だいろくてんはじゅん
パーソナル
身長:可変 体重:可変
バトルパラメータ
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筋力 |
体力 |
気力 |
咒力 |
走力 |
太極 |
奥伝 |
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最高値を超えて検証不可能。最強最悪の存在。
座の世界観における六代目の
神である
その神威が世界に敷く
理は
大欲界天狗道。
歴代神格の中でも最強最悪の存在であり、その性質は一言で言うと邪神。
形は違えど神格たる者ならば持ち得る神聖さなどは欠片も有さず、生まれ出でたその瞬間から徹頭徹尾ただ己のみを愛し、他の全てを嫌悪愚弄し蔑み殺す外道でしかない。
背後に広がる
大曼荼羅は波旬が所有する無限の平行宇宙そのもの。
容姿
何よりも特徴的な
額の第三の目と白濁した眼光を放つ目。褐色の肌に緩やかな衣を纏い、くすんだ金髪を炎のように逆立てている。
覇吐が「子供?」と感じたのと波旬を倒した時のCGから背はかなり低い。
大和人では無い異国の風貌もそうだが、散々波旬の邪神ぶりを聞き、また間接的に体感してもいた覇吐達は座にて
曼荼羅に座すその姿に一種の神聖さを見て意外に思っている。
来歴
本名は
マーラ・パーピーヤス。
第五天の末期に
天竺の貧民階層に生まれ、三つ目という異形の容姿と外界の刺激に一切の反応を示さないという不具性から、口減らしとして人買いに売られた。そこから巡り巡ってとある
邪宗門に引き取られた彼は、波旬という
神号を与えられた上で即身仏となるよう地の底に幽閉される。
常識的に考えれば悲劇としか言いようのない境遇であるが、波旬にとってそんなものは何の意味も持たなかった。生まれながらにして波旬はあまりにも巨大な精神と世界観を有しており、周囲の自然や人の存在を認識出来ず、そもそも己以外のものを視界に入れてさえいなかったのである。
こうした外界とのズレは歴代の神格にも共通した面があり、そうした『
資格』を有していたこと、それ自体は前例のある事象であり、何も特殊なことではない。彼を他の神格と隔絶したモノにした原因は別にあった。
ただ己独りであり続けること。波旬にとってそれのみを願い、求め続けることだけが全てで、それ以外の何かなど彼の宇宙には存在し得ないはずであった。たった一つの存在を除いて。
それは
畸形嚢腫。人体の部位であり波旬の双子の兄弟、その成り損ないの肉の塊。
それが波旬の体内に取り込まれていたのである。独りであることを神域の念で望みながらも、生まれながらに他者が己の肉体に潜り込んでいるという不快感が、波旬にとっての原初かつ最も強い感情だった。
嚢腫は彼の延髄から脳にまで食い込んでおり、自力で視認することができない。ただ、波旬は
何者かが常時己にへばりついているという強烈な不快感だけを持ち続け、いつか必ずそれを見つけて引き剥がしてやるという憎悪にのみ燃えていた。
独りになりたい。俺の身体は俺だけのもの。
程度の差はあれ、誰でも持ちうる想いであるが、しかし波旬は神域へと上がれる資格を有した存在で、そんな彼が
畸形嚢腫を持って生まれたという二つの事実が、彼を最悪の邪神へと変貌させた。
膨れ上がる自己愛、己を唯一の宇宙と断ずる神域すら超越した唯我の
渇望。最初から己の内界に他者が存在したことで、本来
求道になるべき祈りは廃絶の色を帯びた
覇道と化す。
この段階において波旬は
当代の神を認識し、殺すために一瞬で座に到達した。
この時初めて波旬は自分以外の他者を認識する。超重量を有していた彼の魂と世界に対し、多少劣るなれど初めて比較対象になりうる神という存在を眼にした。
だが彼の先代、
第五天の
神座である
黄昏の女神による抱擁も、彼にとっては汚らわしく鬱陶しいものでしかなかった。
なぜなら波旬は他人を知らず、知ろうとも思わない。ゆえに抱きしめるという行為も、母性の意味も分からない。
現に波旬は抱きしめるという行為を「取り囲む」と認識し、俺を囲むな気持ちが悪いと感じている。長年に渡り己を悩ませていた嚢腫と女神を錯誤した波旬は、嬉々として彼女とその守護者であった
覇道神らを一掃する。
夜刀だけは辛くも消滅を免れたのだが、波旬はそれに気付いていない。なぜなら、神座である黄昏を殺したことで、波旬は女神が有していた総ての
魂を受け継ぐことになってしまうという、波旬にとって予想外の(
座においては当然の)現象が起こってしまったからである。
そしてそもそもの原因であった
畸形嚢腫は、無限に膨れ上がった魂に紛れて分からなくなってしまった。独りになるために塵を殺した結果、己の中がさらに塵で満たされる。その現実を前に狂気は振り切れ、歴代最強最悪の理、
天狗道・
第六天波旬が誕生したのである。
そして、そういう性であったがために、波旬は
穢土の残留をはっきり認識していなかった。
彼の総体からすれば芥子粒のような異物であり、また彼にとっては己以外の総てが異物にすぎないため、見分けがつかなかったのだろう。単に滅尽滅相が遅々として進まない。
なぜだか不明だが不愉快であるという苛立ちだけを感じており、それを解消する滅びの促進剤として
夜行に己の一部と旧世界の英雄、そして目印として天眼を与えていた。
無間大紅蓮地獄が残留しているせいで、波旬の有する魂は無限に生産され、波旬の宇宙は際限なく膨張と拡散を行っている。
と同時に安定しており、正の方向へ傾いていない。魂の生産は休むことなく続けられているものの、だからといって波旬の総体は一向に大きくなっていない。
何故ならそれは生産される分と拮抗する形で、偏執的なほどの単調さで自らの頭を掻いて、というより削り、己自身を解体しているかのように、自らをこそぎ取っているからである。
阿片などの薬物の一種により、身体に虫が湧いたと錯覚する禁断症状。そうしたものと似た雰囲気。何か汚らわしいものを自身から拭い去ろうとする過程で、己もまた破壊している。際限なく膨張していく自らを厭うように、削り続けることで均衡を保っている。
人物
波旬は他我を自覚するしないの以前の問題。まず何より『人間』というモノが判らない。
「ああ――あれらは何だ?気持ちが悪い」と
座に坐りながら感じており、
黄昏の女神を初めて自分以外の他者と認識した時は
「他人を抱くのが好きなこいつは、奇怪で穢れて気持ちが悪い」と感じその結果
「こんなものがいる限り、俺は永遠に一人になれない。だから――」と考え、自身の渇望を爆発的に増大させている。
そして波旬の感情を言葉で表現する時は語弊が生ずる、何故ならそれらはあくまで人間の感情に当てはめ仮定した上でもっとも近いというだけのモノ、心は斑に錯綜しており、読み取ることは波旬自身さえ放棄しているからである。
喜怒哀楽・仁義礼智が最初から入る隙間が無く、常人の精神構造とはかけ離れた唯我の宇宙、成長すべき余地さえも波旬の裡には存在しない。
波旬が他者だと認識できる存在、超重量を有している波旬の魂と世界に対し多少劣るなれど比較対象になりうる存在――つまり神は、それぞれ異なる願いを抱いていても、やっていることは根の部分だと一貫して変わらない。
「我の考える最高に、他人平伏し従うがいい」と、つまりはそういうこと。
要するに、神とは神と呼ばれる時点で、己が自己愛で他を統べるという確固たる意志が必要である。この自己愛の例外は、他を幸せにすることで自分もまた救いを感じる、というもの。
しかし幸せの容はそれぞれ違う、それが、受ける側にとって気持ち悪く邪魔なモノでしかないのなら、それは例外たり得ない。
故に波旬に向かって、黄昏を穢すな、彼女を守り抜く、貴様にそんな資格はない……などと誇り、誓い、座の重さがどうのこうのと述べた所で、「それが何だ? こいつら白痴か、自分を愛しているだけなのに別の言葉で飾っているのが、まったくさっぱりこれっぽっちも理解できない」、と波旬からすれば何やら訳のわからぬことを渾身こめて囀っているだけであるため、話し合いは不可能。
法則を流出している以上は説教した所で、「それは自己愛。自己愛だろう。俺の願いと何が違う?」と一蹴にされる。
「なぜおまえたちはいつもいつも――自分が何より大好きなくせに、他人と関わらなければ生きていけないなどと嘘ばかりを抜かすのか」と言っているように、波旬は他人の必要性というものを全く理解していない。
実際生まれながらの神である波旬は、
邪宗門に地下深く埋められようが、存在維持に問題はなく生きている。
覇道神として他者の魂を力に変える能力も働いておらず、むしろ魂を取り込むほどに弱体化し、触覚も射干も減らすために自分が力を分け与えている側である。
畸形嚢腫だけは波旬の渇望を強化するのに役立っているが、強化される理由が
畸形嚢腫が不快だから(要らないと思うから)であり、本末転倒である。
波旬自身は神という立場に対して「神? どうでもいい。知らん言葉だ。他人のカタチを決めるなどその時点で億劫だろう。そんなものは気持ちが悪い」「俺も嫌だぜ、てめえらみたいな塵にかかずらう羽目になるなら、永劫ただ一人でいい」と思っており「天狗道では不足? あぁそうかもな」と自分で認めている。
他者の存在を許さないという点で短気な性分なのだが、他人の評価など気にしないという点で気長な性分でもある。
現に座を取った後、他者を排除するための促進剤を用意したのは七千年以上経ってからである。
座にやって来た夜行を見かけた時も「今から潰されたいのか?」と言った途端「面倒だ……ああ知らん」と無視してしまった。作中全員から徹底的に嫌われ、憎悪されているが、波旬は全く意に介していない。
覇道太極における大まかな分類として、波旬は己の一部である魂たちの
在り方を強制的に決定するため、管理型に近いが、彼にはこの系統の者が持ってしかるべき王者としての気概が無い。
在り方を強制的に決定しておきながらその行く先を一顧だにせず、自由を通り越した放任ですらない、ただ徹底した無関心を貫き通す。まさに最悪の脚本であり、やる気がなく愛もない。誰かに読ませるつもりもなく、自分の書庫に並べる気もない、ただ紙や文字という存在自体が気に入らないから、ありったけ吐き出して焚書するためにやっている。
そうすることで、己は唯一の無量大数だと感じるために。究極無二の自閉症かつ自愛症。それは、己以外など視界にも入れないという、覇道の適性を根本から否定するものである。
穢土が消え、天狗道が完成した時も、よく分からないが滅びの回転速度が上がった、ならばおまえはもう不要であると、やはり何の感慨もなく触覚である夜行を他の塵屑同様に切り捨てた。
極限の自己愛、他の全てへの究極の無関心、
畸形嚢腫の存在によってさらに膨れ上がった、それらこそが波旬の強さの根源なのである。
究極の自己愛を持つ波旬が目指すモノは、己が好き勝手に欲望を貪ることが出来る世界ではない。
「己の中に別の何者かを住まわせて、なぜそれを喜べる? 邪魔臭いとは思わんのか?」
「俺にあるのは、ただそれが不快だということだけだ。ああ、本当はそのココロすら煩わしい。
平穏、というやつなのか。俺はそれのみを求めている。
永劫に、無限に広がりながら続いていく凪――起伏は要らない。真っ平らでいいんだよ。
色は一つ、混じるものなし俺は俺のみで満ちる無謬の平穏だけが欲しい」
幸福も快楽も自己愛も唯我も己をも超えた先にある、過不足零の凪こそが波旬の望むモノである。
能力
太極は『
大欲界天狗道』
波旬が持つものは、神域すら超越した常軌を逸する
「唯我」の
渇望、ただそれのみ。
ゆえに波旬は特殊な能力も理も何も、一切有していない。波旬の有する能力は、
ただひたすらに絶大無比な、誰一人として及びもつかない最強の力のみ。しかし、それだけで他者の力全てを押し潰す。
波旬は何処までも唯我であり、他者と比べて己がどうこうという物差しすら持たないために全てが自己完結しており、
閉じた己の世界の中で強度を無限に上昇させられる。
非常に稚拙で単純だからこそ穴が無いという超高密度・高純度の力の塊。
「俺は俺ゆえに唯一絶対」という理屈になっていない自負が総てで、
その神域をも凌駕する思念が有する総量はあらゆる渇望を駆逐する。渇望の強さによる能力の強度上昇、己が太極で異なる理を無効化し、総てを塗り潰す「鬩ぎ合い」は神格が持つ基本能力であるため特殊な能力とは言えない。こういった基本については
太極の項目参照。
その力は、
流出位階まで押し上げられた
最速の願いを知らぬと踏破し、
当たれば砕くというものを押し潰し、
焦がす炎を無視しながら、
回帰に押し流されることもなく、
獣の魔軍に蹂躙されず、
時の停止をいとも容易く引き千切り、他者の渇望を全て無視して踏み砕く。
空を見つめるだけで穴を穿つような神威は、中点たる太極座と
特異点の外界に逆転現象を起こす。万象を見通す最強の
天眼。
無限大の津波となって押し寄せてくる自己愛の覇道。
体躯から流れ出した自己愛の汚濁は瞬きの間に太極座のみを残して
特異点を漆黒の闇に染め上げ、
天狗道が増幅しながら圧を増し、邪の波動となって
黄昏の
座を外から軋ませひしゃげさせる。
己一人で無限の魂を凌駕する有り得ない超重量の魂。
稚気の波動は大陸を削り一掃するだけの圧力となって
夜行の身体を弾き飛ばし、
特異点に空間振動の波濤が巻き起こりその総身を粉砕した。
背後に広がる大曼荼羅が、後光のごとく輝く阿頼耶識の卍となって、こいつこそが無限に存在する平行宇宙を掌握する者だと告げている。たった数言呟くだけで無数の宇宙を消滅させる。
ただ波旬の姿を視認するだけで覇道神ですら眼球に皹が走る絶対強度。その総体総量神威の強さは
歴代のどの神格であろうとも指一本で捻り潰し、歴代神格全員がかかったところで腕の一振りで粉砕される。
神座の始まりと共に生まれ、神でさえ認識できない場所から、すべての神座の歴史を外部から常に見ていた
存在をも見つ出し殺す事が出来る。
その力、質量、渇望、あらゆる全てが神格の中でもさらに異常極まる別領域にある。
曲がりなりにも神格に対して不適切だが、怪物と言うしかないかもしれない。
この邪神が頂点に立てば、初代から続いてきた歴史を終わらせ、根本的な神座システムの破壊さえ可能。
歴代のどの神格であろうとも指一本で捻り潰すと作中説明されてはいるのだが、実際描写での
波旬の攻撃威力は、物理的な動作よりも気分に依存している部分が大きい。
水銀の蛇は一撃で総身の半分を消し飛ばされ、もう半分も滓の如く払いのけるだけで己が消滅さえ気づかぬまま消滅し、決死の特攻を仕掛けた
永遠の刹那は路傍の小石をどかすように腕で払うだけという稚気にも満たない衝撃で、身体に多大な損傷を刻んで退場させられている。
その一方で、
黄金の獣を倒すのには八連撃を行って五体粉砕し、
黄昏の女神を倒すのには顔、腕、足、腹、胸を鳴き声が止まるまで何度も踏みつけて乗るという大きな動作で消滅させている。
己一人のみを渇望する唯我の求道にして、他の全てを滅ぼす廃絶の覇道。その他に類を見ない性質ゆえに、波旬は座の歴史上唯一の求道型の覇道神という有り得ない矛盾に満ちた存在へと変貌している。
座の特性として前任者たちの残滓と理を使い捨てに攻撃してくるが、その無限大の魂を片っ端から捨て去っていくことすらも彼にとってはただの塵掃除でしかない。本来、
覇道神はその有する魂を失うほどに弱体化していくが、求道型の
覇道神という特級の例外である波旬にとって、他の魂とは塵であり枷でしかない。
すなわち、彼の宇宙は、波旬ひとりという環境に近づくほどに強くなる。他の全ての魂を捨て去り、真に一人だけとなって純化された波旬こそが無量大数の密度を持つ最強の状態なのである。
これが第六天、大欲界天狗道という無敵と言うしかない理である。
総体はあらゆる次元の宇宙規模――卍の曼荼羅をたった一人で埋め尽くしている。無量大数の個我そのもの。
光は命を消し去る放射線だという意で光明を願い太陽に万象の滅相を求める全霊、存在を懸けた最後の攻撃。
波旬が絶対と信じる神威の具現。
弱点
歴代最悪最強の
理であり、絶対に完成させてはいけない
大欲界天狗道を渇望する邪神、それが波旬である。
しかし、波旬自体は自己愛のみの塊であるため、蚊に刺された以下の痛みにすら耐えることができない、他者の知識を覗ける天眼もその実何も見ていない、弾薬・鎧・燃料である自身の総軍を何が起ころうと片っ端から消さずにはいられない、自分が行っている闘争をも大したものと見ていないためすぐに決着を付けに行かないといった弱点を持つ。
そして、ただ一人
坂上覇吐だけが波旬に対抗できる。
なぜなら彼だけが波旬にとっての特別、
「この俺にとって、忌むべき唯一、恥の記憶」「我を唯一にせぬ貴様が憎い。ゆえに見つけ出してやるぞ、万象滅相しようとも」と、殺すために捜し求めた総ての始まり、波旬にとって
唯一無二だからである。
来歴にある通り、波旬は「一人になりたい」と渇望する
求道神でしかなかったが、畸形脳腫の存在によって「何かが俺にへばりついている」「消えてなくなれ」というように廃絶の覇道へと変化した。
唯我という渇望。己以外を見もしない故に己の強度を無限に上げられる波旬。だがそうした彼になれたのは覇吐という
畸形嚢腫を極限に意識したからこそなのだ。
他者を排する存在が、他者あってこそ成立した。この矛盾が楔となり、波旬は覇吐/
畸形嚢腫と対するときだけ並みの
覇道神という型に嵌る。
とはいえ覇吐なら波旬を打倒できるかというと、むしろ原則として勝てない。というのも、波旬が並の
覇道神の型に嵌れば今度は総軍が当然の如く波旬の力になり、
求道神である覇吐では量の面で絶対に太刀打ち出来ない。
そも波旬は総軍無しの並の
覇道神の状態でも覇吐より強い。よって、覇吐が波旬を倒すにはまず総軍を引きはがし、且つ波旬を打倒する為に
大欲界天狗道に
亀裂を生じさせる事が必要である。
本編での活躍
作中では最後の最後まで直接的な登場はしない。
東征が続く中、
夜都賀波岐が憎悪と激昂をぶつけ、しばしば
東征軍と同一視していた存在が波旬であり、時折その存在をちらつかせる。
不破之関で
覇吐は
悪路の
随神相の一撃を受け消滅する際、薄れ行く意識の中波旬の姿を幻視している。
また、不破之関での大敗後、
龍水が行った自己潜行でも自身の根源として波旬の下へたどり着いており、非常に危険な状態だったが波旬と同調することにより事無きを得ている。
東征軍の面々は基本的には
夜都賀波岐たちの言から「波旬という存在がいる」程度の認識に収まるが、唯一
夜行の波旬へのアプローチは具体的であり、
母禮との戦いを通してその存在を知り、以後その正体を追い求めて行動する。
夜刀が落ち、東征が終了しても夜行以外の面子は波旬に対してどこか実感がないようだったが、世界が
唯我曼荼羅に侵されたことで全員が波旬討伐の意志を統一し、
曙光曼荼羅として
座に結集する。また、夜行は他の面子に先んじて座に乗り込み、そこで波旬と対面するがとりつくしまもなく座を追い出され、
太極を奪われ、一時殺されている。
死の間際、波旬は覇吐に「元が同じ存在である覇吐と竜胆が愛しあうことは結局のところ自己愛なのではないか」という指摘をするが、覇吐は笑って「二人で魂の道を見つけていく」と告げる。それに応え、波旬は最初で最後に他者と真面目に向き合い、嘲笑しながらも
「好きに、しろやぁ……」と言い残し、完全に消滅した。
また波旬はその強すぎる自己愛から
自壊衝動が存在しなかったが、この時は「俺以外が無くならないなら、俺自身が無くなるまでだよ」と述べるようになっている。
覇吐はその出自から本気で波旬に恐怖し、また憎悪していたが、波旬がこうなってしまった事とそのせいで
黄昏の女神が殺されてしまったことに自責の念があるようで、波旬に対しても恐怖だけではない複雑な感情を抱いていたようである。また、波旬という他者を排除しようとしていることを、波旬の思想と共有している部分があると認めると同時に
「共に俺たちは理解者で、この宇宙でただ一人、俺だけがおまえの真実を分かってやれる。だからこそおまえが本当に焦がれたところへ送ってやる」
「俺こそてめえの歪みで、化外で、救いの光になると知れッ!」
「救いは、こいつにとっての幸せというものはそれしかない。他者がいて、自分がいて、その繋がりを寿げない魂ならば、そうなるしかなかったんだ。分かってる。分かってるからここで柔弱な感傷など抱かない。俺に出来るのは見送ることだけ」
と自分の兄弟である波旬がやっと唯一の救いである「無」に行こうとしていることに安堵し、邪魔だから排除するという思想とは別の考えも持っている。
それでいて、だからこうする俺は正しい、と考えているわけでもない。現に「逝けよ兄弟、お前が望んでいた場所に。そこの寂しさに気付けたなら、また会おうや」「生まれてきてはいけない奴っていう考えも、俺たちがあいつに直接関わったからこそ言えることで、実際は暴論だというのも分かっている」と考えている。
卍は無限を意味し、
曼荼羅とは宇宙を指す。
総体はあらゆる次元の宇宙規模――無限の
曼荼羅をたった一人で埋め尽くす無量大数の個我そのもの。つまりこの宿星は波旬の存在そのものを表している。
バイシャジャという
滅人滅相の概念を体現する
特殊な存在が登場している。彼はナーサティヤという女性が弟バイシャジャと交わったことで誕生したナーサティヤの別人格。
その関係は元ネタが兄妹神である
坂上覇吐と
久雅竜胆が結ばれて神産みをした
神咒神威神楽の再演にも思える。兄(姉)の体に寄生する弟というのも、波旬と
畸形嚢腫の関係に近しいか。
また、ナーサティヤは強固な自己愛を持つ人物でもあった。
作品外でその存在と強さは言及されていた。
マリィルートアフターの後に現れ、神咒神威神楽と同じく
マリィを排除しようとするが、覇道共存を破壊しなかったため連携した
覇道神連合と相打ちになる。
そして最後に生き残っていた
メルクリウスが再び座について永劫回帰の理が宇宙を覆い尽くすという流れ。この回帰世界ではメルクリウスが波旬の発生因子を潰していったため波旬が誕生することはない。メルクリウスのこの行動で
蓮はマリィではなく
玲愛を選ぶことになる。
このルートでは波旬は生まれないが、
マリィの世界ではいつか新たな神が生まれて神の交代劇が起こることは決まっている。
第六
神座・
波旬大欲界天狗道。
黄昏を倒して
座を奪った六代目の
神座。
神としての名は「波旬」。
あいも変わらず歴代最強の神であり、自分以外の何物も認めない唯我の狂天狗、災害そのもの。誰とも馴れ合わず、そもそも認識しない。他の神も意図的に波旬へ目を向けようとしなかった。
滅尽滅相という狂った自己愛に憑かれた唯我の天狗は、今も変わらず暴の究極。実際、黄昏と刹那と黄金と水銀をまとめて倒した規格外。
その様を
コウハは「歴代最強の暴力」「敵と自分で雌雄を決する――そんな勝負の前提すら理解しないのが波旬だから、戦士の究極である
無慙から見ても土俵が違う。
比べられるものじゃない」と評した。
かつて
転輪王の花輪によって神座を終わらせる者として祭り上げられた存在。神座を壊す猛毒の爆弾を創り上げたのが転輪王の花輪で、
スヴァーハと
サハスラーラは波旬の母親とも言える存在。
他の神々と同じく、
ナラカに生殺与奪を握られている故に生きて登場。
呪詛と祟りから成る胎児のような
曼荼羅の中で、
虚空を見ながらぶつぶつと異次元の
真言を呟き続け、どろどろに沸騰しながら黒く脈打つ、猛毒の宇宙を渦巻かせている。
一度や二度の
救いを得たからといって波旬が変わるわけもなく。神座となった時と同じくあるのは極大の不快感と怒りのみ。斑に錯綜する心の中で、今も唯我の天狗は不変のまま、思想もなく、信念もなく、虚空に呪いを撒き散らし、生理反射に等しい域で滅尽滅相を振り回す。
曼荼羅が胎児の姿をしているように、本質は赤子のそれと変わらない。
多くの神々に囲まれているという状況は本来ならば即座に
天狗道を展開し滅尽滅相を発動させるところだが神々よりも異質な存在を感知し居場所を探すことに集中しているため神々が居ることに気付いていない。
合わせて五人。
近くて遠く、深くて浅い何処かの次元に存在する、極めて異質な何か。
他者を理解しない波旬の性を踏まえたうえで、なんだこれは?こんな者らが存在するのか?していいのか?分からない。と言わざるを得ない。そんな異常存在を認識して波旬は
愉悦する。
己と違う他者の存在を認めながら、楽しくなったのはこれが初めて。なぜなら、これこそが極奥の深淵に他なるまいから。誓いの概念すら知らない波旬が、この愉悦こそを最初で最後にすると決めて告げる。
その座を寄こせ。俺が座る
+
|
... |
「誰だおまえ」
探し者に集中して、神々に気付けていない波旬ではあるが、
波旬が察知している異質さを超える域で、己の存在を叩き込めば、無理矢理に波旬を振り向かせることが可能。
ナラカに生殺与奪を握られているという推測を確かめるべく、無慙が己の存在を波旬に気付かせると、波旬の三つ目が動いて――
轟いた大音響は、まさに天地開闢そのものだった。
空間ごと粉砕するかのように神威が弾け、
+
|
でもそれは一瞬以下のうちに消え去って…… |
「時よ止まれ」
無慙と波旬の両者の時間を止める刹那。
されど完全に止まりきるまでの激突は一合だけではない。
千、万……あるいはもっとか。
それを知覚できたのは介入した刹那と、あとは黄金くらいのものだろう。
ともかく、それだけで無慙が己の存在を叩き込むのをやめたため再び時が動き出したときには、波旬は無慙を見失った。
|
あとには、右腕が潰れた無慙と、左の小指が消えた波旬。
そして、それは即座に復元していく。
自分の腕が勝手に治ってしまったことで無慙は、確かに生殺与奪を握られていると納得するのであった。
|
備考
仏教において仏道修行を妨げる存在である第六天魔王波旬のことで、天魔(サンスクリット語でパーピーヤス)とも呼ばれる。
(2)
神咒神威神楽本編で言及された
水銀の蛇が回帰を成功させる方法
①己の分身である黄金が殺されても耐え忍ぶ
②愛する黄昏を殺されても耐え忍び、最後の一人として残る
③波旬に座が譲渡される瞬間、彼が座の本質を掴む前に座を掠め取る
④可能性宇宙の閾越え、時間軸干渉を行える唯一の渇望で自分が神だった時間軸まで回帰する事で波旬を押し流す。
このように、座を手にした
水銀の蛇は天文学的な確率であっても、
黄金との関連で死に直結する行動をせずに単独で無傷の最強状態である波旬を回帰で流せる可能性がある。
しかしこの方法については再三“可能だったかもしれない”と語られており成功する確率が限りなく低いことがわかる。
またこの方法は正田卿曰く「たぶん無理。水銀が黄金がらみで死に直結する行動をとってしまうのは避けられないし、仮になんとかできても波旬が無傷の状態で回帰の理で押し流すのは些か以上に厳しい。可能性は零ではないが、天文学的確率」とのこと。
(3)新生した
夜刀/
永遠の刹那が直接戦った場合
波旬に勝つ可能性はゼロ。しかし形振り構わず手段を選ばず、覇吐を盾や武器に使いながら漁夫の利を狙うように立ち回れば勝利の可能性がある。本編の
無間蝦夷での決戦において、刹那はもし覇吐達
東征軍の面々が不甲斐なかった場合、彼らごと波旬の座へ突入、上記の立ち回りをすることで波旬を倒して新たな神座になるつもりだった。
(4)
無慙が戦った場合
無慙(
マグサリオン)は
格上殺しの専門家であるため、大苦戦するが波旬に勝つ可能性がある。しかし、無慙の神としてのスペックは歴代覇道神の中でも低レベルであり、大苦戦の末に負ける可能性も当然ある。
歴代神座と総当たり戦をやった場合、全勝と全敗の両方が唯一あり得るのが無慙。
(5)
求道神の場合
畸形嚢腫を持たずに生まれた場合の波旬は求道神になる。それでも
黄昏の女神に襲い掛かってくるのは変わらないが、本編での畸形嚢腫の存在からくる唯我の渇望が無く、本編ほどの強さを得られないので
永遠の刹那や
水銀の蛇(総軍無し)に倒される。
ただその場合は速攻で無謬の平穏を得られる為、波旬からすればむしろ願ったり叶ったりだったりする。
というか波旬の渇望は自分の存在さえ本質的に必要としない為、勝利し全宇宙を滅尽滅相しようが敗北して無に帰ろうが、波旬の渇望は満たされる。つまり波旬は神格どころか神座シリーズの全ての渇望持ちにおいて現状唯一どう転んでも確実に自分の渇望を満たすことができる最大の勝ち組である。
正田卿によると第七天以降や玲愛ルート後の世界において、神座システムの枠内で波旬以上の力を持った太極は出てこない。ただいつかシステムそのものを終わらせる者は誕生し、真の黒幕である
ナラカと雌雄を決するとのこと。
よくある疑問として「一人になるほど強くなるはずの波旬が何故、一人である
求道神だと弱いのか?」というのがある。
「一人になりたい」と渇望する波旬が他人を認識するような状況になれば渇望の純度が落ち、他人がいなければ渇望の純度が高く強いはずだと。
これに対しての答えは2つ。
①既に一人である
求道神の波旬は「一人になりたい」と強く願う必要が無い(覇道神に至る理由である
畸形嚢腫がいない)ため、渇望の絶対値が小さく純度が高くても
覇道神の波旬に劣る。
覇道神の波旬でも
畸形嚢腫がいなければ弱体化する(ある意味元に戻る)ことがわかっているので、渇望を高めるためには
畸形嚢腫が必要不可欠。
②そもそも覇吐を認識したら並の
覇道神という型に嵌まるのは、覇吐の大元である
畸形嚢腫が波旬の渇望に関わる矛盾の存在だからである。
実際、初めて
黄昏の女神という他者を認識した時に弱体化はしていない。なので理由は上記①のみ。
余談
メルクリウスが
ニートの愛称で呼ばれていたのに対し、波旬はその引き篭もりを彷彿とさせる設定や、PV5で覇吐と
竜胆に
目と鼻の先でイチャつかれた(本編ではその後Hシーンへと突入した)事から
ヒッキーだの
お前ら(または
俺ら)だの碌でも無い呼称で呼ばれる事がある。
また、本編において
中院冷泉を通して
「質量の桁が違えば相性に意味はなく、使用に危険を伴う力なぞは単なる使えぬ欠陥品」と
正田卿の自虐の様な台詞を嘯いているが、当の本人は自身の理に対抗可能(=
相性が悪い)な覇吐と対峙した事で弱体化し、
質量の桁が違う筈の相手に敗北するという、ある種間抜けな結末を迎えている。
正確に言えば並の
覇道神に型が嵌って総軍を失った状態でも覇吐より強い事に変わりはなく、あくまで刑士郎と咲耶が天狗道に亀裂を生じさせたから覇吐は勝つ事が出来たのを忘れてはならない。
本来の渇望自体は
俺らが誰もがある程度共感できるものであり同情の声もあるが、
マリィへの仕打ちや極端に走りきったはた迷惑な奴の典型例として明確に嫌っているユーザーも多い。
……が、それらは別にしても
「ウンコウンコと連呼する」「塵を介して
誰もが納得してしまいそうなご高説を語って
自身は相性問題によるワンパンで終了する」「他人を煽っている時の方が明らかに生き生きとしていて
こいつやっぱ他人がいた方がいいじゃね?と思わせる」など、ネタには事欠かないキャラであり、(∴)や下のAAが作られるなど、なんのかんので愛されている気はしないでもない。単純なようで複雑なキャラである。
ちなみに正田卿も「あのウンコマンはネタキャラとして非常に優秀」「是非いじり倒してほしい」とのこと。
関連項目
- また滅尽滅相されたようだな -- 名無しさん (2024-09-18 05:42:14)
- ↑ (∴)<誰だお前 -- 名無しさん (2024-09-18 05:52:56)
- しかし、∴は生まれて数千年、kkk終盤まで畸形嚢腫に気付けなかったけど、黄金は殺られるまでには畸形嚢腫に気づいたんだよな、気付けなかったのは、自己愛、∴がデカすぎた、ナラカの思考誘導、ドレが一番大きいんだろ -- 名無しさん (2024-09-18 07:57:27)
- 波旬が畸形嚢腫に気付けなかったのは、根本的に他人に興味を抱けない故の皮肉だと思ってる。他者から影響を受けないし自分自身を省みる事が出来ないから自分の内部を見なかった -- 名無しさん (2024-09-18 12:42:32)
- 外部からすれば眼が多いのとかおかしくね?ってなるんだけど質量差がデカすぎて弟以外の存在をろくに認識できないから当人にだけはムリって言う -- 名無しさん (2024-09-18 17:11:14)
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最終更新:2024年09月19日 22:29