妖精の毒酒とは薬草をベースにした高濃度リキュールでありながらシロップや砂糖が常識を超えるほど加えられた甘味と刺激が混在する奇酒である。
その香りは甘美を通り越して強烈。鼻先に届いた瞬間に吐き気を催すほどで嗅覚が鋭い魔物はその匂いだけで逃げ去ると言われている。
一口飲めば舌を焼くほどのアルコールの刺激と、病的なまでの甘さが口内に絡みつき、瞬く間に酩酊へと誘われる。
この異様な味わいこそが一部の人にとって特別な魅力となっている。
ハーフリングが特に好む酒として知られておりアルカナ教神話では悪魔の神が好む酒と記されている。現在でもハーフリングたちの手によって製造されており、各地で独自のアレンジが加えられている。砂糖やシロップの代わりにチョコレートを加える者もおり、それぞれの一族の味として親しまれている。
またその甘美さと陶酔感から“妖精の毒酒”は一部地域や種族の間では「妖精酒」とも呼ばれ精霊たちが好んで宴の場に持ち込むと言い伝えられている。ハーフリングの口伝承の物語ではハーフリングが精霊と協定を結ぶ為に妖精酒を携えて現れるという民話も残されている。