さとり
さとり(覚)は、日本各地に伝わる
妖怪で、人の心を読む能力を持つことで知られています。(→
テレパシー)
概要
さとりは、人間の内面に迫る能力から恐れられる一方で、その背景には山神信仰や自然崇拝が垣間見えます。
地域ごとの多様な解釈や物語が存在し、現在でも日本文化において興味深い存在として語り継がれています。
特徴と能力
- 心を読む能力
- さとりは人間の心を読み取り、相手が考えていることを次々と言い当てる能力を持っています
- このため、相手が何かを企んでも事前に察知して回避することができるとされます
- 姿
- 主に猿や狒々(ひひ)のような外見で、全身が黒く長い毛で覆われていると描写されることが多いです
- 一部の伝承では「童子」や「山男」に似た姿ともされています
- 性格
- 地域によって異なりますが、多くの伝承では人間に危害を加える存在として描かれています
- 山小屋などに現れ、心を読んで相手を惑わせたり、隙をついて襲いかかることもあるといわれています
- 一方で、人間に害を与えないさとりも伝えられており、時には人助けをすることもあるとされています
伝承と逸話
- 飛騨・美濃地方の伝承
- 岐阜県の山奥では、「玃」(かく)という妖怪がさとりの別名として伝えられています
- この妖怪は心を読むものの、人間に直接害を与えないともされています
- 「サトリのワッパ」
- 各地の民話では「サトリのワッパ」として分類されることがあります
- この名称は「童子」を指し、元々は山神の化身であった童子が妖怪化したものという解釈もあります
- 撃退方法
- 心を読まれるため対処が難しいですが、偶然や無意識的な行動には弱いとされます
- 例えば、山小屋で火がはぜたり、木片が跳ねて当たるなどの予期せぬ出来事に驚き逃げ去るという話が多く伝わっています
文化的背景
- 古典文学での記述
- 江戸時代の妖怪画集『今昔画図続百鬼』(鳥山石燕)には、「玃」がさとりとして描かれています
- この文献では、人間の心を読む能力や猿に似た外見について言及されています
- 現代文化への影響
- 東方Projectシリーズなど現代作品にも登場し、その能力やキャラクター性がアレンジされています
- また、日本酒「百十郎 MONONOKE 覚」のように商品名やデザインにも用いられるなど、多方面で親しまれています
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最終更新:2025年01月01日 10:32