おーえいちわん
乗員 |
2名 |
全長 |
13.4m |
全高 |
3.8m |
全幅 |
11.6m |
胴体幅 |
1m |
スタブウイング幅 |
2.3m |
自重 |
2,500kg |
全備重量 |
3,550kg/4,000kg(最大) |
ペイロード |
132kg |
発動機 |
三菱 TS1-M-10/TS1-M-10A(改修型) ターボシャフトエンジン |
2基 |
出力 |
884shp(-10) 990shp(-10A) |
巡航速度 |
220km/h=M0.18 |
最高速度 |
270km/h=M0.22 |
超過禁止速度 |
290km/h=M0.24 |
実用上昇限度 |
4,880m |
航続距離 |
550km(機内)/720km(増槽搭載時) |
戦闘行動半径 |
200km |
機体内燃料積載量 |
1,000L |
武装 |
91式携帯地対空誘導弾 |
4発 |
概要
自衛隊初の国産ヘリコプター。
愛称は「
ニンジャ」。「オメガ」とも呼ばれてる。
川崎だからというわけではない。二輪車の方は忘れて良い。
川崎重工が三菱重工・富士重工と協力し、OH-6の後継機種として、1992年計画開始、1996年には初飛行という他に例のないハイスピードで開発された。
1997年に制式化されて実用試験が開始され、2000年度から量産配備されている。
これは
F-2の様なアメリカからの横槍を回避すべく、川崎重工も事前に基礎設計を社内スタートさせており、エンジンを手がけた三菱も契約前にエンジン開発に目処をつけていたため。
F-2は性能はともかく選定と開発の過程で色々あったし、しょうがないね。
X-2/ATD-Xを基とする次期戦闘機開発では、ぜひとも二の舞いにならないよう願いたい。
特徴
で、本機だが……
偵察を任務とするために、生存性第一の設計となっている。
まず、操縦員と観測員の2名の乗員をタンデム配置とする事で、胴体幅を
AH-1S並の約1mに抑え、前面投影面積を最小化。
このコクピットレイアウトを採用した結果、偵察ヘリコプターでありながら攻撃ヘリコプターに近い姿になっている。
乗員保護に関しても座席周囲の装甲化と風防への防弾ガラス採用によって、OH-6とは比べ物にならない防御力がある。
更に操縦系や油圧系は全て二重化されており、被弾や事故時に操縦不能に陥らない様に備えている。
メインローターもグラスファイバー複合材を使用した4枚ブレードで、12.7mm機銃弾程度まで耐弾性あり。
そして、変態装備をより変態にしてるのがローターハブの構造。
だいたいのヘリコプターと違って、継ぎ手が存在しないヒンジレスハブローターを採用する事で、普通なら墜落しかねないような機動性能を獲得。
岐阜県各務原市の航空宇宙科学博物館に、本機とOH-6のローター部分がともに展示されてる。実物のローターが常時展示されてるのは、多分ここだけ。
ローターを駆動させるエンジンも変態機動に貢献。
三菱重工が開発したTS1-10ターボシャフトエンジンを2基搭載しており、ヒンジレスローターハブと強力なターボシャフトエンジンの組み合わせによって、垂直上昇、80度急降下、宙返り、後ろ向き宙返り、バレルロールなど、ヘリとしては非常識なレベルの機動を可能にしている。
TS1-10の出力は攻撃ヘリに転用出来るほどではないが、耐久性の向上と低燃費化、そして若干の出力向上(884→990shp)を図ったTS1-10Aに更新中。
なお、2015年12月4日に起きたエンジントラブルによる不時着事故以降、飛行停止になっていたが、事故原因である高圧タービンブレードの形状変更等の改修によって解決され、2019年3月1日に飛行再開になった。
この通り、普通のヘリでは「やらない」というよりは、「出来ない」機動を平然とやるのが本機の真骨頂である。
ここまでの機動ができるヘリコプターは、西ドイツ製のBo105等決して多くなく、当然ながら国産ヘリとしては初である。
これが評価され、アメリカに本部がある「AHS International」というヘリコプター関係者の権威ある国際的団体から、優れたヘリコプター開発者に贈られるハワード・ヒューズ賞を本機開発チームが受賞している。
この賞をアメリカ以外のチームが受賞したのは世界初である。
テールローターも、騒音を抑えるために8枚ブレードを不等間隔配置している。
実際、少し遠くをヘリコプターが飛んでいると思ったら、予想よりかなり近くを本機が飛んでいたと言う音だけでは距離を誤認するレベルの静音性である。
さらに、低空飛行時の破損を防ぐため、ダクテッド方式という機体埋込み型の形状を採用。
本機は運動性能だけではなく、空中静止能力も優れている。
パイロットが両手を離しても、自動でホバリング出来る高度な制御システムを搭載。
イベントに行くと、パイロットが両手を離して小さな国旗を振って見せてくれたりする。
当然だが、本機以外がこれやると、下手したら翌日の新聞の一面になると思って良い。
固定武装はないものの、自己防衛用として胴体両側の安定翼下のハードポイントに
91式携帯地対空誘導弾の箱型2連装ランチャーを1基ずつ装備できる。
肝心の偵察用装備としてはローターマスト前部に可視光カメラ、赤外線カメラ、レーザー測距装置を一体化した索敵サイトを装備している。
AH-1Sや
AH-64D等の攻撃ヘリだと機首に配置されているが、「OH-58Dカイオワ・ウォリア」みたいにローターマスト上についてる機種もある。
偵察装備は高い位置に設置するほど偵察時の隠密性が高くなるけど、振動の影響も大きくなるという問題があるから一長一短。
問題点
……さて、問題点だが……
まず調達価格。
OH-6が2億から3億5千万なのに対して、本機は19億から25億というとんでも価格である。
元々はOH-6を置き換える計画だったが、対戦車ヘリコプター隊以外では偵察ヘリコプターの用途は特科の弾着観測程度であるため、OH-1は完全にオーバースペック。
結局OH-1は34機で調達終了し、OH-6は今でも現役。
対戦車ヘリ部隊専用の機体なんて予算下りるわけがないので、全機更新を建前にして対戦車ヘリ部隊の分だけを調達したなんて話もあるくらいである。
結果として対戦車ヘリコプター隊専用装備になったわけだが、当時データリンクなんてなかったのでAH-1Sとは無線以外に連携手段がない。
AH-1Sの後継として採用されたAH-64Dとのデータリンク運用のために「観測ヘリコプター用戦術支援システム」を搭載した改良型が登場している。
しかしその肝心のAH-64Dロングボウ・アパッチはもうね、うん……「ついに自衛隊も採用か」と思ったのが懐かしいもので……13機ってどこの特殊部隊よ……
→2018年2月5日、12機になりましたorz ま……まぁ召喚世界では13機のままだうん
話を戻す。
本機の改修もそろそろ頭打ちである。
本格的な攻撃ヘリへの転用化の研究はとても重要。
明野駐屯地では、本機を使用して次世代機のためのテストが行われている。
AH-1Sは寿命を迎えて退役する機体が続出しているし、数の少ないAH-64Dでは運用が限られるもんだから、後継をなんとかしてほしいものである。
TS1-10のパワーアップ型の
XTS-2(1,226shp)の開発が進められ、平成23年度に完了。
このエンジンは調達が中止された
AH-64Dの後継として、本機を重武装・対地攻撃可能にした攻撃ヘリコプター化計画と、UH-1の代替、そして増えすぎた陸自のヘリ機種の統合を目的とした本機ベースの汎用ヘリ開発計画を視野にいれたもの。
そして、平成23年度防衛省概算要求に
多用途ヘリコプター(UH-X)開発が盛り込まれた。
この概算要求は無事国会を通り、OH-1をベースに
UH-1Jよりも低価格で高性能を目指したUH-Xが、平成23〜29年度の7年間で開発されることになった。
…だったんですがねぇ……
2012年にUH-Xを巡る談合が発覚、2013年に計画は白紙化され、本機ベースの新型機の可能性は低くなっている。
この談合は、選定の際に担当の自衛官が川崎重工に内部資料を漏洩したというものだが、採用をエサとした金品の授受は無く、「純国産のヘリコプターを開発できる川崎に受注させたかった」と言う元担当官の供述がもうね…
えぇ……
見直しの結果、2015年に「ベル412EPI」をベース機として、富士重工とベル・ヘリコプターが民間転用も視野に入れてUH-Xを共同開発することに決定。
2018年12月にXUH-2試作機が初飛行し、年度末に防衛省に納入された。
新しい攻撃ヘリコプターとしてはAH-64EやAH-1Zなんかが無難だが、高価格化が予想されるだけで無く、航空優勢が確保できない状況での攻撃ヘリの脆弱性を問題視する意見もあり、なかなか選定が進んでいない。
「いっその事、同じ垂直離陸機のF-35Bを攻撃ヘリの後継にしたらいいんじゃないか」と言う意見が半分冗談に挙げられていたが、2018年12月に公表された「平成31年度以降に係る防衛計画の大綱」「中期防衛力整備計画(平成31年度~平成35年度)」において、本当にF-35Bを導入する事になってしまった。
そしてとうとう安全保障関連三文書にて攻撃ヘリと偵察ヘリの廃止が決定した。そしてアメリカも次期偵察攻撃ヘリFARAの開発を中止した。
OH-1と言う傑作機が一代限りで終わる可能性が高い、という筆者の悲痛を理解してほしい。
ただし作中ではF-35Bを導入することは不可能になっているので、OH-1をベースに新攻撃ヘリコプターを開発する可能性がある。
また魔帝などの例外を除いてSAMなどがない新世界では偵察ヘリの需要は強まっていると考えられるので、OH-1の再生産もしくはその後続機の開発が行われる可能性は高いと思われる。
随時加筆可
劇中での活躍
ロウリア王国戦において登場。
ギムへ飛来した
ムーラの
ワイバーンに自衛用の
91式携帯地対空誘導弾を発射するも脱落した金属片がシーカーに偶然当たってしまい、命中する前に爆発してしまった。
ちなみにミサイルから逃れる事に成功したムーラがそのまま撤退したため、深追いはしていない。
まぁ攻撃ヘリではないので、このあたりは気にしなくて良い。
基本的に陸上戦があったら、偵察に出るのは本機と思われる。
コミカライズ版では上記の戦闘をAH-1Sが行ったため出番が無かったが、第34話においてゴトク平野を偵察飛行する姿が描かれ、初登場を果たしている。
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最終更新:2024年02月22日 17:36