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概要

 当記事では、セトルラームのテクノロジーについて纏める。以下の技術は全てB.N.S..星域統合システムとの併用を前提とし、統一的運営の効率化を図った。当記事において紹介されるテクノロジーに関して、必ずしもセトルラーム由来のものとは限らないことに注意されたい。例を挙げると、B.N.S.に関しては星間機構由来の技術をセトルラームが劣化再現し、同レベル以上の水準に発展させたものでオリジナルとは似て異なるシステムとして認識される。令咏術については元々イドゥニア星内に広く普及していたもので、原初の開発者に関しては依然不明とされているのが現状である。今日ではセトルラームとユピトルの二ヶ国が研究の主導権を持ち、現代科学を象徴する異能技術先進国としての地位を高めてきた歴史がある。ルーゼリック・ワープ航法に関しても、現代でこそセトルラームの優位性が認識されて久しいものの、元は宇宙新暦4900年代ツォルマリアのバブルワープ航法を参考として開発に至った技術である。その他の技術に関しても概ね他文明のものを独自に解析し、応用、発展を重ねてきた経緯から狭義においてセトルラーム由来のものとは言い難いところがある。

テクノロジーの名称

 解説利便性の観点から、概ね日本語、または英語訳による名称を採用するが、本来の正式名称は全てロフィルナ語を用いることに注意されたい。

異能技術

令咏術〈タクトアーツ〉

 イドゥニア文明圏において広く利用される人工異能技術。戦略攻撃相当手段としての利用も可能で、ラムティス条約における一部制限の対象となった。

開拓技術

自動クリエイション・システム

 量子魔導工学の集大成。アーツ・プリンターフィールドを用いて任意の物体を創造する。3D建築技術の一種として発展を重ねた。
●自動建築の一例

アストラル・クアドラント・テクノエクスパンション・システム (AQ-TES)

 Dポータルスフィアと称される異空間ゲートを起点に、無限の拡張世界を創造できる。通称、第1世代AQ-TESの略称で知られるこのシステムは、共立公暦830年に登場し、空間開拓の常識を一変させた。意識保全と仮想的体験を目的とするなら、第3世代T.B.N.S.で事足りる。狭い領域から無限の拡張領域を創造できる当技術(AQ-TES)の発展によって、将来的には人口統制の廃止に繋がるであろうことに期待された。人口対策としてのテラフォーミングをはじめ、無数のコロニー建設に多額の予算を投じる必要もなくなる。恒久的に持続可能な社会を実現できる公算が高く、セトルラーム政府はT.B.N.S.サーバーの維持費用を削減できる可能性に触れた。一方、その取り扱いには極めて高い専門性を要し、事象災害誘発の危険性も認められることから民間レベルの課題を克服するまで暫しの時を要するものと見られる。戦略攻撃相当手段としての応用も可能とされ、ラムティス条約による規制対象となった。

発電技術


医療技術

不老技術

 元々は医学の発展に伴って生み出された遅老技術で、若化そのものも開発から既に数千年を経過している。諸々の理由から民主化以前は完全に規制され、高位の貴族にのみ提供されていた。今日のセトルラームにおいては基本的権利となって久しく、不老化を望む全ての国民に広く提供されている。一方、人口対策としてビルド・ネットワーク(T.B.N.S.)にライフサイクル・システムを連携させており、一定の年齢を過ぎると指定のエリアに移住するか、無限空間(ヴェタルバンナ空間)にその意識を転送する義務が制定された(人口統制基本法)。特定資格を持つ者は免除される。転送した意識は原則として閉じた無限空間に留められるが、現実の人口動態が安定すると、器となる肉体を与えられ再生できるからだ。その性質上、無限空間において加速度的に増加する意識体は次第に独自のコミュニティを形成するようになり、この世界から独立する可能性も指摘されている。

  • 平たく説明すると、長期に渡り健康的な肉体を保つための技術である。
  • しかし、これ単体では絶対に生き永らえることは出来ず、脳を維持するためのシステムが必要とされた。
  • 不老化した個体は常時ネットワークとリンクし、任意に記憶を引き出せる状態となっている。

ライフサイクル・システム

 現代セトルラームにおいて広く整備された。社会秩序の礎となるシステム。接続するビルド・ネットワークそのものは旧暦時代に開発されて久しく、極限的な肉体のデータ化に用いられた経緯がある。元々、社会福祉に資するような技術ではなく、星間社会における種の選別のために導入されていた。一方、人間の体は本来100%の機能を発揮するようには出来ておらず、脳内活性化に伴う必要因子(酸素・グルコース等)の不足から、ある程度の年齢を重ねると必ず認知機能の限界に直面してしまう。そこで注目を集めた技術が前述の初期ビルド・ネットワーク・システム(N.B.N.S.)であり、後に成立した移民船団は実現して久しい遅老技術の発展にこれを利用したのである。その結果、記憶の永久保存を可能とする新世代量子ビルド・ネットワーク(F.B.N.S.)の開発へと漕ぎ着け、以後、更なる発展を遂げていった。共立公歴(S.H.)を迎えて暫く経つと、意識の共有や転送も可能となり、第二世代量子ビルド・ネットワーク(S.B.N.S.)へ移行。一般国民に対する延命福祉の提供へと繋がっていく。これにより、不老の恩恵を享受する上流階層に対しての不平等感も緩和され、持続的な社会保障政策として普及した。同800年代に至ると、新たに第三世代量子ビルド・ネットワーク(T.B.N.S.)へ移行し、今日利用されるライフサイクル・システムとして独立したのである。膨大な意識情報の保全に留まらず、任意にコントロールできる性質から戦略攻撃相当手段としての転用も可能とされラムティス条約における一部制限の対象となった。

  • ビルド・ネットワーク上に記憶を保存したり、大量の意識を管理・転送するためのシステム。
  • これにより、脳の活性化に伴う『記憶死』を回避し、認知容量の問題も克服している。
  • 一種の意識体として生き永らえることも可能で、社会の在り方を巡る諸問題の緩和に繋がった。

航行技術

ルーゼリック・ワープ航法

 次元歪曲航法とも呼ばれる。ゲートを通じて安全に跳躍する場合と、緊急時直接ジャンプを行う場合の二通りの方式に分けられる。
空間を歪める関係上、事象災害の誘発危険性もありラムティス条約による一部制限の対象となった。

通信技術

量子ビルド・ネットワーク(B.N.S.)

 現代文明の根幹を成す基盤テクノロジーの一つ。世界規模で広く普及して久しいが、戦略攻撃相当手段としての応用可能性も指摘されラムティス条約による一部制限の対象となった。

レーダー技術


メモリー・サブスティテューター

 人の意識を始め、肉体、人格、その他の権利情報の保全に用いられる。ネットワーク帯域の増幅装置。通称、セーブポイントの愛称で親しまれるこの機械は、ビルド・ネットワーク上のあらゆるシステムと連携しており、現代の探検家にとって欠かせない支援装置の一つとなった。通常、自動セーブを可能とする今日のクラウド技術の前では無用の長物となるわけだが、それも十分なインフラを持つ主要経済圏に限った話である。遠く離れた空域では基本的にB.N.S.の恩恵を受けられないため、システムを安定させるまでの一時的な保全手段として重宝されているのだという。

  • 帯域の強化増幅に用いる。公仕様の必須ガジェットで、これがあれば危険地帯でも安心して活動できるらしい。
  • 未開の調査エリアに設置する一時的な保全機械として重宝されるが、その利用条件は非常に厳しいものとなる。
  • 便利だからといって、あまりに酷使すると空間の歪みが生じて事象災害を誘発しかねないため。

●代表的な記憶装置

双方向バブルレーン通信システム

 共立英語名称で、Hyper bubble Instant relay System(H.I.S.またはハイパーI.S)とも言う。その名の通りに双方向でのリアルタイム通信を可能とするが、跳躍途上における圧縮航路(通称、バブルレーン・次元泡通信網*1)においても使用可能となり、従来の通信システムとは一線を画した。量子バブルレーンを航行中の宇宙船舶が通信を発した場合、諸星系に設置されるB.N.S.ゲートを通じて安定させる。また、自動的に時間軸の同期がなされ、アナザーポータル(中継機)による通信強度の増幅を可能とした。これらの技術はB.N.S.ゲートを有する諸星系が誘導管制を行う場合に使用される。リアルタイム通信の有効範囲はアナザーポータルの稼働数にも左右されるが、通信システムの整備が進むセトルラーム国内においては全域をカバーして久しく、同分野において常に上位の座をキープした。H.S.900年代に至っては、事実上、無限大とも評されるバブルレーン転送を実現。それを常時維持するための補助システムも増強され、更なる次元泡通信網の拡大へと繋がった。代償として、使用すればするほど恒星間の時空連続体に悪影響を及ぼすリスク(事象災害の発生)も指摘される。そのため、ラムティス条約における一部制限の対象となった。

  • 双方向バブルレーン通信システムは、通常の星間通信に加え、跳躍途上におけるリアルタイム通信をも可能とした。
  • 通称、ハイパーI.Sと呼ばれる新たな通信技術の発展から、異なる空間を行き来する宇宙船舶間の連絡網を形成している。
  • 星間ゲート、アナザーポータル(中継機)を通じた有効連絡範囲の拡大により、更なる信頼性の向上へと繋がった。

転送技術

量子ポートアルター

 既存のワープ理論を応用し、開発された。大小多くのシリーズからなる転送装置。生命や機械を問わず、個体レベルでの転送を実行できる利点から、これまでの星間航法を超え得る新たな移動手段として注目された。
実際には既存の通信帯域を圧迫するなど、多くの制約を伴うもので、他国に軍事費増大のインセンティブを与えるものであることから、ラムティス条約における規制対象とされて久しい。

軍事技術

レーザー技術

 主に宇宙戦闘艦の主砲として用いられる。異次元のバブルレーン空間からエネルギーを抽出し、強力なレーザー武器として発射する。

量子・改変・収縮兵器

 以下、ラムティス条約に基づく規制対象。通常空間での使用に注意を要する。


指向性エネルギー兵器

 マルチプル自態変形波は、高度な指向性エネルギー兵器の一種である。複数のターゲットに対して高出力のエネルギー波を変形させながら放射することができる。
この兵器は、ターゲットの特性に応じて波形を自動的に変化させ、最適な効果を発揮する特徴を持つ。

防護技術

ディレクショナル・エレクターシールド(英通称、DES,和通称、電磁バリア,指向電磁ブラスター)
 改暦以前の時代に広く普及していた。電磁力による一定の反発作用をもって宇宙航行の危険を緩和する。抵抗の許容値が低く、軍事利用に大きな困難を抱えていた。

ディレクショナル・プロテクションシールド(英通称、DPS,和通称、電磁シールド、DPシールド)
 旧暦時代に広く利用された。指向電磁ブラスターの強化系。現代では通用しなくなって久しい防護技術の一種とされる。

グラビトン・シールドデフレクター(英通称、GSD,和通称、重力シールド)
 船体の周囲に重力場を発生させ、攻撃による損傷を回避する。共立時代を迎えて久しい今日までに標準的な防護技術として普及した。
一方、改変系に対して無力であることが多く、新技術との併用が進んでいる。通常時、セトルラーム国防軍の基本装備として実装された。

ディメンション・シールドデフレクター(英通称、DCD,和通称、次元シールド)
 超常的な魔法技術の登場によって主力になりそこねた防護技術。第1世代QPR*2の派生系。飛来する攻撃実態を別次元に逸らし、物理的保全を図る性質から費用対効果による新規のリリースに至った。
その性質上、戦略攻撃相当手段としての応用も可能とされ、ラムティス条約における規制対象となって久しい。上の重力シールドを補うセトルラーム国防軍の基本装備として実装された。

フェノメノン・リプレーサー

 英通称、QPR,和通称、現象置換シールド。シールドリプレーサーとも言う。物理的な攻撃に留まらず、現実改変を含む様々な干渉系にも対応する。
上の次元シールドと同じく、戦略攻撃相当手段としての応用も可能とされ、ラムティス条約における規制対象となって久しい。

装甲技術


適合遺伝子可変戦術兵器

 通称、コンパチブル・ウエポンは、係る外科手術(または生産工程)を経て高度の適合因子を獲得した特殊強化兵に与えられる。人工遺伝情報を始め、各種識別走査を必要とする個別兵装である。形状は運用個体によって異なり、作戦内容に沿って素早く換装できるよう設計された。運用の趣旨としては、特定状況下における機動戦を想定。主に小型の装甲車両や航空機、その他の特殊存在を相手に撹乱することを目的とする。また、自国が用いる、あらゆる兵器を削減することも兼ねており、時代を下る毎に大幅な進化を遂げていった。近年はフェノメノン・リプレーサーも実装し、必要に応じて味方艦隊と連携させることを前提にプログラムしてある。以上の配備を起点に既存の戦闘車両の殆どが旧式化した。暴走クラックなどの特異存在に対処するため、極限まで人体を強化し、当該兵器と適合させる性質から倫理上の問題が指摘されて久しく、ラムティス条約における規制の対象となった。

  • セトルラーム連邦が誇る最強兵器。覚醒した一個人、または強すぎる機動兵器に対抗して開発された。
  • 主に遺伝子適合した強化兵士が用いる。任務の性質上、大型艦では対処しきれない事案に投じられることが多い。
  • 投入にあたっては、あらゆる作戦行動を想定しており、形状も対人仕様から対艦仕様まで豊富にある。

Tバイオロジカル・スフィア

 Tバイオロジカル・スフィアは、共立機構による統制のもと、連邦軍が保有する化学兵器の総称。プロトタイプとされるオリジナルは古の星間機構が実用化し、長期的な環境操作を目的に配備された。本来はテラフォーミングの一環として平和裏に利用されていたものだが、時代を下る毎に軍事的な側面を強め、特定人種の絶滅に用いられた歴史がある。旧ギールラングを始めとする一部の国々では、そうした技術を継承し、強制キメラ化兵器に転用。フリートン独裁政権(当時)に至っては特定空間におけるウイルス力場の形成能力を高めるなど、様々なタイプのバイオロジカル兵器が生み出されて久しい。ラムティス条約の制定に至るまで、特定の集団のみ死に至らしめる化学兵器の存在も確認された。その性質上、拡散環境下における全部隊への影響を避けられず、適合因子の変容も想定されることから連邦政府(現フリートン政権)は遺伝子工学に基づく防護対策も進めている。

  • 強力だが使えないシリーズ。使用に踏み切った瞬間、国際的集中砲火の的になるであろうことが予想される。
  • そのため、近年はピンポイントに対象を狙い撃つための改良を施しているが、非人道的であることに変わりはなく、やはり使えない。
  • 一種の生物兵器と言えるものから、強制進化を促すタイプ、デジタルウイルスをばら撒くものまで豊富にある。

その他・外国由来の技術

 セトルラーム国内において、広く利用されるものから情報共有に留まるものまで幅広く明記する。

多層式生産レーン
 イドゥアム・セトルラーム間における生産協力協定に則り、広く採用された。不足しがちな低級物資の需要を満たすために連邦国内において多数の複合生産コンビナートが連なる。

 ラヴァンジェ・セトルラーム間における研究協定枠組みを履行し、広く普及した。軍民を問わず、数多くの事象改変技術の開発に繋がっている。

 シナリス・セトルラーム間における技術包括提携枠組み協定に基づき、広く共有された。具体的には、所定の輸出監査コード「T3」該当部分までの情報提携を維持。新規開発分野における一定レベルの技術協力を可能とした。

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技術
最終更新:2025年07月20日 19:06

*1 開発チームを率いるゾンガルト博士曰く、跳躍途上において見られる無数の泡沫次元構造を指して「量子バブルレーン」の名称を採用したらしい。予め整備された次元泡通信網の中から、任意の泡沫構造を選択。予想される因果律の崩壊を回避するため、時間軸が異なるバブルレーンをいくつも介し、結果的にリアルタイムの交信を成立させるという荒業を取った。元はルーゼリック・ワープ理論の発展に伴って開発された経緯があり、現代の国際外交を成り立たせる根幹技術の一つとして認識された。

*2 QPR=クオンタム・フェノメノン・リプレーサーの略。共立世界における英語の通称としては、フェノメノン・リプレーサーの名で知られる。