ユニバーサルジョイントを使って遊星歯車機構に似た機構を作ることができます
この機構は多段変速機やディファレンシャルギアに利用できます
作り方
- 水平に設置したスピニングブロックの頭にユニバーサルジョイントを設置し横に90度回転
- そのユニバーサルジョイントを複製して反転、スピニングブロックと2つのユニバーサルジョイントでT字になるようにします
- スピニングブロックを0.475ブロック上に移動
- どちらかのユニバーサルジョイントの頭にスピニングブロックを設置し、反転してユニバーサルジョイントと重なるようにした後、根元側に0.15ブロック移動
- 2つのスピニングブロックを、スピードと加速を最低に、規定以上の速度で回転させないと設定して無動力回転ブロック化したら完成です
これはあくまで筆者が良く使う構造の一例でしかなく、使用状況に応じてブロックの種類や位置を変えたりもします
2つのユニバーサルジョイントが遊星歯車機構でのサンギア(太陽歯車)とリングギア(アウターギア、内歯車)に相当し、最初に設置したスピニングブロックがプラネタリーギア(遊星歯車)に、2つ目のスピニングブロックがプラネタリーキャリア(遊星キャリア)に相当します
遊星歯車機構とは違いサンギアとプラネタリーギア、リングギアとプラネタリーギアの各ギア比に相当するものが1:1で固定かつ対称構造なため、サンギアとリングギアに相当するユニバーサルジョイントに機能的な違いは無く、逆にしても全く同じように機能します
以降2つのユニバーサルジョイントをUNV_AとUNV_B、プラネタリーギアに相当するスピニングブロックをPLNT、プラネタリーキャリアに相当するスピニングブロックをCRRYと呼びます
UNV_Aと
UNV_Bが
PLNTに接続、
PLNTは
CRRYに接続、
CRRYは
UNV_Bに接続している状態です
UNV_Bと
PLNTと
CRRYはループ状に接続されているので、いわゆるお友達ルールによって3つのブロックが互いに干渉せずに重なっています
UNV_Aと
UNV_Bの根元の接続判定が2つのスピニングブロック両方に重なっていますが、ユニバーサルジョイントには通常のブロックのような座標優先の法則が適用されないため、シミュレーション開始時のマシンの向きによって接続先が変わってしまうといったトラブルは起きません
UNV_Bの被接続判定は完全に
CRRYの被接続判定の中に完全に収まっているため、内側優先の法則を利用して確実に接続することができます
構造を視覚的に解りやすくしたのがこちらです
この機構を正常に動作させるには「
UNV_Aと
UNV_Bと
CRRYの回転軸は同軸上にあり、それらの回転軸は
PLNTの回転軸と
UNV_A・
UNV_Bの根元の位置で直角に交わっている」必要があります
CRRYの回転軸は
UNV_A・
UNV_Bと同軸上にあればいいので、回転支点はこの機構の内部でも外部でも、前後どちらにあっても問題ありません
回転する機構なため、構造に偏りがあると振動の原因になってしまうので、できるだけ対称構造になるようにしましょう
回転速度に関する法則
UNV_A、UNV_B、CRRYの回転速度は以下の式のような関係にあり、3つの内2つの回転速度が決まると残り1つの回転速度が決まります
- CRRY = ( UNV_A + UNV_B ) ÷ 2
- UNV_A = 2 × CRRY - UNV_B
- UNV_B = 2 × CRRY - UNV_A
CRRYは常にUNV_AとUNV_Bのちょうど真ん中の回転速度になります
回転方向が逆のときには回転速度の値はマイナスになります
これにより2つの回転を入力して、合成した回転を出力できる装置として機能します
例)UNV_Aに100RPMの回転を入力してUNV_Bを固定(0RPM)すれば、CRRYからは50RPMの出力が得られます
UNV_Aに100RPM、CRRYに逆回転の100RPMを入力すれば、UNV_Bからは逆回転の300RPMの出力が得られます
使用例
この機構はほぼそのままディファレンシャルギアとして使えます
回転速度が決まっているのは
CRRYに対する入力のみですが、
UNV_Aと
UNV_Bの回転抵抗の比率に応じて、自動的にそれぞれのユニバーサルジョイントに動力が割り振られます
PLNTをフライホイールにして回転と固定を切り替えられるようにし、反転を設定
CRRYもフライホイールで回転と固定を切り替えられるようにする
これでUNV_Aへの入力に対してUNV_Bからの出力が、正転と逆転を切り替えられるようになります
UNV_A = 1、
CRRY = 0
UNV_B = 2 × 0 - 1 = -1
PLNTをフライホイールにして回転と固定を切り替えられるようにし、反転を設定
UNV_Bもフライホイールで回転と固定を切り替えられるようにする
これでUNV_Aへの入力に対してCRRYからの出力が、等速と1/2減速を切り替えられるようになります
減速時にはトルクが大きくなります
UNV_A = 1、
UNV_B = 0
CRRY = ( 1 + 0 ) ÷ 2 = 1/2
等速・1/2減速切り替えの入力と出力を入れ替えることで、CRRYへの入力に対してUNV_Aからの出力が、等速と倍速を切り替えられるようになります
増速時にはトルクが小さくなるのに加えて、負荷も大きくなることで壊れやすくもなります
CRRY = 1、
UNV_B = 0
UNV_A = 2 × 1 - 0 = 2
CRRYとUNV_Bを、ユニバーサルジョイントを使って回転が逆になるようにして繋ぐと、UNV_Aへの入力に対して、CRRYからは1/3、UNV_Bからは-1/3の回転速度が得られます
UNV_A = 1、
UNV_B =
CRRY × -1
CRRY = { 1 + (
CRRY × -1 ) } ÷ 2 = 1/3
CRRYからの出力を、さらに1/2減速機構を通してUNV_Bに入力するように繋ぐと、UNV_Aへの入力に対して、CRRYからは2/3、UNV_Bからは1/3の回転速度が得られます
UNV_A = 1、
UNV_B =
CRRY ÷ 2
CRRY = ( 1 +
CRRY ÷ 2 ) ÷ 2 = 2/3
CRRYからの出力を、さらに1/2減速機構を通したうえに逆回転でUNV_Bに入力するように繋ぐと、UNV_Aへの入力に対して、CRRYからは2/5、UNV_Bからは-1/5の回転速度が得られます
UNV_A = 1、
UNV_B =
CRRY ÷ 2 × -1
CRRY = ( 1 +
CRRY ÷ 2 × -1 ) ÷ 2 = 2/5
入力を分岐させて1/2減速機構を通し、ユニバーサルジョイントの接続位置によって1/2と-1/2を作る
1/2と-1/2を切り替えてUNV_Bへ入力できるようにする
さらにUNV_Bを固定できるようにもする
これでUNV_Aへの入力に対してCRRYからの出力が、1/4と1/2と3/4の3段変速ができるようになります
1速(
UNV_Bに-1/2を入力)
UNV_A = 1、
UNV_B = -1/2
CRRY = ( 1 + -1/2 ) ÷ 2 = 1/4
2速(
UNV_Bを固定)
UNV_A = 1、
UNV_B = 0
CRRY = ( 1 + 0 ) ÷ 2 = 1/2
3速(
UNV_Bに1/2を入力)
UNV_A = 1、
UNV_B = 1/2
CRRY = ( 1 + 1/2 ) ÷ 2 = 3/4
これらの使用例では回転の切り替えにフライホイールを使っていますが、負荷の大きい状態ではロックしていても多少空転してしまい、パワーロスが発生する場合があります
動力ホイールや動力歯車等でも自動ブレーキ:OFF、速度:0に設定することで回転の切り替えに使用できますが、フライホイールよりも空転しやすいようです
スクリューであればフライホイールよりも回転半径を小さくできますが、動力ホイール等よりも空転しやすく、重量もわずかに偏りがあるため振動の原因にもなります
これらの空転は基部側のブロックを重くすることである程度は軽減できます
過去バージョンではバニラでも使用できたNaNステアリング(歪みにくさをNaNに設定)も無動力回転ブロックとしては有用で、スピニングブロックより小さい、頭接続が無い、根元判定が大きい等のメリットがあります
これらの構造は基本的に歯車を使っても同じ機能が再現できますが、ユニバーサルジョイントを使ったほうがコンパクトなうえに信頼性が高くなると思います
最終更新:2025年08月08日 14:58