畸形曼荼羅

きけいまんだら

神が所有する宇宙・曼荼羅の一つ。
第六天波旬の双子の兄弟である畸形嚢腫と、その触覚である坂上覇吐の力を示す曼荼羅。
正確には畸形嚢腫は神格ではないが、波旬の一部として共に太極座に座っているため、波旬の力と座の能力が流れ込んでおり、触覚を生み出すことも可能。

作中においては不和之関で天魔・悪路の力によって大敗を喫した東征軍主力の益荒男達は畸形曼荼羅という力に目覚めていた。

畸形感染による効果

畸形嚢腫自身の渇望である「生存」を叶えるための支援を行うもので、自分に都合の良い者に対し、触覚である覇吐を通して力を与える(正確には畸形曼荼羅に覇吐が目覚めたことでその裏面、自滅因子である竜胆にすぐさま畸形が移り、彼女の自滅因子の増殖特性・覇道により畸形曼荼羅を感染させていった)。

不和之関で覇吐が死んだ時、畸形嚢腫は己を自滅因子である竜胆に救って欲しかったため、畸形曼荼羅に触れると総てが歪み始めると分かっていながら思わず覇吐を作り直してしまった。
不破之関で竜胆が死んだ時、他の者が死から免れたのは覇吐を確実に殺すために彼らに畸形が感染して死にづらくなったから。
つまり力の流れは第六天波旬→畸形嚢腫→覇吐→竜胆→宗次郎・紫織・龍水、となっている。

不二・東外流・無間蝦夷と段階的に強化されている。
不二では、覇吐・宗次郎・紫織が大獄の影との戦闘中少しずつではあるが武威を押し上げていった。さらに一度は大獄の攻撃で死んだ覇吐が竜胆の激励で復活すると同時に全員が強化された。
東外流で覇吐は太極位にある奴奈比売の歪みを返杯することに成功している。
無間蝦夷では天魔覆滅の効果もあるが、宗次郎と紫織は悪路と母禮の随神相内でも即座に腐り落ちず焼き消されず、と強度の補正が掛けられていた。この時点ではまだ太極を開いた天魔に匹敵するほどではなく殺されるが、直後に竜胆と覇吐の発破と共に力の供給が発生し二人は太極に到達している。さらに覇吐は新生した夜刀の時間停止に抗うことに成功している。

畸形感染の際の危険要素は、使えば使うほど天狗道の理から浮いてしまい波旬に発見されやすくなること。覇吐達が波旬と戦い殺されるという運命を加速させ、畸形嚢腫自身の自滅へと近づくことを示す。これがこれまで謎だった、歪みの使用による返し風の正体であり、それは覇吐だけでなく宗次郎や紫織にしても同じこと。
しかし波旬の超絶の力ゆえに、そのおこぼれ程度であっても畸形嚢腫の保有する力の量は凄まじいものがある。

どんだけ凄まじいかと言うと
無間蝦夷で揺れ幅はあるものの覇吐の各能力値の全てが、最高値を越えて検証不可能の領域にまで強化される。
夜刀との戦いにおいては誰であろうと、数万回は粉微塵になっているほどの夜刀の攻撃を受けても戦闘能力を失わず、直撃すれば死ぬ攻撃には何かが起こり直撃しないという域にまで強化。
無間大紅蓮地獄と大欲界天狗道の鬩ぎ合いにより太極座の波旬に近づくほど、さらに強化され続け、漲った万の力で夜刀の刀閃を弾き飛ばし、裂帛の気合と共に乱れ舞う首刈りの風を叩き伏せ、
刹那の間もなく放たれた巨神の咆哮さえ、覇吐を飲み込むにはもう足りず、
天を貫く閃光は唐竹割にて両断し二つの割れた光線は空に穴を穿って飛散、
時の間隙に踏み込み、夜刀の意識を防御に割きさせ始め、億の大台へ刃の攻防を重ね、
時間という理を留めながら戦う夜刀に、それを返杯することで速度を上げ相対、
互いの刃で腕を斬り、足を砕き、幾重もの手傷を刻みあった。
それでも、決め手が足らない。手数が足らない。純粋な力では追いつけない。技量と積み重ねた経験の差が、どうしても越えられないと嘆いていたが

竜胆は夜刀との戦いにおいて、
「いざ知らしめよう。私たちの生きる意志を、魂を」
「天照らす光のように――!」という、
宇宙の暗黒さえ吹き払わんと、その祈りをもって仲間たちの縛鎖を掻き消し、
直撃すれば原子の域まで分解される攻撃を、噴き上がった光輝の柱によって相殺するという域にまで強化された。