ダークエルフ
ダークエルフ(Dark Elf)は、ファンタジー作品やゲームに頻繁に登場する種族で、元々は
エルフの派生種として描かれています。
概要
起源と歴史
- ダークエルフの概念は北欧神話に由来しています
- 北欧神話では「光のエルフ(リョースアールヴ)」と「闇のエルフ(デックアールヴ)」という二分化された存在が語られています
- 闇のエルフは地下に住む存在で、しばしばドワーフ(ドヴェルグ)と同一視されていました
- 近代ファンタジー作品では、特にテーブルトークRPG『ダンジョンズ&ドラゴンズ(D&D)』がダークエルフを広く普及させました
- この作品では「ドラウ(Drow)」という地下世界に住む堕落したエルフとして描かれています
- 外見
- ダークエルフは一般的に黒や茶褐色の肌を持ち、緑や赤い目を持つことが多いです
- 髪は白や銀色で描かれることが多く、妖艶で美しい外見が特徴です
- 性格と行動
- ダークエルフはしばしば邪悪で冷酷な性格として描かれます
- 彼らは地下世界で生活し、魔術や暗殺術に長けた種族として知られています
- ただし、作品によっては必ずしも邪悪ではなく、中立的または善良な個体も存在します
- 文化と社会
- 多くの場合、ダークエルフの社会は女性が支配する母系制社会であり、蜘蛛の女神ロルス(Lolth)などの邪神を崇拝している設定がよく見られます
- また、奴隷制度や陰惨な儀式が行われる退廃的な文化を持つこともあります
- 創作作品での描写
- ダークエルフは『ダンジョンズ&ドラゴンズ』や『指輪物語』などの影響を受け、多くのファンタジー小説やゲームに登場します
- 日本では『ソード・ワールドRPG』や『ロードス島戦記』などでも取り上げられ「茶褐色の肌を持つ妖艶な種族」として定着しました
- 近年では、ダークエルフの描写が黒人差別と見なされる場合もあり、一部の作品では肌の色が変更されるなどの対応が取られることがあります
- 設定の多様性
- ダークエルフは作品ごとに設定が大きく異なります
- 一部では「堕落したエルフ」として描かれる一方、人間社会から迫害されて地下に追いやられた悲劇的な種族として描かれることもあります
- また、善悪を超えた中立的な存在として扱われる場合もあります
作品例
『オルクセン王国史』
『オルクセン王国史』におけるダークエルフは、物語の重要な要素であり、特に氏族長ディネルース・アンダリエルを中心に描かれています。
- ダークエルフの背景と迫害
- ダークエルフたちは隣国エルフィンド王国で白エルフによる民族浄化の対象となり、迫害を受けていました
- この迫害は単なる差別を超えた組織的な虐殺であり、彼らの故郷を失わせるほど凄惨なものでした
- ディネルース・アンダリエルはこの迫害から逃れるため、多くの同胞とともにオルクセン王国へ亡命しました
- 彼女はオーク族の王グスタフ・ファルケンハインに助けられ、オルクセンで新たな生活を始めます
- ディネルースとダークエルフの役割
- ディネルースはダークエルフの氏族長として、オルクセン陸軍少将に任命されました
- 彼女はダークエルフで構成された「アンファングリア旅団」を率い、騎兵や砲兵、山岳猟兵など多様な部隊を指揮します
- ダークエルフたちは優れた戦士であり、魔術力や射撃、馬術に長けているため、オルクセン軍の戦力強化に大きく貢献しました
- ダークエルフとオルクセン王国の関係
- オルクセン王グスタフはダークエルフを差別せず受け入れ、彼らを国家の一員として扱いました
- この姿勢は従来の「野蛮なオーク」のイメージを覆し、多種族共存国家としてのオルクセンの発展を象徴しています
- ディネルース自身も白エルフへの復讐心を抱きつつ、グスタフへの恩義から忠誠を誓い、戦争に身を投じます
- この関係性が物語全体の軸となっています
- 物語上の意義
- ダークエルフたちの存在は、「銃と魔法」の時代という近代ファンタジー世界において、民族間の対立や共存というテーマを深く掘り下げています
- 彼らが直面する迫害や復讐心、そして新たな国家での再起が物語に重厚さを与えています
ダークエルフは単なる被害者として描かれるだけではなく、その能力や意志によって新たな歴史を切り開く存在として重要な役割を果たしています。
関連ページ
最終更新:2025年01月18日 16:04