ジョージ(ピンタゾウガメ)

登録日:2010/11/30(火) 18:16:19
更新日:2022/07/19 Tue 11:44:51
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1971年にガラパゴス諸島のピンタ島にて発見された一匹のピンタゾウガメの通称。

当時ガラパゴス諸島のゾウガメは航海中の食料として大変重宝されており、多くの人々の手により大量のゾウガメが乱獲されていた。
更に人間が置き去りにした山羊や豚等の家畜が野生化しゾウガメの餌となる草やゾウガメの赤ちゃんそのものを食いつくし、
ガラパゴス諸島のゾウガメの数は激減する事になる。

そしてそんな中、ついに1910年頃にはガラパゴス諸島のピンタ島ではゾウガメの絶滅が確認されてしまった…


















…と、思われたが…



1971年。ゾウガメが消えたと思われていたピンタ島にて




一匹の雄のゾウガメが発見された。





甲羅の形状やDNAによる鑑定の結果から、間違い無くこの他のどのゾウガメとも違うピンタ島の「固有種」であり、
その後の捜索でも他にゾウガメは一切発見されなかった事から間違い無くこの島のゾウガメ最後の生き残りであるとされた。
(実は同時にもう一匹見つかっていたらしいがこちらは捕獲して間もなく死亡した)


このゾウガメは「ジョージ」と名付けられ、サンタクルス島のチャールズ・ダーウィン研究所にて保護飼育されていた。

恐らく世界で最も孤独な亀であり、通称「ロンサム(孤独な)・ジョージ」と呼ばれていた。

当然ながら種の保全のために出来る限り近い種との交配も試みられたものの、
推定約90歳という高齢のためか用意された雌に全く興味を示さず上手くいくことはなかった。

しかしゾウガメは長寿であるため90歳でもまだまだ現役だとの意見もありジョージが雌に全く興味を示さない正確な理由は不明のまま。
一時期ゲイ疑惑が出た事も。


2007年にはピンタ島の近くにあるイサベラ島にてピンタゾウガメの遺伝子を半分持ったガラパゴスゾウガメが発見された。
そして更に2008年にはジョージとつがいとなったゾウガメが16個の卵を産卵。
そのうち3個が人の手により人工飼育されついにジョージに子孫が!


…と、思われたが結果は



人工飼育含む16個全てが全滅。


ジョージェェ…


また環境保全のための漁の制限に反対する研究所近隣の住民達の手により、報復に「ジョージを殺す」等の殺害予告が度々出されたりもしたり…


どうかこの可哀想な亀に愛の手を…
















2012年6月24日(日本時間)ジョージ、永眠

この日、ピンタゾウガメの歴史に終止符がうたれ、また人類の歴史に一つ、大きな愚行が記されることとなった。




















…と、思われたが…


イサベラ島の人里離れた最北端、ウォルフ火山付近に生息する1667頭のゾウガメのうち、オス3頭、メス9頭、子ども(20歳未満)5頭の計17頭の遺伝子に、
ピンタゾウガメのDNA断片が混入していることが判明した。特に子どもの存在は純血種が生存している可能性を示すという。


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最終更新:2022年07月19日 11:44