無間地獄(むけんじごく)
無間地獄(むけんじごく)は、
仏教における地獄の中で最も苛烈で恐ろしい場所とされる地獄であり「八大地獄」の最下層に位置します。
その名の通り、「間断なく苦しみが続く地獄」を意味し、罪人が絶え間なく激しい責め苦を受ける場所として描かれています。
概要
無間地獄は、仏教において最も恐ろしい罰が与えられる場所であり、その概念は人々への倫理的警告として重要な役割を果たしています。
また、その苛烈さや永続性は、人々に善行を促すだけでなく、文化的にも深い影響を与えてきました。
無間地獄の特徴
- 1. 位置と規模
- 無間地獄は「阿鼻地獄(あびじごく)」とも呼ばれ、八大地獄の最下層に存在します
- その大きさは縦・横・高さそれぞれが2万由旬(約8億キロメートル)とされ、他の地獄よりも圧倒的に広大です
- 2. 苦しみの内容
- 無間地獄では、炎による焼き尽くしや、鉄の釘で舌を打ち付けられるなど、想像を絶する苦痛が絶え間なく続きます
- 他の七つの地獄では一時的に苦しみが途切れる瞬間がありますが、無間地獄ではそのような休息は一切ありません
- 苦しみの激しさは、大焦熱地獄(七番目の地獄)の千倍とも言われています
- 3. 時間(刑期)
- 無間地獄に堕ちた者は「八万劫」という気が遠くなるほど長い期間苦しみ続けます。一劫は約4億3200万年とされており、その八万倍という計算になります
- この長さを比喩的に表現するため、「一由旬(約16キロメートル)の石を100年ごとに布で軽くなでて削り尽くすまでの時間」とも例えられます
堕ちる原因
無間地獄に堕ちる者は、仏教において「五逆罪」や「謗法罪」といった極めて重い罪を犯した者とされています。
- 1. 五逆罪
- 父親殺害
- 母親殺害
- 聖者(阿羅漢)殺害
- 仏身への傷害
- 僧団の和合を破壊する行為
- 2. 謗法罪
- 仏教や仏法を侮辱したり否定する行為も無間業(無間地獄へ堕ちる原因)とされます[1][6][7]。
象徴的な意味
- 1. 倫理的警告
- 無間地獄の概念は、人々が重大な罪を犯すことへの戒めとして機能しています
- 特に「五逆罪」のような行為がどれほど重い罰を伴うかを示すことで、仏教徒に道徳的な行動を促します
- 2. 文化への影響
- 無間地獄は仏教が広まった地域の文学や芸術にも影響を与え、「阿鼻叫喚」や「無限の苦痛」といった表現として日常語にも取り入れられています
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最終更新:2025年01月13日 08:06