紀元5550分 ヤサコ様が
みちび
約束の地にお導き下さるそうです。
(ダイチ)あ~ もうダメだ。
これで フミエにまで
頭が上がらなくなってしまった。
おれは もう転落人生だ。
このまま 落ちぶれていくんだ。
まつろ
そして 末路は
なんきょく とうし
南極で凍死するんだ~。
(デンパ)何で 南極?
ちきゅうぎ
だって 地球儀の一番下だろ?
落ちてったら 最後には
南極だろ!
ウンチ!
おれは ウンチだ!
そんざい
役に立たない存在なんだ!
そんな事 ないよ。
ダイチは やればできるよ。
本当に そう思うか?
ぜったい
絶対そうだよ。
あ~ 何か そんな気に
なってきたぞ。
いて
痛え!
というわけで もう一度
トライしてみようと思う。
つか
イリーガルを捕まえる。
え~?
イリーガルをいじめるのは
もう やめようよ。
何だよ いじめるって。
コンピューターウイルスだぞ。
イリーガルをいじめるなら
手伝わない。
メタバグは どうすんだよ。
メタバグなら 拾えばいいだろう。
ぼく
僕 帰るよ。
わかった!
イリーガルは いじめない。
だから帰らないでくれ。
おかしいな。
前は いたらしいんけどな。
しかし ちょっと
わかってきたぞ。
やつらは 古い空間で なおかつ
ごさ い
誤差の出やすい場所に居つくんだ。
だが そういう場所は ほとんど
サッチーに消されている。
では ここに イリーガルがいたのは
なぜだ?
(ダイチ)ここが神社だからだ。
(デンパ)なるほど。
(デンパ)どういう事?
(ダイチ)サッチーは 神社に入れないだろ。
(ダイチ)古い空間のある神社を
しらみつぶしに すればいいんだ。
こら!
(デンパ)とうとう 駅向こうまで
来ちゃったね。
(ダイチ)やっぱり サッチーが
ぜつめつ
絶滅させちゃったのかな。
でも きっと
まだ どこかにいるよ。
おう!
また明日も探そうぜ。
…にしても ヤサコの妹
何で ついてくるんだよ。
はな
離れろよ!
(ダイチ)何で こんなの
せお
背負ってるんだ おれは。
(チャイム)
は~い。 あら ダイチ君。
これ。
きょうこ
あら 京子。
ゆうかい
いやだ ダイチ君。 まさか誘拐?
しっけい
失敬な! 勝手についてきたから
親切に連れてきてやったのに。
本当 デンパ君?
うん 本当だよ。
デンパ君が言うなら 本当よね。
じゃあね。
せちがらいぜ。
(父)あ~ いい お湯だった。
おまえ 次 入れ。
めし
飯食ってる時に
きたな
汚いもん見せるな!
(父)バカもん
これが家庭ってもんだ。
ぜんら す
全裸で過ごせない家庭なんて
家庭じゃない。
家庭とは全裸 全裸とは家庭だ。
ワハハハ!
バカオヤジが。
おまえだって いつも家の中
フルチンで走り回ってただろう。
(父)母ちゃん ビール!
もう そんな年じゃねえの。
おれは大人なんだよ。
(父)へっ
まだ生えてもいねえくせに。
おれなんか おまえの年には
ボサボサだったぞ。 ワハハ!
そのうち ボサボサに生えてくらあ。
は
今日も張り切って行くぞ。
お~っ!
何で また いるんだ おまえ!
行くぞ。 お~っ!
ただの空間不良か。
何で また こんなの
背負ってるんだ おれは。
けっきょく
結局 空振りだったね。
そうだな。
(デンパ)イリーガルって 住む場所が
へ
どんどん減って かわいそうだな。
(チャイム)
は~い。 あら ダイチ君。
これ。
あら また。
ちが
だから 違うっつ~の。
こいつが 勝手についてくるの。
ダイチ君
京子には近づかないでね。
ひがいしゃ
待て! こっちこそ被害者だ。
よくも おれのファーストキスを!
だれ
ヤサコ この事 誰にも言うなよ。
絶対だぞ!
まだ生えねえな。
それとも こっちが先かな。
◇点滅◇[ケータイ]
何だ 着信か。
お~デンパか。 明日 来られない?
じゃあ 明後日な。
え? ヤサコの妹?
てきとう
あれは 適当にあしらって…。
うわ。
[ケータイ]もしもし ダイチ?
[ケータイ]どうしたの ダイチ?
ボ… ボサボサ。
[ケータイ]何? 何が ボサボサなの? ダイチ?
京子! 何してるの?
ほら帰るわよ。
ウンチ!
もう しかたないわね。
うん そうなんだ。 ダイチ
電話にも出ないんだ。
[ケータイ](フミエ)また何か やらかす気じゃ
ないでしょうね。
1回だけ 電話あったよ。
[ケータイ]何て?
しょうすい
憔悴した声で「おまえはまだ
生えてないのか?」って。
[ケータイ]はあ? まあ どのみち
明日わかるでしょう。
何で?
わす
[ケータイ]明日 登校日よ。 忘れたの?
ちこく
オラ! 遅刻するぞ!
(ナメッチ)何だよ。
何しに来たんだよ 裏切り者。
ダイチは?
そんな人 知らねえ。
ダイチ
どこ行っちゃったんだろうな。
あっ ダイチ!
どうしたの?
そんなに ゲッソリして。
あっ!
あっ!
ヒゲ~!
(フミエ)この色といい つやといい…。
イリーガル?
南極だ。
これ どこから拾ってきたの?
(デンパ)それが
よく わからないんだ。
ともかく 実物を調べましょうよ。
(メガばあ)まだ子どもだと
ぼうず
思ってたら 坊主も こんな年かい。
やめてよ。 イリーガルだって
言ってるでしょ。
ちょうこうせいのう かくだい
超高性能スーパー拡大
でんのうけんびきょう
電脳顕微鏡マシーン!
おりゃ! 2倍じゃ。
これを さらに拡大する。
はだ
ヘヘヘ… 若い肌は ええのう。
やめてくれよ。
動くでない。
ひふ せんたん
皮膚の表面から先端までが
古い空間じゃな。
(ハラケン)やっぱり
このヒゲは イリーガルか。
(フミエ)こいつも 自分の周りを
お か
古い空間に置き換えているのね。
きり おお
じゃ いずれ顔が 霧に覆われて…。
おそろしい。
今度は 先っちょを見てみようか。
(フミエ)何か動いてるわ。
(メガばあ)拡大してみよう。
目だわ。
(フミエ)生きてる。 生きたイリーガルだ。
(ハラケン)会話している。
(京子)お姉ちゃん!
京子 後にして。
今 大変な事に…。
あっ!
うわっ!
ヒゲ~!
何で 京子にヒゲが?
でんせん
伝染… 伝染するのよ
このヒゲは。
京子ちゃん 近づかないで。
そうよ。
チュ~したら大変な事に…。
大変な事?
チュ~!
やむをえないわ。
じえいけん
集団的自衛権発動よ。
(京子)ウンチ~!
これで治るなら お年玉2年分
なんて 軽いものだわ。
だと いいがな。
どういう意味?
何で?
じょうほう
自動復元は 一部の個人情報も
しゅうふく
修復するのじゃ。
りょういき
このヒゲは その領域に
入り込んでおるのじゃろう。
そん
お年玉2年分 損した。
(フミエ)生えてきたわね。
まだ1時間しか たってないのに。
ま
感染力が増してるわ。
しかし不思議じゃ。
本物のヒゲと同じく⇒
口の周りしか生えんようじゃ。
じゃあ キスでもしなきゃ
うつらないのね。
よかった。 3人までで
食い止められて。
指に…。
ヒゲが生えてる。
ねえ 見て見て。
デンスケにも生えてるよ。
食い止めてないじゃん。
よめ
もう お嫁に行けないわ。
あきらめちゃダメよ ヤサコ!
そうだよ ヤサコ。
きっと 何とかなる。
あんたは男だから そんな
のん気な事 言えるのよ!
京子の口を 指で触ったわ。
とにかく このまま メガばあの
ワクチンを待つしかないわね。
(母)いらっしゃい。
麦茶あるから飲んでね。
よかった。 メガネかけない人には
うつらないのね。
(メガばあ)でけたぞ!
ワクチンできたの?
どこどこ?
ワクチンは できなんだが。
はあ?
(メガばあ)面白いものが できた。
言語を持っておるから
もしやと思ったが…。
(ハラケン)これは…。
住居じゃ。
何だって!
さよう。 これも見よ。
(メガばあ)
交通手段が発達し始めておる。
(ハラケン)都市文明?
それだけではない。
ほれ。 きゅう
お灸?
まさか お灸が効くとでも?
こやつらの声を聞き取る事に
成功した。
何だって?
ほんやく
しかも 古い翻訳サーバの言語に
近いものでな⇒
翻訳機が できてしもうた。
余計なもの作ってんじゃねえ~!
とおぼ
(犬の遠吠え)
とにかく 誰にも触れさせなければ
広まらないわよ。 じゃあ。
…にしても まさか
言葉がしゃべれるとはね。
なになに?
「こんな所に停めるな」。
じゅうたい
これは交通渋滞ね。
な
「転んだくらいで 泣いちゃ
ダメよ」これは きっと親子ね。
「ハラヘッタ」が 一番多いのね。
こし
次は「腰が痛い」?
ウフフ 腰なんて あるのかしら。
「発言…」まさか。
通じたわ。
ぐち
ほとんど 愚痴ばっかり。
まるで人間みたい。 かわいいわ。
あら大変。
このままじゃ ぶつかるわ。
止まって!
よかった。 大変!
死にたいですって?
「やめて。
きっと まだ希望はあるわ」。
ふんか
大変! 火山が噴火するわ。
に
「みんな 逃げて」。
よかった。 うまくいったわ。
おおぜい
なになに?「これで大勢
助かりました。⇒
おんじん
あなたは命の恩人です。
お名前を教えて下さい」。
よ~し「私の名は ヤサコ」と。
てつや
とうとう徹夜よ。
しんでん
神殿が あちこちに建てられたわ。
え? ワクチン? 何だっけ?
あっ!
まだみたい。
そう。 こっちは この世の終わり
みたいよ。 町中に感染してるわ。
[ケータイ]え~ 何で?
こっちが聞きたいわよ。
いそが
サッチーも大忙しだわ。
(タマコ)おかげさまでね。
ひえっ!
また おまえらか。
がまん
もう我慢できない。
こくそ
おまえら告訴する。
待って。
今 ワクチンソフトを開発中よ。
本当か?
本当よ。
できたら すぐに持ってこい。
もちろん タダでだ。
ポチ 待て!
外にいたら 間違いなく
こわ
サッチーに 顔壊されるわ。
でも それで治るわけだな。
最後の手段としては ありえる。
アハハ これ 面白すぎるわ。
本当に 神様にでも なったみたい。
ほら そこ! さぼってないで
働きなさい。
あと 3ターンで完成するんだから。
面白そうだな。
しょうとつ
あっ 何 軍事衝突してるんだよ。
せっかく造ったダム 壊すなよ。
もう 早く返してよ。
ちょっとだけって約束でしょ。
その前に私でしょ。
もう 順番守ってよ。
みんな はまっちゃったな。
もう 目が離せないわ。
聞いて 最近 飛行機 飛んだのよ。
(ハラケン)みんな 文明が
だいぶ 発達してきたようだね。
うちゅう
私は もう宇宙計画よ。
京子のヒゲと
通信に成功したらしくて⇒
今 空前のSFブームなの。
けんかすんなよ。 ダムが壊れる。
むだ
戦争って 本当に無駄なんだね。
(ハラケン)最後は プライドしか
残らないし。
あらそ
「争うな」って 私も ずっと
言ってるんだけど。
一番進んでるのは
ヤサコのヒゲだね。 今どうなってる?
あとちょっとで ロケットが
できるかも。
本当に?
戦争さえしなければ
もうすぐ 初の宇宙飛行が…。
やった。
けんないだっしゅつ
初の大気圏内脱出だわ。
れきしてきしゅんかん
(ハラケン)歴史的瞬間だ。
(デンパ)ヤサコ おめでとう。
ま… まさか。
かく
核戦争?
もんじょ もくしろく
「オコノギ文書 黙示録835章
ヤサコ様は言われた。⇒
はめつ
このままでは 必ずや世界の破滅
ハルシゲドンが起こると」。
おそ
「恐ろしい予言とは
この事だったんだ。⇒
我々は どこから来て
どこに行くのだろう」。
がんば
みんな 頑張って。
私 もう メガビーなくなるわ。
僕も。
もう やめて。
顔 破壊したら自滅なのよ。
ヤサコは 神なのに
言う事を聞かないのか?
それが 最近はダメなの。
てつがくしゃ
どこかの哲学者が
「ヤサコは死んだ」とか言い出して。
(ハラケン)あっ 返事が来た。
「争いをやめたら
てき ほろぼ
敵に滅ぼされるだけだ」って。
「でも おろ
けんかするのは愚かな事よ」。
返事だ。
「では ヤサコ様たちは
けんかを しないのですか?」。
「仲間同士だからって 必ず
仲良くできるんですか?」。
このまま ほうっときましょうよ。
フミエちゃん!
こんな文明 けんかして
自滅した方がいいのよ。
そんな… ひどいわ フミエちゃん。
あれ? ミサイルが止まってる。
本当だ。
説得が通じたのかも。
ほら見なさい。
もう ほっときましょう。
星間戦争?
やめて~!
自分の顔同士の戦いは
収まったけど…。
戦争は むなしいわ。
どこで間違ってしまったの。
私のかわいいヒゲたち。
(電子音)
あら?
(フミエ)どうしたの?
私に語りかけてきたわ。
「取り返しのつかない
ぎせい
犠牲を払って⇒
仲間同士の戦いのむなしさに」。
やった。 気づいてくれたわ。
(フミエ)それで?
わくせい
「全惑星とコンタクトを果たし
げんじょう はあく
我が種族の現状を把握した。⇒
いくた
幾多の戦争で 我々の文明は
旧世紀に戻ってしまった。⇒
どうか ヤサコ様のお力で
我々の行く末を決めてほしい」。
かみだの
最後は神頼みか。
勝手なもんだ。
そう 人間と同じようにね。
でも 顔の上で
おそ
サッチーにも襲われない場所なんて。
あるわ。 1つだけ。
新天地だ!
ヤサコ様 アリガトウ。
「紀元5760分
ヤサコ様のお導きにより⇒
ヒゲ族は無事 約束の地に
いじゅう
移住を果たした」。
トメさんのだんなさんは 外に
かく
出る時 必ず あの部分を隠すわ。
じゃ サッチーには
見つからないってわけね。
あそこで ひっそりと
の
生き延びてほしいね。
でも それから数日後の事です。
久しぶりに ヒゲたちの様子を
見にいった私たちは⇒
置き手紙を見つけました。
手紙には こう記されていました。
「ここも 私たちの住むべき
場所では ありませんでした。⇒
私たちは 早く大人の文明に
なりたかった。⇒
でも それには
私たちが幼なすぎたのです。⇒
私たちは 本当の約束の土地を
探す旅に出る事にしました。⇒
その約束の土地は
もしかしたら⇒
こきょう
私たちの生まれ故郷ではないかと
思うのです。⇒
そこは きっと争いのない
平和な土地なのではないか。⇒
そんな気がしてならないのです」。
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