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v flower

登録日:2026/10/11 Sun 17:48:17
更新日:2026/10/11 Sun 19:31:51NEW!
所要時間:約 10 分で読めます






ロックという名の「声=flower」



v flower(ブイフラワ)とは、2014年に登場した「ロック」特化型の女性歌声ライブラリ、およびそこから派生した音声合成ソフト群の名称である。
イメージキャラクターの名前はflower(フラワ)。

企画を手掛けるのは、吉本興業グループの音楽レーベルガイノイド(gynoid)。
楽曲のクレジットでは「feat. flower」と書かれることが多く、ファンからは「花ちゃん」の愛称で親しまれている。



目次



◇概要   


2014年4月18日に発表され、同年5月9日に「VOCALOID STORE」でダウンロード版が先行発売、7月16日にパッケージ版が発売された。
最初の製品『VOCALOID3 Library v flower』の発売元はヤマハ。メロディと歌詞を打ち込んで歌わせるという仕組み自体は、他のVOCALOIDと変わらない。

変わっているのはコンセプトの割り切り方である。
公式の謳い文句は「ロックに特化したキレのあるパワフルな女性歌声ライブラリ」。
何でも歌える万能型を目指すのではなく、最初から「ギターサウンドが前面に出るような激しい楽曲でも埋もれない声」に狙いを絞って作られた。
推奨音域はF#2〜F4、推奨テンポは80〜200BPMで、スローロックからアップテンポなヘビーサウンドまでを守備範囲とする。

翌2015年のVOCALOID4版からは発売元がガイノイドに移り、以降はトークソフトやAI歌声合成へと展開を広げていった。
なおガイノイドは「ボーカロイドを中心とした次世代アーティストの発掘育成」を掲げるレーベルで、flowerのほかに台湾発の「心華(シンファ)」や「鳴花ヒメ・ミコト」も扱っていた。だが親会社の吉本興業がやる気を無くしたのか、2021年に担当者が退社した後は新規音源の自社開発が停止し、現在の活動はほぼライセンス提供のみとなっている。


◇キャラクターとしてのflower   


銀色の髪に紫の瞳を持つ、中性的な容姿の少女。
公式の触れ込みは「ロックでクーデレなアーティスト」で、プロフィールでも「寡黙な少女」と紹介されている。
声も見た目も中性的なので男の子と間違われがちだが、公式プロフィールでもはっきり「彼女」と書かれている女の子である。

flowerを語るうえで外せないのが、製品ごとにビジュアルががらりと変わる点。

製品 デザイン担当
VOCALOID3版 キャラクターデザイン:ろこる/イラスト:ヤマコ
VOCALOID4版 △○□×
ガイノイドTalk版 △○□×(みわしいば)
Ci flower おぐち

初代は、クリエイターユニット「HoneyWorks」のイラストレーター・ヤマコが、同ユニットのサポートメンバーであるろこるのデザイン案をもとに描き下ろしたコラボキャラクター。
V4版では△○□×の手で「大胆にイメージチェンジ」され、ショートヘアのボーイッシュな姿に生まれ変わった。
別人になったわけではなく、公式Twitterは当時「髪を切って見た目は変わっても性格までは変わらない」という趣旨のコメントを残している。
つまりV3版が長髪時代、V4版が短髪時代の同一人物という扱いで、トーク版ではそこから少し髪が伸びた姿が描かれた。


◇声の特徴   


公式の説明では、「少年のように伸びる中〜高音域」と「憂いを帯びた儚く切ない低音域」を併せ持つ中性的な声質とされる。
女声ライブラリでありながら少年ボーカルのようにも聴こえるのが持ち味で、速いテンポでも潰れないハリの強さが売り。

もっとも、実際に生まれたヒット曲を並べてみると、ストレートなロックよりもどこか影のあるダウナーな曲が目立つ。
力強さと湿っぽさが同居した声だからこそ、病みや鬱屈を歌わせると妙に説得力が出る……というのが、多くのボカロPに選ばれてきた理由だろう。
歌手のSouは「グッバイ宣言」がヒットした理由のひとつとして、VOCALOIDを使いながらもボカロ感が強すぎない点を挙げている。

声の提供者、いわゆる「中の人」は非公表。
ところが2017年12月1日には『「v4 flower」ボイス素材セット』なる商品が発売されており、公式いわく「正真正銘『flowerの中の人』の生声」が全382ファイルも収録されている。
名前は明かさないが声は売る。ロックである。


◇製品の変遷   


歌声ソフト


  • VOCALOID3 Library v flower(2014年5月9日)
記念すべき初代。パッケージ版には特製マウスパッドが封入され、購入者特典としてデモ曲「イノコリ先生」のパート別WAVデータなどが付属した。現在は販売を終了している。

  • VOCALOID4 Library v4 flower(2015年7月16日)
読みは「ブイフォウフラワ」。
VOCALOID4のグロウル機能に対応したほか、原音の見直しと滑舌の改善が行われ、「ロックに特化しつつも耳の疲れにくい音質」へ調整された。
単体版のほか、「VOCALOID4 Editor for Cubase」とCubase AIが付いてくる「ボカキュー同梱版」も用意されている。

  • Ci flower(2023年3月10日)
読みは「シィ フラワ」。インクストゥエンターが発売する「CeVIO AI」用ソングボイスで、ガイノイドは公式ライセンスを提供する立場に回った。
コンセプトは「並行世界に存在する新たなflower」。声の主は従来と同じ人物だが、キャラクターとしてはflowerの“もう一つのif”という位置づけになっている。
2022年4月の発表時点では「2022年秋〜冬」発売とされていたものの、実際の発売は翌年にずれ込んだ。
2024年3月10日にはWindows/Mac両対応の「VoiSona」版が登場し、あわせて歌声の力強さを高めた「ソングボイス2.0」へと更新されている。

トークソフト


  • ガイノイドTalk flower(2020年4月3日)
エーアイの音声合成エンジン「AITalk」を採用したテキスト読み上げソフト。キャッチコピーは「凛とした声が咲く『花(flower)』」。
短時間の収録から音声辞書を作る「AITalk CustomVoice」を用いて、歌声と同じ声質で喋らせることを実現した。
ただしガイノイドTalkシリーズ自体が2025年3月31日に販売終了、2026年3月31日にアクティベーション終了、同年9月30日にサポート終了という道をたどっている。

  • A.I.VOICE flower(2025年3月3日配布開始)
上記の後継にあたるが、一般販売ではなくガイノイドTalk版の既存ユーザーへの無償配布という珍しい形で提供された。


◇主なオリジナル曲   


  • イノコリ先生
制作 HoneyWorks
2014年4月17日投稿。製品発表の前日に公開されたデビュー曲で、ニコニコインフォでも新ボーカロイドの使用曲として紹介された。

  • シャルル
作詞・作曲 バルーン
2016年10月12日投稿。flowerの名を一気に広めた代表曲。
5日後には作者本人(後の須田景凪)によるセルフカバーも公開され、両輪で広まっていった。
とりわけカラオケでの強さは凄まじく、JOYSOUNDの年間ランキングでは2017年にVOCALOID部門2位、翌2018年には総合7位・VOCALOID部門1位まで上り詰めた。

  • フィクサー
作詞・作曲 ぬゆり
2017年3月22日投稿。ジャズとダンスミュージックの香りが漂う一曲で、2018年7月30日にニコニコ動画で100万再生を突破した。
ぬゆりは同年8月4日にも「命ばっかり」を投稿しており、こちらも代表曲として名高い。

  • ベノム
作詞・作曲・編曲 かいりきベア
イラスト のう
2018年8月2日投稿。後述のイベント「v flower DJ NIGHT」のテーマソングとして書き下ろされた、いわば公式発のヒット曲。
2021年4月には小説『ベノム 求愛性少女症候群』がMF文庫Jから刊行され、漫画版も「月刊コミックジーン」で連載された。

  • ヴィラン
作詞・作曲 てにをは
2020年2月投稿。世間の「普通」に収まれない者*1の息苦しさを、退廃的なビートに乗せて歌うダウナーなナンバー。

  • グッバイ宣言
作詞・作曲 Chinozo
イラスト アルセチカ
2020年4月13日投稿。アルセチカのイラストに惹かれたChinozoが、その絵を元に書き上げた楽曲。
2021年に入るとTikTokのフィンガーダンス動画をきっかけに人気が爆発し、同年8月にはYouTubeにおけるボカロ曲の再生数で歴代トップに立った。
そして2022年7月27日、ボカロ曲として史上初めてYouTubeで1億回再生を突破。
初音ミクでもGUMIでもなく、flowerがその一番乗りを果たしたのである。
2021年10月には小説化もされ、のちに「電撃大王」で漫画版も連載された。

  • ロウワー
作詞・作曲 ぬゆり
スマホゲーム『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』のユニット「25時、ナイトコードで。」への書き下ろし曲。
2021年10月31日にゲームへ実装され、同年11月11日にはflower歌唱版のMVも公開された。


◇外部展開   


アルバム


  • 『debut』(2014年10月1日)
公式デビューアルバム。ジャケットはヤマコの描き下ろし。初回生産限定盤には、1枚ごとに異なるID番号が入った「flower PRECIOUS CARD」が封入された。

  • 『一期一会』(2016年2月24日)
V4化を経てリリースされたセカンドアルバム。

  • 『Ci flower MASTERPIECE』(2024年3月27日)
Ci flower初のコンピレーション。書き下ろし曲に加えてソングコンテストの受賞曲も収め、全18曲という大ボリュームになった。

イベント


  • ニコニコ超会議3(2014年)
発売前のお披露目として「超ボーカロイド感謝祭」のボカロストリートに出展した。

  • v flower DJ NIGHT(2018年8月5日/恵比寿Creato)
デビューから4年、ついに開催されたflowerが主役のDJ・ライブイベント。
ぬゆり、かいりきベア with DJ離狐、koyori(電ポルP)、seeeeecun、ミリ子が出演した。

ゲーム


  • プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク
前述の「ロウワー」には、ユニットのメンバーが歌うセカイver.とは別に、flower本人が歌う「バーチャル・シンガーver.」も用意されている。
2022年6月13日には「グッバイ宣言」もリズムゲーム楽曲として追加された。

  • 太鼓の達人
2021年11月17日のアップデートで「グッバイ宣言」が収録曲に加わっている。


◇補足・他   


ガイノイドは2026年4月1日付で「キャラクター利用に関するガイドライン」を制定している。
個人であれば、同人誌やCDの頒布はもちろん、動画サイトでの広告収益や投げ銭を得る場合でも許諾は不要。
一方、音楽配信サービスで楽曲データを販売する場合などは原則として問い合わせが必要とされる。*2
なお同ガイドラインでは、ガイノイドの運営元は「株式会社よしもとミュージックパブリッシング」と記されている。

作品を公開する際は「v flower」「v4 flower」といったクレジット表記が求められる。
キャラクター名は「flower」だが、検索のしやすさもあってか、タグなどでは製品名の「v flower」が使われることも多い。

公式サイトでは、V3版・V4版それぞれのMMDモデル(制作:mqdl)や立ち絵素材が無償配布されている。


追記・修正は、ギターサウンドに埋もれない声でお願いします。



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最終更新:2026年10月11日 19:31

*1 ファンの間では「トランスジェンダー」とする考察が主流

*2 ガイノイドが特別に許諾している配信サービスを利用する場合は除く。