リリス
リリス(Lilith)は、
ユダヤ教や中世の伝承に登場する女性型の
悪魔、または霊的存在であり、その起源や象徴性は多岐にわたります。
概要
リリスは古代メソポタミアから
ユダヤ教、中世ヨーロッパまで幅広い文化で語られてきた存在です。
彼女は「夜」「反抗」「誘惑」の象徴でありながら、近代では女性解放運動などで自由と独立を象徴するアイコンとしても再解釈されています。その多面的な性質から、宗教的な文脈だけでなく現代文化でも重要な役割を果たしています。
リリスの起源と役割
- 1. 起源
- リリスの起源は古代メソポタミアにさかのぼり、シュメールやバビロニアの伝承に登場する「リル(Lilitu)」という風の精霊や悪霊に由来します
- ヘブライ語では「夜」を意味し「夜の魔女」や「夜の悪魔」として恐れられていました
- 2. ユダヤ教の伝承
- ユダヤ教では、リリスはアダムの最初の妻とされ、神によってアダムと同じ土から創造されたと伝えられています
- リリスはアダムとの関係で男女平等を主張し、従属を拒否したためエデンの園を去りました
- この反抗が彼女を悪魔化するきっかけとなったとされています
- その後、紅海沿岸で悪魔たちと交わり、「リリン」と呼ばれる多くの悪魔の子供を産んだとされます
- 3. 子供への脅威
- リリスは新生児や妊婦を襲う存在として恐れられました
- 特に男児は生後8日間、女児は20日間が危険とされ、この期間中には護符や呪文で守る必要があると信じられていました
象徴と解釈
- 1. 悪魔としての象徴
- リリスは「夜」「誘惑」「反抗」の象徴とされ、特に性的な魅力や欲望を司る存在として描かれることが多いです
- サマエル(堕天使)やサタンの伴侶としても描かれることがあり、「悪魔の母」や「夜の女王」として知られています
- 2. 女性解放運動との関連
- 近代以降、リリスはフェミニズム運動において「自由」「独立」「平等」を象徴するアイコンとして再解釈されました
- 彼女の物語は男性支配への反抗や女性の自己決定権を象徴するものとして注目されています
文化的影響
- 1. 文学と芸術
- リリスは中世から現代まで、多くの文学作品や絵画で取り上げられています。
- ゲーテの『ファウスト』では誘惑者として登場
- ダンテ・ガブリエル・ロセッティによる詩『リリス』では、美しい誘惑者として描かれています
- 2. ファンタジー作品
- リリスはファンタジー作品やゲームにも頻繁に登場します
- たとえば、『真・女神転生』シリーズでは「夜魔」として登場し、誘惑や状態異常攻撃を得意とするキャラクターです
占星術におけるリリス
占星術では「ブラックムーン・リリス」として知られ、個人の無意識的な欲望や抑圧された感情を象徴します。
- 自由、独立心、本能的な欲求を表す天体として解釈されます
- 特定の星座やハウスに位置することで、その人が持つ深層心理や葛藤が読み取れるとされています
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最終更新:2025年01月11日 19:05