シャイターン
シャイターン(Shayṭān)は、
イスラム教やアラビアの伝承において、邪悪な
精霊や
悪魔を指す存在です。
概要
シャイターンの特徴
- 1. 語源と意味
- シャイターンという言葉はアラビア語で「反抗する者」「敵対する者」を意味し、イスラム教では「悪魔」や「誘惑者」として描かれます
- その性質は、善に対抗し、人間を誘惑して罪を犯させることにあります
- 2. 起源と位置づけ
- シャイターンはジン(精霊)の一種であり、ジンの中でも特に邪悪な存在として分類されます
- イスラム教の聖典『クルアーン』によれば、人間が土から作られる以前に「煙のない炎」から創造されたジンの中から生まれた存在です
- 3. イブリースとの関係
- シャイターンの代表的な存在として「イブリース」が挙げられます
- イブリースは元々天使だったものの、アダムに跪くことを拒否したため堕天し、シャイターンの親玉となりました
- イブリースは復活の日まで人間を誘惑し続ける許可を神(アッラー)から得ており、人間を地獄へ導く役割を担っています
- 4. 階級と力
- シャイターンはジンの階層においてマーリドやイフリートより下位に位置しますが、それでも強力な存在とされています
- その主な能力は、人間を誘惑し、善行を妨害することです
- 例えば、信仰心を揺さぶったり、大罪や小罪へと誘導するなど、多様な方法で人間に干渉します
シャイターンの文化的・宗教的役割
- 1. イスラム教での役割
- シャイターンは人間にとっての「敵」として描かれ、『クルアーン』では彼らに従うことが戒められています(例: クルアーン35:6)
- シャイターンに従う者は「損失者」とされ、審判の日には彼らと共に罰せられるとされています
- 一方で、シャイターンは神(アッラー)の許可のもと活動しており、人間の信仰心や善行を試す存在としても機能しています
- 2. 誘惑の手段
- シャイターンは人間を様々な方法で誘惑します
- 例えば、信仰心を捨てさせたり、大罪や小罪へ誘導したりします
- また、合法的な行為に没頭させて重要な宗教的義務を怠らせることもあります
- 3. 対抗手段
- イスラム教では、シャイターンから身を守るためには神への祈り(ドゥアー)や念唱(ズィクル)が推奨されています
- また、神の名を唱えることでシャイターンを退散させることができるとされています
- 現代文化での影響
- シャイターンは、中東地域だけでなく、西洋や他地域でも「悪魔」や「サタン」に相当する存在として知られています
- ファンタジー作品やゲームなどでは、「邪悪な精霊」や「敵対者」として描かれることが多いです
シャイターンはイスラム教やアラビア伝承において、人間を誘惑し試練を与える邪悪な精霊として重要な役割を果たしています。その存在は善悪の対立という
テーマを象徴し、人間が信仰心や道徳心を保つための試金石とも言えます。一方で、その文化的影響は広く、西洋文化にも影響を与えています。
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最終更新:2025年01月09日 17:56