その心は どこに行くのか⇒
だれ
本当の事は 誰も知りません。
(人の声)
(ハラケン)誰?
どこ?
(人の声)
助けてあげる。
どこにいるの?
♪~(信号機の音楽)
♪~
助けて。
(クラクション)
あっ!
ゆめ
また同じ夢だ。 いけない。
今日は 病院に行く日だった。
(フミエ)ヤサコ!
どうしたの? 泳がないの?
うん。
今日は元気ないのね。
何すんのよ! オラ!
あまさわ
天沢さん
一体 何をする気なんだろう。
(イサコ)私の兄は
戻れなくなったんだ。
たましい でんのう
魂が 電脳の体と共に
あっちに行ったままだ… 今も。
あっち…。
(テレビ)「子どものうわさでは
暗号という おまじないが⇒
はやっているそうですよ」。
「ほう 暗号ですか」。
「それで キラバグというアイテムを
集めると⇒
何でも 願い事が かなうとか…」。
キラバグ…。
かんごし
(看護師)原川さん。
メガネは?
中では外してね。
待合室なら使っていいけど。
てっていてき
(医師)君のおばさんから 徹底的に
調べてくれと言われててね。
今日は 一人で来たの?
はい。
先日の大学病院の
結果を見るかぎりでは⇒
いじょう
まったく 異常がなかったよ。
かんれんせい
君のおばさんは メガネとの関連性を
しゅちょう
しつこく主張してるんだけど⇒
今の医学では メガネと頭痛や
不整脈の関係は証明されていない。
もういいよ。
あの… おばちゃん
ほかに 何か言ってましたか?
「メガネを取り上げた方が
いいでしょうか」と言ってたな。
アハハ きっと本気じゃないさ。
ずつう しんぞう
頭痛と心臓は 何ともないんだね?
ええ。 もう全然。
そうか。
いっち
じゃ 検査結果と一致するな。
まあ メガネは目が疲れるし⇒
医者としても ほどほどにしとけと
言うべきところなんだけど⇒
ぼく
僕らも一日中 手放せないし
えら
そう偉い事は言えないね。
でもね 子どもは もっと本物の
何かで遊んだ方が いいかもね。
ちゃんと 手で触れる何かで。
(看護師)さあ 後は放射線科の
順番を待ってね。
図書館 行けなくてごめんね。
昨日の分は 共有フォルダに
入ってるから。 じゃあ。
あら?
(ガチャギリ)急げ!
まだ古い空間が あったなんて。
それも こんなに広い。
(ガチャギリ)本当に サッチーには
見えてないんだな?
おまえたちが ヘマさえ
しなければな。
キラバグは 必ず この近くにある。
気を抜くな。
天沢さん キラバグで何を?
[ケータイ](おばさん)
今朝 顔色が悪かったみたいね。
ねえさんから聞いたわ。
夢を見ただけだよ。 カンナの夢。
[ケータイ](ハラケン)カンナは まだどこかに
とど
留まっていて 苦しんでる。
僕に会って 話したがってる。
[ケータイ]もう カンナの事は忘れなさい。
[ケータイ]もし また この間みたいな事が
起こったら⇒
今度こそ メガネを
取り上げるわ。
関係ない。 自由研究なんだ。
[ケータイ]うそつき。 自由研究なんて
口実なんでしょう。
ケンちゃん カンナは死んだのよ。
じゃあ 僕 まだ検査があるから。
(テレビ)「都市伝説にも
いろいろあって⇒
とびら
中には キラバグは 異界への扉を
開く通路だというのも…」。
キラバグ。
イサコ ひょっとして…。
「都市伝説」 「キラバグ」。
あっ 質問してる人がいる。
「キラバグって 何ですか?」。
「キラバグという言葉が語られ始めた
のは メタバグより後だと言われる。⇒
だいこくし
メタバグは 大黒市でよく見られる
なぞ
謎の電脳物質で⇒
どこから どのように生み出される
のかは確認されていない。⇒
こはく ふう
メタバグには 琥珀に封じられた
こんちゅう
昆虫化石のように⇒
時折 音や文章といった
ふく
データが含まれている。⇒
それが マニアックな価値を生み
一時は高値で取り引きされた。⇒
だが さらに価値のあるメタバグが
あるとの うわさが広まった。⇒
それが キラバグである。⇒
だが キラバグは
そんざい
オカルト的な存在でもある。⇒
この電脳空間に あってはならない
きみょう
奇妙な物質だというのだ。⇒
ある伝説は キラバグを集めると
ミチコさんが現れて⇒
何でも願い事を
かなえてくれると言い⇒
大人も含め キラバグ目当てのマニアが
さっとう
大黒市に殺到した時期もあった。⇒
しゅうそく
だが結局 作り話として収束し
やがて忘れ去られていった」。
何でも願い事を…。
「キラバグを集めると
どんな事が起こるんですか?」。
「一度だけ キラバグの使い道が
けいじばん
ネットの掲示板で⇒
まことしやかに
語られた事があった。⇒
かくり
キラバグは 本来 ある隔離された
せつぞく
空間に接続する プログラムであり⇒
それを集めて起動する事により
あっちとの通路を開くのだ」。
(ハラケン)ヤサコ。
わっ!
(2人)すみません。
ごめんなさい。 ちょっと
こわ
怖いページを読んでたから。
怖いページ?
キラバグのページ。
そうだ。
今日 古い空間 見つけたの。
本当に?
場所は ここより北の方。
でも どうやって?
ぐうぜん
偶然 天沢さんを見かけて。
イサコを?
そうだ。
その天沢さんの事なんだけど…。
イサコが?
うん。
都市伝説とか そういうのを
つなぎ合わせると⇒
天沢さんが キラバグを集めてるのは
お兄さんの意識を取り戻すために。
バカみたいね。 そんな事
本当に あるわけないよね。
でも もし本当に
そんな事があるなら…。
意識だけ電脳空間に行ってしまい
肉体と切り離されてしまったら⇒
どんな感じなんだろう。
意識は残ってるから
痛みとか苦しみとか⇒
気持ちは ずっと
残り続けてるのかもしれない。
もし苦しみとか悲しい気持ちとか
そういうものが⇒
げんいん う
その原因を作った人が埋め合わせ
い
癒やしてあげないかぎり⇒
永遠に消えないとしたら…。
かく
ハラケン 何か隠してる?
もし何か 誰にも言わずに
あぶ
危ない事をしようとしてるなら…。
そんな事はないよ。
そう。
私 時々 ハラケンが 急に ふっと
いなくなっちゃうような気がして。
私たち 最後の夏休みよね?
最後の?
ううん 小学校で最後の。
ああ。
私たち もっと楽しい事とか⇒
面白い事をやってて
いいんじゃないかって思うの。
ハラケンは この一年 ずっと つらい
気持ちで いたんじゃないかって。
天沢さんと同じで
それを誰にも言わずに一人で…。
ごめんなさい。
変な事を言ってるわね。
ただの…。
こうきしん
ただの好奇心なんだ。
イリーガルとか古い空間とか
見てみたくて。
それだけ。
カンナの事なんか関係ない。
ヤサコの言うとおりだ。
僕は考えすぎてたんだ。
僕たちは もっと楽しい事とか
面白い事をして過ごすべきなんだ。
ハラケン…。
僕は もう カンナの事なんか
気にしてないよ。
心配してくれて ありがとう ヤサコ。
だから さっさと
自由研究は終わらせて⇒
残りの夏休みは 楽しく過ごそう。
プールに行ったり 遊園地でもいい。
さわ
みんなで バカみたいに騒ごう。
よ
ダイチとか デンパも呼んで。
本当に?
うん。
ハラケン…。
ハラケン… 私…。
私 ハラケンの事…。
明日…。
え?
明日 その古い空間に
行ってみよう。
それで もし何も見つからなければ
自由研究は それで おしまい。
てきとう す
適当に済ませて終わらせちゃおう。
その後は 楽しい場所に行こう。
うん。
最後の夏休みだから。
うん。
チェッ。 おい!
だんど
ここは私が投げる段取りだろう。
(ナメッチ)うへ~ すんません。
役立たずめ。
追いかけるぞ。
いない。 うわ!
てめえ ずっと
つけてきやがったな。
たの
頼む! イサコに会わせてくれ。
何 言ってんだ?
オヤビンに 何の用だ?
君たちには言えない。
バカにすんな!
まずいよ。 こいつをやると
あのおばちゃんが…。
頼む。 話をさせてくれ。
何だ こいつ。
(おばちゃん) ふうさ
この3ブロックを 2時間封鎖しろ。
せきにん
ああ 責任は私がとる。
イサコ 私が止めてあげる。
あなたの やろうとしている事は
まちがいよ。
くそっ!
うわ~ 来た!
騒ぐな。
暗号が機能してるはずだ。
あま
私を甘く見るなよ。
思ったとおりだ。 イサコの暗号の
ほとんどは解読可能だ。
物理結界以外なら ほとんど
やぶ
破れるぞ。 来い ポチ! タマ!
ようしゃ
今回は容赦しない。
そうりょくせん
総力戦で行くわよ。 チビ!
まさか 暗号のルーツが メガばあの
メタタグと同じとはな。
天沢勇子
おまえは一体 何者なんだ。
おそ
ハラケン 遅いな。
あっ さっきのページ。
新しい質問が入ってる。
「もし ミチコさんが 何でも願い事を
かなえてくれるなら⇒
死んだ人の苦しみや痛みを
癒やせますか?」。
これって…。
もし苦しみとか悲しい気持ちとか
そういうものが⇒
その原因を作った人が埋め合わせ
癒やしてあげないかぎり…。
ハラケン!
(ナメッチ)こんなんで本当に
つか
捕まえられるのかな。
(ガチャギリ)たぶんな。⇒
こいつは 結界で電脳物質を
しゃだん
遮断すると同時に⇒
レーダーの代わりもする暗号だ。
へえ~ そんな事 わかるの。
ああ 何となく
読めるようになってきたぜ。
これで さっきのイリーガルを
確実に キャッチするつもりだ。
(ナメッチ)それにしても イサコオヤビンの
目的って 一体 何なんだろう?
いや
ちょっと 嫌なうわさを
聞いたんだ。
イサコオヤビンが あるものを
呼び出そうとしてるって。
(ガチャギリ)あるもの?
(ナメッチ)ミチコさんを。
また 頭痛だ。
誰?
(ナメッチ)それだけじゃないんだ。⇒
呼び出された ミチコさんは
いけにえを欲しがるんだって。
くだらねえ。
そんな話は どうでもいい。
ぬす
暗号を盗めば おそらく
もっと でかい仕事に使える。
おれ ねら
俺の狙いは それだけだ。
あっ来た。
よし シフト2で追い込むぞ。
当った!
よくやった。
えい!
何で見えてるの?
追うぞ!
ボク サッチー。
3機!
てつかべ
鉄壁だ!
ざこ
チェッ 雑魚は おとりか。
イサコだけを追え!
りんかい
これで臨界だ。
くそっ イサコは どこだ。
こうぞう
この暗号の構造は?
全機 このポイントに向かえ!
あとちょっと…
あとちょっとで通路が開く。
今だ!
勝った! サッチー 全部 捕まえたぞ!
3機も出したのに 残念だったな。
くそっ 物理結界か。
集めた。
今度こそ 一年前のような事には
ならない。
ボク サッチー。 何で?
ここまでよ。
ポチ! タマ! チビ!
コロ! ミケ!
(2人)なに?
3機じゃねえ。
(ガチャギリ)5機だ!
周囲の暗号をつぶせ!
何だ?
鉄壁 すべて使え!
くだ
砕け! その先に イサコがいる。
しゅんかん お
通路を開いた瞬間を押さえる。
けい
まずい。 このままでは コントロール系の
はそん
暗号が破損してしまう。
あのサッチーを止めなくては⇒
また コントロールできない場所に
開いてしまう。
去年の あの時のように。
おまえは…。
なぜ ここに?
天沢勇子。
君と… 君と取り引きしたい。
取り引きだと?
[ケータイ](呼び出し音) 出ないわ。
僕は もう カンナの事なんか
気にしてないよ。
今日の空間 じこ
カンナちゃんの事故の近くだ。
めいれい
僕は サッチーの命令プロセスに
アクセスできる。
おばちゃんが
そうしてくれたんだ。
そのアクセスコードを 君に教える。
何だと?
君なら これを使えば
勝てるはずだ。
しかし おまえが なぜ?
じょうけん
おまえの条件は何だ?
僕を…
僕をあっちに連れていってくれ!