サマエル

サマエル


サマエル(Samael)は、ユダヤ教キリスト教の伝承に登場する堕天使です。
その名は「神の毒」や「神の悪意」を意味します。


サマエルの概要

サマエルは単なる悪魔ではなく、元々は神に仕える高位天使でした。
その堕天後も死と罰を司る重要な役割を持ち続けており、人類史や宗教的象徴において深い影響力を持つ存在です。その複雑な背景から、多様な解釈が可能なキャラクターと言えるでしょう。
名前の意味
  • サマエルはヘブライ語で「毒」を意味する「sam」と「神」を意味する「el」から成り、「神の毒」や「毒をもつ輝かしい者」と解釈されます
象徴
  • 彼は「赤い蛇」とも呼ばれ、エデンの園でアダムとイヴを誘惑した蛇と同一視されることがあります
天使としての役割
  • サマエルは元々熾天使(セラフィム)であり、天使階級の中でも最高位に属していました
  • 彼は死を司る天使として知られ、神の命令に従い魂を天国へ運ぶ役割を担っていました
  • しかし、預言者モーセの魂を奪う任務に失敗し、その際モーセに杖で打たれて盲目になったという伝承があります。この失敗と屈辱が原因で堕天したとされています
堕天後の姿と役割
  • サマエルは堕天後も「死の天使」として機能し、死者の罪を弾劾し刑罰を執行する存在となりました。慈悲を欠く厳格な性質が特徴です
  • 一部ではサタンルシファー)と同一視されることもあり、また火星や戦争に関連付けられる天使カマエルとも混同されることがあります
エデンの園との関係
  • サマエルはエデンの園でアダムとイヴを誘惑した蛇であるとされることが多く、この行為が人類に死と苦しみをもたらしたとされています
  • また「バルク黙示録」では、サマエルが楽園に葡萄の木を植え、それがアダムを堕落させる原因になったとされています
  • 葡萄酒が人間社会に悪影響を与えたという伝承もあります
象徴的な姿
  • サマエルはしばしば「翼のある大蛇」や「赤い蛇」として描かれます
  • また、十二枚の翼を持つという伝承もあります
  • その姿や性質は時代や文脈によって異なり、サタンや他の堕天使との境界が曖昧になることもあります
カバラとグノーシス主義における位置づけ
  • カバラでは、「ゾハール」において地獄の大君主として言及され、「毒と死」を象徴する存在です
  • グノーシス主義では「盲目の神」という別名で知られ、物質界を創造した偽りの神ヤルダバオートとも結び付けられています
文化的影響
  • サマエルはその多面的な性質から、多くの文学や宗教哲学、フィクション作品に影響を与えています
  • 彼は誘惑者、破壊者として描かれる一方で、死という不可避な現実を司る存在として畏怖されています

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最終更新:2025年01月12日 18:43