黄金律
黄金律(おうごんりつ、Golden Rule)とは「人にしてもらいたいと思うことを、人にもそのようにしなさい」という倫理的な教えです。
この教えは、
イエス・キリストが「山上の垂訓」で説いたもので、マタイによる福音書7章12節やルカによる福音書6章31節に記されています。黄金律は、他者との関係において、自分が望むように他者を扱うことを求めるものであり、
キリスト教だけでなく、多くの宗教や哲学で見られる普遍的な倫理原則です。
黄金律の概要
黄金律は、人間関係や社会全体で平和と調和を生み出すための基本的な倫理原則です。
自分が望むように他者を扱うことで、互いに尊重し合い、公平で思いやりのある社会を築くための指針となります。
- 教えの内容と意味
- 黄金律は、単なる「他人に害を与えない」という消極的なルールではなく、積極的に他者に善行を施すことを奨励しています
- 自分がどのように扱われたいかを基準にして、他者にも同じように接することが求められます
- これは、他者への共感や思いやりを基盤とした倫理的な行動指針です
- 普遍性
- 黄金律はキリスト教だけでなく、ユダヤ教、イスラム教、ヒンドゥー教など多くの宗教や哲学でも類似の形で見られます
- たとえば、ユダヤ教では「あなたにとって好ましくないことを隣人に対してするな」という言葉があり、孔子の『論語』にも「己の欲せざるところ、他に施すことなかれ」という教えがあります
「人にしてもらいたいと思うことを、人にもそのようにしなさい」という黄金律は、
キリスト教だけでなく、さまざまな宗教や哲学においても類似の教えが見られます。
- 1. ユダヤ教
- 「自分にとって嫌なことを、他人にしてはならない。これがトーラー(律法)のすべてであり、残りはその解説に過ぎない。」
- — タルムード, シャバット 31a
- 2. イスラム教
- 「自分が望むことを他者にも望み、嫌うことを他者にも嫌いなさい。」
- — ハディース(アナス・イブン・マリク伝)
- 3. 仏教
- 「自分にとって苦痛となることを他者にしてはならない。」
- — ウダーナヴァルガ 5:18
- 4. 儒教
- 「自分が望まないことを他人にしてはならない。」
- — 論語, XV.24
- 5. ヒンドゥー教
- 「すべての真の正義の要約はこれである。自分がされたいと思うように他者を扱い、自分がされて嫌なことを他者にはしないこと。」
- — マハーバーラタ, XIII:113
- 6. ゾロアスター教
- 「自分にとって不快なことを他者にしてはならない。」
- — シャヤスト・ナ・シャヤスト 13:29
- 7. 道教
- 「隣人の利益を自分の利益とし、隣人の損失を自分の損失とするようにしなさい。」
- — 太上感応篇
- 8. バハイ教
- 「あなたが他者にされたいと思わないことを、誰にもしてはならない。」
- — バハオラ, 隠された言葉
- 9. 古代ローマ(ストア派)
- 「あなたの下位者を、あなたが上位者から扱われたいように扱いなさい。」
- — セネカ, エピストレ47:11
- 10. アフリカ伝統文化(ヨルバ族)
- 「小鳥をつつくために尖った棒を使う前に、その痛みを自分で試してみなさい。」
- — ヨルバ族の諺(ナイジェリア)
黄金律は、多くの宗教や文化で共通する倫理的原則であり、他者への思いやりや共感を促進するものです。この原則は、人間関係や社会全体で平和と調和を生み出すための基本的な指針として広く受け入れられています。
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最終更新:2024年11月16日 01:49