あいつ、パピリオ・ルシアラントがカエルムに向かう前日のお昼ごろ。
魔道具ギルド。
ドワルコフ組合国の中にある魔道具ギルドの中でも大きいそこで仕事をしているパピリオがいた。
カンカンカン、トントントン、金槌を打つ音がする。
「いくんじゃなかったの?ばーか!最後だってのに、こんなことしてたら遅れるわよ」
(ち、ちがう、こんなこといいたいわけじゃなかったのに)わたしの言葉は、いつもトゲが出る。
「作れるのもしばらくないっすからね!作れるうちに作っておくに決まってるっす!」
カンカンカン、トントントン、金槌を打つ音は止めないまま。手を止めないまま、目線も魔道具に向けたまま。
パピリオはわたしに返す。
「べ、べつにあんたがどこ行こうが勝手よ。ただ遅れないか不安だっただけ。遅れたりしたら魔道具ギルドの恥だもの」
(また、ち、ちがうだからこんな言葉を出したいわけじゃない。)やっぱりわたしの言葉はトゲが出る。
「大丈夫っすよ!あと30っすから!」
「30ってあんた………普通の職人なら作ってる途中でぶっ倒れてるから。あんたの基準がおかしいのよ」
「おれっち自分の限界はわかってるっす!時間も考えて出る少し前には終われるっすよ!」
「出る少し前って徹夜するつもり?ばっかじゃない。睡眠不足でカエルムにいくなんて、恥じよ恥。ちゃんとしなさい」
いつものことのように注意する。
(この会話だって、もうしばらくできなくなる。
わかっている。ちゃんと、お別れを言わないとって。
でも、できない。すなおに言えない)
「わかったっすよ。睡眠とればいいっすね、そんで起きたらすぐ行くっすから」
「わかればいいの、カエルムで魔道具ギルドの恥さらしたら承知しないんだから。じゃまたね。まっ別にべつにあんたが戻ってこなくても私が代わりにギルド長になるだけだし?どうでもいいんだからほんとうよ?」
「わかったっすよ。またっすね!」
わたしは立ち去っていきながら、やっぱり思った。
(すなおにいえない、ちゃんと心配してる、って行ってらしっしゃいって、ここはまかせてって言いたかったのに。
あいつはまたって行ってくれるけど、またの保証なんてないのに)
魔道具ギルドから、出ていったあと、わたしは一人ため息をついたあと、「また、ああやって言ってしまった。明日は最後こそ、ちゃんと言えるよね」と、わたしは一人独り言を意味もなく空へつぶやいた。
魔道具ギルド。
ドワルコフ組合国の中にある魔道具ギルドの中でも大きいそこで仕事をしているパピリオがいた。
カンカンカン、トントントン、金槌を打つ音がする。
「いくんじゃなかったの?ばーか!最後だってのに、こんなことしてたら遅れるわよ」
(ち、ちがう、こんなこといいたいわけじゃなかったのに)わたしの言葉は、いつもトゲが出る。
「作れるのもしばらくないっすからね!作れるうちに作っておくに決まってるっす!」
カンカンカン、トントントン、金槌を打つ音は止めないまま。手を止めないまま、目線も魔道具に向けたまま。
パピリオはわたしに返す。
「べ、べつにあんたがどこ行こうが勝手よ。ただ遅れないか不安だっただけ。遅れたりしたら魔道具ギルドの恥だもの」
(また、ち、ちがうだからこんな言葉を出したいわけじゃない。)やっぱりわたしの言葉はトゲが出る。
「大丈夫っすよ!あと30っすから!」
「30ってあんた………普通の職人なら作ってる途中でぶっ倒れてるから。あんたの基準がおかしいのよ」
「おれっち自分の限界はわかってるっす!時間も考えて出る少し前には終われるっすよ!」
「出る少し前って徹夜するつもり?ばっかじゃない。睡眠不足でカエルムにいくなんて、恥じよ恥。ちゃんとしなさい」
いつものことのように注意する。
(この会話だって、もうしばらくできなくなる。
わかっている。ちゃんと、お別れを言わないとって。
でも、できない。すなおに言えない)
「わかったっすよ。睡眠とればいいっすね、そんで起きたらすぐ行くっすから」
「わかればいいの、カエルムで魔道具ギルドの恥さらしたら承知しないんだから。じゃまたね。まっ別にべつにあんたが戻ってこなくても私が代わりにギルド長になるだけだし?どうでもいいんだからほんとうよ?」
「わかったっすよ。またっすね!」
わたしは立ち去っていきながら、やっぱり思った。
(すなおにいえない、ちゃんと心配してる、って行ってらしっしゃいって、ここはまかせてって言いたかったのに。
あいつはまたって行ってくれるけど、またの保証なんてないのに)
魔道具ギルドから、出ていったあと、わたしは一人ため息をついたあと、「また、ああやって言ってしまった。明日は最後こそ、ちゃんと言えるよね」と、わたしは一人独り言を意味もなく空へつぶやいた。