本来 人は必ず自分の進むべき道を
知っているそうです。
でも 一番大事な道こそ
見失いがちなのだそうです。
ハラケン。
(ハラケン)フミエは?
じゅく
学習塾だって。
将来 道に
迷いたくないんだってさ。
かいせき
あれから 日記の解析はどう?
カンナが見つけた道の先には
必ず イリーガルがいたらしい。
イリーガルって 意外といるのね。
魚にヒゲと 次々と現れた時は
おどろ
驚いたわ。
だれ
まだ 誰も 見つけていない空間が
あるのかもしれないね。
きり
あった 霧だ。
あっ。
キュウちゃんだわ。
何をしているの?
古い空間への道を
消去しているんだ。
急いで ほかも当ってみましょう。
(オバちゃん)よし ごくろうさん。
この調子で ガンガン初期化してやる。
カンナの日記にあった道は
これが最後だ。
ハラケン 見て!
古い空間だ。
まだ あった。
すごい霧。
あら?
この自転車は…。
あれ?
あれ デンパじゃないか?
あれは…。
うわ~!
危ない デンパ君!
(デンパ)えっ ハラケン ヤサコ。
逃げて!
デンパ君こそ 逃げて!
早く逃げて!
「逃げて」って…。
イリーガルに 言っていたのか?
何しに来たの? 早く帰って。
デンパ君こそ 何しているの?
まさか…。
か
イリーガルを 飼っているの デンパ君?
クビナガって呼んでいる。
誰にも言わないでね。
ダイチにも ないしょだよ。
うん 約束する。
それにしても イリーガルを飼うなんて
デンパ君って すごいわね。
別に ペットってわけじゃないんだ。
エサをやっているうちに
なついて 時々 会っているんだ。
でも イリーガルであるからには…。
そう これは聞かなきゃ。
うん?
私たち 電脳ナビの事故に関係した
イリーガルを 捜しているの。
まさか このクビナガは ナビのドメインに
接続したりしてない?
こわ
分からないけど 何かを壊したり
車を 狂わせた事は一度も無いよ。
メタバグしか食べないし…。
そうか…。
一度 小さい電脳ペットを連れた人が
ここに来た事あったけど⇒
こいつの方が 先に逃げ出して…。
おとなしい やつなんだ。
最初から こんな大きかったの?
ううん 初めは もっと小さかった。
ぴき
最初見た時 小さな1匹だけが
グラウンドから はみ出して⇒
グッタリしてたんだ。
それが クビナガだったんだ。
おく
見ると グラウンドの奥に
もっと たくさんいて…。
びっくりして声を上げたら
そいつらも 逃げ出して…。
ぼく ぐうぜん
その時 僕が偶然落とした
メタバグを 食べたんだ。
それで クズバグを集めて
食べさせたら⇒
元気になって
もど
グラウンドに戻ったんだ。
(ハラケン)いつからなの?
半年ほど前。
ダイチにも
ないしょにしていたんだよ。
でも だんだん数が減って…。
結局 クビナガ以外はみんな…。
僕 昔から 大きな生き物に
あこがれていて⇒
クビナガに出会った時も
きょうりゅう
恐竜の事を考えながら歩いていた。
願いが かなったってわけね。
うん!
だから すぐに
仲よしになれたんだ。
でも こいつは ちょっと
大きくなりすぎちゃったかな。
最初は 一番小さかったくせに。
そういえば この間の魚も
どんどん大きくなったわ。
せいぎょ
(ハラケン)きっと 大きさを制御する
プログラムが バグっているんだ。
バグは ほかにもあるんだ。
おもしろいよ。
あっ。
クビナガ こっちだよ。
いどう
黒土の所しか 移動できないんだ。
黒い部分を 水のように
ごにん
誤認するバグなんだね。
へえ~ そんなの あるんだ。
そう だから白い線や
白いコンクリには 進めないんだ。
不思議だわ。 地面がまるで
水のように 波打っている。
日が当ってもダメなの?
うん。
このグラウンドには 一日中
日が当らない場所があるんだ。
(ハラケン)だから
の
生き延びられたんだね。
ヒゲたちの時に思ったんだけど
まいご
イリーガルたちは迷子みたいなものね。
「迷子」?
そう だから帰る場所を…⇒
こきょう
家族が 待っている故郷みたいな
場所を 探していると思うの。
「家族」か…。 もう自分一人しか
いないのにね…。
悲しそうな声…。
もし 人類が死に絶えて
自分だけ生き残ったとしたら…。
最後まで生き残るのって
むしろ 悲しい事なのかも…。
ブハ~!
私 勉強で疲れているのよ。
ハラケンは?
何か病院 行くって。
この間の 立ちくらみの事だって。
こっちこそ 暑さで
立ちくらみしそうよ。 まだなの?
もうすぐだって。
きっと びっくりするわよ。
たいてい
私は もう大抵の事では
びっくりしないわよ。
じゃあ いいって言ったら
目を開けてね。
いいわよ。
あら? 本当に びっくりしないね。
恐れ入ったわ フミエちゃん。
立ったまま 気絶しているね。
あ~。
(フミエ)何なのよ あれは…。
やっぱり びっくりしたでしょ?
くびながりゅう
首長竜のイリーガルよ。
私 大きなものは 苦手なのよ。
でも これだけ大きいと
サッチー 寄ってくるんじゃない?
きっと サッチーが入れない
ドメインなのよ。
ここは どこが
かんり
管理しているのかしら?
どこの管理にしても⇒
大きくなりすぎた電脳物質は
壊れやすくなるものよ。
えっ そうなの?
それだけ サーバーの負荷も大きいし。
いほう
それに イリーガルって違法に
せんゆう
サーバーを占有しているから⇒
こきざ
しょっちゅう小刻みに体を
さくじょ
削除されているはずよ。
「体を削除」…。
ペットの場合も 体を細分化されて
へいれつしょり
あちこちで並列処理されてるの。
どこのサーバーも イリーガルの部品を
見つけたら すぐに削除するわ。
じゃあ 時々 苦しそうに
鳴いているのは…。
体を 少しずつ削られる痛みで
鳴いているのかもね。
痛みを感じるとしたらの
話だけど…。
まあしょせん 作りものの命よ。
あまり感情移入すると損よ。
(デンパ)そんな事 無いよ!
本当の事 言ったまでよ。
痛いなら… 痛いけど 僕もここに
一緒にいるってさすってやれば…。
痛いのは 少し減るんだ。
友達なら そうしなきゃダメだ。
でも 生き物は いつか死ぬのよ。
フミエちゃん。
私 今 夏期講習で忙しいのよ。
もっと おもしろいものかと思って
来たけど 損しちゃった。
フミエちゃん 少し前に
ネズミのペット サッチーに…。
知っている。
フミエの言うとおりだよ。
誰でも いつかは死ぬんだ。
ヤサコ。
うん なに?
このグラウンド 何かビルが建つんだ。
ここ なくなるの?
工事が始まるのは…。
明日だ!
(ハラケン)何とか 別の場所に
移すしかない。
イサコが言っていたわ イリーガルは
普通の空間では溶けてしまうって。
じゃあ 移動も出来ないの?
(デンパ)実は 前 普通の空間に
クビナガが 迷い出た事があったんだ。
どうなったの?
1時間して やっと見つけたけど⇒
確かに 体が文字化けしてて
痛そうだった。
どうしよう…。
1時間か…。
きけん
移動させるには 危険だな…。
でも このまま
ほうっておいたら…。 どの道…。
決めたよ。
ここには もういられない。
苦しくても 別の場所を探そう。
でも どこに?
古い空間で 広くて 黒い地面で…。
ただでさえ 古い空間が
減っているのに…。
やっぱり そう簡単には
見つからないわ。
うん?
この感覚…。
ひょっとして。
見つけた!
おおてがら
(ハラケン)すごいよ ヤサコ 大手柄だ。
偶然よ。
ヤサコ ありがとう。
みちすじ
あとは 道筋だな。
そうか 白い道路も
使えないものね。
ここが ヤサコが見つけた道の
入り口だ。
さっき調べたら 見込みのある
道順があった。 行ってみよう。
一番 遠回りだけど このルートなら
ほとんどの路面が真っ黒だ。
これで行けるぞ。
あら?
あ~ 道が白いタイルになっている。
ほうしん
市の方針では ここは全部
し
白いタイルを敷きつめるそうよ。
そんな…。
最高のルートだったのに…。
そうだ ハラケン コネを使うのよ。
「コネ」?
はらかわ
はい 空間管理室の原川タマコを…。
えっ 登校日?
オバちゃんって 女子高生なのね。
オバちゃんの学校来たの初めてだ。
ケンちゃん。
オバちゃん?
これが?
「これ」とは何よ 「これ」とは!
私だって 年がら年中
バイク とばしてるわけじゃないわ。
何の用?
実は…。
道路? 私は客員だし
たんとう
道路は 担当じゃないのよね。
たの
(ハラケン)そこを頼むよ。
いくら ケンちゃんの頼みでも 無理。
…っていうか 何でそんな事
頼むの?
そ… それは…。
や… やっぱり何でもない。
ちょっと…。
[ケータイ](父)あの女子高生が トラブル
起こすせいで 立場が弱いんだよ。
[ケータイ]そんな事 頼みに言ったら
かなざわ
金沢に帰れって言われちゃうよ。
その トラブルって…。
[ケータイ]駅ビルの空間 壊したり
バス置き場の空間 荒らしたり…⇒
しず
[ケータイ]町中 電脳の水で沈めたり…。
やっぱ いいわ。
ふだんの行いが 裏目に出たわ。
完成前に 何とか通るしかない。
もう時間が無いわ。
実行しましょう!
クビナガを連れて移動するのは
初めてだな。
どう?
うん 思ったより大丈夫。
体が大きいから 小さいイリーガルより
た
耐えられるのかもしれない。
さあ 行こう クビナガ。
新しい空間だけでも ダメージなのに
白い道まであると やっかいだな。
白黒はっきりしない所は
どうなのかしら?
街頭カメラから見て
黒っぽく見えるかどうかだから⇒
日光の角度によっては…。
あっ!
商店街は無理だ。
裏路地を行きましょう。
路面自体は 黒いんだけど
角度によっては白く輝く事がある。
サーバーに そっちの色が
入ってしまっているんだ。
あっ まずい! ハラケン!
待て!
ハラケンがいると
こういう時 頼もしいわ。
待て!
待て!
きりが無いわ。
待て!
止まらない。
何で?
逃げよう。
とても無理だわ。
工事も どんどん進んでいる。
このままじゃ ここからも
出られなくなるわ。
新しいルートを探す間
かせ
何とか時間を稼がないと…。
話は聞いたわ。
フミエ。
しょうがないから
手伝ってやるわ。
ぼうがい
工事の妨害をすればいいんでしょ。
私の得意分野よ。
(デンパ)手伝ってくれるの?
まあね。 ただし デンパ 今後集めた
メタバグを 1割上納する事。
あんたって人は…。
どう? 見つかりそう?
さんざん探したけど…。
使える道が見つからない。
フミエちゃんの方は どうかしら?
◇点滅◇[ケータイ]
[ケータイ](フミエ 怖い声で)中止しないと
たたってやる。
このこの…。
あれで本当に
おく
工事 遅れるのかしら?
(フミエ)今日 情報が入ったわ。
明日の午前3時に⇒
グラウンドのドメインが サッチーにも
へんこう
入れる種類に変更される。
じゃあ…。
クビナガが あそこにいられるのは
じこく
その時刻までよ。
この橋さえ 渡れれば
いくつか道があるのに…。
橋は どれも
白い路面ばかりだし…。
夜は?
がいとう
ダメ 外灯が すごく明るいの。
そうだ!
どうしたの?
水面を渡るんだ。
「水面」?
でも こんなに光っているわよ。
夜の水面は 真っ黒だよ。
あっ。
(フミエ)ようし 明日の朝3時
ちょっと前に決行よ。
お~!
さあ 張り切っていこう!
ねむ
眠い。
何で こんな夜中に
工事しているの?
工事の遅れを 夜間作業で
取り戻す気だ。
まずいわ。 急ぎましょう。
通れなくなっている。
か
ドメインが 切り替わりつつあるんだ。
黒バグを使って 広げるのよ。
デンパ 急げ! 黒バグに
引きつけられてキュウちゃんが来る。
うん クビナガ。
あっ 来たわ。
せま
ダメだ ここは狭すぎる。
あっ サッチーだわ。
ちょっと強力すぎるけど。
下がって。
待て。
みんなも早く!
大丈夫?
(ハラケン)第1の関門だ。
がんば
クビナガ 頑張るんだ。
(ハラケン)第2の関門だ。
あれ? 無くなったわ。
クビナガ 頑張るんだ。
危ない!
デンパ君!
クビナガ!
クビナガ しっかり!
ねえ まだなの?
大丈夫 もう少しよ。
よかった。 もう少しだよ クビナガ。
ハラケン…。
新しい空間に長くいたせいで⇒
白い地面のダメージも
大きくなっている。
そんな…。
たぶん もう長くは もたない…。
たどり着いても 着かなくても…。
(フミエ)夜明けよ。
あっ。
急ごう。
間に合わなかったんだわ。
バカいわないで! 強行するのよ!
だけど そんな事したら…。
ごめんよ ごめんよ クビナガ。
クビナガ?
待って!
どうしよう?
(ハラケン)早く 呼び戻すんだ。
クビナガ~!
あっ?
うわ~。
クビナガ~!
しかたなかったのよ…。
生き延びる力が
足りなかったって事よ。
しょせん 作りものの命なのよ。
それも イリーガルよ。
感情移入したら
損なだけよ。
(大声で泣く)
(ハラケン)あいつは… クビナガは ずっと
さび
独りぼっちで 寂しかったんだよ。
きっと仲間と同じ場所に
行きたかったんだ。
ぼうそう
クビナガが 暴走したその行く手には⇒
使われなくなった工場の
えんとつ
お化け煙突が立ち並んでいました。
それは まるで たくさんの
クビナガのようでした。
工場と その煙突の群れが
取り壊しになったのは⇒
それから
数日後の事だったそうです。
最近作成されたWikiのアクセスランキングです。見るだけでなく加筆してみよう!
atwikiでよく見られているWikiのランキングです。新しい情報を発見してみよう!
最近アクセスの多かったページランキングです。話題のページを見に行こう!
- サーヴァント/一覧/クラス別 - Fate/Grand Order @wiki 【FGO】
- 参加者一覧 - ストグラ まとめ @ウィキ
- U-オルガマリー - Fate/Grand Order @wiki 【FGO】
- 魔獣トゲイラ - バトルロイヤルR+α ファンフィクション(二次創作など)総合wiki
- 暦家 - ストグラ まとめ @ウィキ
- アルジャーノンに花束を - アニヲタWiki(仮)
- 機体一覧 - 機動戦士ガンダム EXTREME VS.2 INFINITEBOOST wiki
- いますぐ輪廻 - 初音ミク Wiki
- 鬼レンチャン(レベル順) - 鬼レンチャンWiki
- 危険度7 - 検索してはいけない言葉 @ ウィキ