2013/12/22のイベント(まとめページ未作成)の後日談にあたる内容です。
<見てしまった少年>
五人の子どもたちがいた。
どこにでもいる、ごく普通の子どもたちだ。
どこにでもいる、ごく普通の子どもたちだ。
その夜、彼らは見た。
少々オブジェが悪趣味なだけの普通の公園で、激しい戦闘が繰り広げられたことを。
少々オブジェが悪趣味なだけの普通の公園で、激しい戦闘が繰り広げられたことを。
その夜、彼らは見た。
矢が、銃弾が、魔法が飛び交うのを。
矢が、銃弾が、魔法が飛び交うのを。
その夜、彼らは見た。
自分たちのすぐ横に銃を持った男が立ち、狙撃を行っていたことを。
自分たちのすぐ横に銃を持った男が立ち、狙撃を行っていたことを。
ニット帽の少年が戦闘開始後まもなく瀕死の重傷を負わされたことも、
丸っこい竜が触手使いの男に軽々と投げ飛ばされて戦場に現れたことも、
怪しげな男が胃を痛めながらも謎の力で悪趣味オブジェを放出していたことも、
巨乳の女性がすさまじい威力の魔法を自在に操っていたのも、
丸っこい竜が触手使いの男に軽々と投げ飛ばされて戦場に現れたことも、
怪しげな男が胃を痛めながらも謎の力で悪趣味オブジェを放出していたことも、
巨乳の女性がすさまじい威力の魔法を自在に操っていたのも、
全て、彼らは見ていたのだ。
トリエルドの外れ、シャーサープ地方との境のあたりに、一軒の小学校があった。
終業式も間近なので、教師たちは忙しい。
一方で子どもたちは、終業式までの最後の数日間、授業が半日になることを喜んでいる。
子どもたちは学校が嫌いなわけではないのだが、それでもなるべく長い間、自由でいたいのだ。
一方で子どもたちは、終業式までの最後の数日間、授業が半日になることを喜んでいる。
子どもたちは学校が嫌いなわけではないのだが、それでもなるべく長い間、自由でいたいのだ。
そんな小学校の子どもたちは、放課後の遊びの約束やら、この後訪れる冬休みの予定やらを話していた。
ある一組の少年少女を除いて。
ある一組の少年少女を除いて。
「誠人」
茶色がかったツインテールの少女が、誠人と呼ばれた、大して目立った特徴もない黒髪の少年を呼ぶ。
茶色がかったツインテールの少女が、誠人と呼ばれた、大して目立った特徴もない黒髪の少年を呼ぶ。
「綾ちゃん。 どうしたの」
「どうしたのは私の言うことよ。 あれから、ぼーっとしちゃって……」
「ぼーっともするよ」
「そりゃ、あんなもの見ちゃったらね……」
「どうしたのは私の言うことよ。 あれから、ぼーっとしちゃって……」
「ぼーっともするよ」
「そりゃ、あんなもの見ちゃったらね……」
誠人と綾はあの夜、公園の戦いを見届けた五人の子どものうちの二人だった。
そもそもの始まりは、誠人の友達である裕司の提案だった。
裕司はなぜだか運が悪く、いつも損ばかりしているが、その割には妙な好奇心と度胸を持っていた。
そんな裕司は数日前『今年最後の思い出に、みんなで冒険しよう』と、誠人たちに持ちかけてきたのだった。
そんな裕司は数日前『今年最後の思い出に、みんなで冒険しよう』と、誠人たちに持ちかけてきたのだった。
トリエルドとその周辺は昨年の暮れを境に、安全な地域ではなくなりつつあった。
謎の凶暴化ウィルスの発生を境に、ブライトデリーターズの侵略、均衡維持軍・解放戦線の台頭、
そしてあらゆる物質を侵食する『花』の出現といった事態が立て続けに起こったのだ。
こうした事態が一般市民、特に子どもを持つ親たちを怖がらせないわけがなかった。
中には子どもの外遊びを制限したり、トリエルドから引っ越してしまう家庭もあった。
謎の凶暴化ウィルスの発生を境に、ブライトデリーターズの侵略、均衡維持軍・解放戦線の台頭、
そしてあらゆる物質を侵食する『花』の出現といった事態が立て続けに起こったのだ。
こうした事態が一般市民、特に子どもを持つ親たちを怖がらせないわけがなかった。
中には子どもの外遊びを制限したり、トリエルドから引っ越してしまう家庭もあった。
そうした状況の中で、抑圧されていたのもあるのだろう。
誠人と綾、そして友達のやせた少年慎吾と、同じく友達である太めの少年謙治は、割とすんなり裕司の提案に乗った。
誠人と綾、そして友達のやせた少年慎吾と、同じく友達である太めの少年謙治は、割とすんなり裕司の提案に乗った。
『遠くへ行きたいけど危ないから近場にしよう』
『夜中なら、近場でも十分冒険っぽくなりそう』
『おやつは300メテまでと言わず、ぜいたくに持っていこう』
そんな話し合いが数日間、(大人にばれないよう)主に目立たない場所でなされた後、五人の小冒険は決行された。
『夜中なら、近場でも十分冒険っぽくなりそう』
『おやつは300メテまでと言わず、ぜいたくに持っていこう』
そんな話し合いが数日間、(大人にばれないよう)主に目立たない場所でなされた後、五人の小冒険は決行された。
冒険の日の夜。
誠人たちはまず最初の関門を越えなくてはならなかった。 家族に気づかれずに家を出ないといけない。
ある者は布団にクッションを入れて自分が寝ていると偽り、またある者は運よく親が寝ていたので何もせずに出てこれた。
誠人たちはまず最初の関門を越えなくてはならなかった。 家族に気づかれずに家を出ないといけない。
ある者は布団にクッションを入れて自分が寝ていると偽り、またある者は運よく親が寝ていたので何もせずに出てこれた。
目的地はトリエルドの公園となっていた。
五人は人の気配をあちこちから感じたが、臆せず進み、茂みに隠れた。
五人は人の気配をあちこちから感じたが、臆せず進み、茂みに隠れた。
そして、彼らがそこで何を見たかは、初めに書いた通りである。
あの日から誠人がおかしい。
誠人以外で冒険に参加したメンバーは、全員がそう考えていた。
誠人以外で冒険に参加したメンバーは、全員がそう考えていた。
ちょっと冒険に出たつもりが本物の殺し合いを見てしまったのだから仕方ない、とは皆思っていた。
しかし、それでも何かがおかしい。
しかし、それでも何かがおかしい。
皆には、誠人がまるで何かにとりつかれているように見えたのだ。
この日、学校で五人はたまたま集まっていた。
以前ならこのままたわいもない話を始めたり、ふざけあったりしていただろう。
しかし今は違った。 どことなく、ぎこちない雰囲気が漂っている。
以前ならこのままたわいもない話を始めたり、ふざけあったりしていただろう。
しかし今は違った。 どことなく、ぎこちない雰囲気が漂っている。
そんな中、裕司が口を開いた。
「誠人……やっぱり、最近の誠人、おかしいよ」
「誠人……やっぱり、最近の誠人、おかしいよ」
誠人は返事をしない。
「誠人、思ってること正直に話してよ。
僕ら、友達でしょ? 相談に乗るよ…… だから……」
謙治も声をかける。
僕ら、友達でしょ? 相談に乗るよ…… だから……」
謙治も声をかける。
誠人は、言われた通り正直に、自分が感じたことを話し始めた。
「……あの時、戦いが続いてる間は、怖いとしか思わなかったんだ。
死んじゃうかもしれないって思ってた。
死んじゃうかもしれないって思ってた。
でもあれから、家に帰ってから…… 何だかこう、変なんだ」
「……変、って?」
綾が尋ねる。
綾が尋ねる。
「…… もう一度、あの戦いを見てみたい。
戦いをしていたあの人たちに会ってみたいって、思ったんだ」
戦いをしていたあの人たちに会ってみたいって、思ったんだ」
「……!!」
誠人以外の全員が、驚いて目を見開く。
誠人以外の全員が、驚いて目を見開く。
「ま、誠人っ! 頭でもおかしくなっちゃったんじゃないの!?
あんなのまた見てみたいだなんて!」
「マンガやゲームじゃないんだぞ! ほ、本当の殺し合いなんだぞ!?」
謙治と慎吾がヒステリックに叫ぶ。
あんなのまた見てみたいだなんて!」
「マンガやゲームじゃないんだぞ! ほ、本当の殺し合いなんだぞ!?」
謙治と慎吾がヒステリックに叫ぶ。
「わかってる! わかってるってば……
だけど、どうしても気になってしょうがないんだ!!」
だけど、どうしても気になってしょうがないんだ!!」
「どうしたのかな?」
そこへ声をかけた大人がいた。 教師のようだ。
そこへ声をかけた大人がいた。 教師のようだ。
誠人はその教師に気づいて振り向く。
「……浅木先生」
「……浅木先生」
浅木俊介(あさぎ しゅんすけ)はこの冬からやってきた新任の男性教師だった。
彼は情報の授業を担当し、子ども達にコンピュータやインターネットの使い方を教えている。
浅木はまだ若いが、洞察力と観察力に優れ、子どもとの付き合いにも慣れた男だった。
そんな彼は、出会って間もない誠人の異変に気づいていたのだ。
彼は情報の授業を担当し、子ども達にコンピュータやインターネットの使い方を教えている。
浅木はまだ若いが、洞察力と観察力に優れ、子どもとの付き合いにも慣れた男だった。
そんな彼は、出会って間もない誠人の異変に気づいていたのだ。
浅木は、放課後に誠人たちとパソコンルームで会う約束をした。
パソコンルームは浅木が管理しているし、学期末ということでクラブ活動に使われることもない。
それゆえ、誠人たちの『秘密の話』を聞くには良い場所だった。
パソコンルームは浅木が管理しているし、学期末ということでクラブ活動に使われることもない。
それゆえ、誠人たちの『秘密の話』を聞くには良い場所だった。
少し緊張しながらパソコンルームに入ってきた誠人たちを、浅木はなだめる。
『絶対に誰にも言わない』と約束した上で、浅木は誠人たちの話を聞いた。
『絶対に誰にも言わない』と約束した上で、浅木は誠人たちの話を聞いた。
誠人たちは、あの夜のことを一通り浅木に話した。
「なるほど…… そういうことをしていたんだな」
「ごっ、ごめんなさい、危ないことをして」
慎吾が慌てて言う。
「ごっ、ごめんなさい、危ないことをして」
慎吾が慌てて言う。
「本当にな。
今後は夜中に出歩くのは絶ッ対にダメだぞ。 戦いのことがなくてもだ。
ただでさえ、良からぬことを考えているヤツが多いんだから」
浅木は毅然とした態度で、五人を叱った。
今後は夜中に出歩くのは絶ッ対にダメだぞ。 戦いのことがなくてもだ。
ただでさえ、良からぬことを考えているヤツが多いんだから」
浅木は毅然とした態度で、五人を叱った。
「……もうしません」
謙治は心からの言葉を発して頭を下げた。
あとの四人も声こそ出さなかったものの、彼と同じ気持ちでいた。
謙治は心からの言葉を発して頭を下げた。
あとの四人も声こそ出さなかったものの、彼と同じ気持ちでいた。
浅木はこのまま自分たちを帰すものだと五人は思っていた。
しかし、彼はそのまま話を続けた。
しかし、彼はそのまま話を続けた。
「それで……多分君たちが見たってのは、『交流所』の人たちだろう」
「……交流所?」
「それって、トリエルドにある……」
「ああ」
「……交流所?」
「それって、トリエルドにある……」
「ああ」
誠人たちも交流所のことは、名前だけは知っていた。
トリエルド各地で散発する戦闘や破壊行為に介入する交流所メンバーの存在は、色々な所で噂になっていた。
異世界から来た戦士がいる。
かつて宇宙を脅かした惑星メテオスに関わっていたらしい人物がいる。
神や天使といった、人智を超えた存在がいる。
非常に弱いくせにどの戦場にも現れ、死にそうで死なないニット帽の少年がいる。
かつて宇宙を脅かした惑星メテオスに関わっていたらしい人物がいる。
神や天使といった、人智を超えた存在がいる。
非常に弱いくせにどの戦場にも現れ、死にそうで死なないニット帽の少年がいる。
そんな噂が、人から人へと流れていた。
それらのいくつかが誠人たちの耳にも入っていたのだった。
それらのいくつかが誠人たちの耳にも入っていたのだった。
噂は多く立てども、交流所を取材しようとするジャーナリストは何故か現れなかった。
近づくだけでも危険だと思っているのか、あるいは得体の知れない物だと思っているのか。 それはわからない。
近づくだけでも危険だと思っているのか、あるいは得体の知れない物だと思っているのか。 それはわからない。
「今トリエルドが危険な状態にあることはみんなも知っていると思う。
交流所の人たちは、あそこで起きている戦いに割って入って回っているんだ」
簡潔に交流所がしていることを解説する浅木。
交流所の人たちは、あそこで起きている戦いに割って入って回っているんだ」
簡潔に交流所がしていることを解説する浅木。
それを聞いた慎吾は目を見開いて言った。
「ええっ! じゃあ、あの噂って本当なんですか! 交流所がいろんな軍隊とかと戦ってるっていう!」
「そうさ。 実は先生、交流所のことを色々と調べていてね。
君たちが見たっていう戦いのことももう知っているんだ」
「ええっ! じゃあ、あの噂って本当なんですか! 交流所がいろんな軍隊とかと戦ってるっていう!」
「そうさ。 実は先生、交流所のことを色々と調べていてね。
君たちが見たっていう戦いのことももう知っているんだ」
それを聞いた誠人は、恐る恐る口を開く。
「あ、あの、先生」
「あ、あの、先生」
「……交流所のことがもっと知りたいから教えて欲しい、かい?」
「!!」
言おうとしていたことを浅木に言われてしまい、誠人は驚く。
「!!」
言おうとしていたことを浅木に言われてしまい、誠人は驚く。
「君たちは、本当に怖い思いをしたんじゃなかったのかな?
本物の殺し合いを、目の前で見せられて……」
本物の殺し合いを、目の前で見せられて……」
「そ、そうだぞ、誠人」
「誠人はおかしい!」
「何であんなもの、もう一度見たいとか、いうのさ!」
浅木に同調する形で誠人に言葉を浴びせる慎吾、謙治、裕司。
誠人はただうつむく。 綾は何も言わず、心配そうに彼を見つめている。
「誠人はおかしい!」
「何であんなもの、もう一度見たいとか、いうのさ!」
浅木に同調する形で誠人に言葉を浴びせる慎吾、謙治、裕司。
誠人はただうつむく。 綾は何も言わず、心配そうに彼を見つめている。
「……いいさ、気持ちはわかる。
君は、交流所の人たちの圧倒的な力に、何か惹かれるものがあったんじゃないかな?」
君は、交流所の人たちの圧倒的な力に、何か惹かれるものがあったんじゃないかな?」
「……」
浅木の問いかけに、誠人は喋らず、ただうなずいた。
浅木の問いかけに、誠人は喋らず、ただうなずいた。
「誠人くん。 明日また、放課後にここに来てくれ。
交流所の資料を簡単にまとめたものを君にあげよう」
「い、いいんですか!?」
「ああ、いいとも」
交流所の資料を簡単にまとめたものを君にあげよう」
「い、いいんですか!?」
「ああ、いいとも」
約束を済ませたところで、浅木は腕時計を見る。 もうすぐ職員会議の時間だ。
「そろそろ先生は会議に行かないといけないから、今日はこの辺にしよう。
気をつけて帰ってくれよ」
「……わかりました」
気をつけて帰ってくれよ」
「……わかりました」
パソコンルームを出て行く五人。
翌日の放課後、浅木は約束通り、パソコンルームで誠人と会った。
そこに他の四人の姿はなかった。
そこに他の四人の姿はなかった。
「さ、これが約束の資料だ」
浅木は誠人に資料を手渡した。
交流所の行動を時系列順にまとめた、数ページのホチキス止めの資料だ。
交流所の行動を時系列順にまとめた、数ページのホチキス止めの資料だ。
その上で、浅木は誠人に言った。
「……誠人くん。 色んなことを知ってくれ。 そのための協力は先生は惜しまない。
知った結果怖くなったなら、交流所のことを考えるのをやめればいい。
だけど、怖くなるまで知って、それでも逃げずに踏みとどまることで、見えてくるものもある。
インターネットでも先生でも、何でも使って、満足するまで交流所のことを知ってくれ。
君の感じている気持ちに、ケリをつけるためにもね」
知った結果怖くなったなら、交流所のことを考えるのをやめればいい。
だけど、怖くなるまで知って、それでも逃げずに踏みとどまることで、見えてくるものもある。
インターネットでも先生でも、何でも使って、満足するまで交流所のことを知ってくれ。
君の感じている気持ちに、ケリをつけるためにもね」
「……わかりました」
返事をする誠人。
返事をする誠人。
「あ! 現地に行くってのだけは絶対にダメ、だからな!」
「は、はい」
浅木は最後にきちんと釘を刺した。
「は、はい」
浅木は最後にきちんと釘を刺した。
程なくして誠人たちの二学期は終了した。
冬休みの初日、誠人はどこへ出かけるでもなく、自分の部屋で浅木から受け取った資料を読み続けていた。
ブライトデリーターズ。 均衡維持軍。 解放戦線。
誠人がテレビのニュースで聞いた名前が、次々出てくる。
交流所の者たちは、人知れずいくつもの争いに『介入』しつづけていたのだ。
誠人がテレビのニュースで聞いた名前が、次々出てくる。
交流所の者たちは、人知れずいくつもの争いに『介入』しつづけていたのだ。
親に宿題を片付けることを強いられたりしたため、結局誠人が資料の全てを読み終えたのは夜になってからだった。
資料を机の中に隠し、部屋の明かりを切って、誠人はベッドに体を投げ出す。
資料を机の中に隠し、部屋の明かりを切って、誠人はベッドに体を投げ出す。
月明かりだけが差し込む部屋の中、誠人の頭にはあの日の戦いの光景が蘇っていた。
むき出しの力と力がぶつかり合う恐ろしい戦い。
むき出しの力と力がぶつかり合う恐ろしい戦い。
交流所の者たちは、それを幾度となく経験してきたというのか。
恐ろしいもののはずなのに、知れば知るほど知りたくなってしまう。
そうしてまた知って、怖くなるのか。
恐ろしいもののはずなのに、知れば知るほど知りたくなってしまう。
そうしてまた知って、怖くなるのか。
誠人は自分でも、自分がどうしたいのかがわからずにいた。
「(僕はどうして交流所のことが知りたいんだろう)」
決して暖かいとはいえない部屋の中で、誠人は掛け布団にくるまっている。
決して暖かいとはいえない部屋の中で、誠人は掛け布団にくるまっている。
「(あの時冒険になんか行かなきゃよかったのかな。
そうすれば、今何も考えたりしなくてよかったのかな)」
そうすれば、今何も考えたりしなくてよかったのかな)」
「(交流所のことを知ったところで何になるんだろう。
僕もあの人たちを手伝って、トリエルドの人を巻き添えにして戦うひどい人たちを止める?
そんなの、できっこない……けど……)」
僕もあの人たちを手伝って、トリエルドの人を巻き添えにして戦うひどい人たちを止める?
そんなの、できっこない……けど……)」
「(もしも僕が交流所に行ったらどうなるんだろう。 危ないことに巻き込まれて、死んじゃうかな)」
「……」
辺りはただ静かだ。 誠人の疑問に答えてくれる者などいるわけがなかった。
思考をめぐらせるうち、誠人は眠りに落ちた。
辺りはただ静かだ。 誠人の疑問に答えてくれる者などいるわけがなかった。
思考をめぐらせるうち、誠人は眠りに落ちた。
それからというもの、誠人はインターネットにアクセスし、交流所のことを調べていた。
幸い冬休みの宿題にはネットで調べ物をするものもあったので、その為に家のパソコンを使うことができた。
さらに誠人は知恵が回るようで、一通り交流所のことを調べたあとは閲覧履歴を消し、親にわからないようにしていた。
勿論本来すべき調べ物もきちんとしている。
幸い冬休みの宿題にはネットで調べ物をするものもあったので、その為に家のパソコンを使うことができた。
さらに誠人は知恵が回るようで、一通り交流所のことを調べたあとは閲覧履歴を消し、親にわからないようにしていた。
勿論本来すべき調べ物もきちんとしている。
誠人は、交流所にまつわる色々な話を見た。
その中には本当のこともあったし、嘘の話もあっただろう。
交流所の者達を英雄視する意見もあった。 逆に、戦いを広める原因だと言う者もいた。
誠人にはまだわからない言葉もたくさんあったが、それでも誠人なりに理解し、調べ続けた。
その中には本当のこともあったし、嘘の話もあっただろう。
交流所の者達を英雄視する意見もあった。 逆に、戦いを広める原因だと言う者もいた。
誠人にはまだわからない言葉もたくさんあったが、それでも誠人なりに理解し、調べ続けた。
そして、色々なことを知る中で、誠人の中の気持ちは新たな方向へ進み始めていた。
交流所に行ってみたい。
交流所の人たちと、直接話をしてみたい。
交流所の人たちと、直接話をしてみたい。
誠人の心の主導権は、恐怖から好奇心へと移りつつあったのだ。
誠人は新たな『冒険』の計画を立て始めた。
今度は、綾も慎吾も謙治も裕司も連れない、一人だけの冒険だ。
今度は、綾も慎吾も謙治も裕司も連れない、一人だけの冒険だ。
「(僕は…… 僕は、交流所に行くんだ)」
<おわり>