リノ・ガイエン
Reino.Guien
リノ・ガイエンとは、ガイエン独立の父であり、初代ガイエン宗教社会主義人民共和国最高権力者である。
当時のナ・ナル民族主義群島諸国連合の脅威から国民を守り、反乱軍を率いて自ら前線に立ちクレイ商会と戦った。
2103期にナ・ナルの国の一つトラン市国でごく普通の両親のもとに誕生する。父はギルタ・ガイエン、母はザリナ・ガイエン。
未熟児として生まれ軽度のADHDを患い、7歳のときADHDと診断された。両親は息子の自由を第一とし、ADHD児に良い環境を求めて数回転居している。幼い頃は落ち着きがなく、授業をそっちのけで教室を飛び出し、己のやりたいことをするという状態であった。しかしストリートファイトなど激しい喧嘩を愛好し、喧嘩で不利になると毒霧を使用し、相手がひるんだところで殴り飛ばすといった戦法をとった。修行僧時代には友人と武道を学び、穏やかな感情を持つようになった。
カビラ寺院で武道・神道を学ぶ。修行中の2120期に年上の友人のグレアム・クレイとともにヨットで放浪旅行を経験した。旅の過程で、ハイランド島の最下層の鉱山労働者や海賊島に住むドロモン海賊団らとの出会いなど、当時比較的裕福であった南方各地の状況を見聞する。コレット共和国では様々な民族とのふれあいを通し、人種という壁や身分の格差の無意味さに気づかされた。
2134期、友人のグレアム・クレイとともに再び南の海へ放浪の旅に出る。当初ペルヴェン共同体を訪れる予定だったが、政権改革の進むラトガル共和国を旅した際に、それまで虐げられてきた人民が解放され、かつてないほど自由な雰囲気が漂っているのに大きな衝撃を受けた。その後放浪の旅を続ける最中、女性活動家のエストア・シルバーバーグと出会い、共感し、社会主義に目覚め、急速にのめりこんで行くとともに、彼女と結婚する。
2140期、政権を掌握していた独裁者が親友であったグレアムだと新聞で知る(グレアムはドイマメ族の肉を食らい、寿命を大きく伸ばしていた)。今までの超兵器建造事件やシェードル傘下事件、今日まで続く国民からの搾取が己の親友による仕業だと知ったガイエンはひどく絶望し、一ヶ月間引きこもってしまった。この出来事が直接のきっかけとなり、ガイエンは武力による反乱戦争を本気で志すようになった。
その後、正体を知られてしまったグレアムによってガイエンの暗殺指令が出されたため、妻のエストアとともに、失意と怒りを抱いてエメロールに移る。2145期、この地に身をひそめる反体制派ドイマメ族のリーダーである、ラーラン・ナーヴァと出会う。グレアム独裁政権打倒を目指すラーランに共感したガイエンは、このとき、一夜にして反乱軍への参加を決意したとされている。こうして南方15期戦争の生き残りだったベボ・アングラ中佐による本格的な軍事訓練を受けて、クレイ商会打倒への準備が進んでいった。
2147期蕾、妻と娘のサンダをエメロールに残し、単身ナ・ナルへ向かう。ラーランをリーダーとした反乱軍総勢82名は海賊船「グリシェンデ号」に乗り込んだ。ナ・ナルの領海には巡視船が多数巡回しており、正面から突破するしか方法がなかった。原因として、反乱軍の上陸をグレアムが事前に発表し、計画の内容も商会全体に漏洩していたため、反乱軍は上陸前に政府軍の襲撃を受けて壊滅状態となった。結局生きて上陸できたのは82人中、ガイエン、ラーラン、リーリン、ラクティスなどを含む12人のみだった。
上陸後、反乱軍はハイランド島に潜伏し、群島中の村などを転々としながら軍の立て直しを図った。その後ナ・ナル国内の反政府勢力との合流に成功し、反乱軍は徐々に増強されていった。当初、ガイエンの部隊での役割は参謀であったが、政府軍との戦闘の中でその忍耐強さと誠実さ、状況を分析する冷静な判断力、人の気持ちをつかむ才を遺憾なく発揮し、次第に反乱軍のリーダーのひとりとして認められるようになっていった。上陸から1年後、兵員増加に伴う部隊の再編成に際し、名だたる幹部たちの疲弊によりガイエンは総指揮を任されることとなった。
2197期枯死にはこの革命軍300人(市民を合わせると5000人を超える)を率いて政府軍6000人が迎え撃つナ・ナルの首都トラン市国に突入する。そこで、政府軍の武器と兵士を乗せた装甲車を軒並み爆破させ政府軍を混乱させる(この爆破に使用された素材がSEP-IP流体の祖である)。反乱軍を支援する多数の市民の加勢もあり、激戦の末にこれを制圧し、商会本部への道筋を開いた。
2147期枯死午前2時10分、リノ・ガイエンはかつての親友グレアム・クレイと相対する。お互いに一騎打ちの決闘を申し出、兵士達を遠ざけた。ガイエンは手甲、グレアムは細剣を抜き、鐘の音と共に決闘が始まった。グレアムは細剣による中距離の突きを得意とし、近接戦闘を得意とするガイエンにとっては不利な相手であった。そこでガイエンがとった秘策は、自らの心臓部分にチャバネオオカニの身と甲羅を仕込み、敢えて攻撃を受けることであった。グレアムは狙い通り心臓に狙いを定め(ガイエンは心臓を狙いやすいよう敢えて胸部の鎧を損傷させていた。)突きを放ち、カニの肉の感触を人間の肉と誤認した。油断したグレアムにガイエンが拳を叩き込み、グレアムは頸椎の粉砕骨折で絶命した。表上では暗殺となっているが、裏では決闘というお互いの正義と友情が入り混じった戦闘が行われていたのである。
グレアムの死体が商会本部最上階より掲げられ、独立戦争は達成された。亡くなったグレアムに代わり、グレアムの側近で参謀であったディラメント家が総責任者となった。ディラメント家は責任をとり反乱軍の独立を保障し、反乱軍の総本部が置かれていたエメロールを反乱軍に明け渡した。ガイエンは闘争中の功績と献身的な働きにより明け渡された新たなる領地の統治権を与えられ、新政府の初代最高権力者に就任するに至った。
2148期、反乱軍に明け渡された領土の名前は当初、「ニネダ独立国」を予定していた。しかし市民や反乱軍の幹部たちはそれを許さず、ガイエンの名を掲げ、彼の宗教への信仰心を国民の、また国の体制とすべく「ガイエン宗教社会主義人民共和国」と急遽改名することとなった。
ガイエンは宗教の教えを第一とした政治体制を整え、宗教の教えでは届かない範囲を法によって補った。貧乏ながら働き者で正直な国民の特性を見抜き、経済学・経営学を推奨しローリスク・ハイリターンかつ金回りが良くなる知識を身につけさせた。
しかし政治学に疎く、ADHDなことも相まって上手く政治活動ができず、仲間の手を借りながら完全に政治体制が整い国民全体が人間的に生活できるようになったのは2182期の枯死の月であった。
ガイエンは国民に愛され、時には延命を目的としてドイマメ族の一人が自らを献上したがガイエンはひどく怒り、「生きている以上終わりがあり、終わりがあるからこそ人は必死に生きるんだ。あの木の葉のように。だが、ただ朽ちて落ちる訳ではない!! それは新たな青葉の養分となるのだ! そして青葉が芽吹く新たな春へと繋げる時こそが、青春の最高潮!! 真紅に燃える時!!」と答えた。
翌期、花暦2183期枯死40花日、国民に看取られ静かに息を引き取った。