SAT SpecialAssaultTeam

さっと すぺしゃるあさるとちーむ

日本国警察組織の特殊部隊。実在する。
出典:「令和3年版 警察白書」(警察庁)(https://www.npa.go.jp/hakusyo/r03/honbun/index.html)
創設 前身部隊(特科中隊、零中隊)1977年11月1日
再編成 1996年5月8日
所属政体 日本
所属組織 警察
兵種/任務/特性 特殊部隊、テロ対処部隊
人員 11個班
300名
編成地 東京都
大阪府
北海道
千葉県
神奈川県
愛知県
福岡県
沖縄県
通称号/略称 SAT、特殊急襲部隊
担当地域 日本全国
主な出動事件 三菱銀行人質事件(前身部隊が出動)
全日空857便ハイジャック事件(前身部隊が出動)
西鉄バスジャック事件
町田市立てこもり事件
愛知長久手町立てこもり発砲事件
ルネサンス佐世保散弾銃乱射事件

概要


日本警察の特殊部隊の通称であり、警察の対凶悪犯罪、対テロリズムにおける切り札的存在である。
警察での正式呼称は「特殊部隊(SAT)」。SATとはSpecial assault team、日本語に直訳すると「特殊急襲部隊」ですが、この呼び名は正式ではない。他だと警察内部で「六機の特殊」「特科中隊」といった通称もあった。「六機の特殊」はかつてSATが警視庁第六機動隊の隷下だった頃の名残、「特科中隊」はそれより前のSATの前進部隊の頃の通称である。

この部隊はテロや凶悪犯罪に対応するテロ対処部隊の急先鋒であります。なので装備も警察組織というイメージからかけ離れており、MP5サブマシンガン、自動小銃、狙撃銃、閃光手榴弾、防弾装備などなど、一般的なお巡りさんのイメージからはかけ離れた、とことん重武装の部隊。ついでに実質的なSAT専属ビークルとして、防弾板を張ったベル412中型ヘリとか、銃器対策警備車なる大型装甲車とかもあります。任務も、もはや逮捕とか言ってられないような状況で犯人を制圧すること……つまりいざとなれば射殺も辞さない制圧部隊、それがSATなのです。

ちなみにSATは警備部ですが、刑事部にも『SIT』という特殊部隊があります。いわゆる「捜査一課」に配置されていますが、あくまでも刑事組織なので、事件捜査や犯人逮捕が主任務。突入作戦もしますが、それは最終手段。SITが対応できないときにSATが出てきます。任務の重複があって内部で面倒なことがあるそうなんですが。

沿革

そもそもの成り立ちであるが……かつて日本は左派による武装革命闘争が世間を騒がせてました。1977年には日本政府が赤軍過激派のハイジャック犯の要求に屈して国際的な非難轟々……国内外の批評に後押しされる形で警察庁は対テロ部隊の創設に着手した。でもこれを当時の社会党が、警察上層部による国家警察昇格への足がかりと捉えて猛反対したもんんで、残念ながら計画は断念されてしまったわけで……いつの時代もこんなのあるんですね……

その断念した年の1977年に警視庁は特科中隊(SAP)、大阪府警は零中隊なるものを創設しました。極秘で。言わずともSATの前身である。じゃあ何でその極秘なのが今こんなに有名なのかというと、1995年に函館空港で起きた全日空857便ハイジャック事件の時に、警察が存在を公式に認めたから。これ以前にSATという特殊部隊が存在することを知っていたのは警察庁、とりわけ警視庁の幹部の中では一握りのみ。今でも警察の内線にすら番号は載っていない。


隊員について

基本的に採用されるのは機動隊員です。で、そんな中から希望者を募って選抜試験を通過するとなれます。とてもとても強靭な肉体と精神と他何項目かが必要とされます。これはSATに限らず自衛隊海上保安庁の特殊部隊も同じ。

決断状況判断やら、逮捕術やら、射撃やら、その他数項目に精通していることが前提。その上でノンキャリア*1の機動隊員にお声がかかって6ヶ月間の入隊試験訓練を受けることが出来るようになります。身長は高くても低くても駄目。重大犯のいる現場に突入する上で狭い場所とかで警備とかしうるわけですからね。でかくてカバーできないとかあっても困るわけで。

誰がSATの隊員なのかは一切不明です。よく漫画や2000年代の映画・ドラマで「SAT」って堂々と書いてある防弾ベストや腕章とか付けてると思いますが、あんなの現実にはありません。事件解決のためにどうしようもなくなって犯人を射殺したとしましょう。人権団体がなんか言ってくるのは想像に難くないね? 実際、1970年の瀬戸内シージャック事件では、無差別銃撃犯を射殺した警察の狙撃手が叩かれて辞職に追い込まれてます。そのための配慮です。顔も見られないように覆面してます。

もちろんSATになれても、自身がSAT隊員であることは一切口外できません。たとえ親兄弟妻子であっても。あるSAT隊員などは、殉職して初めてSATだったことを家族が知ることとなったなんて報じられてたりする。そういうこともあってメディアには基本出てこない。マスコミへの公開訓練もそんなにやらない。皆無じゃないけど、サミット前とかの一大イベント直前のような例外の時期だけです。

SATに入りたいけど一都三県に住んでないという場合でもご安心ください。大阪、北海道、千葉、神奈川、愛知、福岡、沖縄にもそれぞれSATが配備されております。これらの共通点は国際空港や重要港湾があるところ。それ以外にも埼玉県警のRATS、静岡県警のSRPみたいな近い組織があります。てか銃器対策部隊(銃対)というのが全都道府県にあります(下画像)。銃対は機動隊の一組織で、原発や空港などの重要施設警備、SAT到着までの初動対応、SAT到着後の支援が任務。装備もSATに近いものを持ってます。MP5とか自動拳銃とか狙撃銃とか撃てますんで、安心して地元の警察をご志望なされてください。女性の方もご安心、RATSや銃対なら女警さんの所属も前例があります。

晴れて任官した場合は機動隊にて頑張ってください。
警視庁機動隊・銃器対策部隊
出典:「平成28年版 警察白書」(警察庁)(https://www.npa.go.jp/hakusyo/h28/honbun/index.html)

また、刑事となってSITに入るという手もあるので、SAT以外もご検討のほどを。もちろんSITも優秀じゃないと入れません。何せSITは天下の捜査一課にありますからね。ただ、地方の県によっては隊員が1人しか居なかったり、他部署と兼任してたりとショボかったりも……北海道、愛知、大阪、福岡、警視庁なら人員に余裕があるので、部隊規模も割と整ってます。

訓練・実戦

で、優秀な人ばかり集まるSATですが、訓練も当然のように厳しいです。どのくらい厳しいかというと……1週間山籠もりして野戦の訓練もしてるとか……小説『宣戦布告』のように某国工作員やゲリラが山中に潜伏したときの、山狩り作戦の想定だとか推測されているそうで、RPG等で重武装した敵への対処を想定した訓練もやってる*2。他にも水に潜って5分息止め、寝ている所をいきなり叩き起こされて行軍訓練(1日で65キロ)の開始と服装や時間毎の栄養補給のタイミングを一気に告げられる(メモ無しで記憶できるか試す)、市街地戦や屋内戦についても訓練してます。欧米の対テロ訓練施設でも訓練をしていて、隊員が海外の訓練施設に送られるのはザラにある。

下画像みたいなヘリボーン訓練もします。これはSATに限らず機動隊の警察レンジャー部隊でもしますが、『日本国召喚』でも懸垂降下によるヘリボーンの様子が描かれています。
警察航空隊のヘリを用いたSATの訓練
出典:「平成28年版 警察白書」(警察庁)(https://www.npa.go.jp/hakusyo/h28/honbun/index.html)

そういうこともあって、世界基準でもかなり優秀。国際特殊部隊競技会にも参加しているが、優勝経験もあり、世界的にも極めて練度が高いと評価されているという。創設当初はGSG-9やらSASやらの隊員を派遣して指導を仰いでいたんだとか……しかしどれだけ優秀であろうと、実戦で殉職者は発生しております。残念ながら。2007年に愛知県であった立てこもり事件にてこの悲劇は発生。上の家族が知らなかったというのはこれ。

勤務形態は不明である。ただ自衛隊と連携したりすることがあったり、SATに支援組織があったりする。SAT Support Staff、通称スリーエスなる専属支援組織があるんだとか。

以前は自衛隊と同じ89式小銃64式小銃 *3を使ってたそうですが、どちらも2020年代はもう使ってないとか。フランス警察特殊部隊のRAID(特別介入部隊)との現地訓練ではドイツH&K社製G36Cカービンの使用も目撃されていますが、流石にこれはフランス警察からの貸与だろうとのこと*4。あとは同じくH&K社製のHK416も使用しているのではないかと言われています。


作中での活躍


書籍版第1巻の終盤に登場。ロウリア王捕獲作戦時にハーク・ロウリア34世逮捕のため、陸上自衛隊第1空挺団と共に出動。場面は戦場であり、自衛隊の警務隊では担当外。検察官や通常の警察官では任務の遂行は難しいと判断され本部隊が投入された*5。練度に自信があるのか、作戦会議では「人質とそうでない者を一瞬で見分けて射撃する訓練をしている」とし、対象を瞬時に判別する能力は第1空挺団より上と発言していた。

陸上自衛隊第7師団が陽動部隊となって敵の注目を集める中、SATと第1空挺団の連合部隊はAH-64D1機の支援を受けながら、UH-60JACH-47JAに分乗して王城上空に飛来。UH-60JAより一個空挺小隊が降下して円形防衛陣を、続いてCH-47JAより空挺隊員が降下空挺堡を確保、このあとでSATが懸垂降下している。ヘリボーンである理由は、SATは懸垂降下の訓練はしているが、落下傘の訓練を受けていないためだと説明されている。

小隊長「青木」の元、ハーク・ロウリア34世を「大量殺戮を指示した罪」で逮捕することに成功。この作戦で自衛隊及びSATから死傷者は出ていない。この時それぞれの人数は不明である。ただ警察における小隊なら、SAT側は基本10~20名の間とみられる。ロウリア王国近衛隊らはこの連合部隊を魔法剣士の精鋭だろうと判断していた。通称第1狂ってる団とか頭のネジが外れてるとかいい意味で言われてる第1空挺団の空挺隊員からも、自分たちについて来れていることに高い評価を(内心であるが)されている。

この時のSATの装備は、仮に自衛隊との装備統一を図っているなら89式小銃が使用されていると予想される。空挺団とSATのどちらにも配備が公式にされております。ただ装備の不統一もありうるので、その場合特定不可。あと空挺隊員がSATのことを「我々第1空挺団より軽装」と評しているので、よくSATの公開訓練とかで見られるようなチタン製防弾ヘルメット+防弾チョッキみたいなゴッテゴテの防弾装備はここではしてないようである。

コミカライズ版では出動しておらず、第1空挺団しか出てきていない。そのため捜査権なんて知ったことかと言わんばかりに第1空挺団がハーク・ロウリア34世に手錠をかけて逮捕している。




随時加筆願います
関連項目
組織日本国日本国官公庁

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過去のコメント
  • トリプルファイター(1972年)の地球防衛チームもSATです。 -- 名無しさん (2018-01-19 01:01:27)
  • 主要部隊の装備はメインMP‐5(それの派生型も含めて)一般型はF型(フランス向け輸出版仕様)の発展型(3点バースト、セミオートのみ)でさらに20㎜レールとドットサイトやホロサイト(最近はB&Tのサイト、バイザー付きストック)が伊勢志摩サミットで確認?された、拳銃はグロック19やS&WM39シリーズなどばらつきがある。 -- AGM-88 (2018-01-19 06:57:51)
  • J型(一般型)以外の派生型(K型、KPDWなど)を確認、警察名称「特殊銃3型」などG3ベースだが互換性はない。ART(千葉県のSAT)は40㎜グレネードランチャー持ってたりしてるから関東圏の部隊は最新式の武装をしていることがある。(GIGNを参考にしているからSATはヘルメットや防弾服が似ている位など) -- AGM-88 (2018-01-19 07:19:04)
  • (89式見たこと)ないです。(展示会や実戦でも)大体は立てこもり事件ではベレッタM92FSやMP5Jや音響手榴弾(M84スタングレネード)しか見てないです。 -- AGM-88 (2018-01-19 07:32:42)
  • 詳細は帰宅してからだけどなんかのメディアで装備として紹介されてます。帰ったら出しとく。 -- 名無しさん (2018-01-19 07:52:19)
  • とりあえず結構89式5.56㎜小銃の紹介サイトではSAT装備と出てる。 -- 名無しさん (2018-01-19 08:01:22)
  • 東京(警視庁)はH&KUSPやSIGP226やグロック19(gen2,3のどっちか)神奈川SATはベレッタM92と3913(M39シリーズ)、千葉県ARTはP228とグロック19だったかな。(バラバラでよくわからん) -- AGM-88 (2018-01-19 12:57:44)
  • USPやP226、228は10年前だから・・・大丈夫かな・・(高いからM39シリーズで我慢してるな) -- HG.85手榴弾 (2018-01-19 13:04:01)
  • SAP(SATの前任部隊)は函館空港ハイジャック事件?でH&KP9S使ったといってたがよくわからんので多分M37(チーフスペシャル)かM39(3913か5906)のどっちか使ってる。(海保が5946使ってるのは確認した) -- HG.85手榴弾 (2018-01-19 14:45:56)
  • 狙撃銃はSAP時代は64式(簡易狙撃型)と豊和ゴールデンベアだったが最近はわからん。(対物ライフルAW50?、豊和M1500は原発守備隊などセミオート狙撃銃も持っている?かも) -- AGM-88 (2018-01-19 17:01:44)
    • L96A1ボルトアクションライフルとPSG1セミオートライフル持ってた筈だぞ - 名無しさん (2021-10-09 19:47:55)
  • ところでこの自衛隊でも海上保安庁でも兵器でもないSATはどこからリンク伸ばすんだろうか。そのうち第7師団とか作られるかもだし。 -- 名無しさん (2018-01-20 06:59:19)
  • SATは警察に属するので警察からリンクを伸ばすしかないのでは? -- 名無しさん (2018-01-20 08:42:22)
  • 日本警察特殊部隊「MP5」でない - 名無しさん (2019-02-02 16:07:47)
  • とりあえず足をひっぱるのは国内のバカ達なんだよなあ。 - 名無しさん (2020-08-23 03:51:51)
  • コミック版だと敵近衛兵がメイドを人質にしたり仕掛け扉から奇襲したりで思った以上に狡猾で死人でないかとヒヤヒヤした。よくあの刺突防いだな。 - 名無しさん (2021-10-09 17:35:39)
  • 書き分け大変なのは分かるけどSATは出して欲しかったな。逮捕権の話はWeb版から結構練られてた設定だったし。 - 名無しさん (2025-03-13 13:44:03)


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最終更新:2025年08月23日 17:32

*1 都道府県警察の単位で採用された警察官のこと。扱いとしては地方公務員。これの対となるのが「キャリア」で、警察庁にて採用された警察官。扱いとしては国家公務員。

*2 参照

*3 スコープを取り付けて64式狙撃銃として使用

*4 参照

*5 ちなみにこの捜査権の話は書籍発売以前にみのろう氏が感想欄の返信で詳しく説明しており、みのろう氏自身が書き殴ったと称していたWeb版ロウリア編の中では拘りがあった設定だと思われる。