属性過多
属性過多のキャラクターとは、非常に多くの特徴や設定を持ち、それが過剰なまでに盛り込まれているキャラクターを指します。
特徴
属性過多キャラクターの特徴
- 1. 多様な性格要素の混在
- 2. 設定の盛り込みすぎ
- 職業や能力、背景設定が多すぎてキャラクターの方向性が曖昧になることがあります (→黒人の獣医)
- 例: 貴族出身で殺人鬼かつ吸血鬼でありながらアイドル活動もしているなど、一人で多数の役割を担う
- 3. ギャップや矛盾を楽しむ設計
- 外見や第一印象と内面・行動とのギャップが大きい場合も多いです
- これにより読者や視聴者に驚きや意外性を与えることが狙いです
- 例: 高貴なお嬢様だが実はズボラで家事能力ゼロ、といった設定
- 4. 長期シリーズでの属性追加
- 長期連載やシリーズ化された作品では、物語が進むにつれて新たな設定が追加され、結果的に属性過多になることがあります
- 5. 視覚的・記号的な特徴
- 見た目にも複数の特徴(オッドアイ、獣耳、特殊な服装など)が盛り込まれることが多いです
- 例: 褐色肌で八重歯を持ち、さらに尻尾と翼がある、といった外見的な要素
- 6. 読者への影響
- 属性過多はキャラクターを魅力的にする一方で、その統一感が薄れると「キャラが渋滞している」と感じられることもあります
- ただし、多面的な魅力として受け取られる場合もあり、好み次第では非常に支持されることもあります
- 7. ネタキャラとしての扱い
- 「奈良県怪光線お釈迦スケバン 阿修羅寺あす香」のように、意外な組み合わせの属性過多キャラはネタとして語り継がれることがあります
注意点と魅力
- 属性過多は時にキャラクター性を曖昧にし、ストーリー上で扱いづらくなるリスクがあります (→黒人の獣医)
- しかし、それがうまく調和すれば、多面的な魅力を持つ個性的なキャラクターとして成立します
- 例として挙げられるキャラクターは、「ツンデレ+ドジっ子+ヤンデレ」などの性格要素と「吸血鬼+貴族+アイドル」といった設定要素を兼ね備えたものです
このように、属性過多キャラクターは設定や性格要素を盛り込みすぎた結果として生まれるものですが、それ自体が作品やキャラクターの個性として機能する場合もあります。
- 「黒人の獣医」の意味
- 「黒人の獣医(Black Vet)」は、ブレイク・スナイダーが著書『SAVE THE CATの法則』で紹介した脚本術の一つです
- この法則は、キャラクターや設定に過剰な要素を詰め込みすぎることを避けるべきだという教訓を伝えるものです
- この名前は、1970年代の『サタデー・ナイト・ライブ』のパロディスキットから取られました
- このスキットでは、主人公が「黒人であり、獣医であり、元軍人でもある」という設定を持ち、それが過剰であることを風刺的に描いています
- 「属性過多」との関連性
- 「属性過多」とは、キャラクターやストーリーにあまりにも多くの特徴や設定を盛り込みすぎることで、焦点がぼやけたり観客が混乱したりする状態を指します
- 「黒人の獣医」という法則は、この「属性過多」を具体的に示した例といえます
- たとえば「黒人の獣医」というキャラクターにさらに「余命3ヶ月」「二重人格」「天才的なチェスプレイヤー」などの設定を加えると、キャラクターが複雑になりすぎてストーリー全体が散漫になる危険性があります
- 教訓
- この法則が伝えたいポイントは以下の通りです:
- ・シンプルさを重視する
- キャラクターやストーリー設定は、観客が理解しやすく共感できる程度に留めるべき
- ・焦点を明確にする
- 過剰な設定はストーリーの主題やテーマをぼやけさせる可能性があるため、必要最低限に絞ることが重要
- ・観客への配慮
- 情報量が多すぎると観客がどこに注目すべきか分からず、物語への没入感が損なわれる
「黒人の獣医」という法則は、「属性過多」を避けるための具体例として機能しています。
キャラクターやストーリーに盛り込む要素は慎重に選び、シンプルで分かりやすい構成を目指すことが重要だとしています。この考え方は、脚本だけでなく、小説や漫画など他の物語作りにも応用可能です。
作品例
桐須真冬『ぼくたちは勉強ができない』
桐須真冬は、漫画『ぼくたちは勉強ができない』に登場するキャラクターで、「属性過多」として知られる典型的なキャラクターです。
- 1. 外見と性格のギャップ
- 冷徹でクールな印象を与える美人教師 (→クーデレ)
- 二字熟語(例:「怠慢」「論外」)を多用し、威圧的な雰囲気を持つ (→熟語口調)
- 一方で、私生活ではズボラでポンコツ (→ポンコツキャラ)
- 汚部屋の住人であり、家事能力が壊滅的 (→家事能力ゼロ)
- 2. ドジっ子属性
- 転んで本の山に埋もれる、水の入ったバケツを頭からかぶるなど、コミカルな失敗が多い
- 3. 巻き込まれ体質
- 偶然や不運によって様々な災難に遭遇する (→不幸体質)
- 例えば、海ではビキニが流されトップレスになるなど (→堅物ハレンチ)
- 4. 多彩なコスプレ
- メイド服、高校の制服、スクール水着、魔法少女など、多くの衣装を披露する展開がある
- 5. 元フィギュアスケート選手
- 過去にはフィギュアスケートの有力選手だったが挫折
- その経験から生徒に厳しい教育方針を取る一方で、自身の未熟さに苦悩する姿も描かれる
- 6. お酒と車に関するギャップ
- 極端な下戸で、一口飲むだけで酔いつぶれて性格が変わる (→下戸, 酒癖が悪い)
- 車を運転すると人格が豹変し、法定速度を無視して飛ばしまくる (→スピード狂)
- 7. 恋愛と人間関係
- 男性経験皆無で恋愛には不器用
- 主人公・成幸との関係では、大人として振る舞おうとしつつも、時折見せる弱さやデレた姿が読者に人気
桐須真冬は、クールビューティーとしての外見や教師としての厳格さと、私生活でのズボラさや
ドジっ子ぶりという
ギャップが魅力的な「属性てんこ盛り」キャラクターです。
その多面的な要素と
ギャップ萌えによって、多くの読者から支持されています。
阿修羅寺あす香『神緒ゆいは髪を結い』
阿修羅寺あす香は、漫画『神緒ゆいは髪を結い』に登場するキャラクターで、「奈良県怪光線お釈迦スケバン」という異名を持つ、非常に個性的な属性過多のキャラクターです。
- 1. 異名と背景
- 「奈良県怪光線お釈迦スケバン」という強烈な異名を持つ
- 仏教的なモチーフ(「お釈迦」)とスケバン(不良少女)の要素が組み合わさった設定で、名前からしてインパクトが強い
- 2. 性格と行動
- スケバンらしい強気で堂々とした性格を持ちながらも、仏教的テーマが背景にあるため、どこか哲学的・精神的な深みを感じさせる
- バトルシーンでも活躍し、その存在感を発揮している
- 3. 外見と雰囲気
- 黒髪ロングのスタイルで、スケバンらしい服装や雰囲気が特徴
- 外見からも独特のオーラを放ち、他のキャラクターとは一線を画している
- 4. ユーモアとセンス
- 設定やキャラクター性が非常にユニークであり、一つ一つの要素が強烈すぎて「頭に入ってこない」と評されるほど属性が多い
- 読者からはそのセンスや面白さが高く評価されている
阿修羅寺あす香は、仏教的要素とスケバンという対極的な
テーマを融合させた、極めて個性的なキャラクターです。
その属性の多さと強烈な設定によって、作品内でも際立った存在感を放っています。
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最終更新:2025年02月08日 19:33