マモン

マモン

マモン(Mammon)は、キリスト教における「七つの大罪」の一つである「強欲」を象徴する悪魔です。


概要

起源と語源
  • マモンの名前は古代アラム語の「マンモーン(mammon)」に由来し、「富」「財産」「不正な財」を意味します
  • 新約聖書では、「汝ら神とマモンに兼ね仕えることはできない」(『マタイによる福音書』6章24節、『ルカによる福音書』16章13節)という表現で、富への執着が批判されています
  • この「マモン」が後に擬人化され、悪魔としての存在が形成されました
1. 強欲の象徴
  • マモンは、物質的な富や金銭への執着を象徴する悪魔です
  • 彼は人間に「富」「権力」「名声」への欲望を植え付け、堕落させる存在とされています
  • 中世以降、彼は「拝金主義(mammonism)」の具現化として描かれるようになりました
2. 堕天使としての背景
  • マモンは元々天使でありながら、神よりも黄金や財宝を崇拝したため堕天したとされています
  • 堕天後もその性質は変わらず、地獄で財宝を掘り出し、それを用いて地獄の建築物を飾ったと伝えられています
  • ジョン・ミルトンの『失楽園』では、マモンは堕天使の中でも最も卑しい性格を持つ者として描かれています
3. 地獄での地位
  • マモンは地獄において東方を支配する王とされ、副将としてアスモデウスを従えるとも言われます
  • 一方で、中世の悪魔学では彼が最下位の階級に位置付けられることもあり、その地位については諸説あります
外見と描写
  • 伝統的には、マモンは袋を抱えた老人や、鳥の頭を持つ人間の姿などで描かれます
  • この鳥の頭というイメージはエジプト神話などから影響を受けた可能性があります
  • また、人間に採掘技術を教えたともされ、「富の館」に住む存在として描かれることもあります
創作や文化的影響
  • マモンは多くの文学作品や創作物で取り上げられています
  • 特に「七つの大罪」をテーマにした作品では、強欲を司るキャラクターとして頻繁に登場します
  • 現代社会でも、「マモニズム(mammonism)」という言葉が拝金主義を指す用語として使われており、その象徴的意味合いは広く浸透しています
関連する他の悪魔との混同
  • 名前が似ているアマイモン(Amaimon)やアモン(Amon)とは別個の存在ですが、一部ではこれらが同一視されることもあります
  • アマイモンは地獄の東方を支配する王ともされており、混同が生じやすい点です

マモンはキリスト教文化圏において、「強欲」という人間の弱点を象徴する悪魔です。その起源は聖書に記された「富」への警告から始まり、中世以降の悪魔学や文学作品によって具体的な人格や役割が付与されました。現代でも拝金主義や物質主義への批判として、その名前が用いられています。

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最終更新:2025年01月14日 18:31