バビロニア神話
バビロニア神話は、古代メソポタミア地域(現在のイラク周辺)で発展した神話体系であり、シュメール神話を基盤にアッカド人やバビロニア人によって継承・発展されました。
この神話は、
天地創造や英雄叙事詩、洪水伝説など、多様な物語を含み、後世の宗教や文化に大きな影響を与えています。
概要
バビロニア神話は、多様な物語や豊かな象徴性を持つ古代メソポタミア文明の重要な文化遺産です。
天地創造や英雄叙事詩など、その内容は人類史上初期の宗教的・文学的表現として注目されるだけでなく、後世への影響も非常に大きいものとなっています。
バビロニア神話の特徴
- 1. 起源と発展
- バビロニア神話は、紀元前3千年頃のシュメール神話を起源とし、その後アッカド人、バビロニア人、アッシリア人によって引き継がれました
- 特にバビロン第一王朝時代(ハンムラビ王の治世)において、都市神マルドゥクが最高神として位置づけられ、バビロニア神話が確立しました
- 2. 多神教
- バビロニア神話は多神教であり、天空、大地、水、冥界などを司る多くの神々が登場します
- 各都市には守護神がおり、それぞれの地位や役割は時代や政治的背景によって変化しました
- 3. 文学的遺産
- 楔形文字で粘土板に記されたバビロニア神話は、人類最古の文学作品として知られる『ギルガメシュ叙事詩』や創世叙事詩『エヌマ・エリシュ』などを含みます
主要な神々と物語
- 1. 天地創造(『エヌマ・エリシュ』)
- 原初の海の神ティアマト(塩水)とアプスー(淡水)が結合し、最初の神々を生み出します
- 若い神々の騒ぎに怒ったティアマトは軍勢を率いて反乱を起こしますが、英雄マルドゥクが彼女を討ち取り、その身体から天と地を創造します
- この物語では、人間はティアマトの夫キングーの血から創造され、神々に奉仕する存在として描かれます
- 2. ギルガメシュ叙事詩
- ウルクの王ギルガメシュが永遠の命を求めて旅する物語で、人間の運命や死生観を描いた叙事詩です
- その中には洪水伝説も含まれており、『旧約聖書』のノアの洪水物語との類似性が指摘されています
- 3. 主要な神々
- マルドゥク: バビロンの守護神であり、ティアマトを倒して最高神となった英雄的存在
- エンリル: 風と嵐、大地を司る神で、シュメール時代から崇拝された最高位の神
- エンキ(エア): 知恵と地下水の神で、人間創造や技術伝授に関与
- イナンナ(イシュタル): 愛と戦争の女神で、美しさと情熱、再生を象徴する存在
- シャマシュ: 太陽と正義の神で、裁判や秩序を司る存在
文化的影響
- 1. 宗教的影響
- バビロニア神話は後世のユダヤ教やキリスト教など、一神教にも影響を与えたとされています
- 特に天地創造、大洪水、エデンの園など、多くの要素が類似しています
- 2. 文学的影響
- 『ギルガメシュ叙事詩』や『エヌマ・エリシュ』は、西洋文学や哲学にも大きな影響を与えました
- また、これらは現代でも研究対象として重要視されています
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最終更新:2025年01月12日 19:35