球ソフトボール連盟(WBSC)が主催する、野球における世界最高峰の国際大会の一つ。
プレミア12は2015年に創設された比較的新しい大会であるが、その前身である国際野球連盟(IBAF)は長年にわたり「野球ワールドカップ」を開催してきた実績があり、国際大会の運営経験そのものは非常に長い歴史を持つ。

世間一般では、MLBが主催するWBCが世界最高峰の大会として認知されている。一方でプレミア12は、野球という競技そのものを統括する国際競技団体であるWBSCが主催する大会であり、競技統括団体による世界大会という意味では、サッカーにおけるFIFAワールドカップに近い位置付けとなる。

もっとも、大会の知名度やスター選手の参加という点では依然としてWBCの存在感が大きく、現在の国際野球は「興行としての世界大会」であるWBCと、「WBSC世界ランキング上位国による最高峰大会」であるプレミア12という、それぞれ異なる役割を持つ二大国際大会として発展している。

 参加資格


プレミア12へ出場できるのは、大会開催前に発表されるWBSC世界ランキング上位12か国のみ。

ランキングはWBSC公認大会における成績によって加算されるポイント制となっており、トップチームだけではなく、U-12・U-15・U-18・U-23など年代別代表の成績も反映される。そのため、一過性の強さだけではなく、国全体の育成力や継続した競技力も重要視される特殊な仕組みとなっている。
つまり、「世界ランキング12位以内」という条件を満たせなければ、第3回までは大会そのものへ参加することはできなかった(※後述)。

・選手の参加資格

代表チームのメンバーは、その国・地域の有効なパスポートを所持している必要がある
これがWBCとは大きな違いであり、こちらでは国籍修得の資格があるだけでナショナルチームに参加できたが、プレミア12ではほぼオリンピックと同等の制限が適用される。

分かりやすい例を上げると、2023年のWBCにて侍ジャパンとして活躍したラーズ・ヌートバーは現時点ではアメリカ国籍であるため、WBCには侍ジャパンに参加できてもプレミア12には参加できないということになる。


 試合ルール

指名打者(DH)制あり、予告先発あり、タイブレーク方式やコールドゲームも設定されているなどWBCに沿ったフォーマットで行われている。
更に第4回ではMLBやWBCで採用されたピッチクロックも追加される予定。
参加できる選手は28人(投手登録13人、捕手登録2人以上が必要)。WBCに比べると2人登録できる選手が減っている。

WBCのように投球数制限はない為、従来の野球リーグ戦に近い投手運用が可能。
むしろこっちの方が従来の試合に近い。

ちなみにこの予告先発だが、チャイニーズ・タイペイ(台湾)が第3回で決勝を見越して*1変更を申し出るという形で堂々とルールを破ったことがあり、しかもその違反に対して罰金<優勝ともとれる姿勢で受け入れたため、先を見据えた勘定次第で破っても問題ないような扱いになっている。


 大会日程


大会は各国・各地域の主要プロリーグがシーズンを終えた11月頃に開催される。
まず出場12チームを2グループに分けて総当たりの1次ラウンドを実施し、その後は各組上位チームによってスーパーラウンドやノックアウトラウンドなどの第2ラウンドを行い、最終的に上位2チームが決勝戦で優勝を争う。大会ごとに細かなレギュレーションは変更されることがあるものの、概ねこの形式が採用されている。
また、WBCがMLB開幕直前に開催される都合上、3位決定戦を実施しないのに対し、プレミア12はシーズン終了後の開催であることから、3位決定戦も行われる

野球は連日の試合開催が可能な競技であることもあり、大会期間は約10日間前後と非常にコンパクトな日程で進行する。

 課題


プレミア12はWBSCが主催する最高峰大会として一定の地位を築いている一方、創設以来いくつかの課題も指摘されている。

・世界ランキング制度への賛否
プレミア12最大の特徴である「WBSC世界ランキング上位12か国のみ出場」という制度だが、このランキングの算出方法には以前からかなりの問題点が指摘されている。
2026年の3月26日(WBC終了時点)のランキングはというと

1位 日本
2位 チャイニーズタイペイ(台湾)
3位 アメリカ
4位 韓国
5位 ベネズエラ ※WBC2026優勝国

となっている。
しかし、世界中の野球ファンに「世界で野球が一番強い国は?」と聞けば、
大半の人が「そりゃアメリカだろ」もしくは「WBCで優勝できたベネズエラが暫定1位」と答えるだろう。
おそらく日本国内で同じ質問をしてもアメリカと答えるファンがほとんどだと思われる。

というか、何故WBCを優勝したベネズエラが決勝ラウンド1回戦もしくはそれ以前で敗退したアジア3国よりも下に位置しているのかという疑問が上がってもおかしくない。

このカラクリは上記の通り、WBSCのポイント計算方法がかなり特殊なことにある。
まず、世界の主要スポーツを統括するFIFA(国際サッカー連盟)やFIBA(国際バスケットボール連盟)の公式世界ランキングでは年齢制限のない、所謂A代表による試合がポイント計算の対象となっている。もしくはアンダー世代の世界ランキングは別で計算されており、国の強さも概ねランキングやポイントに沿ったものと言えるだろう。
しかし、WBSCランキングがトップ代表だけでなく、U-12・U-15・U-18・U-23など年代別代表の成績も反映される仕組みとなっており、これは「国全体の育成力を評価する」というWBSCの理念に基づくものである一方、「現在のA代表の実力を正確に反映しているとは言い難い」との声も少なくない。
ぶっちゃけ代表戦を満足にできる国が少なすぎて苦肉の策としてアンダー世代も無理矢理入れざるを得ないのが現状

高校野球文化が非常に発達している日本は、年代別大会でもある程度完成した選手が揃っている為安定した好成績を残しやすく、ランキング上位を維持しやすい傾向がある。また、国際大会への参加頻度そのものもポイントへ影響するため、積極的に代表活動を行う国ほど有利になる。

このような世代別に長期的な選手育成プランを求められる制度的な問題もあり、正直な所ランキング12位の顔触れはWBCとあまり変わることがない。
2024のプレミアと2026年のWBCで敗退しながらも長い間日本が1位に居座っているのも他の種目から批判の対象になっている。

ちなみにポイントは大会の成績による加算が一番大きいものの、親善試合でも勝てば僅かにポイントが加算される仕組みとなっており、あまり大会に参加できない国でもコツコツ親善試合を繰り返して数ポイントの差を追い上げる事は可能。
意外な例としてチェコは代表戦の開催・遠征回数が非常に多い国として知られる。国内では「プラハ・ベースボール・ウィーク」を開催するほか、欧州だけでなく北米・アジアとの交流試合も盛んであり、ランキング維持の面でも一定の強みとなっている。

・MLB選手がほとんど出場できない
プレミア12は11月開催という日程やMLBとの協力体制の違いから、40人枠に登録されている現役MLB選手は基本的に参加できない。
そのため、アメリカ代表もマイナーリーグ所属選手や将来有望なプロスペクトが中心となるケースが多く、「本当のベストメンバーではない」という評価を受けている。
一方で、そのプロスペクトたちが数年後にはMLBを代表するスター選手へ成長する例も珍しくなく、「未来のスターを先取りできる大会」として楽しむファンもいる。

各国も主力はMiLBのAA~AAA付近、NPB、KBOリーグ、CPBLなどアジア各国のプロリーグ所属選手が中心となることが多い。

  • 日本国内でも評価が分かれる大会
スーパーラウンド・決勝は日本開催となることが多く、侍ジャパンにとっては比較的有利な環境で戦える大会でもある。

しかし日本国内では大会への温度差も少なくない…というか、ここでWBCとの具体的な違いを知った読者諸君も多いのではないか。
シーズン終了直後という日程から、「主力選手が怪我をしないか」という心配が先に立ち、所属球団やファンから辞退を望む声が上がることもある。
実際にNPBの主力選手がコンディション面を理由に辞退する例も珍しくなく、「国内リーグを優先してほしい」「無理に出場する必要はない」と考えるファンも一定数存在する。

・興行面の課題
プレミア12は日本でスーパーラウンドや決勝が開催されることが多いが、一方で日本戦以外の試合では観客動員に苦戦するケースも少なくない。

日本の球場で行われる試合でも、日本が出場しないビジターチーム同士の試合では、スタンドに空席が目立つこともあり、国際大会としての盛り上がりという点では課題として挙げられることがある。

これは日本の野球人気が高くないというよりも、NPBファンの多くが「日本代表」や「所属球団」を応援する傾向が強く、海外代表同士の試合まで積極的に観戦する文化がまだ十分に根付いていないことが一因と考えられている。

一方で、WBCではMLBのスター選手が多数出場することから、日本戦以外でも比較的注目度が高く、プレミア12との差として挙げられることも多い。


・応援文化の違い
プレミア12では、日本・韓国・チャイニーズタイペイといったアジア勢は、プロ野球の応援文化をそのまま持ち込んだ鳴り物や応援歌による大規模な応援を行うことが多い。

一方で、欧州や北中米の多くの国では、拍手や歓声を主体とした応援が一般的で、攻撃中も鳴り物応援を行わないケースがほとんどである。

そのため、日本開催ではアジア勢の攻撃時だけ球場全体が大きく盛り上がり、欧州・北中米勢の攻撃時は比較的静かになるという温度差が生じやすい。このため、テレビ中継では試合内容以上に会場の雰囲気に差があるように映ることもある。

また、日本の海外野球ファンの中には、

「ビジターチームだけが応援面で完全なアウェーになっている」
「中立開催というより、アジア勢に接待役をさせられているように見えてしまう」

といった意見も見られ、開催方式や応援文化の違いについて議論になることがある。

もっとも、これは日本特有の問題というより、野球の国際大会そのものが開催国中心で盛り上がる傾向にあること、また欧州・北中米では日本のような組織的応援文化が一般的ではないことも影響していると考えられる。


 プレミア12からプレミア16へ

第4回となる2027年大会からプレミアは16チームの参加が予定されている。

これまで通りWBSC世界ランキングの12位以内は確定としつつ、ここに加えて13位から20位までの8チームが2026年に予選を行い、勝ち抜いた4チームがプレミアの本戦に出場できるようになるという形で、プレミアに予選という概念が追加された。

この時点で今後プレミア12もプレミア16へ改めることになるのだが、予選という概念が誕生した事や、球場設備が盛んな国へ行ける可能性のある国が増えたことは評価される点だろう。

詳しくはチェコ代表(野球)の項目に譲るが、ドーム球場という概念がある国は非常に少なく、そこで試合を行うこと自体が各国選手と野球協会にとって刺激となり、野球文化の発展に繋がりやすい。

また、第4回大会は2028年ロサンゼルスオリンピックの予選大会を兼ねており、ヨーロッパとアジア・オセアニア地域の各1枠はこの大会で地域別最上位となった国に与えられる。
実は過去の成績的に侍ジャパンがオリンピックに出られるかどうかはかなり危うい状態にあり、韓国や台湾がMLBに無理を言ったり、それなりの対価を支払ってメジャーリーガーを招集する可能性もあり得ると想定されているためだ。

日本にとっては大きな危機と言えるが、国際的にはプレミアが大会価値が大きく変わるかもしれないし、そうなれば侍ジャパンもこれまでにない本気度で大会に挑むかもしれない。


この大会の可能性はまだまだ計り知れない。



追記・修正は野球世界ランキング上位12チームに入ってからお願いします。

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最終更新:2026年07月21日 18:25

*1 スーパーラウンドで決勝進出が確定したため、エースピッチャーの登板日を消化試合となるラウンドの試合から決勝戦へ移動させた。