むげんこくじょうじごく
その能力は
「自身の影に触れた者を強制的に停止させること」
拡散する影、如何なる隙間、僅かな間にも入り込む莫大量の影の海に接触した対象を縛り上げるという強制停止。
随神相の全ての触手が帯のように薄く広がり、影となって滲み
東外流の海域全域を覆う。影に接触すれば脳裏に禍々しき女の声が響く。狂えるほど愛しい男に手を伸ばすような、過ぎ去った刹那を悔やむかのような叫び声は、物理的な圧力よりも先に対象の精神を破壊していく。
天魔覆滅に力を削がれながらも一瞬で
東征軍総員を残らず捕縛してしまった。本来なら一瞬で総軍鏖殺されるはずだったが、
天魔覆滅と爾子・丁禮の攻撃で限界寸前だっためこの程度で済んでいる。
一種の不動金縛りだが、その圧は膨大なため、捕らえたものは山でも握り潰してしまう。
300年前の東征においては、この力によって数多くの船団を屠り、誰よりもその力を撒き散らしたことが西の
歪みを生むきっかけとなった。西に流れ込んだ陰気の大半は奴奈比売のものである。
歪みへの干渉
東征軍の持つ
歪みは元々はこの太極から発生しているため、
東征軍の持つ歪みに干渉することもできる。
彼女は歪みの大本、根源であるため、
東征軍側の歪みの悉くを
宿儺のように消し去ることで一切の無傷となる。元の持ち主は奴奈比売なのだから彼女を前に歪みは従わされてしまう。
奴奈比売はどのような歪みが西に渡ったのかをほぼ把握しており、西の者が使う歪みの技を威力を数段強化させ神の域に押し上げた上で再現することが出来る。ただし300年かけて西側のノリに改変されているので完全再現は出来ないとのこと。
彼女からしてみればそれら西の歪みは
「面倒くさい改変」であり、西方風にノリがアレンジされているものの猿真似で良ければ
玖錠紫織、
壬生宗次郎の異能をほとんど同じの型でありながら桁違いの力で返すことができる。
それは、
可能性の無限拡大――絶対に躱せず、絶対に命中する触手の攻撃や、
何もかもぶった切るという概念を持った烈風の鎌鼬である。
ただし
禍憑きだけは奴奈比売の本質に近いもので、それが
咲耶や
刑士郎に宿ったことは決して偶然ではない。奴奈比売自身もそれを分かっているようで、だからこそ凶月兄妹に少なからず執心している。奴奈比売の発動させた
禍憑きは、東外流の海を全て覆い尽くし山脈を覆うほどの、白波が刃となった凶災の大津波を
東西南北同時に引き起こした。
しかしそんな彼女であっても、
東征軍において覇吐の歪みだけはまったく与り知らないものらしい。その事実に奴奈比売は異常なほどの恐怖と怒りを抱いていたが、それが何を意味するかは
別項参照。
太極の発現と共に現れる奴奈比売の
随神相は、頭足類のような足を持つ巫女。
他の
夜都賀波岐の面々に比べてそのサイズはもっとも小さい。比較として、大人数十人が手を繋いでも抱えきれない、と表現される程度。ただし
触手一本の大きさでだが。
水底に棲むという王、船団さえ締め上げる異形の魔性。大きさが桁外れて巨大な触手はそれ一本ですら大船を瞬く間に海の藻屑にしてしまう。
加えて影の異能と
歪みによる攻撃も含めて
東外海の海上では無類の強さを発揮し、この
随神相の触手を覇吐達は危険とわかりつつも足場として使うほか無かった。ただこの
随神相は悪路や母禮のように接触だけで命取りとなるようなものではない。
さらに言うと、どうやら触手は細分化できるようで、腕そのものを増やし、何十、何百という触手で覇吐、宗次郎、刑士郎の身体全体を覆い身動きを奪った。
そのような触手が、更に数十蠢く様は小山の怒涛に等しく、振り下ろされれば一撃で船団が藻屑と化す。
如何なる膂力を持つのか、触手がうねるたびにさざ波程度だった海が津波へと変じる。そして起きた津波は如何なる船も逃げきれぬ程の速度を持って触手の塊を追いかける。
東征軍のもとに到達しただけで、
東外流の海すべてを覆い尽くさんばかりの巨大な津波を発生させている。
元の術法
元となった
渇望は
「自分より前に行く者の足を止めたい」「邪魔をして引き摺り下ろしたい」
劣等感から生まれたあまり褒められたものでない思いなのだが、これは同時に「愛した人(
天魔・夜刀)が自分を置いて先に行ってしまう」という嘆きが「追いつけないならば止めてやろう」という願いに転化したものであり、夜刀に対する純粋な恋心の表れでもある。停止という彼と同じ理を具現していることからも、そのあたりの事情は汲めるだろう。
己の業で愛する人を引き摺り落とす一蓮托生。その様はまさに
禍憑きとその
返し風そのものと言える。
このように
奴奈比売の理に関わる想念はかなり屈折しているため、受け取るものの主観によってまったく印象が変わってくる。
神州西方に流れ込んだ彼女の力の一端が、それぞれまったく別種のように変化しているのもそのせいだろう。
また、かつて彼女が使っていた
武器が、
多彩な特性を持つ群体であったということも無関係ではないかもしれない。
文字通り
夜刀の一部と化した今の奴奈比売は
至福の境地にあり、彼の永遠を奪おうとする存在を許さない。
その渇望は変わらぬまま、
無間神無月による
軍勢変生の恩恵を受けて神格の域にまで効果が高められており、かつてとは比べ物にならない強度を獲得している。
詠唱
ものみな眠る小夜中に 水底を離るることぞ嬉しけれ
水のおもてを頭もて 波立て遊ぶぞ楽しけれ
澄める大気をふるわせて 互いに高く呼びかわし
緑なす濡れ髪うちふるい 乾かし遊ぶぞ楽しけれ
――太・極――
随神相――神咒神威・無間黒縄
どこにも行かないで 置いていかないで 私はとても遅いから 駆け抜けるあなたに追いつけない
ああ だから待って 一人にしないで あなたと並べる未来の形を 那由多の果てまで祈っているから
それが限りなく無であろうとも 可能性だけは捨てたくないから
私は地べたを這いずりまわる 空を見て 空だけを見て あの高みに届きたいと 恋焦がれて病んでいく
他の物は何もいらない あれが欲しい あれが欲しい ああ だけど悲しい 届かない
だから祈ろう 私という存在の全てを賭けて あの星に届く手が欲しい
皆私を残して逝ってしまう 誰も私を顧みない 寂しい 寂しい 私はいつも一人きりで 泣いて震えて沈んでいく
仲間が欲しい 手を取り合いたい 皆と一緒に あなたと一緒に 一人にしないで 忘れないで
ねえ だから横並びになりましょう 私のところに降りてきて 私があなたを引きずり下ろす
愛するあなた みな残らず 私の愛に巻き込まれたまま泥に沈んで お願いだから
備考
なお、黒縄地獄とは仏教における八大地獄の一つであり、二番目に浅い地獄。殺生かつ盗みを行った者が落ちる地獄とされ、罪人たちは熱く焼けた縄によって縛られ、肉や骨を焼かれた上に獄卒たちの燃える斧によって身体を切り刻まれ、その苦しみを13兆年もの間、味わい続けるとされる。
- 或いは「無間黒縄地獄」並みの強さなら、先輩√でマキナを止められたのかもな。 -- 名無しさん (2012-02-14 12:48:35)
- ↑余裕どころかそのまま圧殺可能じゃね? -- 名無しさん (2012-02-14 15:14:35)
- あの時パラメーターがは天と地ほどに開いていたからね。軍勢変成同士でも、結果は分からないかも -- 名無しさん (2012-02-14 15:18:34)
- 一段とチートになったマッキーの笑顔でやられるのでは? -- 名無しさん (2012-02-14 18:56:02)
- 俺を止めたければあいつの一番になってこい -- 名無しさん (2012-02-14 19:53:31)
- 常世&モレイ&スクネ「身の程を知れ地星」 -- 名無しさん (2012-02-14 20:09:58)
- 奴奈比売「追いつけないなら止めてやろうって、そう思ったのよ――文句あるッ?」 -- 名無しさん (2012-02-14 20:14:40)
- まぁ普通あるわなw -- 名無しさん (2012-02-14 20:19:44)
- 追加詠唱って全部ロートスへの想いが叶ったから使えたのか、元々使えたのか? -- 名無しさん (2012-06-05 18:21:28)
- 全部ロートスへの想いを詠ったものだから前者だと思うな -- 名無しさん (2012-10-18 00:49:11)
- 西側風のアレンジの結果があの恋文じみた詠唱なのかな。エレさんみたいに誤魔化しているわけじゃないから指摘されてもむしろ誇るだろうけど -- 名無しさん (2012-10-18 01:20:32)
- 詠唱に関しては超優遇されてるよな -- 名無しさん (2012-10-18 12:39:11)
- 先見、未来視は使えるのかな。使えるなら座から糞を与えて、水銀はもっと楽できたろうに -- 名無しさん (2012-10-18 18:54:48)
- 詠唱だけを眺めていると、凄まじいヤンデレに見えてしまう -- 名無しさん (2012-10-18 19:00:46)
- 太極の言い方がエロい -- 名無しさん (2012-10-18 19:03:06)
- ↑↑狂気の域にないと愛とは言えない世界だからしょうがない -- 名無しさん (2012-10-18 23:20:22)
- もしルサルカ√があったらdies時代でも普通に追加された詠唱使いそうだな -- 名無しさん (2012-10-19 00:20:17)
- しかしエレ姐さん同様想い人へのラブレター詠唱か……成程、マリィアフターでアンナとエレ姐さんが友人同士になってた理由が分かった気がする。 -- 名無しさん (2012-12-14 16:15:27)
- (∴)「他人を引き摺り下ろす? 自ら好き好んで塵屑に触れたがるとは変わった塵屑だなァ、俺に触れるな臭いんだよ」 -- 名無しさん (2014-05-17 15:03:17)
- ↑他者を塵屑と思うか宝石と思えるかが違いなんだろうなあ -- 名無しさん (2014-05-18 14:28:03)
- 波旬はあんだけ自己愛強いんだったら他者がへばりついてたのも「俺は俺」みたいな感じに無視しときゃよかったのに。無駄に潔癖性なんだよなぁ。案外それもナラカの誘導とかだったらマジくずだけどなナラカ -- 名無しさん (2015-06-13 15:13:58)
- ↑自分至上主義者だから自分の中に別物がいるのが気に食わなかったんだろう -- 名無しさん (2015-08-11 12:18:49)
- ↑↑触っても反応を示さない不具性については述べられてたから、恐らく自分の内部に在る覇吐が気に食わなかったんだと思う -- 名無しさん (2015-08-11 14:26:16)
- じゃあコアラみたいに外部に引っ付いてたら気にしなかった…? -- 名無しさん (2015-08-11 16:20:29)
- ↑ある日気が付いた時からコアラだった。誰かが俺に居住している。常に離れる事無く住み着いていていなくならない。何だこれは。嚢が重いぞ消えてなくなれ -- 名無しさん (2015-08-11 16:35:20)
- 気が付いた時からコアラってなんだよwww -- 名無しさん (2015-11-17 13:02:40)
- かなり前のコメ(↑↑)に対して言うがなんで自分がコアラになってんだよwww -- 名無しさん (2017-06-25 05:48:14)
- どうでもいいけど、コアラは糞を食べるそうですよ -- 名無しさん (2019-07-20 23:13:58)
最終更新:2023年03月04日 22:30