伊藤万次郎

伊藤万次郎(いとうまんじろう)〈1912年7月~2007年11月〉は、政治家、銀行員。

生い立ち

1912年7月、山口県生まれ。生後間もなく、「千葉伊藤家」の養子となり、千葉県にて過ごす。旧制千葉高校(現・千葉県立千葉高等学校)を経て、慶應義塾大学経済学部を卒業後、1935年に千葉商工銀行へ入行(創業家が、千葉伊藤家)。次期頭取候補としてしばらく勤務する。

政界入り

1947年12月、養父の伊藤忠正日本共和党衆議院議員)が在職中に没する。政界の仲間らとともに結党する予定であった民主党の完成を見ることない時期であった。これに伴う、補欠選挙に立候補するため、銀行を退職。民主党に公認を依頼するが、推薦にとどまり、当選後の追加公認となる。1948年6月の第1回参議院通常選挙に合わせた補欠選挙で初当選。以降当選回数は連続19回になる(衆議院最多当選回数・最長在職日数)。1951年に、小原真郎らとともに共和党へ合流。しばらくしたのち、構造研の立ち上げメンバーとして同派閥に入る。しかし、内務庁上がりの遠山昇に魅せられて、玄徳会へ移る。政治家として特に力を見せたのは、税法を中心とする法務の政策力で、1959年7月に総務大臣として初入閣を果たした後、政策力を買われた役職を次々に歴任。白石内閣では、白石大吾との名コンビで知られたが、1年足らずで内閣総辞職となる。この経験から、派閥政治を中心に立脚する、「数の論理」の強い信奉者となる。そのため、派外でも立命会石原幸一に経済政策を学び、同志会村上謙吾から政治力学を学ぶなど、非常に広い交友関係で知られた。1973年総裁選では、同志会伊原大四郎雄伯会江藤隆一らとともに争ったが、中堅派閥の玄徳会では勝利に足らなかった。

自由党・合流

1975年4月、自由党へ合流。合流後、旧保守党派閥との大同合併による「大きな派閥論」を持っていたが、出身政党意識が強い中ではうまく進まなかった。特に派閥の長老となっていた、遠山昇の派閥独立意識のために、派閥合併は、遠い未来まで持ち越すこととなる。1983年党首公選で、派閥ではなく官界出身者に支持を得た浅上浩二が当選すると、派閥政治の在り方を再考するために、玄徳会を脱会。のちに、青洲会が結集されると、参加を依頼されるも固辞。無理やりの派閥合併に賛同できなかった無派閥議員らに意見を求め、党首公選にあっては勝手連的な活躍を見せた。1997年党首公選では、玄徳会時代から長らく面倒を見てきた登米有紀子を支援するため、無派閥議員らをかき集めて戦う。派閥を飛び出す議員も現れるが、最終的に数の論理に敗れる。その後、登米有紀子を領袖とする新構造研を設立。先鋭的新自由主義を掲げて、日成会などの右派的党内派閥を吸収する。2004年に任期満了での政界引退を表明。没する2007年には、「政界の巨星沈む」という見出しで、すべての全国紙に1面を飾った。没後、勲一等旭日菊花大綬章を下賜される。

経歴

生い立ち
1912 7 山口県・出身
1931 3 旧制千葉高校・卒
1935 3 慶應義塾大学経済学部・卒
4 千葉商工銀行・入行
7 本店融資部審査課
1937 4 頭取室運用課長
1940 4 商工部融資課長
1943 4 取締役・頭取室長
1944 10 取締役・副頭取
1947 10 退職
政界入り
1948 6 補欠選挙において民主党推薦候補として旧千葉2区から初当選
民主党へ入党
党政策フォーラム・幹事(-1951.10)
1951 10 共和党へ入党
衆議院戦災復興特別委員会理事(1期)
1952 6 構造研・参加
1955 5 大蔵政務次官鶴田内閣
1957 6 総裁室長遠山昇総裁)
1959 7 玄徳会へ参加
総務大臣杉浦内閣杉浦改造内閣)・初入閣
1962 12 幹事長代行村上謙吾総裁)
1963 7 政務調査会長赤城勇作総裁)
1966 4 内閣官房長官白石内閣
1967 4 総務大臣黒田内閣
1968 6 玄徳会2代目会長へ就任(ー1876年)
1968 10 外務大臣青山内閣
1970 5 党政権綱領策定調査会長(石原幸一総裁)
1973 4 1973年総裁選へ出馬・落選
5 党選挙制度調査会長(江藤隆一総裁)
自由党・合流
1975 4 自由党へ合流
党司法部会(2期)
税制調査会長(ー1980年)
1980 5 外務大臣片山内閣片山改造内閣
1983 6 玄徳会を離脱
選挙制度調査会長浅上浩二党首)
1987 5 副党首(内原幸徳党首)
1989 10 党最高顧問(瀬川記之党首)
1990 6 党相談役(終身)
8 新構造研を設立
新構造研最高顧問へ就任
1997 7 1997年党首公選登米有紀子陣営選対本部長
2004 6 政界引退

選挙歴

選挙 開票日 年齢 選挙区 政党 定数 順位 備考
第14回衆議院総選挙補欠選挙 1948.6.13 35 旧千葉2区 民主党 2 1/3 第1回参議院通常選挙に合わせて
第15回衆議院総選挙 1949.10.9 37 旧千葉2区 民主党 7 3/10
第16回衆議院総選挙 1952.5.11 39 旧千葉2区 共和党 7 5/9
第17回衆議院総選挙 1955.5.15 42 旧千葉2区 共和党 7 4/9
第18回衆議院総選挙 1957.6.9 44 旧千葉2区 共和党 7 4/11
第19回衆議院総選挙 1959.7.12 47 旧千葉2区 共和党 7 3/10
第20回衆議院総選挙 1963.7.14 51 旧千葉2区 共和党 7 3/11
第21回衆議院総選挙 1966.4.24 53 旧千葉2区 共和党 7 2/10
第22回衆議院総選挙 1970.4.26 57 旧千葉2区 共和党 7 5/8
第23回衆議院総選挙 1973.9.16 61 旧千葉2区 共和党 7 2/8
第24回衆議院総選挙 1978.7.2 65 旧千葉2区 自由党 7 3/9
第25回衆議院総選挙 1980.5.18 68 旧千葉2区 自由党 7 1/9
第26回衆議院総選挙 1983.6.5 71 旧千葉2区 自由党 7 1/11
第27回衆議院総選挙 1987.5.1 75 千葉4区 自由党 1 1/3
第28回衆議院総選挙 1989.10.29 77 千葉4区 自由党 1 1/3
第29回衆議院総選挙 1991.8.11 79 千葉4区 自由党 1 1/4
第30回衆議院総選挙 1993.8.1 82 関東比例区 自由党 22 1
第31回衆議院総選挙 1996.12.1 84 関東比例区 自由党 22 1
第32回衆議院総選挙 2000.10.1 88 関東比例区 自由党 22 1
最終更新:2025年10月24日 15:13