テセウス
テセウス(またはテーセウス)は、
ギリシア神話におけるアテナイ(アテネ)の伝説的な英雄であり、
ミノタウロス退治をはじめとする数々の冒険譚で知られています。
概要
テセウスは
ギリシア神話において勇敢さだけでなく知恵や政治的手腕も兼ね備えた英雄として描かれています。
その物語は単なる冒険譚に留まらず、国家建設や民主政への寄与など歴史的・文化的要素も含んでいます。
背景と特徴
- 出生と幼少期
- テセウスはアテナイ王アイゲウスとトロイゼーン王女アイトラの子として生まれました
- ただし、一説では海神ポセイドンが父親ともされています
- アイゲウスは息子が成人するまで自分の正体を明かさないようアイトラに指示し、剣とサンダルを大岩の下に隠しました
- テセウスがこれを持ち上げられるようになった時、自分の息子である証拠としてアテナイに送り出すようにしました
- アテナイへの旅路
- テセウスは青年期に剣とサンダルを取り出し、父アイゲウスに会うためアテナイへ向かいます
- この際、安全な海路ではなく危険な陸路を選び、多くの山賊や怪物を討伐しました
- ペリペーテース(棍棒使い)、シニス(松の木で人を裂く山賊)、クロミュオーンの猪、スケイローン(崖から人を落とす山賊)、ケルキュオーン(レスリングで挑む強者)、プロクルーステース(「プロクルーステースのベッド」で有名)などを倒しました
- アテナイでの試練
- アテナイ到着後、アイゲウスの妻メーデイアがテセウスを毒殺しようと企てますが、彼は剣とサンダルで身分を証明し、父から認められました
- メーデイアはその後追放されました
- ミノタウロス退治
- 当時、アテナイはクレタ島のミノス王に服従し、毎年7人の若者と7人の乙女を怪物ミノタウロスへの生贄として捧げていました
- テセウスはこれを終わらせるため、自ら生贄となりクレタ島へ向かいます
- クレタ島で王女アリアドネから助けを得て、「糸玉」を使って迷宮ラビリントスから脱出する方法を教わります (→アリアドネの糸)
- ミノタウロスを討伐した後、アリアドネと共に脱出しましたが、帰路で彼女をナクソス島に置き去りにしたとも言われています
- アイゲウスの死
- テセウスは無事帰還した際、船に白い帆を掲げる約束をしていましたが、それを忘れて黒い帆のまま戻りました
- これを見た父アイゲウスは息子が死んだと思い込み絶望してエーゲ海に身を投げます
- この海は彼の名にちなんで「エーゲ海」と呼ばれるようになりました
- 統治者としての功績
- テセウスはアッティカ地方の村々を統合し、アテナイを中心とした国家建設(シノイキズモス)を行いました
- また、市民階級(貴族・農民・工人)による民主政の基礎づくりや祭典(パンアテナイア祭など)の創設にも関与したとされています
- 晩年と死
- 晩年、ペルセポネー誘拐計画など無謀な冒険によって国政から離れた隙に王位を追われました
- スキューロス島へ逃れましたが、その地の王リュコメーデースによって崖から突き落とされ亡くなりました
- 後世、デルポイ神託によって遺骸がアテナイへ戻され、市民によって手厚く葬られたと言われています
- 文化的影響
- テセウスはヘラクレスほどではないもののギリシア神話で重要な英雄として描かれており、その物語には勇気や知恵、悲劇的要素が含まれます
- プルタルコス『英雄伝』には「テセウス伝」が収録されており、その詳細な記録が残されています
関連ページ
最終更新:2024年12月29日 18:54