どんでん返し
どんでん返しとは、物語の展開において、読者や観客の予想を大きく裏切るような意外な展開や結末を指す
シナリオ技法の一種です。
この手法は、特に
ミステリーや
サスペンス、
スリラーなどのジャンルでよく用いられ、物語の緊張感を高めたり、読者に強い印象を与える効果があります。
概要
どんでん返しは、物語に意外性と深みを与える強力な技法ですが、その成功には緻密な構成と
伏線の配置、論理的整合性が欠かせません。
適切に用いることで、読者や観客に驚きと感動を与えるだけでなく、作品全体への再評価を促す重要な役割を果たします。
どんでん返しの定義と由来
- 定義
- それまでの物語の流れや設定を180度覆すような展開が起こり、ストーリーが一変すること
- これにより、読者や観客は驚きとともに物語を再評価することになります
- 由来
- 歌舞伎の舞台装置「強盗返し(がんどうがえし)」が語源で、一瞬で場面転換する仕掛けから転じて使われるようになりました
どんでん返しの特徴
- 1. 予想外の展開
- 読者や観客が想像していた結末や展開を覆すことで驚きを生む
- 例: 善人だと思っていたキャラクターが実は悪人だった(キャラクター設定の逆転)
- 2. 伏線回収
- 効果的などんでん返しは、物語中に張り巡らされた伏線を一気に回収し、「なるほど」と納得させるものです
- 伏線がない場合、「唐突すぎる」と感じられ、不満を生むことがあります (→ご都合主義的展開)
- 3. テーマや視点の転換
- どんでん返しによって、物語全体のテーマや意味が変わることもあります
- 例: 映画『猿の惑星』ではラストシーンによって作品全体への認識が変わります
- 4. タイミング
- 多くの場合、クライマックスやエンディング(物語の結末)付近で仕掛けられることが一般的ですが、中盤で使用される場合もあります
どんでん返しのパターン
- 1. キャラクター設定の逆転
- 主人公や主要キャラクターに隠された真実が明かされる
- 例: 語り手が「信頼できない語り手」であることが判明する
- 2. 構成の逆転
- 物語全体の構造や背景設定そのものが一変する
- 例: 『シックス・センス』では主人公に関する真実が最後に明かされます
- 3. テーマの逆転
- それまで伝えられていたメッセージやテーマが覆される
- 例: 『ファイト・クラブ』では物語全体への理解が最後に大きく変わります
- 4. 状況の逆転 (逆転劇)
- 敵味方や形勢など、登場人物たちの立場が入れ替わる
- 例: 『DEATH NOTE』では主人公と名探偵Lとの攻防で何度も逆転劇があります
効果的などんでん返しを作るポイント
- 1. 伏線を巧妙に配置する
- 読者や観客に気づかれない程度にヒントを散りばめておくことで、後から振り返った際に納得感を与える
- 2. 論理的な整合性
- サプライズは物語内で論理的に説明可能である必要があります
- 矛盾した展開は評価を下げます
- 3. タイミングとインパクト
- 最も効果的なタイミング(クライマックスやエンディング)で仕掛け、一気に物語を盛り上げます
- 4. 読者誘導と裏切り
- 読者を特定の方向へ誘導した上で、それを裏切る形で驚きを与える
- これには心理的な駆け引きも重要です
成功例と失敗例
- 成功例
- 『猿の惑星』: ラストシーンによって物語全体への認識が覆される
- 『シックス・センス』: 主人公について隠されていた真実が明かされることで感動を生む
- 失敗例
- 「夢オチ」など安易な結末: 今まで積み上げてきた物語全体を無意味化してしまうため、不満を生むことがあります
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最終更新:2025年01月27日 08:09