チュン・ウー・チェン(Trung Yu Chang、宇宙暦762年 - )は自由惑星同盟の軍人。原作登場人物である。男性。

1 外見

目は細く、鼻は低く、口元には締まりがない。作戦を練るより小麦粉を練る方が似合いそうな風貌の持ち主。

2 略歴

2-1 前世

 自由惑星同盟軍少将、士官学校教授。宇宙歴798年10月に宇宙艦隊副参謀長に就任。
宇宙歴799年1月8日、「神々の黄昏」作戦の対応中、ハリッサ・オスマン中将脳出血で入院した事を受け代理として会議に出席。その際、ヤン・ウェンリー大将にイゼルローン要塞を放棄するよう進言して欲しいと提案する。同月、アレクサンドル・ビュコックの元帥昇進に合わせ自身も大将に昇進し宇宙艦隊総参謀長に正式就任する。2月8日、第3戦・第1次ランテマリオ星域会戦に参戦。黒色槍騎兵艦隊によって壊滅寸前に陥いり自殺を図ろうとするビュコックを制止する。同年5月26日、バーラトの和約成立で発足したレベロ政権で現職兼務のまま宇宙艦隊司令長官代理に就任する。7月22日のホテル・シャングリラ事件を受け8月15日、最高評議会議長ジョアン・レベロより正式に司令長官就任を受けるも拒否する。11月10日、皇帝・ラインハルト・フォン・ローエングラムがFTLで全宇宙に向けて自由惑星同盟の大失態を公表し宣戦布告。これを受けビュコックが現役復帰し彼の為に最終決戦に備え作戦計画を補佐する。またヤンに出来る限りの兵力を送ろうと国防委員長代理・ツァイ大将と共に宇宙艦隊にあるヒューベリオンを含めた5560隻を誘導する手配りをしヤン艦隊に所属していたエドウィン・フィッシャーエリック・ムライ両中将とフョードル・パトリチェフ少将に誘導艦隊を率いてヤン不正規隊に合流するよう命令。その際妻子をムライに託してヤンの所へ送り届けました、
 宇宙歴800年1月16日、マル・アデッタ星域会戦において頭部を負傷しながら善戦するも力尽き最後はツァイ、助っ人副官・マリネスク少将、ダニエル・ヤマムラ軍医少佐、艦長・エマーソン中佐と共にビュコックの自由惑星同盟軍最後の武人としての壮烈な振る舞いに付き合い民主主義に殉して戦死した。(31話)

2-2 逆行後

 宇宙暦795年、前任の第一一艦隊司令官、マッシモ・ファルツォーネ中将の幕僚チームから横滑りする形で新任の第一一艦隊司令官クレメンス・ドーソン中将の幕僚チームに加わった。第一一艦隊作戦部長であり、宇宙軍大佐。中間派系列の有力地方閥に属する。(31話)同じ艦隊で後方部長を務めたエリヤ・フィリップス大佐と親しくなり、彼にドーソン司令官と作戦部のパイプ役を頼んだ。トマトが苦手。戦闘中もポケットから潰れたパンが出てくる。(32話)第三次ティアマト会戦では間に合わなかったが、いち早くラインハルト・フォン・ミューゼル中将がドーソン中将個人に負担をかけようとしている事を見抜く。混乱するドーソン中将に対して、エリヤにしか出来ないことをするように助言した。(33話)その後、士官学校戦略研究科教官に転任した。(35話)
 宇宙歴796年頃、エリヤにたいし、ヤン・ウェンリー提督と対立した方が妥協が成立する余地が生まれると助言した。(40話)
 宇宙歴797年、第三六機動部隊参謀長に就任する。丁度、士官学校の授業の最後に「同盟万歳」をつけ忘れた事で左遷されそうになっていたらしい。この時点で「参謀職は艦隊で三年、分艦隊で四年、機動部隊と方面軍でそれぞれ二年。その他は機動部隊副参謀長、士官学校戦略研究科の教官、フェザーン駐在武官をそれぞれ一年ずつ」経験しているらしい。(50話)
 宇宙歴798年の「神々の黄昏(ラグナロック)作戦」中、宇宙軍代将の称号を得ている。(60話)
 宇宙暦799年から801年にかけての良識派体制下では准将に昇進して国防研究所国防戦略部長という要職を務めており、居心地の良さを感じていたが、エリヤが首都防衛軍司令官に就任することが内定すると
「今の体制は悪くないと思います。しかし、一強体制は良くありません。対抗勢力がいないと、立派な人物でもやることが雑になります。常に敵の目を意識するぐらいがちょうどいいのです」
「どうあがいても、この世から右翼は消えません。ならば、あなたのような人が右翼のトップになるのがベターです」
「本音を言いますと、あなたの下で参謀をするのが楽しいのですけどね。あなたは意見をよく聞きますが、丸飲みにはしません。厳しくチェックした上で判断なさいます。ほど良い緊張感をもって仕事に取り組めます」
と語り、首都防衛軍参謀長代行に就任した。(75話)
 同年、民主政治再建会議がクーデターを起こした際は改革してくれるなら民主主義はどうでもいいという人間がハイネセン主義者に混じっていたことを残念がった。(81話)民主政治再建会議のクーデター鎮圧後、宇宙軍少将に昇進。
 宇宙歴802年に第一辺境総軍結成時に宇宙軍中将となり宇宙担当副参謀長兼第二艦隊参謀長に就任した。(95話)
 エリヤからマルコム・ワイドボーン大将のヤン・ウェンリー元帥に対する評価を聞かされて、意見を求められた際は
「私もヤン元帥は信念の人だと思っていますよ。自分の正義を疑わない。自分の正義に反することはできない。違う考えを認めない。彼ほど信念が強い人は見たことがありません」
「彼が嫌っているのは、言葉じゃなくて、それを口にする人なんだと思いますよ。自分は信念に命を賭けている。だからこそ、覚悟もないのに信念を口にする人が許せない」
「ヤン元帥は厄介な人ですが、それを補って余りある美点があります。市民の生命を守ることが、民主国家の使命だと本気で信じています。そして、どんな時でも市民の生命を最優先します。非難されることが分かっていても、不利になることがわかっていても、彼は市民の生命を守ろうとするでしょう」
「私は彼の狂信を信頼します。我々を滅ぼさなくても、彼は目的を達成できる。我々が市民を守る側に立つ限り、彼は我々を嫌うことはできても、排除することはできない。だからこそ、安心して対立できます」
と語った。(94話)
 さらに、エリヤとヨブ・トリューニヒトの間に不協和音が流れ始めたときは
「あなたの正義とトリューニヒト議長の正義が食い違った時、どちらを選ぶのか」
「あなたは秩序と規律の申し子、トリューニヒト議長はルール破りの常習犯です。ぶつからない方がおかしいです」
「それでも、あなたはトリューニヒト議長を選ぶでしょう。あなたの辞書に裏切りという言葉はない」
「トリューニヒト議長と仲間が対立し、和解の余地がない。あるいはトリューニヒト議長が仲間を一方的に潰そうとする。こういう状況になったら、あなたはどちらを助けるんです?」
と疑問を投げかけた。(100話)
 同年の第九次イゼルローン要塞攻防戦では総軍参謀長のマルコム・ワイドボーン宇宙軍大将と共に付け入る隙の無い迎撃作戦案を作り上げた。さらに、物資の少ない帝国軍に消耗を強い、撤退へと追い込むべく、物資を惜しみなくつぎ込むことをエリヤに進言した。(106話)その後、消極策を巡って幹部会議での対立が激化すると、フョードル・パトリチェフ宇宙軍大将と共に仲裁役に回った。(107話)ガイエスブルク要塞攻撃を目的とするオペレーション・モンブラン時、カール・フォン・ゾンバルト宇宙軍中将率いる第四艦隊A分艦隊が突出し、戦線のバランスが崩れた際は、「判断が難しいですが、前進させるのがベターでしょう」と意見を述べた。(108話)その後、帝国軍が要塞と共に前進してきた際は接近戦に切り替えるべきだと言うワイドボーン参謀長に賛同した。なお、エリヤが倒れた際は空腹と勘違いして潰れたパンを握らせた(109話)
 宇宙歴803年には先鋭化するリベラルと醜悪な大衆党を見て、エリヤに対し、
「ウッド提督の再来が現れた時、それを否定できる自信がないのです」
と告白した。そして、もしエリヤがウッド提督の再来と化した時は、
「その時は一緒に地獄に堕ちましょう」
と穏やかだが覚悟を決めて言った。(116話)

3 能力

士官学校を四七位で卒業した上位卒業者で、主に正規艦隊の作戦参謀として働いてきた。三三歳の若さで宇宙軍大佐・正規艦隊作戦部長といえば、トップエリートとは言わないまでもそれに次ぐらしい。(31話)
本質的に戦略家タイプ。エリヤにヤンとの敵対を勧めるなど、視野が広い。戦下手のエリヤを知略面から支える名参謀。

4 性格

マイペースな性格で、いつどこで話題を変えるか予想がつかない。しかも、三回に一度はパンの話題になるらしい。
小さな仕事にも手を抜かず、媚びないが衝突もしないというスタンスの為、意外にもクレメンス・ドーソンから嫌われてなかったらしい。
食事のマナーが凄まじく悪い。空気を読まないようで読める

5 座乗艦

  • 第一一艦隊旗艦「ヴァントーズ」(大佐:第一一艦隊作戦部長として乗艦)
  第三次ティアマト会戦(第32話 - 33話)
  • 第三六機動部隊旗艦「アシャンティ」(大佐:第三六機動部隊参謀長として乗艦)
  帝国領侵攻作戦「神々の黄昏(ラグナロック)作戦」(第56話 - 64話)
  • フラインスハイム星域軍前方展開部隊旗艦「ヴァイマール」(代将:フラインスハイム星域軍前方展開部隊参謀長として乗艦)
  帝国領撤退戦 - 第二次ヴァルハラ会戦(第64話 - 69話)
  • 第一辺境総軍旗艦「ゲティスバーグ」(中将:第一辺境総軍副参謀長として乗艦)
  通常勤務(第96話 - )
最終更新:2025年04月14日 12:02