Pixelmashとは
Pixelmashは、通常の画像編集ソフトでは難しいピクセルアートの編集を素早くおこなうための、ピクセルアートおよびアニメーション・スプライト作成ツールです。
きれいなイントロ:
現在の液晶高精細モニタは、ピクセル…ドットが肉眼で確認しづらいほどシャープです。
でも、もしあなたがピクセルが好きならどうしますか?ドット絵をみるとワクワクが止まらない場合はどうしますか?
イラスト、GIF、レトロゲーム、アイコンデザインなど、低解像度を生かしたアートワークのジャンルはたくさんあります。
そんな高精細モニタでちゃんと表示できるようなピクセルアートを作るには、お気に入りの画像編集ソフトで「あえて」とても小さなドキュメントを作り、それを拡大表示して、個々のピクセルをポチポチ置いて描いて、仕上がればそれをモニタ表示に耐えうるサイズまで拡大させてようやく完成する・・・という手段をとるのではないでしょうか。
Pixelmashは高い解像度のキャンバスのままでも、特に意識せずスマートに作業できるように設計されています。
デフォルトでは32x32のアートワークに対応する320x320のドキュメントですが、サイズやスケールファクターは自由に選択することができます。
ボタンひとつで、実際に保存されているものとピクセル化されたものを切り替えて簡単に見比べることができますし、スライダーをドラッグして、ピクセル解像度をライブで変更することもできます。
つまり、ドローイングや写真をインポートして、それを一旦低解像度に変換する手順を挟むことなく、そのまますぐにピクセルバージョンをプレビューすることができるのです。
またこれは、Pixelmashの他のユニークな機能であるエフェクトとアニメーションにつながります。レイヤーに対応し、それぞれにシェーディングやアウトラインを適用したり、マスターレイヤーに適用してアートワークにスタイルを与えることができます。
さらに、編集中に他のフレームの残像をコマ割りの参照用に見ることができる「オニオンスキン」を使ってフレームを追加したり、フレームごとにレイヤーを移動、拡大縮小、回転させることができるので、簡単なリグ付きキャラクターアニメーションの作成なども可能です。
もちろんレイヤーを使って、デザインの一部を分離したり、表示・非表示にすることもできます。
この解像度にとらわれないアプローチは、入門者にとってはゼロから絵を描くときにはあまり役に立ちません。中級者にとっては編集機能の物足りなさが不満に感じられてくることでしょう。
鉛筆ツールやブラシツールの直線モードはドット絵ならではの雰囲気を出せますが、消しゴムが円形しかなく、矩形範囲選択もないのでなかなかに不便です。
シェイプツールは円か矩形の2つしかないため、まじめに綺麗な形状を描画しようとなると手間がかかります。そして解像度シフトを意識しないで気軽にペイントできるといっても、ピクセル表示のオンオフ切り替えに気づかないまま作業を進めると予想外の結果になったりもします。ベクターベースの手法のような柔軟性もありません。
とはいえPixelmashのユーザーインターフェース・挙動に慣れることで、このツールで制作したピクセルワーク作品は最終物として、ウェブサイト向けのアニメーションGIF・ゲーム開発エンジン向けのスプライトシート(アニメーションの各フレームを1つの画像にレイアウトしたもの、ゲームキャラクターの読み込みや参照によく使われる方法)・Youtubeにそのまま投稿したり映像作品としてDVDに焼けるビデオファイル…というような、様々なフォーマットで好みの設定でエクスポートして利用することが可能です。
不具合や抜け・不親切な部分が多いものの、開発元はリリースから4年経過した2022年5月現在でも小出しとはいえ一応はアップデートを継続してきているので、単なる写真イラストをドット絵にするというツールとしてだけではなく、ピクセルアートデザインに対する新しいアプローチの一つとして試してみる価値はあるかもしれません。
使い勝手は?買うべき??
冒頭ではさすがに特色・いいところをメインに紹介しましたが、本音をいえば、「クセがあって入門用としては正直ハードルが高いけど慣れれば一通りのことはできるし特定の作業に関しては異様に効率よく進めることができる」タイプでしょうか。
買うべき…となると最有力対抗馬の「Aseprite」のほうが安価で王道の使いやすさ・取っつきやすさ(しかも日本語化可能)を誇っているので、まずはそちらを勧めたいところではあります。
Pixelmashの開発元によるチュートリアルガイドが全く出揃わない、いくつかチュートリアル動画があるけれど広報担当のやる気がないダラダラと取止めなく進行して何を伝えたいのかはっきりしない・頭に入りにくいという独習しづらさがネックかといえます。
(そもそも製品版を購入してもマニュアルが付属しない。というか公式にも存在しない。強いて言えば公式のショートカットキー一覧が唯一マニュアルの体をなしている気がする。バージョンアップが頻繁で機能がコロコロ追加されていくためかもしれない)
また、日本人クリエイター系のYoutuberが「Pixelmashはイラストを取り込んで手軽にドット絵に変換できるツール」ときっぱり断言してその部分だけを紹介している動画が多いため、そのような限定的な用途向けツールというイメージが先行しているようです(公式がそもそもそう謳っているので間違いではない)。
対応フォーマット
保存形式:PMF(*.pmf)
読み込み:JPG画像(*.jpg/*.jpeg)、PNG画像(*.png)、TIF画像(*.tif/*.tiff)
書き出し:PNG、PNGスプライトシート、TIFF、TIFFスプライトシート、JPEG、JPEGスプライトシート、アニメーションGIF
※Pixelmash2022.0バージョン以降
SVGファイルの読み込みに対応
ベクターレイヤーに配されたSVGファイル画像はスケーリングや回転を好き放題してもなめらかなアウトラインときっちり1ピクセル幅のストロークを維持してくれる
※Pixelmash2022.1バージョン以降
作成したアニメーションをビデオファイル(*.mov、*.mp4、*m4v)として書き出せるようになった
(YoutubeやInstagramなどのGIFをサポートしないサイトへの直接アップロードができる)
制作可能最大ピクセルサイズ
標準モード:9999×9999ピクセル
ダイナミック解像度モード:2048×2048ピクセル
※限界サイズのキャンバスを作成すると動作は非常に重くなりがち
必要動作環境
MacOS 10.15 もしくはそれ以降(CPUチップ:IntelもしくはM1必須)
Windows 10 もしくはそれ以降(64ビットモードのみ)
※Windows11においても動作確認はとれていますが、他アプリ・ゲームと同様、ユーザー環境によってはコンフィグやデータ保存の際にWindowsセキュリティによるアクセス制限がかかるため(指定フォルダにアニメーションGIFを書き出せないとか相当困ることになる)、管理者権限でアプリに対する許可を指定する、ユーザーフォルダのドキュメントに保存場所を変えるなどの操作・設定が必要になる場合があります。管理人に質問されても「おま環」に対するアドバイスは不可能です。
最終更新:2022年05月14日 19:53