吸血鬼 (ヴァンパイア)
吸血鬼 (ヴァンパイア) は、人間や動物の血を栄養源とし、耽美な容貌を持った不死の存在として老化せず永遠に生き続ける能力を持っているキャラクターです。
なお、ヒトと吸血鬼の混血は
ダンピール (ヴァンパイア
ハーフ) と呼ばれます。
関連用語
吸血鬼の特徴
- 1. 不死性
- 吸血鬼は不死の存在として描かれることが多く、老化せず永遠に生き続ける能力を持っています (→不老不死)
- 2. 血を吸う
- 人間や動物の血を栄養源とし、生き延びるために血を吸う行為が特徴的です。これによって他者を吸血鬼に変えることもあります
- 3. 変身能力
- 吸血鬼はコウモリや狼、霧など様々な姿に変身する能力を持つとされ、これを利用して移動や逃避を行います
- 4. 日光への弱さ
- 多くの物語で、吸血鬼は日光に弱く、日中は墓地や洞窟など暗い場所に隠れる必要があります。日光を浴びると灰になるという設定もよく見られます
- 5. 鏡に映らない
- 鏡や水面に姿が映らないという特徴があり、これは彼らが魂を持たない存在であることを示唆しています
- 6. 魅惑的な外見
- 現代のフィクションでは、多くの吸血鬼が人間を惹きつける美しい容姿を持つとされています
物語における役割
- 1. 恐怖の象徴
- 吸血鬼は、死と不死の恐怖を象徴する存在としてホラー文学や映画で頻繁に取り上げられます
- 彼らの不死性や血を吸う行為は、人間の根源的な恐怖を喚起します
- 2. エロティシズム
- 吸血鬼はしばしばエロティックな存在として描かれ、その魅力と恐怖の二面性が強調されます
- 血を吸う行為は、性的な象徴としても解釈されることが多く、物語において禁断の愛や欲望を表現する手段となります
- 3. 社会的メタファー
- 吸血鬼は社会的なメタファーとしても用いられ、貴族や権力者による搾取を象徴する存在として描かれることがあります
- 彼らの不死性と力は、権力者が持つ永続的な影響力を表すことがあります
- 4. 複雑なキャラクター
- 多くの作品では、吸血鬼は単なる悪役ではなく、内面的な葛藤や複雑な感情を持つキャラクターとして描かれます
- これにより、彼らは反英雄や悲劇的な人物として物語に深みを加えます
エリザベート・バートリーは、歴史上の有名な「女吸血鬼」として知られています。彼女は1560年にハンガリーの名門バートリ家に生まれ、美しさを保つために若い女性の血を浴びたとされる連続殺人者です。
伝説によれば、彼女は700人もの娘を誘い込み、その血で入浴したとされています。
エリザベートの物語は、以下のような側面があります。
- 残虐性
- 彼女が行ったとされる行為は、女性の血を求める吸血鬼的な特性から「女吸血鬼」としてのイメージを強化しました
- 冤罪説
- 近年では、彼女が政治的陰謀や中傷によって濡れ衣を着せられた可能性が高いとする見解もあります
- 彼女は慈善事業を行っていたため、領民からの支持もあり、財産目当てで嘘の噂が広まったとも言われています
エリザベート・バートリーの伝説は、文学や映画など多くの創作作品に影響を与えています。彼女は「カーミラ」や「ドラキュラ」にも影響を及ぼし、吸血鬼キャラクターのモデルとして扱われることがあります。また、近代のフィクションでは、彼女を基にしたキャラクターが登場することも多く、その
神秘的かつ恐ろしいイメージが受け継がれています。
作品例
『吸血鬼すぐ死ぬ』
『吸血鬼すぐ死ぬ』における吸血鬼の特徴は、一般的な吸血鬼の伝承をベースにしつつ、ギャグ漫画としてユニークにデフォルメされています。
- 1. ドラルクの特徴(主人公吸血鬼)
- ・虚弱体質
- 主人公のドラルクは「真祖」かつ「無敵」とされながら、驚いただけで塵になって死ぬほど虚弱 (→ポンコツ悪役)
- 物理的ダメージや精神的ショックでもすぐに死んでしまう
- ・不死性
- 吸血鬼としての不死性を持ち、塵になってもすぐに復活可能
- これがギャグ展開の核となっている
- ・変身能力
- 一応持っているが、失敗することが多く、目的から外れた姿になる
- ・家事スキル
- 料理や掃除など家事全般が得意で、人間社会での生活能力が高い
- ・享楽主義
- 2. 吸血鬼全般の特徴
- ・基本的な吸血鬼特性
- 不老不死であり、肉体が損壊しても再生可能
- 日光や十字架、銀弾などが弱点
- 鏡やカメラに映りにくい(ただし作中では例外もある)
- 血液を摂取することで生きているが、人間以外の血でも代用可能
- ・ギャグ要素
- 多くの吸血鬼が個性的でコミカルな性格(例: 「吸血ニンニク」「露出狂吸血鬼」など)
- 長寿ゆえに性格が崩壊している者も多く、変態的な行動を取る者もいる
- タンバリンの音に引き寄せられるなど、妙な習性を持つ
- 3. ユニークな設定
- ・再生能力
- 死んでも灰になり、寄り集まることで元通りになる。この特性がギャグ展開を支える重要な要素
- ・催眠術や変身能力
- 一部の吸血鬼はこれらを使えるが、ドラルクは苦手。また、催眠術は珍しい能力とされている
- ・人間との関係
- 人間社会と共存する吸血鬼も多く、人類文明の保全を重視する一族も存在する
- 一部の吸血鬼は退治人(バンパイアハンター)と協力して他の吸血鬼を退治する
- 4. コミカルな弱点
- 衣類や所有物への執着が強く、それらを奪われると衰弱することもある
- 血液専門店や吸血鬼用レストランなど、人間社会に適応した生活スタイルも描かれる
『吸血鬼すぐ死ぬ』では、これらの特徴を通じて吸血鬼像をユーモラスかつ親しみやすいものとして描いています。特にドラルクの虚弱さと不死性というギャップが物語全体の笑いどころとなっています。
白神葉子『実は私は』
『実は私は』における吸血鬼の特徴は、メインヒロインである白神葉子を通じて描かれています。以下にその特徴をまとめます。
- 1. 吸血鬼としての基本的な特徴
- ・牙と羽
- 吸血鬼である白神葉子は、牙とコウモリのような羽を持っています
- ただし、これらは普段隠しており、正体がバレないようにしています
- ・不老不死ではない
- 一般的な吸血鬼像とは異なり、不老不死や超人的な力は特に強調されていません
- むしろ、普通の人間に近い存在として描かれています
- ・食事
- 血を吸う描写はほとんどなく、食事に関しては人間と同じものを摂取しています
- 葉子は特に食べ物に目がなく「食いしん坊」として描かれることが多いです。
- 2. ハーフ吸血鬼としての設定
- 白神葉子は吸血鬼の父親と人間の母親を持つハーフです
- このため、完全な吸血鬼ではなく、人間らしい感情や生活習慣を持っています
- 吸血鬼としての能力や弱点が制限されており、人間社会で普通に生活することが可能です
- 3. 正体を隠すための努力
- 葉子は「吸血鬼であることがバレたら退学」という父親との約束を守るため、学校では必要最低限しか話さず、他人と深く関わらないようにしています
- 笑ったり喋ったりすると牙が見えてしまうため、クールで無口なキャラクターを装っています
- しかし、実際には陽気でフランクな性格であり、素では関西弁を話します
- 4. コミカルな要素
- 『実は私は』はギャグ要素が強い作品であり、吸血鬼としての葉子もコミカルに描かれています。
- 例えば、「クールビューティー」を自称する一方で、食べ物への執着や抜けた行動が目立ちます
- 周囲から「くーるびゅーてぃー(笑)」と茶化されることもあります
- 5. 人間との共存テーマ
- 葉子の存在は、人間と吸血鬼(あるいは人外)の共存というテーマを象徴しています
- 彼女自身がハーフであることから、人間社会で普通に生活しようと努力しており、その姿勢が物語全体の基盤となっています
- 6. 家族との関係
- 父親である白神源二郎も吸血鬼ですが、人間社会との関わりには否定的です
- 一方で葉子は、人間との共存を目指して学校生活を送っています。この対比が物語の中で重要なテーマとなっています
実は私は』における吸血鬼像は、一般的なホラーやファンタジー作品とは異なり、コミカルかつ日常的な要素が強調されています。白神葉子は「秘密を隠す」という設定から生まれるギャグやラブコメ展開の中心となりながらも、人間と異なる存在としての葛藤や成長も描かれる魅力的なキャラクターです。
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最終更新:2025年01月18日 14:13