追放もの
追放ものの物語は、主人公が現在の所属(例えばパーティ、組織、国、地位)から何らかの理由で追放されることから始まる物語の類型です。
このジャンルは、特に「小説家になろう」などのWeb小説サイトで人気を集めており、古典的な物語形式でもあります。
追放ものの概要
追放の理由
主人公が追放される理由は多岐にわたります。例えば:
- 無能と判断された
- 大器晩成型であり、成長途上で評価を下されてしまった
- 能力が環境と噛み合わなかった
- 呪いや病気を持っている
- 性格に問題がある
- 純粋に能力が低い
これらの理由により、主人公は所属していた組織や社会から追放されます。
物語の展開
追放された後の主人公の行動も様々です:
- 個人で活動する
- 新たな場所に属する
- 追放に反発し、復讐を試みる
また、「もう遅い系」や「ざまぁ系」と呼ばれるサブジャンルでは、主人公を追放した側が後悔する展開が描かれることがあります。これは、主人公が成功を収めることで、元の組織や仲間が自業自得で落ちぶれていくというストーリーです。
追放ものは「
悪役令嬢もの」とも関連しています。悪役令嬢ものでは、破滅的な未来を避けるために奮闘するという物語が一般的ですが、その派生として「破滅を受け入れて第二の人生を歩む」という展開もあります。これも追放系と呼ばれ、
異世界転生ものと似た展開になることがあります。
追放ものと
復讐劇にはいくつかの関連性がありますが、必ずしも同一のジャンルではありません。以下にその関連性を説明します。
- 1. 出発点としての追放
- 追放ものは、主人公が組織や社会から不当に追放されることから始まります
- この状況が復讐劇の出発点になることがあります
- 主人公が追放された理由が誤解や陰謀によるものである場合、復讐心を抱く動機となり得ます
- 2. 復讐の要素
- 追放ものの中には、主人公が追放した者たちに対して復讐を果たす展開を含むものがあります
- これは、主人公が自らを不当に扱った人々に対して直接的または間接的に報復するという形で表現されます
- ただし、必ずしも全ての追放ものが復讐をテーマにしているわけではなく、主人公が新しい人生を歩む過程で自然と元の組織が没落する「ざまぁ系」も存在します
- 3. 物語の焦点
- 復讐劇は復讐そのものが物語の中心であり、主人公が積極的に敵対者を陥れることに焦点を当てます
- 一方で、追放ものは主人公の成長物語や新たな環境での成功に焦点が当てられることが多く、復讐はその一部として描かれることがあります
- 4. 読者への訴求
- どちらのジャンルも、理不尽な状況から立ち上がる主人公に対する共感やカタルシスを提供します
- 特に「ざまぁ系」では、主人公が直接手を下さなくても元の組織や人物が自滅する展開が多く見られ、これが読者にとって勧善懲悪的な満足感を与えることがあります
このように、追放ものはその状況設定から復讐劇と関連する要素を持つことがありますが、それ自体は独立したストーリーパターンとして多様な展開を見せることがあります。
作品例
勇者パーティを追い出された器用貧乏 ~パーティ事情で付与術士をやっていた剣士、万能へと至る~
「勇者パーティを追い出された器用貧乏 ~パーティ事情で付与術士をやっていた剣士、万能へと至る~」は、追放ものの典型的なストーリーを持つ作品です。以下にその概要を説明します。
- 主人公と追放の経緯
- 主人公のオルンは、勇者パーティに所属していましたが、「実力不足」とされてリーダーから追放されます
- 仲間たちから「器用貧乏」と罵倒され、全てが平均的で突出した能力がないと評価されました
- 物語の展開
- オルンは失意の中でソロ活動を開始しますが、その胸には「万能者」になるという野心が秘められています
- 彼は過去に付与術士として培った知識や技術を活かし、剣士として再び成長していきます
- 追放後、オルンは自らの力を磨き続け、常識外れの強さを持つ剣士へと成長します
この物語は、追放された主人公が自らの能力を再評価し、新たな道で成功を収めるという成長譚です。追放もの特有の「ざまぁ系」要素も含まれ、元のパーティがオルンの真価に気づく展開も描かれています。
信じていた仲間達にダンジョン奥地で殺されかけたがギフト『無限ガチャ』でレベル9999の仲間達を手に入れて元パーティーメンバーと世界に復讐&『ざまぁ!』します!
「信じていた仲間達に
ダンジョン奥地で殺されかけたがギフト『無限ガチャ』でレベル9999の仲間達を手に入れて元パーティーメンバーと世界に復讐&『ざまぁ!』します!」は、追放ものと
復讐劇の要素を兼ね備えた作品です。以下にその概要を説明します。
- 主人公と追放の経緯
- 主人公のライトは、「種族の集い」というパーティーの一員として活動していました。このパーティーは、差別をなくすために様々な種族が集まったものでしたが、実際には裏の目的がありました
- ライトは「ますたー」と呼ばれる存在を探すために利用されており、最終的には役立たずと判断され、ダンジョンで殺されかけます。
- 物語の展開
- ダンジョンで命を狙われたライトは、偶然にも「転移陣」によってダンジョンの最下層に飛ばされ、命拾いします。
- そこで彼はギフト「無限ガチャ」を使い、運良くレベル9999の強力な仲間「メイ」を手に入れます。メイの助けで危機を脱したライトは、生き延びることができました。
- ライトは、自分を裏切った元仲間たちや、それに関わる国家に対する復讐を決意します。彼はダンジョン内で力を蓄え、信頼できる仲間を集めていきます。
- 復讐と成長
- 約3年後、ライトは地上の全戦力や国家と対抗できるほどの力を手に入れます。彼はダンジョン内に最強国家を築き上げ、復讐の準備を整えます。
- ライトは元仲間たちへの復讐と、自身が殺されかけた真実を知るため、再び地上へと進出し始めます。
この作品は、追放された主人公が圧倒的な力を得て復讐するというストーリーであり、「ざまぁ系」の要素も含まれています。主人公が成長しながら復讐を果たす過程が描かれており、読者に
カタルシスを提供する物語となっています。
関連ページ
最終更新:2025年01月31日 12:47